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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十六章 異世界生活編11 そろそろノンビリできるよね編
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10 ナナシ、お風呂場を改造する03end 王宮に移設


お風呂場の改造をした日の夕方。

俺の部屋に、シルフィと王妃様とメイド長と大臣がやって来た。

お風呂場の移設についてだろうか? でも、それにしては反応がはやぎる気がするから、別件かな?


サッと俺の正面のソファーに腰掛けた王妃様が、大きめの紙をテーブルの上に広げながら俺に向かって言う。

「お風呂場は、ここに移設してちょうだい。」

あ。お風呂場の件ですか。

ちょっと安心した。

大臣も居るこの面子めんつでソレ以外の話だったら、きっとろくな話ではなかっただろうしね。


それはそれとして。

俺は、王妃様が広げた図面らしき物を見ながら苦笑してしまう。今、やっと他の人たちがソファーに腰掛けたところだからね。

王妃様、先走さきばしり過ぎです。どんだけお風呂場が移設されるのを楽しみにしていらっしゃるんですかね?(苦笑)


『この場所は、メイドさんたちのりょうの裏ですね。』

テーブルの上に広げられた、この王宮内の建物の配置図っぽい物を見ていると、頭の中で【多重思考さん】が教えてくれた。

助かります。俺はこの王宮内に在る建物なんてほとんど知らないからね。あるくこと自体がほとんど無いし。

『そのあたりはメイドさんたちに関係する施設が集まっているかくですね。周辺しゅうへんの建物はすべて男子禁制になっていたと思います。』

その追加情報を聞いて、俺は考える。

さりげなく、このお風呂場を『女性専用にしてしまおう。』とかたくらんでいらっしゃいませんかね? 王妃様。

俺も使うんですよ? かくに在るお風呂場を移設するんですから。

俺は、王妃様に言う。

「王妃様、この場所って俺が行くには少しにくい場所なんぢゃないですか? 俺も使うんですよ?」

「…ケイティやケイトと一緒に行けば大丈夫よ。」

王妃様はそう言う。少し目をらしながら。

王妃様? 目をらさないでくださいね。


俺がにくい場所にお風呂場を移設することになってしまいそうだけど、文句を言ったところできっと無駄だろう。建物を移設させられる様ななんて、そうそう王宮内に有る訳がないだろうしね。


移設する場所(てき)に、お風呂場を利用する人はほとんどが女性になってしまいそうだ。

男湯をあそばせておくのはもったいないので、男湯も女性に使ってもらうことになるだろう。

大勢おおぜいの人が利用する事を想定して作られてはいないから、女湯だけでりるとは思えないしね。

男湯のほうも女性に使ってもらうことになると、俺がお風呂を利用する時は気を付けないといけないね。使う時間を前もってしらせておくとかしてね。

そのあたりは十分に気を付けることにしよう。

べ、別に、ラッキースケベなんて期待していませんよ?(ワクワク)(←ワクワクしてんじゃねぇよっ)



お風呂場の移設予定地にやって来た。

俺の他には、さっきの女性陣とケイティさんとケイト。それと途中から合流した数名のメイドさんたちが一緒で、何故なぜかリリス様もいらっしゃいます。

女性陣が増えた一方いっぽうで大臣がここに来ていないあたり、やっぱり女性専用になる流れっぽいです。(苦笑)


やって来た場所は、メイドさんたちのりょうの建物と外壁がいへきあいだだ。

まわりの建物や外壁がいへきの上に、こちらの様子をうかがっている人か何人か居る。

王妃様もメイド長も居るのだから、何事なにごとかと思うよね。

あまり心配させてしまうの悪いから、サッサと移設してしまおう。


建物を置く位置と向き。それと、排水路をつなぐ先を確認した。

かくに在るお風呂場の周囲に配置した【多重思考】たちからもゴーサインが出た。

よし、やるぜ。

「それぢゃあ、建物を転移させますねー。」

そう声を掛けてから魔法を発動する。

「【転移】。」

目の前に、かくに在ったお風呂場の建物が現れた。

まわりから驚いた声が上がる。

俺も驚きます。建物を転移させたのはこれが初めてだったので。

意外と何とかなるもんなんだねー。

魔法スゲェ。(←コイツが異常なだけです)


お風呂場の建物を無事に転移させることが出来た。

俺は、排水路作りを、頭の中で【多重思考さん】たちに頼む。

目玉めだま】は、地面の下であろうとも関係なく出入り出来るから、こういう作業にはうってつけです。

よろしく。(←今日も安定の丸投げです)


それぢゃあ、この場に居る人たちを建物の中に案内しますかね。既に利用した事が有る人も居るけど、改造もしたしね。

全員を引き連れて玄関げんかんに入り、下駄げたばこを軽く説明してから脱衣所へ。

脱衣所に入ったら、『お風呂の利用の仕方』なんてタイトルが付けられた板が、壁に何カ所か取り付けられているのが目に入った。

それには、お風呂でのマナーや、浴槽よくそうのお湯の温度の上げ方と下げ方、ドライヤーの使い方まで書かれていた。

いつの間にか【製作グループ】が作ってくれていた様だ。

ありがとう。助かります。

その『お風呂の利用の仕方』の内容を全員に説明し、お風呂場の中へ入る。

排水路をまだ接続していないので、水を出したりしない様に一言ひとこと注意してから、追加で作ったあらを王妃様に説明する。

それから、お風呂を初めて見る人たちに浴槽よくそうを見せて、「ここにめたお湯にかるんですよ。」なんて説明をする。

今は浴槽よくそうの中にお湯が入っていないので、妙に寒々(さむざむ)しく感じます。


『排水路の接続が終わりました。』

タイミング良く【多重思考さん】から報告が来た。

それぢゃあ、浴槽よくそうにお湯を入れますかね。

王妃様に「今、排水路をつなえたので、浴槽よくそうにお湯を入れますね。」と一言ひとことげてからお湯を入れる作業に入る。

浴槽よくそうに”せん”がされている事を確認し、一応、浴槽よくそうに【クリーン】を掛ける。それから蛇口じゃぐちを開けてお湯を浴槽よくそうにジャバーーっと入れる。

『ライオンさんの口にも【ゲート】をつなぎますね。』

頭の中でそう声がしたら、ライオンさんの口からもお湯がジャバジャバ出てきた。

このライオンさんは、お湯の温度を上げたり下げたりする為の魔道具の一部なのだが、このライオンの口からお湯がジャバジャバ出る視覚効果はやっぱりイイネ。うむうむ。

そのライオンさんを見たメイド長が、何やら満足まんぞくげな表情をしている様に見えましたが、何もれないでおきます。ネコと結び付けたり布教ふきょうとかしたりしないでくださいねー。何となく手遅れっぽい気もしますが。


さらに【クリエイトホットウォーター】の魔法で浴槽よくそうにお湯を半分ぐらいまでしておく。

蛇口じゃぐちとライオンさんからだけでは、お湯が十分にまってくれそうになかったからね。もう夕方だし。


ふと、天井近くの明かり取りの窓から空の様子を見てみたら、暗くなりつつある空を背景に外壁がいへきの上に居る人の姿が見えた。

あれ? 外壁がいへきの上に居る人がここから見えちゃうのはマズイんぢゃね?

これぢゃあ、外壁がいへきの上からのぞけちゃうよ。事案じあん発生だよ。

「あ。」

ずっと俺の腕をつかんでいたシルフィが声を上げる。シルフィも気付いた様だ。

シルフィは、そばに居たケイティさんに声を掛け、外壁がいへきの上で警備けいびしている人について訊く。

ケイティさんが言うには、「このあたりの警備けいびは女性が担当しているので問題ありません。(キリッ)」とのことだった。

それならいいか。

安心したね。


そんな予想外の事も起きましたが、これでこの風呂は今夜から使えるね。

俺はホッとしつつ王妃様に言う。

「王妃様、これで今夜から使えますよ。」

「ありがとう。これで、これからは毎日お風呂に入れるわ。(ニコニコ)」

笑顔で、そう王妃様からお礼を言われました。


今後、このお風呂場の管理はメイドさんたちでやってくれるんだそうだ。

途中から合流したメイドさんたちが、その管理をする人たちだったらしい。

彼女たちに、注意事項として、浴槽よくそうにお湯を入れている蛇口じゃぐちの一つはずっと開けっぱなしにしておいてくれる様に伝えておく。

そうしておかなければならない理由とか、お湯を出している仕組みとかは、紙に書いて今日中に渡すことにしよう。

この後、もっと大きなお風呂場を作ることになるだろうし、その時の為にも知っておいてほしいからね。


俺は、他の浴槽よくそうにもお湯を入れて回ってから、部屋に帰りました。



夜。

夕食後に、早速さっそく、王宮に移設したお風呂を利用しました。

ラッキースケベは起きませんでした。残念ながら。(←おい)

男湯のほうをどの様に運用しているのかは知らないが、まだ初日だから、男湯のほうに女性を入れていないのかもしれないね。

ラッキースケベは明日以降に期待です。(←期待すんなや)

俺がお風呂に入っている間に、ケイティさんとケイトもお風呂を堪能たんのうしていました。女湯のほうで。(←当たり前です)

二人とも、お風呂を喜んでくれていました。

うむうむ。(←満足げ)


部屋に戻ってくつろいでいたら、シルフィと王妃様とリリス様がやって来ました。

そして、王妃様が俺に向かって言う。

「お風呂場にコーラが無かったわ!」

…そう言えば、ここ最近はずっと『お風呂』と『コーラのいん』がセットになっていたね。

今日は、お風呂場を改造したり移設したりしてたから、コーラの事なんてすっかり忘れてたよ。

ケイティさんに全員のぶんのコップを出してもらい、【無限収納】から取り出した冷えたコーラをそそぎつつ、『お風呂場に飲み物用の冷蔵庫を設置しないといけないなぁ。』なんて事を考える。

でも、その為には、炭酸飲料に対応した飲み物用のビンを作らないといけなかったりして、かなり面倒なんだよね。

「おいしい! もう一杯。」

俺がそんな事を考えている一方いっぽうで、早くもコーラを飲み終えた王妃様がおわりを要求してきます。いつもと同様に。

ホント、マイペースだなっ、王妃様はっ。

正直、イラッとします。(苦笑)


明日は、飲み物用の冷蔵庫と、飲み物用のビンを作らないといけないなぁ。

今日は朝から色々とやったのに、明日もまだやらないといけない事が有るんデスネー。


「はぁ。」


俺は溜息ためいききつつ、王妃様が差し出したコップにコーラをそそいだのでした。


(サブタイトルの一部を変更 2020.12.30)

サブタイトルの『お風呂場を改造する03』を 『お風呂場を改造する03end』に変更しました。

(誤字修正 2020.12.28)

誤字報告をいただき、誤字修正をしました。

また、ついでにルビを追加しました。

誤字報告を歓迎しています。気が向いたらでかまいませんので、よろしくお願いいたします。

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