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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十七章 剣術大会とメイド大乱
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01 剣術大会01 準決勝の舞台で

(大会の説明 人名など)

剣術大会

王宮騎士団が主催する大会。

王女シルフィの結婚式と、その少し前に起きた王宮騎士団の不祥事などでいち開催を見送られていたが、今回、国王御一家のりんせきもと、開催されることになった。

会場は、王宮の敷地内に在る王宮騎士団の大きな訓練場。

試合形式は五人対五人の団体戦。勝ち抜き戦形式で相手チームの全員を倒した側が勝利チームとなる。

武器は何を使用してもかまわないが、刃をつぶした物を使用する。


ディレック

ククラス侯爵領軍に所属する兵士。23歳。

今回の剣術大会にククラス侯爵領から派遣されるチームの大将たいしょうとして初めて参加する。


ワイト

王宮騎士団の副団長。38歳。

複数参加する騎士団員のチームの中の最強チームの大将たいしょうつとめる。

前回大会優勝チームの一員。



< ククラス侯爵領軍の代表チーム 大将たいしょう ディレック視点 >


ゴキッ


「グアァッ!」


ガチャン ズサッ


俺が対戦相手の騎士の腕を取ってかたの関節をはずしてやると、その騎士はいたみに顔をゆがめながらひざをついた。


「……それまで!」


剣を落としてその場にうずくまった騎士が立ち上がるはいをみせないのを見て、審判がそこで試合をめた。


この試合にも完勝した俺たちは、とうとう決勝戦まで勝ち進むことになってしまった。

王宮で開かれている、この『剣術大会』の。


歓声と少なくないざわめきを聞きながら、俺は……。


『俺たち、ここまで一度も剣を抜いていないんだけど、本当にこれでいいのかな?』と、腰に一応いちおうげている小剣しょうけんを気にしながら、不安な気持ちになるのだった。



俺は、ただの兵士だ。

『自分が生まれ育ったグシククの街を守るんだ。』と、ただ、そう思ってりょうぐんに入っただけの。

剣ややりに才能があった訳でもなかった。まぁ、今は少しは使える様になったが。

でも、半年ほど前には、盗賊の討伐とうばつに行って相手に何もさせてもらえずに惨敗ざんぱいしたことだってあったのだ。


だけど……。

もし、あの盗賊の討伐とうばつに行った時にかたの関節をはずされていなければ……。そして、その後、領主様に盗賊のりをじきしていなければ……。

いや、そもそも、盗賊相手に惨敗ざんぱいした時に殺されていたならば……。

俺は、こうして王宮に来ることも、この様なたいに立つことも無かっただろう。


あの思い出したくもないひどい出来事をけに、俺の人生は大きく変わったと思う。

領主様に期待されてこの大会に派遣されたこともそうだが、恋人もできたしな。


この半年ほどの間に自分に起きた大きな変化を何とも言えない気持ちで振り返りながら、俺は、たいの上で仲間たちと一列に並んで、ひん席にいらっしゃる国王(へい)()御一家に向かって一礼いちれいした。

そして、ひん席の手前の席にいらっしゃる領主様が笑顔で拍手はくしゅしてくれているのを見て、ホッとしながらたいからりたのだった。



< 王宮騎士団 副団長 ワイト視点 >


アイツらが俺たちの決勝戦の相手かっ!


おかしなわざを使いおって! クッソ忌々(いまいま)しい!

奴らはこの剣術大会を何だと思っておるのかっ!

りょうへいごときが出しゃばりおって!

りょうへいなど、我々王宮騎士団の引き立て役をつとめておればいいのだ!

それなのに、剣も使わずにおかしなわざだけで決勝までがりおって!

我々を虚仮こけにするのも大概たいがいにしろっ!!


我々王宮騎士団が主催する、我々王宮騎士団の為の、この剣術大会。

あんな奴らに優勝をさわわれる訳にはいかん!

だが、奴らの実力があなどれんことも、また事実。今の試合で大将たいしょうつとめていた奴の実力は我々が一番よく知っているのだからな。

まさか、何もさせてもらえずに負けてしまうとは……。

かげでチームの者どもが、負けてしまった時のことを考えてビビッてしまっている。

くそう。

我々は、あんなおかしな奴らに負ける訳にはいかないというのに!


これは、少々マズイかもしれん。

決勝のたいまんいちにもかくを取るようなことになれば、せっかくここまでのぼめた今の地位を失いかねん。

へいのおそばで説明役をしている騎士団長が、こちらをすごい形相ぎょうそうにらんでいるしな。


だが……。

どうすれば、あのおかしなわざを使う奴らをねじせられる?

どうすれば、あのおかしなわざやぶれる?

一体いったい、どうすれば……。

俺は考える。考える。考える。

決勝戦の開始まで、あまり時間が無い。俺は、あせりながら考える。

だが、奴らのあのおかしなわざやぶるイメージなど、まったくいてこない。

それどころか、先ほどの試合の様に、まったく何もさせてもらえずにやぶれるイメージしか浮かんでこない。

あのおかしなわざやぶるには、一体いったい、どうしたらいいんだっ?

何とかしなければならないんだ!

あの、おかしなわざを!


考えて、考えて、考えて……。

俺は、ふと、少し別の事を思い付いた。


『そうだ。おかしなわざを使うおかしな奴らには、こちらも、”おかしな奴”をぶつけてやろう。』と。


俺はすぐに、近くにひかえていた騎士団員に命じる。

「オイ! アイツを連れて来い! あの頭のおかしな野郎だ! 今すぐここに連れて来るんだ! 急げ!」


俺は、王宮騎士団のお荷物になっている”あの男”を、あのおかしなわざを使う奴らに当てる事に決め、すぐに連れて来るように呼びに行かせたのだった。


(設定)

(完勝したと言いつつ、勝ち抜き戦形式なのに大将たいしょうのディレックまで試合に出ているのっておかしくない?)

この準決勝の試合、ディレックはほうとして出場しました。大将たいしょうのところまで順番が回って来てくれないので。

副将ふくしょう先鋒せんぽうとして出場して三勝した後にけんして、ほうとして出場したディレックが二勝して完勝しました。


(剣術大会の説明の補足)

”剣術”大会という名前なのに使う武器に制限が無いのは、以前、大会の存在を知った街の衛兵えいへいが参加を希望したさいに、衛兵えいへい制式せいしき装備が短槍たんそうであったことに配慮はいりょして武器に関するルールを変更したからです。

ちなみに、そこまでの対応をしたのは、国中くにじゅうから広く参加者を集めて騎士たちの強さをけんでんしたかったのと、衛兵えいへいたちを騎士たちの引き立て役に使えると考えたからです。


(王宮騎士団主催の剣術大会に対するスタンス)

(グラム王国軍の場合)

『王宮の騎士たちに勝っても自慢にならない。』、『参加させた兵士が活躍した結果、変な貴族にからまれでもしたら可哀かわいそうだ。』と、兵士を参加させる意思がありません。何のメリットも無いと思われています。見映みばえを重視する騎士団と、実力主義の軍とがなかな事も理由になっていますが。

(領主の場合)

領主によって対応が異なっています。参加を希望する者を送り出すパターンが多いのですが、活躍できそうな腕の立つ者を代表に立てて派遣する領主や、腕が立つものの天狗てんぐになっている者を『ぶちのめされて反省してこい。』という意図いとで派遣する領主も居ます。


(お知らせ01)

この章は、毎日更新します。

更新間隔をけたら見に来てくれる人が減ったので、更新間隔をせばめれば見に来てくれる人が増える気がしましたので。(小学生並みの発想)

この章の次の章はまだノープランですので、この章が終わったら半月から一月くらい更新できなくなると思います。ご了承ください。

『倒れる時は前のめり。』なのです。(←それ、アカンやつやで)


(お知らせ02)

2021.03.15に500,000アクセスを越えました。ありがとうございます。

完走まで頑張ります。

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