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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十六章 異世界生活編11 そろそろノンビリできるよね編
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11 ナナシ、お風呂場の脱衣所に置く『飲み物用の冷蔵庫』を作る


かくに在ったお風呂場の建物を王宮へ移設した日の翌朝。

俺は『工房』にやって来ました。

これから、お風呂場の脱衣所に置く『飲み物用の冷蔵庫』を作ります。


早速さっそく、頭の中で『飲み物用の冷蔵庫』の構造を考える。

正面に引き戸があるタイプの箱型で、高さはおなかくらいにしよう。上に飲み物が置ける様に。

中にたなが三段くらいほしいが、高さてきに無理だったら横幅を大きめにしよう。


そんな事を考えてから、『飲み物用の冷蔵庫』の寸法を決めようとして、ハタと気付く。

冷蔵庫の中に入れる飲み物の容器の寸法を決めないと内部の寸法を決められないんだったね。

だから、先に炭酸飲料に対応したビンを作らないといけないね。

そういえば、前にドリンクサーバーを作ったのも、ビンの寸法を決める時間が無かったから冷蔵庫作りを断念した結果だったね。

そうそう。

ちゃんと、オボエテイマシタヨ?(←ダウト)


『ふぅ。やれやれだぜ。(あきれ)』

頭の中で、そんなあきれた様な声が聞こえた。

俺は、そんな【多重思考さん】にビンしんちょく状況を訊く。コーラを作ってから、そちらの状況をまったくあくしていなかった事を思い出しつつ。

「た、炭酸飲料に対応したビンって、どうなってたっけ?」

ふたの構造や作り方もふくめて、【製作グループ】が再検討してくれていたはずだ。

そうだったよね?(←ほうっておきぎて、ちょっと不安な模様)

『ふぅ。やれやれだぜ。』

「それは、もういいからっ。」

【多重思考さん】がイジメてきます。しくしく。


『これが、【製作グループ】が作り上げた『炭酸飲料に対応したビン』です。』


【多重思考さん】はそう言って、【無限収納】から取り出したビンを空中に浮かせた。

俺の『しくしく。』はスルーされた様です。(イジイジ)


それはそれとして。

俺は、空中にふよふよと浮かされている、中にコーラが入っているとおぼしきビンを見る。

そのビンは、あの有名な『コーラビン』によく似た形をしていた。

結露けつろしてれたビンは、手をすべらせて落としてしまう恐れがあります。ですので、この様な”くびれ”の有る形にしました。こちらの人たちは冷やされた飲み物を飲んだ経験があまり無さそうでしたので”くびれ”は必須だと思います。』

なるほど。そんな事まで考えてくれていたんだね。

【多重思考さん】たちって、俺よりも色々と考えてくれているよねー。

これからもその調子でよろしくお願いします。(←コイツ、今日もあいわらずだな)


俺は、空中にふよふよと浮かされていたビンを手に取ってふたの部分を見る。

ふた王冠おうかんにした様だ。

ふた王冠おうかんにしました。ビールでおなじみで信頼感がありますし、構造も簡単ですから。』

なるほど。なるほど。

炭酸飲料へ対応させるのは面倒な気がしていたけど、この王冠おうかんを見て安心した。やっぱり信頼感がある方法がいいよね。うむうむ。


安心はしたけど、一応いちおう、振って中身が吹き出さないか確認しておこう。

手に持っていた、中身が入ったビンを振る。

数回振ってから王冠おうかんの部分に耳を近付けてみる。

中身が漏れる様な音はしていない。

【多重思考さん】に訊いて確認する。

「これって、中身はコーラだよね? 水でうすめた醤油しょうゆとかぢゃなくて。」

『中身はコーラですよ。それに醤油しょうゆはまだ見付かっていません。』

そうだったね。むしろ、中身が水でうすめた醤油しょうゆだった方が嬉しいかったかな?

いやいや、そういう話ぢゃないね。話が脱線し過ぎだよ。


コーラを入れて振っても大丈夫。

さすがです。王冠おうかんさん。

うむうむ。


『そして、これがせんきです。』

今度は、空中にせんきが現れた。

せんきを作り忘れたー。』なんていう”うっかり”を、実は少しだけ期待していましたが、そのへんかりは無かった様です。

別に、残念だとか思ってませんよ?(←誰に言ってるんだよ)


空中にふよふよと浮かされているせんきを見る。

小さくもなく大きくもないイイ感じの大きさで、木で作られたが取り付けられている。

何だか、無駄に高級感を感じさせる作りです。ただのせんきなのにね。


さて。

ビンに入ったコーラとせんきが目の前に有ると『シュポン!』と開けて飲みたくなってしまうが、それは後にしよう。

今日は『飲み物用の冷蔵庫』を作る為に来ているんだし、コレ、さっき振っちゃったしね。

やるべき事をちゃんとやろう。(飲まないとは言っていない)


飲み物を入れるビンが完成して寸法が決まったので、それを元に『飲み物用の冷蔵庫』の内部の寸法を決めよう。

中にたなを三段くらいほしいと思っていたのだが、高さてきにそれは無理そうだ。一番下のたなひくくなりぎて、ビンを取り出しにくくなってしまいそうで。

中のたなを二段に決めて、箱の寸法が決まった。

高さを出す為に箱の下に足をやすことにしたら、結構なきスペースが出来てしまいそうだった。

そのスペースは、冷蔵庫に入れる前の飲み物を置くのに使うか? ちょうど良さそうだし。

あと、飲んだ後のビンを入れる為に箱が必要になるから、それを置くのにもちょうど良さそうだ。

何だか、イイ感じの物が出来上がりそうだね。

イイ感じにイメージが出来上がったので、”ガワ”の製作を【製作グループ】にお願いする。

よろしく。(←今日も安定の丸投げです)


数体のゴーレムたちが板を切ったりといった作業をしはじめたのをしりに、俺は、久しぶりに来た『工房』の中をわたす。

そういえば、前に『馬車の魔改造で場所を取っている。』みたいな事を言われたおぼえが有るんだが、その馬車が何処どこにも見当みあたらない。

あの魔改造用に中古で買った馬車はどうしたのかな?

『あの馬車は、一応いちおう完成して、今は走行実験をしています。』

ほう。

【多重思考さん】にそう言われた俺は、馬車が荒野を走っているじょうけいを頭の中に思い浮かべる。

でも、馬車を走らせようにも馬なんて居なかったよね。試験用に馬型ゴーレムでも作ったのかな?

それと、『馬車の魔改造』って、ごこを向上させる為にサスペンションを取り付けるものだったけど、その『ごこの確認』ってどうやってやるのかな? ゴーレムでは出来ないよね? それとも出来るのかな?

そんな風に疑問に思っていた俺に【多重思考さん】が教えてくれる。

ごこの確認はダーラムさんにしてもらっています。ダンジョンの中で。それと、馬車を引くのも、ダーラムさんに用意してもらった馬型の魔物を使っています。』

ほう。ダーラムさんにお願いしたのか。

でも、ダーラムさんにらくに頼み事をしぎぢゃね?

『報酬を前払まえばらいでおわたししていますし、ダンジョンの中には娯楽も無いですからね。ここよく引き受けくれましたよ。』

ここよく引き受けてくれたのなら、いいのかな?

『昨日は、報酬として前払まえばらいしたお酒による二日酔いと乗り物酔いで、ドエライことになっていましたが。』

「おい!」

俺が知らない間に、ダーラムさんがドエライことになっていた様です。

『ちゃんと【ヒール】を掛けて治療しましたので大丈夫です。今は、スプリングとダンパーを調整して再試験中です。ダーラムさんに乗ってもらって。』

「よく、ダーラムさんが今日も協力してくれているね?」

ドエライことになったというのにね。

「脅迫めいた、おかしな頼み方をしたりはしていないよね?」

『そんな事はしていませんよ。ダーラムさんが美味おいしいお酒を飲もうとすれば、私たちに頼まなければなりません。ダーラムさんにとっては『協力する』一択いったくでしょう。ええ。逃がさへんでぇ。ヒヒヒヒ。』

「『ヒヒヒヒ。』ってなんだよっ?! あと、『逃がさへんでぇ。』も!」

腹黒はらぐろさを見せる【多重思考さん】が、おかしな事をやらかさないか心配です。


『『試験結果は、じつ、報告します。それと、『飲み物用の冷蔵庫』のガワが一つ出来上がりましたよ。』

お。もう出来たのか。意外と早かったな。

それぢゃあ、サクッと魔法を付与して『飲み物用の冷蔵庫』を完成させることにしよう。


ゴーレムたちが作業してくれている『工房』の一画いっかくに移動する。

足がえた『飲み物用の冷蔵庫』のガワが一台置かれていて、その隣では二台目と三台目を製作している様だ。

『取り敢えず、お風呂場の脱衣所に置くぶんを男湯用と女湯用に一台ずつ作ります。三台目は高級仕様で、少し小さく、お貴族様の暮らすお部屋に合う感じのタイプで、わく彫刻ちょうこくほどこしたり、足を猫足ねこあしにした物を作ります。』

高級仕様って…。たかだか飲み物を冷やすだけぢゃん。

そう思って、『おお袈裟げさだなぁ。』と思ったんだけど、俺の作ったコーラって結構なお金が掛かっていたんだったね。かおけに使った香辛こうしんりょうがすごく高かった所為せいで。

結果的に超高級品なコーラが出来上がってしまったから、むしろ高級仕様は中身に合っているのか。

まぁ、【製作グループ】も色々な物を作って腕を振るってみたいのだろう。これまで色々な物を作って腕を上げてきているのだろうし。

まぁ、好きにやらせておこう。

どうせめたところで、俺の知らないところで勝手にやるだけだしなっ。俺があくしているだけマシってもんです。


さて。

作ってもらった”ガワ”に魔法を付与して、『飲み物用の冷蔵庫』を完成させよう。

付与する魔法は、先日のドリンクサーバーで使った魔法と同じだ。

ドリンクサーバーを作った時に付与した魔法を思い出しつつ、作業を始める。

ず、内部に【異空間作製】の魔法を掛け、そこに【断熱】の結界を張る魔法陣を貼り付け、さらに、出力を弱くおさえた【コールド】を常時発動させる魔法陣も貼り付ける。と。

これでいいんだよね。

手を入れてみると、冷気を感じた。

よし。ちゃんと魔法が発動しているね。


これで、『飲み物用の冷蔵庫』の、完成、ですっ。

やったね。


早速さっそくビンめされたコーラを中に入れて冷やしておく。

きっと、夕方(ごろ)にはイイ感じに冷えているだろう。

よく冷えたコーラはメイドさんたちにも喜んでもらえるはずだ。

楽しみだね。


この後、二台目の『飲み物用の冷蔵庫』も完成させ、三台目の高級仕様に彫刻ちょうこくほどこす様子を少しながめてから、王宮の部屋に帰りました。



夕方。

お風呂場へ行って、脱衣所に『飲み物用の冷蔵庫』を設置しました。

ケイティさんに用意してもらったコップや、ビンを入れる為の箱なんかも置いておきます。

もちろん、せんきを置いておくのも忘れません。


ちなみに、ひそかに楽しみにしていたラッキースケベは起きませんでした。


ちぇーー。(←おい!)


(設定)

人知れず、ダンジョンマスターのダーラムさんがダンジョンでドエライ目にっていました。

ダーラムさんに報酬としてわたされたお酒は、先日、ゴーレムを使って市場で買い出しをした際に購入したものです。残弾数がまだまだタップリと有るので、この先、ダーラムさんがどんな目にわされるのか心配です。合掌がっしょう

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