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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十六章 異世界生活編11 そろそろノンビリできるよね編
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14 ナナシ、電話を作る01 『どこ〇も糸電話』


「前に、コーラと一緒に頼んでいたやつもお願いね。」


ふらりと俺の部屋にやって来た王妃様が、立ったまま俺に向かってそう言います。

ああ。前に『コーラ飲みたい!』ってお願いされた時に一緒に頼まれた『電話』と『目覚めざまし時計』ですね。

ちゃんとおぼえてますよ。あの後、お風呂場を改造したり移設したりと色々あったけど。

「電話と目覚めざまし時計とガ〇ガン。」

最後にサラッととんでもない物を追加しないでください、王妃様。

俺は、ツッコミたい気持ちをおさえてスルーします。ガ〇ガンを作る必要性を熱弁されも反応に困るしな。

だけど、ここで否定しておかないと、後で『あの時に頼んでいたわよね?』とか言われてしまうのかな?

でも、ガ〇ガンを作るおかねなんてある訳がないよね。先日のコーラでさえ大変だったというのに。

『ただ言ってみただけ』という気もするけど、本気で言っている可能性を否定するのは危険な気がするな。王妃様だし。

ここは、しっかりとことわっておいたほうがいいだろう。

そう思い、ガ〇ガンについてはキッパリとことわろうとしたのだが、既に王妃様は部屋から出て行った後だった。

逃げ足が速いなっ、王妃様っ。

ケイティがお茶をれようとするのを手を振ってことわっていたあたり、初めから言うだけ言って逃げるつもりだったんだろう。

だけど王妃様? 俺が本当にガ〇ガンを作ってしまったらどうするんですか? 製作費で国がかたむきますよ?

そう、国がかたむく心配をしている俺の脳裏には、ガ〇ガンを見上げて超笑顔で喜んでいる王妃様の姿しか思い浮かばないのは、何故なぜなんだぜ?


それはそれとして。

俺は脳裏に浮かんだおかしなイメージを振り払って、コーラ以外に頼まれていた物に取り掛かることにしました。


前に、王妃様に『コーラ飲みたい!』ってお願いされた時、『電話』と『目覚めざまし時計』も一緒に頼まれていた。

時計を作るのは面白おもしろそうだけど、時計はかなり面倒そうだよね。歯車を沢山たくさん作らないといけなさそうだし。それに、歯車の歯の形状の検討もしないといけないしね。

時計よりも電話のほうが簡単に出来そうな気がするね。魔法で何とかなりそうだし。

時計は【製作グループ】に丸投げして、俺は電話に取り掛かることにしよう。

よろしく。(←今日も丸投げが雑です)


ソファーに座ってくつろぎながら、頭の中で考える。これから作る電話の仕組みを。

構造が簡単なのは『いと電話』だ。

ず最初に、いと電話を魔法を使って再現して、そこから携帯電話に発展させていくことにしよう。


そう、方針を決めて、いと電話の仕組みを頭の中に思い浮かべる。

昔、作って遊んだいと電話は、紙コップのそこに穴をけてタコいとを通した物だった。

紙コップの中に向かってしゃべると紙コップが振動して、その振動がいとつたって相手側の紙コップを振動させて音を出す。そういう仕組みだったよね。


紙コップは【製作グループ】に作ってもらうことにして、振動をいとわりに魔法を使ってつたえる方法を考えよう。

頭の中で『いと』をイメージしつつ、いとを使わずに振動を魔法を使ってつたえる方法を考える。


離れた相手が持つ紙コップとの間をいとわりに魔法でつなごうとすると、使う魔法は【ゲート】だろう。

いとをトンネルに見立みたてて、そのトンネルの両端りょうたんに【ゲート】がある様子を頭の中で思い浮かべ、トンネルの中に何かを通して相手側に振動をつたえる様子をイメージする。

そう考えていて、ふと、トンネルの中に『光』を通す事を思い付いた。

光は振動している。それにさらに振動を乗せて移動させ、相手側で乗せられた振動を分離。その分離した振動を音に変えてやれば、音を伝えることが出来そうな気がする。

それに、光ならえんも無いし、【ゲート】を極めて小さくして魔力消費量をおさえる事も出来そうだしね。


うん。これだな。

いつになく、イイごたえを感じます。(笑顔)


早速さっそく、魔法を使ったいと電話を実現させる為に、その方法を考える。

声を送るがわでは、紙コップの中でしゃべることでしょうじる振動を受けて、その振動を光に変える魔法が必要になるのかな?

いや、光を出している物を振動させれば、光に振動が乗るのかな?

乗りそうな気がするな。

それで一度試してみよう。


魔晶石から【ライト】で光を出す。その魔晶石を紙コップに取り付けておけば、しゃべることでしょうじた振動が【ライト】で作った光に乗るだろう。

振動が乗せられた光を、【ゲート】を通して相手側で受け取る。

相手側で、『振動が乗せられた光』から『元々(もともと)の光の波形はけい』をのぞく。これは、発生させる光の波形はけいあらかじめ決めておいて、それをのぞけば出来るだろう。

これで、相手側に『振動』が光の波形はけいとして届いているはずだ。

最後に、『光の波形はけいとして届いている振動』を振動に変えて魔晶石をふるわせてやれば、魔晶石が取り付けられている紙コップが振動して音が出る。

そして、【製作グループ】に丸投げする。


こうだね。

予想以上のイイごたえに、自分で満足します。うむうむ。


そんな満足している俺の頭の中に、呆れた様な【多重思考さん】の声が。

『流れるように【製作グループ】に丸投げしましたね。丸投げスキルの上達じょうたつっぷりに驚愕きょうがくするばかりです。ヤレヤレ。』

『魔道具作りに実績と信頼のある【製作グループ】だからね。でも、『ヤレヤレ』とか言うなや。』

『まぁ、喜んで作りますけどね。面白おもしろそうですし。』

『よろしくね。』


なんだかんだと言いながらも、ちゃんと作ってくれる様です。

ありがとうございます。

これからもよろしく。(←コイツ、反省する気ないだろ)


【製作グループ】に丸投げしたので、あとは、モノが出来上がってくるのを待つだけです。



丸投げしてから一時間ほど後。頭の中に【多重思考さん】から報告が来た。

『『どこ〇も糸電話』が完成しました。』

あたまに『どこ〇も』って付けるのはめてくれないかなっ。某アニメに出てくる『ひみつ道具』にそんな名前の物が有りそうで怖いから。』

『どこ〇も糸電話ー。』

『そういうのをめろって言ってるんだよ! 分かっててやるなや! あと、ひとの話を聞け!』


おふざけをする【多重思考さん】にツッコミを入れながら、俺は、テーブルの上にコトリと置かれた二つの紙コップに手を伸ばします。

紙コップを手に取ってみると、そこの部分が重く感じられた。

のぞんでみると、そこに魔晶石が取り付けられているのが見えた。

そこの部分には魔晶石を【結合】で取り付けています。また、紙コップには【硬化】を付与ふよしてありますので、見た目ほどヤワではありません。』

ふむふむ。


それぢゃあ、早速さっそく、この『糸無し糸電話』を試してみよう。

紙コップの一つを耳に当て、もう一つを口に当てて「あーー。」と言ってみる。

ちゃんと聞こえた。

おお。

何とかなるもんだねぇ。割と思い付きで作った部分も多かったのに。(てへ)


さらに何回か「あーー。」と言って確かめてみる。

少し声がかすれて聞こえるけど、試作一号機としては上々(じょうじょう)な出来だろう。

後は、距離が離れても使えるか実験して確かめよう。


ケイティさんを呼んで、実験のお手伝いを頼む。

「ケイティ、これは離れた場所に居る人と会話が出来る魔道具ね。実験をしたいから、ちょっと手伝って。」

「かしこまりました。(キリッ)」


ケイティさんに紙コップを一つ渡して、この『糸無し糸電話』の使い方を実際に使いながら説明する。

ケイティさんは、耳に当てて聞くのはいいんだけど、返事をするさいに口のところへ紙コップを移動させるのを忘れたりして、少しオロオロしています。

そんなレアなケイティさんの姿に、俺はホンワカします。(ニヨニヨ)


「ボクもー。」

俺のななうしろに立って様子をうかがっていたケイトが、そう言って俺から紙コップを奪います。

…まぁ、いいか。

俺から紙コップを奪ったケイトは、ケイティさんと一緒に使い方を確認しています。


「そろそろ実験を始めたいんだけど、いいかな?」

「はい。(キリッ)」

「いいよー。」

離れた場所に移動して会話できるか確認したいんだけど、『いいよー。』と言ったケイトに、手に持っている紙コップをこちらに渡してくれる様子はまったくない。

仕方ない。ケイトを連れて移動しよう。

ケイティさんには紙コップを耳に当てて待っててくれる様にお願いして、俺はケイトを連れて隣の部屋に移動する。

隣の部屋に来てケイトに通話をうながすと、紙コップを口に当ててケイティに話し掛ける。

「聞こえるー?」

そう言ってから紙コップを耳に移すケイトを隣でながめ、返答を待つ。

「聞こえるってー。」

「よし。ぢゃあ、もっと遠くに移動して試すよ。ケイティに待っててくれる様に伝えて。」

「ケイティ、もっと遠くに移動して試すから、そのまま待っててねー。」

それぢゃあ、隣の大陸にでも行って試しますかね。


ケイトを連れて、隣の大陸に転移して来た。

周囲をキョロキョロとまわすケイトに言う。

「ケイティに話し掛けてみて。」

すぐに紙コップを口に当ててケイティに話し掛けるケイト。

「ケイティ、聞こえるー?」

再び、紙コップを耳に移すケイトを、しばしながめる。

「聞こえるってー。」

よし。実験は成功だね。

「実験は上手うまく行ったから、部屋に戻るよ。」

「はーい。」


ケイトを連れて転移で部屋に戻りました。


実験は成功した。

これで、『糸無し糸電話』の、完成、です!

やったね。


次は、この『糸無し糸電話』を発展させて、普通の携帯電話を作ろう。

ここまでの成果として、この完成した『糸無し糸電話』を王妃様のところに持って行こうとしたのだが、ケイトがはなしてくれなかったので、ケイティさんに後で王妃様のところへ届けてくれる様に頼んでおきました。(やれやれ)


子供の様に『糸無し糸電話』で遊ぶケイトに少し呆れながら、俺はソファーに座って、普通の携帯電話を魔法で再現する方法の検討を始めたのでした。



次回の更新は01/12を予定しています。

ですが、無理だったら01/15にします。

ストックが無くなって、最近バタバタしちゃっていますので。

もしかすると、更新を3日おきではなく、5日おきに変更するかもしれません。(ちょうど今日は10日だし)


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