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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十八章 のんびりしよう(できるとは言っていない)編
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01 ナナシ、経済を回す?


この王宮で暮らすようになってから二年がつ。

趣味やゴマスリを目的とした物作りは一段落いちだんらくし、ペンギン型ゴーレムやネコ型ゴーレムも欲しい人のところには既に行き渡ったのか製作依頼がほとんど無くなった。

お陰で、最近は割とヒマしている。

している事といえば、少し背が伸びて少しだけ大人っぽくなったシルフィとイチャイチャしてるくらい事くらいですかねぇー。

すっかりこの王宮での暮らしにも慣れてきたし、ここを自分の居場所だと思える様にもなった。

なので、いよいよ本格的にのんびりダラダラすることにしよう。(できるとは言っていない)



気持ちをあらたに、ソファーでのんびりダラダラとしていた、ある日の朝。

俺の部屋に、王妃様がシルフィと一緒にやって来た。

シルフィが俺の隣に、王妃様が俺の向かいに座ると、シルフィが持って来ていた【マジックバッグ】の中から大金たいきんが入っていそうな革袋を三つ取り出してテーブルの上に置いた。

そして、王妃様が俺に向かって言う。


「ナナシさん、報酬ほうしゅうを受け取ってちょうだい。」


報酬ほうしゅう

はて? 何の報酬ほうしゅうだろう?


俺が不思議に思って首をかしげていると、王妃様が説明してくれる。


「あの便器の魔道具の開発に対する報酬ほうしゅうと売り上げの一部、それと土地の使用料よ。受け取ってちょうだい。」


ああ、あれか。

この部屋とシルフィの部屋にも在る俺の作った洋式便器の魔道具。”ブツ”を処理する魔法を、大分だいぶ前に王妃様が連れて来た女性魔術師ひとに教えてそれっきりになっていたけど、どうやらアレを量産する事が出来たみたいだね。

そういえば、少し前に『あの便器の魔道具が王宮内に設置され始めた』なんて話を誰かから聞いた様な気がしないでもない。よくおぼえてないけど。


でも、『土地の使用料』っていうのは、何だろう?


「『土地の使用料』は、グラスククの街に工場を建ててそこで便器の本体を作っていますので、その土地の使用料です。今後も毎年使用料が入ってくることになりますよ。」


不思議に思っていた俺に、今度は俺の腕に抱き着いているシルフィがそう説明してくれた。


グラスククは、俺の持っている領地に在る街の名前だったね。よくおぼえてないけど。(←おい)

あの街は王都から遠く離れ過ぎている気がするけど、きっと、俺への報酬ほうしゅうが発生する様に俺の領地に工場を建ててくれたのだろう。

それなら、がたく受け取っておくしかないよね。


でも、俺が大金たいきんを持っていても、使う機会なんてほとんど無い。

大金たいきんを【無限収納】にぞうして経済に悪い影響を与えてしまってはいけないので、このお金はシルフィに預けて貸し付けてもらうことにする。経済を回す為にね。


俺は、目の前に置かれている三つの革袋をすべてシルフィの前にズイッと移動させて、言う。


「よろしく。」

「はい。(ニッコリ)」


笑顔で返事をしたシルフィが、持って来ていた【マジックバッグ】に革袋を二つ(●●)入れる。

残った一つを、シルフィはズイッと王妃様の前に移動させる。

大金たいきんを受け取った俺がシルフィに渡す事を見越みこして、その一部を王妃様に貸し付ける話が既にされていたのだろう。一緒にこの部屋に来たんだしね。


王妃様の前に移動したその革袋。今度は王妃様がそれをズイッと移動させる。俺の前に。

おや?


「これで携帯電話を作ってちょうだい。30台。」


ああ。前におかねが無かった所為せいで発注が見送られていたやつですね。


「それが終わったら目覚めざまし時計もお願いね。あと、ガイ〇ン。」


そういえば、目覚めざまし時計もありましたねー。

最後にサラリと付け足しやがったモノについては、もちろん全力でスルーします。


再び俺の前に戻って来たこの革袋。これもシルフィの前にズイッと移動させる。今度は無言で。

シルフィも無言でその革袋を【マジックバッグ】に仕舞しまう。しん伝心でんしんってやつです。

夫婦らしくていいですねっ。

うむうむ。(←満足げ)


これで二人の用件は終わったようだ。

王妃様が不満げな表情をしつつ目で何かを訴えてきているけど、もちろん俺は全力でスルーします。

用件は終わったのですから、俺の全力スルーにむくれないで下さいねー。

俺はガイ〇ンなんて作りませんからね、王妃様。



むくれた王妃様とシルフィが帰って行くのを見送った俺は、さっきのやりとりを思い出す。テーブルの上でおかねが入った革袋がグルグルと回っていた光景のほうね。

ちょっと面白おもしろかったので。


俺が【無限収納】に大金たいきんぞうしておかねの流れをとどこおらせてしまうと、経済に悪い影響が出てしまいかねない。

だから、経済を回す為に俺の持っているおかねをシルフィに預けて貸し付けをしてもらっている。

だけど、さっきの、テーブルの上でおかねがグルグルと回っていた状況って世の中の為になっているのだろうか?

一応、おかねが動くことによって、そのおかねで作られた物が世の中に残ることになるのだから、世の中のためになっているはずだよね? よく分からんけど。


俺は、なんとなく納得してから、『せめて、携帯電話を作る材料くらいはお店で買ってくることにしよう。』と思い、買い物に行くことにしたのだった。



次回、ナナシが買い物に行きます。


お話が短かったので、次のお話は明日投稿します。お正月ですし。(←関係ありません)


(設定)

(『ガイ〇ン』って何?)

ゴジラシリーズに登場したメタリックボディのカッコイイやつです。


(ナナシが受け取る報酬ほうしゅうについて)

ナナシが受け取る報酬ほうしゅうの金額は、シルフィが交渉窓口になって決めています。

ナナシがお金の価値をあまり把握しておらず、また、自分で作り出した物の価値をまったく分かっていなかったりするので、ナナシではまともに報酬ほうしゅう額を決めることが出来ないのです。

決して、書いている人が、『こうしておけば具体的な報酬ほうしゅう額を出す必要が無いよね!』とか思っている訳ではナイノデス。ホントダヨ?(←ダウト)


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