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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十七章 剣術大会とメイド大乱
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03 剣術大会03 決勝戦 衝撃(笑撃)の先鋒02

剣術大会の決勝戦。

その最初の試合は、あっという間に決着が付いた。

王宮騎士団のチームの先鋒せんぽうが、相手にロングソードをさやごと投げ付け、ぶちのめすことで。

チームの大将たいしょうつとめるワイトは、そんな彼に向かって怒鳴どなるのだった。


< 王宮騎士団 副団長 ワイト視点 >


俺は、勝ち残りでたいの上に残っている頭のおかしな男に向かってたいの下から怒鳴どなる。

「ちゃんと剣を使わんか!!」

「? 使いましたよー?」

まるで、俺のほうがおかしな事を言っているかの様に、そう言い返してくる頭のおかしな男。

ロングソードをさやごと相手に投げ付けるのは『使う。』って言わねぇんだよ!! そんなことも分かんねぇのか!!

この様な場面でなければ、たいの上にがって鉄拳制裁しているところだ! 奴にはいつもかわされて、当てられたことなど一度も無いが。

俺は、今にもたいの上にがろうとする自分の足をグッと両手で押さえ付けながら、奴に向かって怒鳴どなる。

「ちゃんと剣を使え!! 投げ付けるのは禁止だ!!」

「? それ以外に役に立つ使つかかたってありましたっけー?」

あの野郎は、そう言い返してきやがった。心底しんそこ不思議そうな顔をしながら。

テメェは、俺の忍耐力をためしてやがるのかっ!!

我々王宮騎士団のあかしたましいとも言えるロングソードに、なんたる侮辱ぶじょくかっ!!

厳しい訓練のてにロングソードを使いこなしてこそ、胸を張って王宮騎士団の騎士だと言えるというのに!!

俺は、ミシミシと鳴る指をももにめり込ませて、たいの上にがろうとする足をグググーーッ!と押さえ付ける。

くそう!

あの頭のおかしな男には何を言っても無駄だ! 頭がおかしいのだからなっ!

だが、今は、奴に勝ち続けてほしい。既にたいの上にげてしまったのだしな。

それに、これまで、あの頭のおかしな男しか、あのおかしなわざを使うおかしな奴らにてていないのだ。さっきのアレの是非ぜひはともかく。

「とにかく! 剣を相手に投げ付けるのは禁止だ!!」

これだけは、奴にしっかりと言っておく。

せめて、これだけは、奴に徹底てっていさせなければなっ!



対戦相手のほうたいの上にがり、奴と距離をけて相対あいたいする。

二試合目が間も無く始まる。


はじめ!」


審判の試合開始の声と共に、相手が駆け寄って来る。

一方いっぽう、奴はその場から動かずにかまえる。両手をダラリとげたまま、腰にげたロングソードに手を伸ばすことなく。

「何をしている?! 剣を抜け!」

俺は、そう怒鳴どなった。

だが、奴は両手をダラリとげたままで、ロングソードに手を伸ばそうとしない。

相手がロングソードの間合まあいの内側まで入って来た。

だが、それでも奴は両手をダラリとげたままだった。

そんな奴に対して、相手が腕をつかみに来る。

その手を、奴はパシリと手で払う。

払う。払う。


「何をしている! 剣を抜け!!」

俺は、もう一度、そう怒鳴どなった。


シュッ!


「ガビャ?!」


バッタリ


「それまで!」


相手のほうの男が、これもあおけになって倒れた。

奴に、アゴを下からすくいげる様に殴られて。



二試合目も奴が勝った。

腰にげているロングソードに手を伸ばすこともなく。

俺は、たいの上に勝ち残っている頭のおかしな男に向かって怒鳴どなる。

「剣を使わんか!!」

「………………。」

奴はこちらを向いたが、何も言わずに無言だ。

だが、その表情を見ると、内心で俺の忍耐力の限界をためす様なセリフを言っている事は間違いないだろう。

俺は、またもミシミシミシッ!と鳴る指をももにめり込ませて、たいの上にがろうとする足をグガガガーーッ!と押さえ付けた。

あの野郎。

後で、絶対に鉄拳制裁してやる!



次の試合も、その次の試合も、俺がたいの上にげた頭のおかしな男が勝った。

相手のテンプルのあたりを打ち抜く、派手はでわざで。

これは、『剣術大会』の決勝戦だというのに……。


あの野郎、剣術大会の決勝戦で我々王宮騎士団の代表として戦っているというのに、剣を使うどころか、手すら使わないとはどういうことだっ!

さんざん『剣を抜け!!』と言っていた俺へのけかっ!

やはり、あの野郎には鉄拳制裁が必要だなっ!


だが、あの野郎は、あのおかしなわざを使うおかしな連中を倒し続けてくれた。我々王宮騎士団の代表として。

それはいい。

それはいいのだが、あの野郎のたたかかたは、王宮騎士団の騎士として、どうにも納得しがたい。

イライラする。ムカムカする。心が大きくみだされる。


これは、我々王宮騎士団がその実力を国中くにじゅうに知らしめる為の『剣術大会』の決勝戦だというのにっ!!


たいの上に、対戦相手の大将たいしょうがるのが見えた。

あいつを倒せば、我々の優勝だ。

だが……。


このまま、あの頭のおかしな男が大将たいしょうまで倒して優勝してしまっていいのか?


あの野郎は、絶対に剣を使わないぞ。

この『剣術大会』の決勝戦が、このまま一度も剣が抜かれること無く勝敗が決してしまって、本当にいいのか?


いや! いい訳が無い!


ここは俺が出て、我々王宮騎士団のしんの実力を知らしめなければならないだろう!

俺様の美しくちからづよけんろうしてな!


あの頭のおかしな男でも圧倒できる相手なのだ!

所詮しょせんりょうぐんの兵士。我々王宮騎士団の敵ではなかったのだ!!

そうとも!

俺は、一体いったい、何をおそれていたというのだ!!



俺は、我々王宮騎士団のしんの実力をみずからの手で見せ付けるべく……。


ちからづよく立ち上がった。


次回、衝撃しょうげき大将たいしょう戦!

いや、笑撃しょうげき大笑たいしょう戦?

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