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03 姫様救出01 姫様を隠れ家にご招待。そして、くんか くんか


馬車からろされ、盗賊たちに連れて行かれた女性たち。


俺は姿を消したまま、彼女たちが洞窟どうくつの中のアジトに連れられて行くのをながめていた。

彼女たちを助けようか放置しようか決めかねていたのだが、取り敢えず、洞窟どうくつの外に居た盗賊たちはサクッと魔法で気絶させておき、洞窟の中の様子を【目玉めだま(仮称。魔法で作られた目。 正式名称決めるのめんどくさい)】を通して監視していた。

そうしたら、姫様とやらが”危険な状態(笑)”におちいってしまっていたので、つい、助けてしまった。

余計な事はしたくなかったのだが、やってしまった事は仕方が無いよね。


姫様にトイレへ行ってもらっている間に、俺がここに来た目的をサクッと済ませてしまおう。

俺は、この盗賊のアジトの中に在る金目かねめの物と武器と防具のすべてを、サクッと【無限収納】に仕舞しまった。

よし、お仕事終了。

これで、俺のもり生活がはかどるね。(笑顔)


トイレから戻って来た姫様に、俺が見ていた状況を話した。

そして、この後の事を姫様と相談をする。

何処どこに連れて行くのが安全なのかを、姫様に訊いてみた。

「騎士の方たちに置き去りにされてすぐに盗賊の方たちが来ました。計画的な感じがします。」

「王宮まで帰れれば良いのですが、距離が有り過ぎるので途中で襲われてしまうかもしれません。あの騎士の方たちがまだ近くに居るはずですし。」

「今、王都へ向かうのは危険だと思います。ですが、ここにとどまっている訳にもいきませんし…。何処どこに向かえば安全なのかは私には分かりません。」

そう姫様は言った。

ちゃんと現状を理解してくれている様で安心したね。

お馬鹿ぢゃなくて良かった。


でも、どうしたものかな?

あの騎士たちに見付かってしまうと面倒な事になってしまいそうだ。

ここから転移魔法で、俺のかくに連れて行くのが安全安心っぽいな。

「ぢゃあ、取り敢えず、俺のかくに移動するか?」

そう訊いてみる。

「………。」

少し、躊躇ためらう姫様。

まぁ、怪しい奴だし仕方が無いよね。

「よろしくお願いします。」

でも、そんな怪しい奴に姫様はそう言った。

「よし、分かった。」

姫様にお願いされたので、すぐに【転移】でかくに移動した。

「ここが、俺のかくだよ。」

姫様ビックリ。

ビックリしている姫様の表情に、思わずクスリとしてしまう。

「もう一人のを持って来るから、ちょっと待ってて。」

言葉を失っている姫様が、うなずくのを確認。

【転移】で、再び洞窟どうくつに行き、もう一人のを【魔法の腕】で持って、隠れ家に戻って来た。

再び現れた俺(+荷物が一つ)に、姫様またビックリ。

ビックリしている姫様に言う。

「このはこのまま寝かしておく。起こすとめんどくさそうだし。」

「ありがとうございます。」

姫様は、思いのほか丁寧ていねいに頭を下げた。

”めんどくさい”なのだろう。(苦笑)

俺は、【魔法の腕】で持って帰って来た”めんどくさい”を、ベッドに運んで寝かした。



姫様にソファーに座ってもらい、【無限収納】から紅茶の入ったポットとカップを出してテーブルに置きつつ、俺も姫様の向かいに座る。

カップに紅茶をそそいで姫様にすすめ、俺も一口飲んで一息ひといきく。

ふぅ。

「それぢゃあ、これからどうするか考えようか。」

「はい。」

俺が見ていた状況を姫様に詳しく話して、今後の方針を二人で相談する。

ず、『姫様たちを何処どこで保護するか?』という話。

このかくではベッドの数が足りない。

そもそも、お姫様をお泊めする様な場所ぢゃないしね。

王国内の信頼できる人にかくまってもらうのが良いだろう。

しかし、街に入るのに門を通ると、姫様がその街に居る事がバレてしまう。

今回の事件の犯人が誰なのか分からない今の状況で、姫様の居場所を知られるのは、出来る事なら避けた方が良いだろう。

信頼できる人の屋敷の中まで、【転移】で運ぶのがベストだろうね。

しかし、俺が転移魔法を使える事を多くの人に知られてしまうのは、後々(あとあと)、困る事になってしまうかもしれない。

だから、「俺の魔法の事をだまっていてもらえる、口のかたい信頼できる人は居ないかな?」と、姫様に訊いた。

「それなら、私の婚約者を頼りましょう。彼なら大丈夫です。」

姫様にそう言われた。

ふむ。姫様の婚約者か。

姫様の婚約者なら、姫様を助けた恩人の秘密を守ってくれそうだね。

ぢゃあ、そうしようか。


姫様の婚約者を頼る事に決め、さらに話を詰める。

王都に在るその婚約者の屋敷にかくまってもらうのが良さそうなのだが、いきなり王都の屋敷に姫様が現れると、余計な事態を引き起こしてしまうかもしれない。

俺の魔法の事もバレてしまいそうだし。

だから、姫様を連れて行く前に、一度行って話を付けておいた方がいいだろう。

その為に、ず姫様に手紙を書いてもらって、俺が王都に在る婚約者の屋敷に手紙を持って話を付けに行くことになった。

そう決まったのだが…。

あー、ペンも紙もここには無いなぁ。

買って来ないといけないね。

買い物に行くついでに、お茶菓子でも買って来るかな。


次に、姫様を盗賊に引き渡した犯人の事について話し合う。

姫様に心当こころあたりは無いとのこと。

何故なぜ、殺害ではなく、盗賊に引き渡す様なことをしたのかな?」

疑問に思った事を姫様に訊いた。

姫様が言うには、殺害を命令してそれが実行されると、実行した人と命令した人の【ステータス】の【称号】のところに【殺人者】としるされてしまうらしい。

『そうなるのを避ける為に、盗賊に引き渡す様なことをしたのでしょう。』とのことだった。

盗賊の元から別の盗賊の元へと何度か身柄を移動させていき、”何処どこの誰なのか”という事を知っている人が居なくなったあたりで、誰かに殺されるのを期待していたのかもしれないね。

なるほど。理解した。

納得は出来ないが。


ぢゃあ、買い物に行く事にするかな。

「ぢゃあ、買い物に行ってくる。ペンも紙も無いから。少し待ってて。」

「はい。」

俺は、買い物をする為に【転移】で王都に移動した。


王都に来た。

王都に来たのは、普段の買い物をここですることが多い為、ここが一番いちばん土地勘とちかんが有るからだ。

チラリと、道の先に見える王宮を見る。

あそこに姫様を連れて行ければいいんだけど、今はそれはめておく。

王宮の中にも犯人の仲間が居そうな気がするからね。

それに俺は、国のえらい人とかとお近づきになりたいなんて、思ってないしね。

もし今、俺が姫様を連れて王宮に行ったりしたら、どんな面倒事めんどうごとに巻き込まれてしまうのか分かった物では無いよね。

だから、姫様を誰かに押し付けてしまうのが最善だと、俺は思っている。


それはそれとして、今は買い物だ。

ず、ペンとインクと便箋びんせん封筒ふうとうを買うお店を考える。

…そう言えば、文房具屋の様なお店を、まだ見た事が無かったな。

何処どこに行けば買えるのかな?

いきなり暗礁あんしょうに乗り上げてしまいました。(苦笑)

取り敢えず、近くの大きなお店へ行ってみたら、普通に売ってました。

………。

日頃ひごろの行い”のおかげだとでも思っておこうかな?

全然、そんな気がしないのは、俺の気の所為せいです。

その後、屋台でお茶菓子になりそうな物を買って、【転移】で隠れ家に戻りました。


隠れ家に戻ると、姫様はソファーに体を沈めて眠っていた。

「あー。護衛の騎士に裏切られたり、盗賊に歩かされたりしてたしね。疲れたよねぇ。」

少し寝かせておいてあげることにしよう。

着ていたローブを姫様に掛けてあげた。

『少し部屋が寒いかな?』と思い、【ファイヤー】で空気をあたため、【ウィンド】で循環じゅんかんさせる。

魔法の操作を、それぞれ【火属性魔法グループ(火属性魔法の習得と研究をする多重思考された人(?)たちのグループ)】と、【風属性魔法グループ(風属性魔法の習得と研究をする多重思考された人(?)たちのグループ)】の人(?)たちに任せる。

紅茶をなおす為にキッチンに行き、お湯をかし、ポットにお湯と茶葉を一緒に入れ、買って来たお茶菓子を皿にる。

それらを【無限収納】に仕舞しまったら、頭の中で【多重思考さん(多重思考された人(?)たちのリーダー)】が、例の護衛の騎士たちが馬車に戻って来たのを、現場に残しておいた【目玉(仮称)】を通して見付けたことを知らせてくれた。

そのまま【目玉(仮称)】を通して騎士たちを監視してもらう様に、【多重思考さん】に頼んでおく。

犯人を突き止める手掛てがかりを集める為にね。

軽く忘れていた、もう一人のの様子を確認してから、ソファーで眠る姫様のところに戻り、肩をゆさゆさ。

「あ。」

すぐに目を覚ます姫様。

がばっ

姫様は、俺が掛けてあげていたローブで顔を隠した。

あ。寝顔を見られるのが嫌だったかな?

少々配慮が足りなかったかもしれない。

くんか くんか

自分の配慮の無さを少し反省する。

くんか くんか くんか くんか

…自分の配慮の無さを少し反省する。(さっきぶり、2回目)

くんか くんか くんか くんか くんか くんか

………こういう時、どんな対応をすれば良いんだろうか?

くんか くんか くんか くんか くんか くんか

「ペンと便箋びんせんを買って来たから、手紙を書いて。」

見なかった事にして、やるべき事に戻ってもらおうとする。

くんか くんか くんか くんか

「………ふぅ。」

そんな声を出して、顔を上げる姫様。

戻って来てくれた様だ。

「手紙をお願いします。」

姫様の目を見て、そうお願いする。

姫様と目が合う。

「………………。」

「………………?」

「………はぁ。」

「戻って来ていらっしゃらない!」

戻って来てくれる様に、姫様に言う。

「姫様ー、起きてー。手紙ですよー。あなたのー、婚約者にー、無事を知らせる手紙ですよー。」

「………は……ひぃ?」

「まだ戻って来ていらっしゃらない?!」

もう一度言う。

「あなたのー、婚約者にー、無事をー、知らせる手紙ですよぉー。」

「………ああ、そうでした。」

戻って来てくれた様だ。

ホッとした。


ホッとした俺は、買って来たペンとインクと便箋びんせんと封筒をテーブルの上に置く。

姫様を見ると、テーブルの上ではなく、俺を見ていた。

おや?

「姫様?」

「はい。」

「手紙。」

「はい。」

「………………。」

「………………。」

姫様は、何でこっちを見てるんですかねぇ?

何でなんですかねぇ?

ふと、姫様がかかえているローブに目が行った。

あっ。

やばい。

あのローブには、【認識阻害】の魔法が掛かっている。

この異世界に来た時に、神様からもらった物だ。

神様の要望の書かれた紙に、『トラブル防止の為に素顔すがおさらさないで。』との注意事項が有った。

素顔すがおさらすと、どんなトラブルがしょうじるのかは不明なのだが、どんな影響を姫様に与えてるのだろうか?

「………………。」

「………………。」

今は、取り敢えず手紙だ!

顔の件は、放置!

「手紙をお願いします。」

「………はい。」

一応、コミュニケーションは取れている。

押し切ろう。


チラチラこちらを見る姫様を極力きょくりょく見ない様にして、二人で文面ぶんめんを確認しながら、手紙を書いてもらった。

書き上がった手紙を封筒に入れ、姫様に宛名あてなや姫様のサインとおぼしきものなどを書いてもらう。

そこで、封筒にふうをする物が無い事に気が付いた。

「あー、封筒にふうをする物とか無いけど、大丈夫かな?」

映画なんかで見る、貴族の手紙の封蝋ふうろうなどを思い浮かべながら、訊いた。

「非常事態。大丈夫。」

言葉(すく)なな姫様に少し不安をおぼえるが、取り敢えず何とかなったから、これで良いことにしよう。

姫様から封筒を受け取る。

よし、手紙は終了。

”手紙は”な。


「姫様、ローブを返していただけますか?」

「………………。」

姫様は少し考えた後、ローブに顔をうずめ、くんか くんか くんか くんか くんか くんか。

あー、やっぱり。

「姫様、ローブを返していただけますか?」(さっきぶり、2回目)

くんか くんか くんか くんか

「それがないと困るんですよ。転移魔法で王都に行くでしょ。いきなり人が現れたら驚きますよね?」

くんか くんか くんか くんか

「そのローブには魔法が掛かっていて、転移魔法で人が現れても気付かれにくすぐものなんです。」

くんか くんか くんか くんか

「今から王都に行くのに必要なので、返してください。」

「………はい。」

返してもらえた。

ふう。

さっさとローブを羽織はおり、姫様に言う。

「ぢゃあ、婚約者さんの屋敷まで行ってくるよ。」

「…はい。」


姫様の様子に少し不安をおぼえるが、【無限収納】から取り出した紅茶とお茶菓子をテーブルに置いて、俺は【転移】で再び王都に移動した。


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