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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十六章 異世界生活編11 そろそろノンビリできるよね編
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09 ナナシ、お風呂場を改造する02 改造終了。からの…


『お風呂場の改造が終わりました。』


お風呂場の改造を始めた日の午後。

昼食後のお茶の時間を終えて、シルフィが部屋に帰るの見送ったところで、【多重思考さん】にそう言われた。


ほう。もう終わったのか。意外と早かったね。

それぢゃあ、早速さっそく、見に行きましょうかね。

俺はケイティさんに一言ひとこと断ってから、かくに転移した。


そろそろ見慣みなれてきた銭湯せんとうっぽい建物の前に転移して来た俺は、玄関げんかんで靴を脱ぎ捨て、脱衣所をどおりしてお風呂場へ直行する。

何気なにげに女湯のほうへ来ていますが、どちらも改造内容は同じだし誰も入っていないので、いいのです。ええ。


お風呂場に入ったところで立ち止まり、そこから全体をながめる。

お風呂場の中央には、午前中には無かった背の低い壁が奥に向かって建てられ、その壁の両面にはカランが並んでいる。

今朝は、このカランからお湯や水を出す為に、色々と面倒なことをしたんだったよなー。

それぢゃあ、ちゃんと出るのか確認してみようかね。


すみに積まれたおけを一つ持って来て、しゃがんでカランの下に置く。

カランのレバー先端に取り付けられた赤く塗られた円盤えんばんを、ざわりを確認しながら押し下げる。

ジョボジョボジョボー

お湯が出てきた。

出てくるお湯の量は、まぁまぁだ。

ちゃんと、イイ感じに圧力が掛かっている様だ。

手をはなし、隣のレバーの青く塗られた円盤えんばんを押し下げる。

ジョボジョボジョボー

こちらからは水が出てきた。

出てくる水の量やいきおいは、お湯と同じくらいだ。

めておく水の量をお湯と同じくらいにしているのだろう。水はあまり使わないと思けど、めた水で圧力を掛ける仕組みだから仕方が無いよね。

カランが上手うまく機能していることに、俺は満足しました。

うむうむ。(←満足げ)


ふと、このカランが、この低い壁にどの様に取り付けられているのかが気になって、カランの胴体部分をつかんで左右に振ってみる。

かなりガッチリと取り付けられている様だった。でも、コレってどうやって取り付けられているのかな? 【結合】で一体化させたのかな?

そんな事を考えていたら、頭の中で【製作グループ】の誰かが教えてくれた。

『この低い壁に、奥が広がった丸い穴をけて、その穴に差し込んだカランの胴体部分を【変形】の魔法を使って穴にピッタリと合う様に変形させました。』

ほう。なるほど、なるほど。

それなら抜けないし、ガッチリと固定できるね。

『そして、カランには【不懐化】の魔法を掛けました。』

ん? 【不懐化】? どうしてだろう?

『カランは【ゲート】で異空間と繋がっている為、壊れてしまって交換しなければならなくなった場合、異空間へ行って【ゲート】の付与をやり直さないといけません。それは面倒なので【不懐化】の魔法を掛けました。この低い壁にも建物全体にも。』

なるほど。カランを交換する手間を考えれば、【不懐化】の魔法を掛けておいたほうらくだよね。

最後にすごい事を言われた気がするけど、それはまぁいいや。

気にしなければ、どうという事はないのです。


立ち上がって、視線をカランからうえげる。

カランが取り付けられている低い壁の上には、壁と同じ長さの、横に長いかがみが設置されている。

このかがみは予定には無かったのだが、記憶の中の銭湯せんとうにはここにかがみが有ったから【製作グループ】が作って設置してくれたのだろう。

かがみながめながら、『こんな長い一枚ものをよく作ったなぁ。』なんて考えていたら、頭の中で【製作グループ】の誰かが教えてくれた。

『このかがみは、木の板の表面をカンナでなめらかに仕上げ、【リフレクション(光)】を付与して光を反射させています。(ふっ)』

言葉に”やりげた感”を感じます。

そういえば、カンナ職人と化した人(?)が居たな。彼が頑張ったんだろう。

それはそれとして。

なるほど。【リフレクション(光)】を付与して光を反射させてやれば、かがみになるよね。

かがみって、ガラスの裏に何かを塗ったりして作るものだと思っていたけど、魔法で簡単に作れてしまうんだね。ちょっと驚いた。


しかし、このかがみなんかを見てみると、【多重思考】たちが俺よりも大分だいぶかしこくなってしまった気がするね。

これまで俺が丸投げした色々な事を、試行錯誤しこうさくごしながらこなした結果なのかな?

この事態に、思う事が何も無い訳ではないけど、なってしまったものは仕方が無いよね。

これからも気にせずに丸投げしていきます。(←そこが着地点でいいのか?)


さて。

これで一番の懸案けんあんだった『カランからお湯や水を出す。』が解決したね。

一仕事ひとしごとやり終えた充実感を感じながら、お風呂場全体をながめます。


ながめていたら、ふと、浴槽よくそうりょうはし付近の壁に、それぞれ二つずつ蛇口じゃぐちが取り付けられていることに気が付いた。

あの蛇口じゃぐちって何かな?

浴槽よくそうの外側にまではみ出てしまいそうなほど水平方向に長いパイプが取り付けられた、この蛇口じゃぐち使つかみちが、よく分からない。

疑問に思っていたら【多重思考さん】が教えてくれた。

『これは、一つは、お湯を掛け流しにする為の蛇口じゃぐちです。』

あー。そういえば、お湯がまり過ぎて空間がいっぱいになってしまうのを防ぐ為に、出しっぱなしにしておくんだったね。

『もう一つは、お湯をぬるくする為の水の出る蛇口じゃぐちです。そして、パイプが長いのは、メイドさんたちが利用しやすくする為です。』

ん? メイドさんたちが利用しやすくする為? それって、どういう事だ?

【多重思考さん】に訊いてみる。

『『メイドさんたちが利用しやすくする為』って、どういう事?』

『このお風呂場は、排水の処理さえきちんとすれば、何処どこにでも設置することが出来ます。』

あー。うん。そうだね。

『で、あれば、このお風呂場を王宮の敷地に移設する流れになる事は明白めいはくです。』

『………………。』

『王宮に移設したら、このお風呂場のお湯や水をメイドさんたちが何かに使う事も有るでしょう。井戸からげるのよりもずっとらくなんですから。そのさい便べん性を考えて、ここに蛇口じゃぐちもうけておきました。』

『………………。』

『このお風呂場を移設した後、あらためて王宮にきちんとしたお風呂場を作ることになるでしょう。このお風呂場では手狭てぜまですから。その新しいお風呂場を作るさい、この建物を参考にして作ってもらえば、本体ほんたいさん(=ナナシのこと)が手伝う範囲を大幅に減らせます。ですので、このお風呂場を王宮へ移設する事は本体ほんたいさんにもメリットが有ることです。』

『………お、おう。』


そーかー。移設かー。

俺は、『やったー。改造が上手うまくいったよー。』くらいしか考えていなかったよ。

だけど、確かに王宮に移設する流れになってしまってもおかしくないよね。

俺はまったく気付かなかったけど、【多重思考さん】は色々と考えてくれていたんダネー。

でも、『移設する。』とは言っても、具体的にはどうやって移設するのかな?

『転移魔法で一発です。(サラリ)』

『え?! マジで?!』

『マジで。』

『ホントに?』

『ホントに。』

マジで、ホントらしい。(←語彙ごいりょくが残念なレベルに低下中www)

そーかー、転移魔法って、このお風呂場の建物でも移動させられるのかー。

魔法ってスゲェなぁ。

既にこれまでにも色々な事をやらかしているので、この建物を転移させるくらい、”今更いまさら”って気がしないでもないですが。


まぁ、今は、お風呂場の改造が終わったことを喜ぼう。

バンザイ。



王宮の部屋に帰って来た。少し複雑な気分のままね。

ケイティさんにれてもらったお茶を飲み、少し考えてから王妃様へのお手紙を書く。

お風呂場の改造が終わったことや、王宮の敷地内に移設してもいいと思っていること。移設するさい、排水路はこちらで作るけど、その繋ぎ先を教えてほしいこと。それと、移設に必要な敷地面積なんかもね。


書いた手紙をケイティさんに渡して、王妃様に届けてくれる様にお願いする。

よろしくね。


これで一息ひといきつけるね。

ふぅ。

一仕事ひとしごと終えて疲れたので、おやつの時間を楽しみに待ちながらソファーでダラーーッとしていることにします。


「ダラーー。」(←思わず口に出してしまう変な奴がここに居ます)


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