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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十六章 異世界生活編11 そろそろノンビリできるよね編
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26 結婚して間も無く一年。子作りしましょう


のう


”ソレ”を見た俺が連想れんそうするのは、その言葉。


両手で頭をかかえ、心のうちの感情をおされないかの様に体をくねらせる。

その様子は、まさに『のう』という言葉を見事に体現たいげんしているかの様に思えた。


目の前のそんな光景を、俺は…。


王妃様と一緒にお茶を飲みながらノンビリとながめていた。


俺たちの目の前で頭をかかえて体をくねらせている、シルフィの姿を。



シルフィと結婚してから、間も無く一年になる。

俺とシルフィは王妃様のもとおとずれ、三人で話し合いをおこなった。

話し合いの内容は、『づくり』に関してだ。


『体が成長し切る前の子作りは危険なのではないか?』

シルフィとの結婚式の少し前。そうねんした俺は王妃様に相談した。

王妃様も俺と同じ意見であった為、あらためてシルフィも加えた三人で話し合って、一年間は子作りをしないことに決めたのだった。


そして、結婚してから間も無く一年になる今。再び三人で話し合うことになった。

一年前は、『シルフィの体が成長し切っていないのではないか?』と考えて子作りを延期することにした。

一年()った今。俺はあらためて隣に座るシルフィの体を見る。

身長は少し伸びた気がする。毎日見ているからよく分からんけど。

胸は…。どうなんですかね?

うーーん。

何とも判断が付かずに王妃様のほうを見ると、王妃様もどうしたものかなやんでいるご様子だった。


そんな俺たちとは対照的に、シルフィはほほに両手を当ててイヤンイヤンしている。

ラブラブな妄想が脳内を満たしているのだろう。口元くちもとがだらしないし。

シルフィさん、心のうち駄々漏(だだも)れですよー。


いささかアレな状態だが、当事者であるシルフィにも意見を訊いてみようと思い、呼び掛ける。

「シルフィ。」

「えへへへ。むふふふふふ…。(クネクネ)」

シルフィ、帰って来い。

のうミソお花畑でイヤンイヤンしているシルフィに、もう一度呼び掛ける。

「シルフィ。」

「にょへへへへへへ…。(クネクネ)」

ダメだ、こりゃ。


とても残念なご様子の我が妻(シルフィ)に、俺は、どうしたものか考える。

何となくシルフィの胸を見ながら。

別に『胸も残念だ。』なんて思ってないですよ?(←やめてさしあげろ)



ナナシがそんな事を考えている一方いっぽう

のうミソお花畑でイヤンイヤンしているシルフィは、ふと、思い出した。

一年前の、あの勝負の直後に自分がナナシに言った言葉を。

『私の胸は、今はまだ小さいですが、このくらいには成長するはずですっ!!』

シルフィは、胸にパッドを沢山たくさん入れた王妃様の横で力強くナナシにそう言ったのだった。


そのナナシの視線が、今、自分の胸にそそがれている。


『私の胸は今はまだそれ程ではないですが、これからまだまだ成長します。(ふんすっ)』と、ナナシにそう言うのは簡単だ。

だが、そう言ってしまうと、『まだ体が成長し切っていない。』ということになってしまって、子作りはさらに延期されてしまう。

逆に、『体はもう十分に成長し切っています。』と言ってしまうと、それは『もう私の胸はこれ以上成長しません。』と宣言するのと同じこと…。

その事に気付いたシルフィはあせるのだった。


『ど、どうしよう? 私は何て言えばいいのかしら?』


シルフィはあせりながら考える。考える。考える。

だが、答えが出ない。

さらに考える。

だが、答えが出ない。

ほほに当てていた両手を後頭部にまわし、頭をかかえて、さらに考える。

だが、何て言えばいいの分からない。

無意識にソファーから立ち上がり、両手で頭をかかえて体をくねらせながら、さらに考える。

考える。考える。

それでも答えが出ないシルフィは…。


どう言うべきか答えを探して、両手で頭をかかえながら体をくねらせ続けるのであった。



我が妻(シルフィ)は、今日もかいだなぁ。』


そんな事を考えながら、俺はシルフィのこうながめている。ノンビリとお茶を飲みながらね。

ちなみに、王妃様も俺と同様にノンビリとお茶を飲みながらシルフィのこうながめていらっしゃいます。


そんな”かいおどり”(笑)を俺たちに見せてくれていたシルフィ。

しばらくおどり続けた後、ガックリとテーブルに両手をついた。

見るからに疲労困憊ひろうこんぱいって感じで、肩で息をしています。

そんなシルフィが顔を上げて、俺たちに言う。

「半年…、延期で…。」

その二言ふたことを言ったシルフィは、再びガックリと下を向いてしまった。

先ほどの”かいおどり”(笑)で、本当に疲労困憊ひろうこんぱいになってしまった様です。


「そうね。それじゃあ、また半年後に話し合いましょう。」


王妃様がそう言って、今回の『づくり』に関する話し合いは、おひらきになったのでした。



ガッカリした様子で俺の腕にしがみつくシルフィと二人、廊下を歩いて部屋に戻ります。

シルフィの部屋の前でシルフィと別れ、自分の部屋に向かう。

自分の部屋に入ろうとしたところで、「うひゃーーー!」って言う声が、シルフィの部屋の方から聞こえてきた。

やっぱりね。(ヤレヤレ)

きっと、シルフィが、部屋に居る胸の大きなメイドさん(=マリアンヌ)の胸をみまくったのだろう。『私の胸も大きくなりますようにっ!』って。

割とよく有ることなので、俺は気にせずに部屋に入りました。


これまでにも同じ事が何度も有ったので、この後に何が起こるか分かっている俺は、ソファーには座らずに立ったままかまえておきます。


少しのあいだそうしていると、トタトタと足音あしおとをさせて部屋にマリアンヌがんで来た。

そして、俺に向かって言う。


「ハチミツを寄越よこせーー!」


シルフィにされた事の迷惑料を俺にタカリに来たマリアンヌに対して、俺は、彼女のれる”タプンタプン”に意識のほとんどを集中させながら、用意していたハチミツが入ったビンを高くかかげる。


俺が高くかかげたビンうばおうと、体を俺に密着させながら手を伸ばしてピョンピョンねるマリアンヌ。

二人の体の間にはさまれた”タプンタプン”が”むにょんむにょん”します。

”タプンタプン”が”むにょんむにょん”です!(りきせつ!)

むはーーー!!(歓喜)

うん。いいねっ!!(←おい)


俺は至福の”むにょんむにょん”を心から堪能たんのうします。(むはー!)

少しのあいだ堪能たんのうしてから、ハチミツが入ったビンをマリアンヌに渡してあげます。

あまりコレを長時間やって、瞬時にうばう様にふうされてしまうようになったら、こうして”むにょんむにょん”を堪能たんのうすることができなくなってしまうからね。(←ざかしいな、コイツ)


ハチミツが入ったビンを手に入れたマリアンヌは、「うひょーー。」と喜びの声を上げながら部屋を出て、廊下を走り去って行きました。

メイドの仕事はいいのかなぁ? いつも疑問に思うんだけど。

まぁ、喜んでもらえたから、いいかぁ。俺も嬉しいし。

まぁ、俺が嬉しい理由はそれだけではないけどね。(ニマニマ)


ケイティさんがあきれた様な表情をしているのがチラリと視界に入りましたが、気にしなければどうということはないのです。ええ。(←少しは他人ひとの目を気にするようにしようなっ)



半年後。

再び、シルフィと王妃様と三人で話し合いがおこなわれました。

何かをあきらめたかの様な表情をしたシルフィから、『過去のほど知らずな発言』とやらについての謝罪がありました。

それが一体いったい何なのか、俺にはよく分かりませんでした。


王妃様が微妙な表情をしながらづくりの解禁を宣言して、シルフィと結婚してから一年半がった今日。づくりが解禁されたのでした。


ですが、俺は、この半年ほどの間頻繁(ひんぱん)に起きていた”むにょんむにょん”イベントが終了してしまうことをげられた様な気がして、すっごく悲しかったです。(←おい)



こうして、何故なぜか三人が三人とも微妙な表情をするなか、子作りが解禁されたのでした。


三人が三人とも微妙な表情をする一方いっぽう、家族の重要な話し合いの場にナチュラルに呼ばれない王様なのであった。

王様ェ…。

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