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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第二十章 やったね、家族が増えるよ(増えるのが家族だけだとは言っていない)編
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08 命名騒動


妊娠したシルフィのおなか大分だいぶ大きくなってきた。

ツナサンドフィーバーも落ち着いたし、暴走するニーナをあしらうのにも慣れてきて、ここしばらくは割とのんびりした日々を過ごしていた。


そんな、ある日のこと。

俺の部屋にシルフィと王妃様、それと王様と大臣がやって来た。

生まれてくる子供に付ける名前を話し合う為だ。


「ナナシさん。あの”とてもいいクッション”を人数(ぶん)出してもらえないかしら。」


王妃様が俺に向かってそんな事を言う。部屋に来て早々(そうそう)に。

王妃様が言う『とてもいいクッション』とは、あの”人をダメにするクッション”のことを言っているのだろう。

でも、王妃様がそんな事を言い出した意図いとがよく分からない。

前に、王妃様も連れて来たリリス様と一緒に”人をダメにするクッション”を体験して、ダメな顔をおさらしあそばされたんだけどなぁ。


そんな危険物だからお披露目ひろめをする気も王宮で使う気も無かったんだけど、王様と大臣が何やら期待した目で俺を見ています。

出すしかなさそうだね。

危険物ではあるけど体に害が有る訳ではないし、それどころか体の疲れが取れる。

王様と大臣の体の疲れを取ってあげる為に王妃様が言い出したのかもしれないし、出してあげましょう。


「ソファーの代わりになる大きなクッションですので、ソファーを片付けてそこに出しますね。」


そう言ってソファーを【無限収納】にサクッと仕舞しまってから、そこに”人をダメにするクッション”をモスススンッと出していく。


シルフィと王妃様が早速さっそく腰を下ろします。そして、背中をあずけて気持ち良さそうな声をげています。

それを見て王様と大臣も腰を下ろし、背中をあずけて柔らかさを堪能たんのうして「ほほう。」とか言っています。


俺も腰を下ろして、そんなまわりの人たちの様子をうかがいます。

王様と大臣の反応も上々(じょうじょう)で、嬉しくなります。

ふふふ。とりこになってしまうがいい。(ニヨリ)



数分後。


「ハッ?!」


ガバッ


俺はあわてて体を起こした。

ヤベェ、寝ちゃってたよ。”人をダメにするクッション”が気持ち良すぎて。


王様たちを見ると、すじを伸ばして座っている王妃様以外、全員が眠ってしまっている様に見える。

ヤベェ。どうしよう?


『フフフフ。』


俺があせっていると、そんな声が頭の中で聞こえた。


『”人をダメにするクッション・かい”は素晴らしい出来できですね。』


”人をダメにするクッション・かい”?

どうやら、何か改良がほどこされていた様だ。俺が知らない間に。

一体いったい、どんな魔改造をしちゃったのかな? 気が付いたら寝ちゃってたんだけど?!


『別に特別な事はしていませんよ。ただ【リフレクション(熱) 1倍)】を付与しただけです。』


ソレってペンギン型ゴーレムにも付与しているやつだったよね。

でも、ソレって『持つとほんのりとあたたかい』くらいの効果しかなかったはずぢゃなかったかな?


『元のポテンシャルが人をダメにするレベルでしたので、ほんのりとあたたかくなるだけでも、かなり破壊力が増してしまった様ですね。』


クッションに『破壊力』って言葉を使うのはどうかと思ったけど、確かに『破壊力』って表現してもおかしくないレベルになっていたね。

やっぱり、このクッションって危険物だよねっ。



さて。

話し合いをする為にこの部屋に集まって来ているはずなんだけど、この状況をどうしよう?

王妃様はすじを伸ばして座っているけど、シルフィと王様と大臣はクッションに背中をあずけていきを立ててしまっている。


そんなシルフィたちの様子を確認してから、王妃様に目で『起こさないといけませんよね?』と訴えたところ、王妃様が俺に向かって言った。


「男の子が生まれたら、名前は『ガ〇ガン』にします。」


え? この状況でその話を進めちゃうの?!

シルフィも王様も大臣もねむっちゃってるんですけど?!

それに、『ガ〇ガン』って……。


俺は王妃様に異議いぎとなえる。


「この状きょ「男の子が生まれたら、名前は『ガ〇ガン』にします。」」


俺が異議いぎとなえようとしたら、かぶせる様にもう一度同じ事を言われた。

王妃様には引く気などまったく無い様だ。


なるほど。

自分の意見を無理やりにでもとおす為に、この状況を作り出したのか。

おかしいと思ってたよ。


でも、これから生まれてくる子供の名前って、こんな状況で決めていい話ではないですよね? シルフィもねむっちゃってるし。


「男の子が生まれたら名前は『ガ〇ガン』。それと同時に男性用のお風呂場を『ガ〇ガンの湯』と改名します。」


眠ってしまっているシルフィと王様と大臣、それと俺もガン無視して、王妃様が話を進めます。


「それと実物大ガ〇ガンを『ガ〇ガンの湯』の横に設置。大々的(だいだいてき)にお披露目ひろめをします。置き場所はなんとかするから製作をお願いね。」


おい。

とんでもない事をサラリと要求すんなや。


あと、『置き場所はなんとかするから』とか、そんな簡単に言ってはいけない事だと思いますよ? 俺が来てから既に四つも建物が増えてしまっているんですからね?

大臣にちゃんと話を通したとしても無理かもしれませんよ?


うっかり、俺も同意しただなんて思われてしまったら、後で大変なことになってしまう。

なので、俺は王妃様の要求を突っぱねて、この話し合いをおひらきにしました。



この後、眠ってしまった人たちを【レビテーション】で浮かせて運んだのですが、すっごくめんどくさかったです。

王妃様がブーブー言い続けやがったしなっ。



  ◇  ◇


後日。

再び、話し合いが行われました。

今度は、王妃様()きで。


『王妃様()きでいいのかな?』と思ったんだけど、シルフィがすっごくご立腹りっぷくのご様子でしたので、俺にその事にれる度胸どきょうはありませんでした。(ビクビク)


シルフィが出した命名案に王様と大臣が同意し、それに俺も追従ついじゅうします。コクコクと頭を上下に振って。


こうして、生まれてくる子供の名前が決まりました。すごくアッサリと。


サッサと部屋に帰って行くシルフィ。

それを無言で見送る、俺と王様と大臣でした。


『シルフィ(姫様)を怒らすとヤベェ。(ガクガクブルブル)』


そう思った俺たちは、無言のまま目礼もくれいして、そのまま解散したのでした。



(設定)

(『俺が来てから既に四つも建物が増えてしまっているんですからね』とは)

増えた建物は、かくから移設したお風呂場、炭酸水を作る魔道具の小屋、新設されたお風呂場(女湯、男湯)の四つ。

王宮の敷地には元々空いている場所が少なかったので、実物大ガ〇ガンを置く場所なんてありはしません。王妃様はナナシに転移魔法で建物を移動させてでも場所を作るつもりでいました。


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