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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十六章 異世界生活編11 そろそろノンビリできるよね編
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03 ナナシ、シルフィに地面が巨大な球体であることを教える


朝食後のお茶の時間を終えて、シルフィが部屋に帰って行くのを見送った。

そういえば、自分で歩いて部屋に帰る様になったんだね。クリスティーナさんに小脇こわきかかえてられてお持ち帰りされるのではなく。

あの光景が見られなくなると思うと、それはそれで残念に思ってしまう不思議。(苦笑)


それはそれとして。

道路工事が終わって一息ひといきついたので、やりかけで途中になっている事がなかったか考えてみる。何か色々とあった気がするし。


オークションってどうなっていたんだっけ?

ダンジョンの在る街の冒険者ギルドにコカトリスとかミスリルゴーレムの腕とか持ち込んで買い取りをお願いしたら、ギルドに所属していない事を理由に断られた。

その結果、冒険者ギルド主催のオークションに出すことになったんだけど、その後、どうなっていたんだっけ?

うーーん。

分からん。【多重思考さん】に訊こう。

『そこんとこ、どうなのー?』(←相変あいかわらず訊き方がざつです)

『オークションの開催はもう少しあとです。』

あれ? まだだったのか。

これはあれかな? 交通や情報の便べんが悪いから告知期間を長くとっているのかな?

まぁ、急ぐ訳でもないし、俺が望んでいる事は『ダンジョンに行く冒険者が増えること』なんだから、告知期間が長い事はむしろ俺の希望に沿っているよね。

ブツは既に渡してあるし、後はお金を受け取るだけだから、まぁいいや。


馬車の改造ってどうなっていたっけ? 中古で買った馬車を改造して、それぞれの車輪にサスペンションを取り付けるやつ。

やり始めてから既にかなりの日数がっている気がするね。

そう考えていたら、頭の中で【多重思考さん】に言われた。

『【製作グループ】に色々な物が丸投げされるたびに、その都度つど、馬車の改造がまりました。ですので、もう少し掛かりますね。もう少し掛かりますねっ。』

『お、おう。』

【多重思考さん】の言葉に何だか”アツ”を感じます。

そう言われてみれば、確かに【製作グループ】には色々な物を丸投げをしていたねー。

『ポーションを作る魔道具』とか『ネコ型ゴーレム』とか『道路工事』とか。それと『お風呂場』だってそうだったよね。

改めて考えると、本当に丸投げし過ぎだよね。割と気楽に丸投げしていたし。

反省しなければいけないね。うん。

次回もよろしく。(←コイツ、まったく反省する気ないだろ)


他にも何か忘れている事って有ったかな?

考えるが、何も思い付かない。

思い付かなかったので、【無限収納】の中を見てみた。

すると、地球ちきゅうが有る事に気が付いた。いや、『地球ちきゅう』ぢゃなくて『”ちたま”』って呼ぶことにしたんだったね。この星は地球ちきゅうぢゃないから。


そう言えば、前に作ったんだったねー。

以前、外出をひかえる様に言われた時に、ひまだったから地図を作って大臣にプレゼントした。その時に【製作グループ】がノリで作ってたんだよねー。

その時は色付いろづけなんかされていなかった。だけど、今は綺麗に色付いろづけされている。海は青とか、森は緑とか、地面は薄い茶色とか。それと、山なんかは盛り上げられているな。

改めてよく見てみると、コレってなかなかの完成度だよね。

俺がそう感心していると、頭の中で【製作グループ】の誰かが『いい出来だろう。(フッ)』って感じでドヤっているのを感じます。

…馬車の改造が遅れている理由って、俺の所為せいだけぢゃないよね?

そう思いましたが、何も言わないでおきます。

沈黙はきんなのです。ただ、藪蛇やぶへびになるのが怖いだけですが。


それぢゃあ、この後のお茶の時間にでも、この『地球ちたま』を使って、シルフィに地面が巨大な球体であることを教えたり、時差じさの話をしようかね。

以前、シルフィが『俺が太陽を動かせる』みたいな変な誤解していたからね。その誤解をく為にね。


俺は、シルフィにどうやって説明するのかを考えながら、お茶の時間までノンビリとしました。



お茶の時間です。

部屋にやって来たシルフィと一緒にお茶をしながら、『地球ちたま』を使って地面が巨大な球体であることを教えたり、時差じさの話をしようと思います。


が、俺がその話を始める前にシルフィに訊かれた。

「ナナシさん、市場いちばでゴーレムが野菜なんかを買っていたらしいのですけど、それってナナシさんのゴーレムですか?」

あれ? 俺はそんなはなし知らないぞ。

『ピュウ、ピュピュウ。ピュピュー。』

頭の中で、そんな口笛くちぶえっぽい音が聞こえた。

『…【多重思考さん】、ちょっと俺に説明しようか?』

アツを掛けながら、容疑者に自白じはくせまります。

『この王都でゴーレムを使って道路工事をしましたよね。えて人目ひとめれる様にして。』

うん。そうだね。

『王都の人たちにゴーレムに見慣みなれてもらったので、市場いちばで買い物をしても大丈夫だと思いました。実際、何の問題も起きませんでしたし。実際、何の問題も起きませんでしたしっ。』

そう強調する様に二回言われた。

そういえば、王都内の道路工事を頼まれた時に、【多重思考さん】が工事に前向きだった気がしたなぁ。

『もしかして、ゴーレムを使って食材の買い出しをする為に、王都での道路工事に前向きだったりした?』

『ピュウ、ピュピュウ。ピュピュー。』

『それは、もういいから!』

【多重思考さん】たちは口笛くちぶえなんて吹けないから『ピュウ、ピュウ。』と頭の中で言ってるだけだしなっ! クソウザイわっ!


脳内でそんな会話を終え、ふと、シルフィを見たら、シルフィは俺の顔をのぞむ様にして俺の返事を待っていました。

そんなシルフィに、ちょっとあせりながら返事をする。

「えーっと、俺のゴーレムデスネー。(汗)」

『デスネー。』ぢゃねよね、『デスネー。』ぢゃ。自分で言っといて何だけどさっ。

「欲しい物があれば何でもご用意しますからね? ナナシさんには、これまで色々な事でこの国に貢献していただいたのですから。これからは何か必要になった時は何でもケイティに言ってくださいね。」

「アッハイ。」

俺は素直にそう返事をしておきました。

そもそもゴネる様な事でもないし、ゴネたら余計よけいに面倒な事になりそうだしね。


それはそれとして。

気を取り直して、シルフィに『地球ちたま』を使って地面が巨大な球体であることを教えたり、時差じさの話をしよう。うん。

「シルフィ、以前、海を見に行った時に、『太陽の位置がおかしい』とか言っていたのをおぼえているかな?」

「…はい。」

そう返事をしたシルフィは、少しうつろな目をしました。

そういえば、あの時のシルフィって、生気せいきの無い目でネコをでている事が多かった気がするね。すっかり忘れてたけど。

まぁ、意識が『地球ちたま』を使った俺の説明のほうに向けば、うつろな目をしなくなるだろう。

俺はそう願いつつ、シルフィに説明を始めます。

「俺たちが居るこの地面ってね、この『地球ちたま』の様な球体なんだ。とっても大きいから球体だと気付けないけど。そして、ここが俺たちの居る場所ね。」

そう言って、俺たちが居る小さい大陸を指差して、さらに説明を続ける。

「この巨大な球体はゆっくりと東の方へ回転しているんだ。それによって、太陽が東からのぼって西にしずんで行くように見えるんだ。」

【ライト】の魔法で光る球体を作り出して太陽に見立みたて、この星が回転することによって太陽が東からのぼって西にしずんで行く様子を説明する。

「地面がこの様な巨大な球体だと、俺たちが居る場所に真上まうえから太陽の光が当たっている時、もっと西の方ではまだ太陽が低い位置にあるんだ。」

地球ちたま』の北極の方をシルフィに向けて、同じ時間でも場所が違えば太陽の見える位置が変わることを説明した。

「だから、以前、ここよりももっと西で昼食を食べた時、太陽が真上まうえになくて、低い位置に在ったんだよ。」

完璧な説明だね。

うむうむ。


「あの…、ナナシさん?」

満足している俺に、シルフィがひかに言う。

「何かな?」

「地面はこんなにかたむいていませんよ。それに、これだと海の水が下に落ちて、すぐに無くなってしまいますよね?」

ああ、引力いんりょくの説明をしないと、そう考えちゃうよね。

俺は、シルフィに引力いんりょくの説明をします。

上下うえしたっていうのはね、星の上にしかないんだ。”人”も”海の水”も星の中心に引っ張られているんだ。だから人は地面に垂直に立てるし、海の水が何処どこかに落ちていってしまうこともないんだよ。」

「………。」

シルフィは、よく分かっていないご様子です。

そんなシルフィに続けて言う。

「前に海を見に行った時に水平線を見たよね。少し丸くなっている様に見える水平線を。」

「はい。」

「この巨大な球体の中心に向かって海の水が引っ張られているから、水平線は丸くなっているんだよ。」

「………ほわぁ。」

シルフィは納得できたのか、そんな声をげながら表情を明るくしました。

よし。


説明を終えた俺は、この『地球ちたま』をシルフィにプレゼントします。

俺がした説明を、後で復習できる様にね。


シルフィは俺があげた『地球ちたま』を笑顔で持って帰りました。

うむうむ。(←とっても満足げ)



昼。

シルフィと一緒に昼食をっていると、シルフィに言われた。

「お母様がナナシさんにお話したいことが有るんだそうです。お茶の時間の後に来てほしいそうです。」

「そう。分かった。」

取り敢えず、シルフィにそう返事をしておいてから、ふと、考える。

王妃様から何か頼み事がある時って、いつも俺の部屋に来ていたよなぁ。

依頼の窓口になっているシルフィが、俺が王妃様に呼ばれた内容を知らないみたいだから、頼み事ではないのかな?

そうなると、どんな用事なんだろう? サッパリ分からないね。

まぁいいか。行けば分かるだろう。(←適当だな、コイツ)


「それと、お母様に、先ほどいただいた『地球ちたま』を見せたら、『あら、チキュウギね。』って言っていたのですけど、ナナシさんは『チキュウギ』って何だか分かります?」

「………………。」

『チキュウギ』って、もしかして『地球儀』のことかな?

あれ? どういうこと?

ひょっとして、俺の他にも地球から来た人が居たのかな?

でも、俺がこの星に来たのって、かなりイレギュラーっぽい感じだったけどなぁ。

それよりかは、『地面が巨大な球体である事を知っていて『地球』っていう言葉が既に有った。』と考える方が、より可能性が高そうだよね。

でも、それならば、王女であるシルフィがその事を知っていそうな気がするなぁ。

あれれー。

よく分からんね。


まぁいいや。

気にしなければ、どうということはないしね。(←おい)


俺は、特に気にせずに食事を続けました。(←いや、気にしろよ)



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