06 ナナシ、コーラを試作する。それと、香辛料の価格にビビる
市場にやって来た。
コーラに香りを付ける物を買う為にね。
王妃様から『電話』と『目覚まし時計』と『コーラ』を作るように頼まれ、シルフィに質問攻めにされた後。
俺は、『コーラの試作を今から始めたいから。』と言って、隠れ家に逃げた。
隠れ家に逃げて来てホッと一息ついたら、【料理グループ】にコーラに香りを付ける物を買うように頼まれた。
なんでも、コーラの素になる『炭酸水』と『カラメル』は、俺がシルフィに質問攻めにされている間に【料理グループ】がサクッと作ってくれていたのでそうです。
そんな訳で、俺は、今、コーラに香りを付ける物を買う為に、王都の市場にやって来たところです。
早速、香辛料を扱っているお店に向かう。前に『クレイ〇ーソルト』っぽいのを買ったお店です。
お店に入り、カウンターの向こうに居る店長っぽい感じの人に「飲み物の香り付けに使う香辛料がほしい。」と言って、念の為に、加熱しなくても安全な物を頼んだ。
そうしたら、「それなら煮出してから混ぜた方がいいですよ。」って言われたので、俺は改めて考えてみる。
そういえば、コーラって不純物っぽい物は何も入っていなかったね。
そう考えると、香辛料をブチ込んで香りを付けるのではなく、煮出したものを加える方が正解なのかな? 加熱する事で香りが立つものとかありそうだし。
店長っぽい人の勧めに従って、煮出してから混ぜるやり方に方針転換して、飲み物に使えそうなイイ香りの物を一通り揃えてもらって購入した。
そうしたら、ビックリする様なお値段になった。
香辛料って、クッソ高いんだなっ。
ま、まぁ、お金の使い途が無くって貯まっていく一方だったから、べ、別に、いいんだけどね。(ビクビク)
高額の請求にビビってしまった小物ですが、何か?(←誰に言ってるんだよっ)
ビビってしまったが、死蔵されていくだけだったお金をこの機会に放流できるんだから、その事を喜ぼう。うん。
カウンターの上に出した大量を金貨を見て、少しビビりながら思う。
いつか、大きくなって帰って来てね。(←サケかな?)
思わぬ『お大尽買い』に自分でビビッてしまいましたが、その後に、煮出し用に小さめの鍋や、煮出したものを入れておく瓶などの普通の買い物をして、気分が落ち着いた。
さぁ、隠れ家に帰るか。
そう思ったら、頭の中で【多重思考さん】に言われた。
『まさか、このまま帰ったりはしませんよね?』
そうだよねー。そうなるよねー。市場まで来てるんだもんねー。
この後、いつもの様に食材を沢山買わされました。
とほほーい。
グッタリして隠れ家に帰って来た。
今回は、思わぬ『お大尽買い』もあったりして、いつもより大分疲れました。
ソファーで疲れを癒やしていたら、ふと、思い出した。
そういえば、買う物があればケイティさんに言うように言われていたんだったね。すっかり忘れてたわ。
まぁ、今回は香辛料を色々と買った所為でかなり高額になってしまったから、”例外”ということにしておこう。
こんな『お大尽買い』をするなんて、誰も想像していなかっただろうしね。
後で、『コーラ飲みたい!』って気楽に言い放ちあそばされやがった王妃様に、今回買った香辛料の”ビックリ価格”を教えてさしあげよう。
きっと驚くだろう。
へっへっへっ。(悪い笑顔)
それはそれとして。
気合いを入れ直して、コーラの試作を始めよう。
煮出し用に買って来た小さめの鍋で香辛料をそれぞれを煮出し、その煮出した汁を瓶に移して冷ましていく。
一通り煮出した後、それぞれ少しだけ舐めてみて、味と香りがどんな感じなのかをメモしていく。
この時点で既にめんどくさい。(苦笑)
この後、さらに”コーラの素”と混ぜ合わせて試していかないといけないんだよなー。
大変だよね。お腹がタプタプになる未来しか見えません。(苦笑)
でも、味の確認は【多重思考さん】たちには出来ないから、丸投げが出来ないしね。
仕方がないよね。
「はぁ…。」
この日、何度目かの溜息が出た。
昼食とおやつの時間を挟んで、隠れ家でコーラの試作を続けた。
空が夕焼けで赤くなり始めた頃、今日はここまでにすることにした。
沢山飲み過ぎて、味覚に自信が無くなってきたしね。(苦笑)
お腹のタプタプの方は転移魔法で何とかなったんだけど、味覚の方はどうにもならないからね。
単に『飲み飽きた』というのも、もちろんあります。
気合いだけではどうにもならない事もあるのです。
今日試作した中で一番の自信作を、料理で使って空いていたワインボトルに移して冷やしておく。後で王妃様に飲んでもらう為にね。
きっと、今日辺り、お風呂に連れて行く様に言われるだろうしね。
お風呂上がりの一杯にちょうどいいだろう。
そこそこの成果が出た事に満足しつつ、俺は王宮の部屋に戻りました。
この後、『お風呂』と『コーラの試飲』のセットがしばらく続いていくことを、この時の俺はまだ気付いていないのでした。