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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十七章 剣術大会とメイド大乱
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08 メイド大乱04 発覚。その時、王妃様たちは

剣術大会の決勝戦が始まる直前からの、王妃様視点でのお話。



< 王妃様視点 >


「あ。」


剣術大会の決勝戦が始まろうとしていた時。

ひん席で観戦していた私は、たいの上にがった者の顔を見て思わず声が出てしまいました。


どうして、”彼”がこんな場所に?


そんな話、私は聞いていません。

この様な目立つ場所に”彼”の姿をさらすなんて、あってはならないことです。

特に今回の剣術大会には、大勢おおぜいのメイドたちが観戦に来ているというのに。


観客席で観戦しているはずの、事情を知っていそうな作戦三課の課長を探します。

すると、観客席の後方に向かって移動している三人組の姿が見えました。どうやら、作戦部の課長たちの様です。

観客席の一番後ろまで行った彼女たちは、一人を残して走り去って行きます。

残った一人が、こちらを向きます。

作戦三課の課長です。

彼女は、私と目が合った事を確認すると、すぐに身をひるがえして走り去って行きました。

なるほど。

彼女たちも知らなかった様ですね。そもそも、知っていたらここに来ていなかったでしょうし。

まぁ、彼女たちが知っていたかどうかなど、すでにどうでもいいですね。

もう、起きてしまっているのですから。


”非常事態”が。


仕方がありません。

私も、ここから逃げることにしましょう。


決勝戦を始める前に、選手たちがこちらに向かって一礼いちれいします。

その一礼いちれいこたえ、観客たちの意識が再びたいの上に戻ったところで、私は隣に座る夫に一言ひとことことわり、娘とナナシさん、それと護衛のメイドたちを引き連れてひん席を離れます。

少々人数にんずうが多かったので、周囲に居た人たちから『何事なにごとか?』といった視線を向けられてしまいましたが仕方がありません。

非常事態なのですから。


背後から歓声が上がりました。決勝戦の最初の試合が始まったのでしょう。

と、思ったら、すぐに静かになりました。

少しのの後、決着がついたことをげる審判の声が聞こえてきました。

観客たちがしずまりかえったままな事が少し気になりますが、今はそれどころではありません。

私は非常事態の発生を気取きどられない様に、あわてず、それでも足早あしばやに移動しました。


観客席の裏のひとに付かない場所までやって来ました。

私はナナシさんに頼んで、彼の転移魔法で娘の部屋に全員を送ってもらいました。



娘の部屋にやって来ました。

この部屋のメイドたちをおどろかせてしまいましたが、すぐに落ち着きを取り戻します。『何かが起きた』とさっしてくれたのでしょう。

私は、近くに居たこの部屋のメイドに、メイド長と作戦部長とメイド1部の部長への伝言を頼みます。

会場に来ていなかったメイド長たちが逃げ遅れてしまったら可哀想かわいそうですからね。

この非常事態のためあらかじめ決めておいた暗号をメイドに伝え、部屋を出て行く彼女たちを見送りました。

この暗号は、いつか使う日が来るとは思っていましたが……。

「はぁ。」

突然起きた今回の非常事態に、私は溜息ためいきいたのでした。



それにしても、一体いったい、誰なのかしら? ”彼”をあんな目立つ場所に立たせたのはっ。


あの時の様子を思い出すと、いかりががってきます。

”彼”のことは、これまで上手うまいことかくしおおせていました。『灯台(もと)(くら)し』なイイかくし場所を見付けて。

そこにかくしておく為に、夫にも協力してもらったというのに……。

ちくせう。

誰があんな事をしたのか分かりませんが、いずれ、何らかの形でらしめてやらないと気が済みません!(ムカムカッ)


一度ソファーに座って気持ちを落ち着けましょう。

そう思ってソファーに視線を向けると、娘とナナシさんがすでにソファーに座ってくつろいでいました。

ナナシさんの腕に抱き着いている娘を見て、ふと、気付きます。

会場から逃げる事ばかりを考えていて、”彼”を会場に残したままだった事を。

私の脳裏に、試合をしているところに乱入して両者と審判をぶちのめし、”彼”を拉致らちして立ち去って行くメイドたちの姿が思い浮かびます。

マズイわね。本当にやりそうだから尚更なおさら困ります。

私は、”彼”をここに連れて来てもらうようにナナシさんにお願いすることにしました。


ナナシさんにお願いすると、彼はすぐに転移魔法で会場に向かってくれました。きっと間に合うでしょう。

彼の存在は本当にがたいですね。

ナナシさんを見送った私は、ソファーに腰を下ろします。

これで、ようやく一息ひといきつくことができます。


ふぅ。



メイドにれてもらったお茶を飲んで気持ちを落ち着かせていたら、メイド長がやって来ました。

廊下からではなく隣の部屋から現れたメイド長に、この部屋のメイドたちがギョッとしています。

『秘密の抜け道』のことは、私たちと、ごく一部の幹部しか知りませんからね。


来たのはメイド長だけの様です。作戦部長とメイド1部の部長はどうしているのでしょう?

そう思った私に、メイド長が答えてくれます。

「作戦部長はあそ……、いえ、『この機会に点検してくる。』と。」

『秘密の抜け道』は、追いかけっこから逃げる為に立ち入る場所でも、かくれんぼをする場所でもないのだけれど……。

まぁ、今回はいいでしょう。非常事態ですし。

作戦部長のことは、今は忘れましょう。私も『秘密の抜け道』で遊びたくなってしまいますから。


「メイド1部の部長は『無礼者がやって来たら蹴散けちらす。』と。」

ま、まぁ、そっちはそれでいいでしょう。あそこに居る者たちはアレな者たちが多いですし。


メイド長にソファーをすすめて、会場で起きたことを説明します。

そして、これからの対応について私の考えを伝えます。

「”あの件”を一気に進めます。この事態をおさめるのにはソレが最善だわ。」

”彼”のことに気付いたメイドたちが、私たちをめるべくここまで探しに来るでしょう。

彼女たちがこれから起こすであろう騒動を収束しゅうそくさせる為には、”あの件”を一気に進めてしまうのが最善のはずです。

それでも事態の完全な収束しゅうそくにはいたらないでしょうし、それによって別の問題も発生してしまうでしょう。

ですが、そうするしかありません。

これから私たちがしなければならなくなる事を考えると、本当にムカつきます。

まったく。

どうして、私がこんな苦労をっ。(ムカムカッ)


私は、この非常事態を引き起こした者たちにムカつきながら、ナナシさんが”彼”をここに連れて来てくれるのを待つのでした。



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