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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十六章 異世界生活編11 そろそろノンビリできるよね編
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04 ナナシ、王妃様に「あなたは日本人なの?」と訊かれる


< ナナシ視点 >


昼食後のお茶の時間を終えて、シルフィが部屋に帰って行くのを見送った。


さて。

王妃様に呼ばれているようなので、王妃様のところに行きますかね。


廊下をダラダラと歩いて、王妃様の部屋へ向かう。

『午後の時間を、どうダラダラ過ごそうかなぁ。』なんてことを考えながらね。


王妃様の部屋の前まで来ると、ドアの前でひかえていたメイドさんが室内に一声ひとこえ掛けてからドアを開けてくれる。

ドアを開けてくれたメイドさんに軽く頭を下げつつ室内に入る。俺と入れ替わる様にメイドさんたちが部屋から出て行った様だが、その事は特に気に留めずに、執務机に居る王妃様の元まで向かう。


王妃様の元へ近付いて行くと、ふと、机の上に置いてある物が目に入った。

そして、俺はソレらの物に視線が釘付けになったのだった。


『けん玉』っぽく見えるソレは何なんですかね? それと、その隣にある『づる』っぽいのも?!

………………。

王妃様の前まで来たものの、机の上のソレらに意識が行ってしまって、挨拶も何も俺の口からは出て来ない。

『けん玉』は、よく似たおもちゃが出来ることもあるだろう。でも、『づる』はどうなのかな?

この形になるまでの手順はかなり複雑だし、最後にこの形になるのも偶然では説明できない気がするな。

一体いったい、どういう事なのかな?

王妃様に、コレが何なのか訊いてみるか?

でも、『づるよ。』なんて答えられたら、それはそれで反応に困るよなぁ。

うーーん。

俺はそのまま考え込んでしまった。


「あなたは日本人なの?」

「!?」


考え込んでしまっていたら王妃様にそう訊かれて、俺は驚く。

この世界に『日本』を知っている人が居たのか?!


どうしよう?

何て答える?


俺は考える。

机の上のソレらから視線を動かせないまま。

考える。考える。考える。


そして、机の上のソレらをずっと見続けている事を王妃様に気付かれた気がして、俺はあわてて顔を横に向けた。

顔を横に向けたら、視線の先の壁に掛けられている絵らしき物が目に入った。

壁に掛けられているソレは、縦にやや長い長方形をしていて、やや湾曲わんきょくしている様に見えた。そうしたら、何だか『たこ』の様に思えてきた。

だが、ソレが『たこ』かどうかよりも、ソレにえがかれているものに俺は驚いた。

その『たこ』らしき物にえがかれているメタリックでカッコイイ姿は、俺がネットで見たおぼえのあるものだった。


何でコレが…。


コレがこの世界に知られているということは、この40年くらいの間に日本からこの世界に来た人が居たという事なのか?


そんな、割と最近の出来事であった事に衝撃を受ける。


衝撃を受けて固まっていると、王妃様の視線を感じた。

………どうしよう。

王妃様の顔なんて見れないし、どんな表情をしたらいいのかも分からない。

さっきの『あなたは日本人なの?』って訊かれた事についても、どう返事をしたらいいのか分からないしなっ。


俺はどうするか考えて…。

この場から逃げることにした。


俺は、何も言わずにそのまま【転移】でかくに逃げたのだった。



【転移】でかくに逃げて来た。

そして、一ついきぎをしてから、あの場で言いたくても言えなかった事を、力を込めて言う。


「なんで、ガ〇ガンなんだよ!!」


そう。

あの『たこ』にえがかれていたメタリックでカッコイイものは、ガ〇ガンだったのだ。あのゴ〇ラシリーズに出てくる。


「なんでガ〇ガンなんだよ…。 訳が分かんねぇよ…。」


そうポツリと言って、俺はソファーでグッタリした。

『問題はそこじゃあないでしょう…。(あきれ)』


ソファーでグッタリしている俺の頭の中で、そんな【多重思考さん】のあきれたような声が聞こえた気がした。



< 王妃様視点 >


「逃げられてしまったわね…。」


ポツリと、口から言葉がこぼれます。


でも、いいわ。

あの反応は、間違い無いもの。


でも、失敗したわね。

ネックレスをはずして私の本当の姿を見せる事が出来なかったわ。

せっかく人払ひとばらいをして、私の本当の姿を見せる良い機会だったのにね。


そうすれば…。


私も日本人だと、気付いてもらえたかもしれないのにね。


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