表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/400

25 7日目 ナナシサイド 呪術師03end


”空間魔法を使った結界魔法”の確認をする事にした。


【目玉(仮称。魔法で作られた目。正式名称まぢどうしよう)】を【魔力検知】で見えない様にするのに使えそうとのことなので。

それと、天井裏の空間を探すのにも使えるみたいなので。


この結界魔法は、少し前に【空間魔法グループ】と【結界魔法グループ】が完成させていた。

だが、王宮から出られない今の状況で確認する事に躊躇ためらいが有ったので、確認が先延さきのばしになっていたヤツだ。

躊躇ためらいが有った理由は、結界の中に入り込んだ地面がどの様なかたをするのか分からなかったから。

この結界を人を中心に球状に張った時、人が地面に立てなくなる事は予測済み。

だが、結界の中に入り込んだ足元の地面が、どの様なかたをするのかが分からず、それが問題だった。

地面はそのままそこに在り、ただ人が立てないだけで人が落っこちるだけなのか?

あるいは、結界の中に入り込んだ地面も、人と一緒に何処どこかに落っこちるのか?

落っこちるとしたら、何処どこまで? 落っこちた地面はどうなる?

最悪、『地下深くで大爆発!』なんてことも考えられた。

だから、王宮から出られない今、確認をする事に躊躇ためらいが有った。

だが、別の確認方法を考えた。

地面ではなく、天井でやればいい。

天井ならば、仮に落っこちても、床に落ちるだけ。

安心だね。

………………。

安心か?

まぁ、いいや。

最悪、天井が落ちるだけだし。(←おい)

さぁ、やるか。


【空間魔法グループ】と【結界魔法グループ】が共同で開発した、”空間魔法を使った結界魔法”。

これを、宙に浮く【目玉(仮称)】に掛けてみた。

【目玉(仮称)】を中心に、球状に結界が張られた。…はずだ。

結界も【目玉(仮称)】も両方とも透明なので、見えないから分からないけど。


ず、この結界の隠密おんみつ性の確認からしようか。

取り敢えず、可視光線かしこうせんでは見えないことは確認できた。

他に、赤外線や紫外線。それと【魔力検知】でも見えなければ、隠密おんみつ性はバッチリだね。

次は、赤外線と紫外線で確認してみよう。

俺の近くで護衛をしてくれている【目玉(仮称)】の視界を通して見る。

【目玉(仮称)】の視界を通して見るのは、知覚できる光の波長が可視光線の範囲にとどまらず、赤外線や紫外線も見る事が可能だからです。

【遮光】結界を、自分が視界を利用している方の【目玉(仮称)】に張って、その結界を通す光の波長を変える。

赤外線だけを通す様にしたり、紫外線だけを通す様にして見て、確認した。

その結果、”空間魔法を使った結界魔法”で覆った【目玉(仮称)】は、赤外線でも紫外線でも見えなかった。

次は、いよいよ【魔力検知】での確認だ。

視界を【魔力検知】のものにして、”空間魔法を使った結界魔法”で覆った【目玉(仮称)】を見る。

おお。見えない。

やったね。

【目玉(仮称)】を”空間魔法を使った結界魔法”で覆えば、隠密おんみつ性はバッチリだね。


でも、何で結界が【魔力検知】で見えないんだろう?

【魔法無効】の結界も、【魔力検知】で見えていたので、この結果を不思議に思う。

そうしたら、頭の中で【多重思考さん】が教えてくれた。

『結界の外側に空間の断絶だんぜつがあるので、そのためでしょう。』

えーっと。

検知しようとしても、結界の手前で空間の断絶だんぜつがあるから”そこに無い”状態になっていて、その為に、魔力が検知できなくなった。ということか。

なるほど。

それなら、この結果に納得だね。


よし。

隠密おんみつ性の確認は終わった。

次は、天井を落とす実験だ。(←違う)

って、言うか、こっちの確認の方が大事なんだけどね。危ないから。

と、その前に。

これからさらに実験をするのに見えない状態なのは困る。

だから、宙に浮いている状態でそこに在る(はずの)”空間魔法を使った結界魔法”の内側の壁に、【目玉(仮称)】を通して【闇魔法】で黒い色を付けた。

視界を、自分の目に切り替えて、見る。

薄く黒い色が着けられた球体が宙に浮いている。

よし。見える様になったね。

よし、実験を始めるぞ。

………と、思ったのだが、何で見えるんだ?

あれれ?

頭が、こんがらがって来たぞ。


頭を、こんがらがせていたら、頭の中に『ふぅ、やれやれだぜ。』って感情が浮かんだ。

頭の中で【多重思考さん】が説明してくれる。

『先ほどは、結界の中に入れた物が【目玉(仮称)】だったから見えなかっただけです。結界の中に物体を入れれば中の物体は見えますよ。光は出入りする様にしてありますので。』

『光を出入りする様にしておきませんと、結界の中に人が入ったら何も見えなくなって、結界の使つかみちが無くなってしまいますから。ふぅ、やれやれだぜ。』

…そうですね。

はい。そうでした。

素晴らしい結界です。ありがとうございました。

でも、『ふぅ、やれやれだぜ。』とか言うなや。


気を取り直して!

天井を落とすぜ!(←だから違うって)


目の前に先ほどから浮いている、薄く黒い色が着けられた球体。

この、『”空間魔法を使った結界魔法”におおわれた【目玉(仮称)】』を、天井に触れさせて、天井がどうなるか確認する。

その前に、【無限収納】から敷物しきものを出して、ゆかに広げておく。

天井(の一部)が落ちる。…かもしれないからね。

ちょっとだけ、落ちるところが見てみたいとかは、思ってナイデスヨ?

敷物しきものの真上の天井に”球体”を近付けていき、ゆっくりと天井に触れさせてみる。

天井に”球体”の一番上の部分がめり込んだ。

天井の一部が落ちるかと思っていたのだが、天井に変化は無かった。

チッ。(←おい)

さらに上に移動させる。

天井に”球体”のすべてが吸い込まれた。

今度は下に移動させる。

天井から”球体”が出て来るのが見えた。

さらに下に移動。

”球体”のすべてが、天井から出て来た。

おお。

成功だ。

やったぜ。


次は、もう一つの重要な実験をする。

さっきは、既に張っている結界を近付けて、天井がどうなるかを確認した。

次は、天井を含める形で結界を張ったらどうなるかを確認する。

お待たせしました。

いよいよ、天井が落ちます。(←おい)

”空間魔法を使った結界魔法”を一旦解除し、【目玉(仮称)】を天井のすぐ近くまで移動させる。

この位置で、先ほどと同じ大きさで”空間魔法を使った結界魔法”を球状に張れば、天井を含めた形で結界が張られることになる。

そうなった時、天井はどうなるのか?

正直、今度こそ天井が落ちそうな気がします。(ビクビクワクワク)

いくぜ。(ゴクリ)

結界を張る。

天井に変化は無い。

結界も【目玉(仮称)】も両方とも透明で見えないので、”空間魔法を使った結界魔法”の内側に黒い色を付ける。

薄く黒い色が着けられて見える様になった結界は、天井にめり込んだ形で張られていた。

チッ…、ぢゃなかった。やったぁ。(←おい)

天井は落ちなかったね。

成功だぜ。

やったね。

『ちょっとだけ残念。』だとか、思ってナイデスヨ?


さて。

これで、【目玉(仮称)】を”空間魔法を使った結界魔法”でおおう実験が終わった。

こうする事で【目玉(仮称)】は、【魔力検知】でも見えない状態になった。

さらに、壁や天井にも入り込める様にもなった。

改めて言葉にすると、すごくね?

何か、すごい状態になっちゃたね。

うむうむ。(←満足げ)


ぢゃあ、【多重思考さん】には、この【New目玉(仮称。”空間魔法を使った結界魔法”でおおわれた【目玉】。さわれない。見えない。魔力検知もされない)】を使って、天井裏の空間の有無と、天井裏に怪しい人が居ないかを確認してもらうことにしよう。

よろしくねー。(←丸投げする様子が、すっかり自然になってきました)



俺は、さらに実験を続ける。

今度は、実体の無い【目玉(仮称)】ではなく、”実体じったいの有る物”でためす。

自分の体を”空間魔法を使った結界魔法”でおおう事もあると思うので。

ちゃんと確認しておきたいよね。

【無限収納】から石を一つ取り出し、【フライ】の魔法を掛けて宙に浮かせる。

これに”空間魔法を使った結界魔法”を張って実験しよう。

『よし、やるぜ。』と思ったら、『駄目です!』と頭の中で言われた。

何事なにごとかと思ったら、『石を”空間魔法を使った結界魔法”でおおったら、【フライ】の魔法が届かなくなってしまいます。』と【多重思考さん】に言われた。

空間の断絶があるから、魔法が届かなくなってしまうのかな?

ここではない何処どこかに行ってしまう事になると考えれば、そうなりそうな気がするね。

【フライ】の魔法が届かなくなると、結界におおわれた石がどこまでも落っこちてしまう事になりそうだ。

そうなると、石がどうなるのか分からない。

『地下深くで大爆発!』という最悪のシナリオが頭の中に浮かんだ。

うっかりやらかさない様に、注意しないといけないね。

危なかったね。


あれ?

でも、さっき、【目玉(仮称)】は大丈夫だったぞ?

【目玉(仮称)】は大丈夫で、【フライ】はダメなの?

あれれ?

不思議に思ったので、【多重思考さん】に訊く。

『そのへん、どうなのー?』(←訊き方が雑です)

【多重思考さん】が頭の中で説明してくれる。

『【目玉(仮称)】の方はよく分かりません。そういう物だと思ってください。』

おい。

『【目玉(仮称)】に使っている”つながる”機能が、想像以上に高性能なおかげだと思います。よく分かりませんが。』

おい。作った人。いや、”人”ぢゃないけど。

まぁいいか。便利だから。

【多重思考さん】に言われた通り、『【目玉(仮称)】は、そういう物。』だと思っておこう。


それぢゃあ、実験を再開しよう。

その為には、【フライ】を使わない、別の実験方法を考えないといけないね。

どうしようか?

【目玉(仮称)】が大丈夫なら、【目玉(仮称)】も一緒に入れて、それを通して石に【フライ】を掛ければいいか。

そうだね。それでいけるぢゃん。

早速さっそく、試してみる。

試してみたら、石は”空間魔法を使った結界魔法”の中に在りながら、宙に浮いたままになった。

よし、上手うまくいった。


次は、結界の中身が実体でも天井に入り込めるかを確認しよう。

『”空間魔法を使った結界魔法”におおわれた石と【目玉(仮称)】』を、天井へ近付けていく。

天井にめり込んだ。

さらに上に移動させる。

天井にすべて吸い込まれた。石も。

下に移動。

天井から出て来た。

よし、実体でも問題無いね。

やったぜ。


さらに実験を続ける。

この『”空間魔法を使った結界魔法”におおわれた石と【目玉(仮称)】』を手でれたらどんな感触が有るのか? あるいは何の感触も無いのか?

それを確認する。

さわれないとは思うのだが、何となく『ひんやりとかしそう。』とか思ってしまったので。

いきなり手でさわるのは、何となく怖いので、【無限収納】から木材を取り出し、手に持った木材を結界に当ててみる。

手応てごたえは無かった。

木材を横に振って、結界の中に見える石に触れさせてみる。

手応てごたえは無く、石を通過した。

ふむ。

まぁ、予想した通りだよね。天井に入り込んだんだからね。

次に、手で結界と石にさわってみる。

さわった感触は無いし、石をつかもうとしてもつかめない。

それと、ひんやりもしなかった。

納得出来る結果だね。


あと、確認しないといけないのは、『自分の体にこの”空間魔法を使った結界魔法”を張ったらどんな感じになるのか?』なのだが…。

それは、今はめておこう。

部屋に居るメイドさんたちが、『さっきから、何をしているんだろう?』という目で見ているからね。

実験に集中していて、まわりの事をまったく気にしていませんでした。(←気にしろよ)

流石さすがにこの状態で、結界を自分の体に張って、壁や天井に突っ込んでは行けないよね。

メイドさんたちがどんな反応をするのか分からなくて。

超常現象の域だからね。

大騒ぎになる未来しか見えないよね。

ちょっとやってみたいとか、思ってナイデスヨ?

そのうちに、何処どこかで実験してみよう。


実験に使った石とか木材とかを【無限収納】に仕舞しまい、何食なにくわぬ顔で部屋付きのメイドさんにお茶を頼む。

お茶を飲みながら、【多重思考さん】から調査結果の報告が来るのを待つことにしよう。

と、思ったら、【多重思考さん】から報告が来た。

『もう調べ終わっています。呪術師じゅじゅつしが、もう一人居ました。』

はやっ。』

頼んだ後にも実験をしていたけど、王宮の広さを考えると無茶苦茶(はや)くね?

呪術師じゅじゅつしは気絶させちゃって。』と、呪術師じゅじゅつしに関してはサラリと指示を出してから【多重思考さん】に訊く。

随分ずいぶんと早かったね?』

『天井だろうが壁だろうが人だろうが通り抜けられるので、複数の【New目玉(仮称。”空間魔法を使った結界魔法”でおおわれた【目玉】。さわれない。見えない。魔力検知もされない)】を高速で飛ばしまくって調査したので、すぐに終わりました。』

ああ。そうだね。

そうする事が出来るよね。

それなら、すぐに調査が終わったのも納得だね。


”空間魔法を使った結界魔法”のおかげで、天井裏の空間を探す必要なんて無くなったね。

最初は、『天井裏に空間が有る場所なんて”部外者ぶがいしゃ”に教えてくれないよね。』とか、『うっかり身内みうちっぽい言動げんどうをしてしまうと、退路たいろせばめてしまうことになりかねない。』とか考えて、天井裏の情報を求めるのは、めることにしたのにね。

何だか納得出来ない気持ちが少しだけしたが、より良い結果になったのだから”良し”としよう。

うん。



部屋付きのメイドさんにれてもらったお茶を飲みながら、呪術師じゅじゅつしたちのあつかいを考えることにする。

あの白衣のおじいさんに引き渡すのはいいとして…。(悪い笑顔)

”いつ”引き渡そうかね?

あのおじいさんが変な事をしでかして、おかしな事態が起きてしまうのは勘弁してほしいよね。

勝負が終わってからだよなぁ。引き渡すのは。

あるいは、結婚式が終わった後か?

西の遠くの荒野に結界を張って、その中に気絶させた状態で閉じ込めておくか?

そうしよう。

そう決めて、さっさとそうしました。

めんどくさくなってきたから。(てへ)


メイドさんにれてもらったお茶が、美味おいしかったです。


2019.12.31 加筆修正しました。

実験のところを、色々と沢山いじりました。加筆も多いです。

自分でも疑問に思う箇所が有りましたので。(←酷い理由だ)

お話は変わってませんので、改めて読み返す必要は無いと思います。

ですが、以前よりは、より分かり易くなっていると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ