21 6日目 ある者の話 カーティー06
オークの集落での仕事を終えて、森の中を南に向かって歩いています。
魔道具で姿と気配を消したままです。
一仕事終えた安堵感で、のんびり、まったりと仲間の後を付いて行きます。
そんな時、フッと視界が無くなりました。
!?
真っ暗です。
立ち止まります。
視界が戻りました。
仲間にハンドサインで、『先に行け。』と伝えます。
周囲に敵が居る事を想定すれば、視界が不自由な者が原因で、敵にこちらの位置を知られてしまう事態は避けるべきです。
仲間を先行させて、その後を慎重に進みます。
歩き始めると、すぐにまた、フッと視界が無くなりました。
立ち止まります。
また、視界が戻りました。
………………。
何が起きているのでしょうか?
何が起きているのかを考えながら、仲間の後を慎重に進みます。
その後は何事も無く、予定していた休憩地点まで戻る事が出来ました。
隊長に報告します。
視界が一時無くなって真っ暗になったこと。すぐに戻ったこと。
それが2度有ったことを報告します。
考えられるのは、”魔道具の故障”と”何者かの妨害行為”。
隊長は、「何者かの妨害行為かな?」、「いや、違うかな?」などと、呟いています。
隊長は、そのまま何かを考えています。
ですが、その表情は、すぐに深刻そうなものではなくなりました。
隊長は、微笑みながら言います。
「うん、危険は無いな。」
「へ?」
「大丈夫。危険は無いよ。」
笑顔でそう言われました。
隊長が説明してくれます。
「敵だったら、視界を奪った時に攻撃して来たはず。」
「視界を奪う方法が有る事を知らせるだけして、何もしてこないという事は無い。」
「今、この辺りに居そうなのは”彼”くらい。」
「私たちが使っている魔道具に興味が有って、どんな魔道具なのか確認したのだろう。」
そう言われました。
その後、さらに別の地点まで移動し、私たちはそこで野営しました。




