24 7日目 ナナシサイド 呪術師02
【目玉(仮称。魔法で作られた目)】が呪術師から攻撃を受けた。
体がこわばる。
息が荒くなる。
嫌な汗が出る。
「どうかされましたか?」
護衛のメイドさんの一人が、声を掛けてくる。
「………”呪い”…を、…受けたん…だ…と…思う。」
体をこわばらせながら、そう言う。
部屋付きのメイドさんが、廊下のメイドさんに何やら指示を出しているのが聞こえる。
護衛のメイドさんが何か声を掛けてくるが、一先ずそれを無視して、【多重思考さん(多重思考された人(?)たちのリーダー)】から情報を貰う。
”何が起きたのか”と”呪術師が気絶している“ことを教えてもらった。
呪術師が気絶していると聞いて、少し安心した。
次に、体の状態を確認する。
体のこわばりは無くなってきた。
大丈夫…なのかな?
どうしてなのかな?
護衛のメイドさんに返事をする。
「”呪い”を受けたけど…、大丈夫っぽい。」
そう言った後、お願いもする。
「それと、王宮内に”呪い”に詳しい人が居たら、呼んでほしい。」
そうお願いしてから、俺はソファーに横になった。
ソファーで横になり、体の状態を確認する。
体は普通に動く様だ。
【状態異常耐性】が働いたのかな?
それくらいしか思い当たるモノはないからね。
嫌な汗をかいたので【クリーン】で体を綺麗にして、そのまま体を休める。
しばらくソファーで休んでいたら、部屋に人が来た。
白衣を着た高齢の人だ。
研究職なのだろうか? それともお医者さん?
「どんな状態だ?」
ぶっきらぼうに、そう訊いてくる。
部屋付きのメイドさんが、ムッとしているが見えた。
「”呪い”を受けたんだと思う。体がこわばった。」
「ふむ。」
手をかざして、何かを調べ始める白衣のおじいさん。
体に纏わり付く物が剥がれ落ちる様な感触が有った。
「これで大丈夫ぢゃろ。」
そう言う白衣のおじいさん。
「…今のは何をしたんですか?」
「変質した魔力が体に張り付いていたんで、それを剥がした。」
「”変質した魔力”って、何ですか?」
「なんぢゃ、そんな事も知らんのか。」
呆れた様に言われてしまった。
でも、この世界の常識が無いんだから、仕方が無いよね。
部屋付きのメイドさんの表情については無視です。ナニモミテナイデスヨー。
白衣のおじいさんは、”変質した魔力”について、ノリノリで話してくれた。
「”呪い”とは、魔力を変質させるものらしい。」とのこと。
まだ十分な研究がされていないので、ほとんど分かっていないらしいが。
ノリノリで話してくれたのはいいんだが、内容はほとんど無かった。(苦笑)
「何処で”呪い”を受けたんだ?」
そう訊かれた。
さて、何て答えようかな?
正直に【目玉(仮称。魔法で作られた目)】が”呪い”を受けたなんて言えない。
【目玉(仮称)】の事は、秘密だからね。
【目玉(仮称)】の長所の一つは、隠密性だからね。話すことなんて出来ない。
「ここに居て、離れたところからやられた様だ。」
そう言った。
「『王宮に張ってある結界で防げるはず。』という事になっておるんぢゃがな。まぁ、奴らの言う事が、どの程度アテになるのかは知らんがな。」
”奴ら”とやらには、何か言いたい事が有りそうな感じです。触れないでおこう。
「また、”呪い”を受けたら、呼んでくれ。」
そんなセリフを、まるで期待しているかの様に言って、白衣のおじいさんは帰って行った。
部屋付きのメイドさんの表情については触レマセンヨー。
さて。
気絶させた呪術師はどうしようかな?
さっきの白衣のおじいさんに引き渡すのが面白そうだ。(悪い笑顔)
それよりも、今は、対策が先だな。
あっちは、気絶させておけばいいし。
何よりも気になった事が有る。
【目玉(仮称)】が”呪い”を受けた時、呪術師と目が合った。
あの呪術師には【目玉(仮称)】が見えていた様だ。
どの様にして【目玉(仮称)】を見ていたのだろうか?
【魔力検知】の魔法が、俺が作ったもの以外にも存在すると考えるのが、自然だろうな。
【目玉(仮称)】の隠密性が、完全では無い事が明らかになってしまった。
【目玉(仮称)】が【魔力検知】で見えなくなる様に、何か対策を考えよう。
そう思ったら、頭の中で【多重思考さん】から提案された。
『これというものは有りませんが、”空間魔法を使った結界魔法”が有望だと思います。』
ほう。
『それと、天井裏の空間を探すのにも有効だと思います。』
頭の中でそう言われた後、”空間魔法を使った結界魔法”を使った天井裏の空間の探し方が頭の中に浮かんで来た。
ふむふむ。
なるほど。
早速、確認してみる事にしよう。