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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十五章 異世界生活編10 魔術師の街の騒動 終編 <勝負の後>
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12 ナナシ、畑を作る


今日は隣街となりまちに来た。あの『魔術師の街』だ。

先日、王妃様から頼まれた畑を作る為にね。


街のすぐ近くで荒野に向かって立つ俺の背後には、ギャラリーが200人くらい居ます。

俺が集めてくれる様に、やんわりとお願いしたからです。

この『魔術師の街』の魔術師たちの評判は、前に俺がこの街に来た時よりもさらに悪くなってしまっている。その悪くなった魔術師たちの評判を少しでも改善させる為に、俺が彼らに魔法が役に立つところを見せようと思ってね。


ず、土の中から小石をのぞく。【分離】魔法さんで。

ザザザザザザザザーーーッ

ザザザザザザザザーーーッ

たがやす予定の場所を【目玉】を使って上空から見ながら【分離】魔法さんを二回に分けて発動すると、小石の山が40個くらい出来た。

ギャラリーがビックリしている様子が背後から伝わってきます。

俺もビックリしています。小石が多過ぎて。

畑を作る依頼が俺のところに来る訳だねー。


それはそれとして。

次に、土をたがやす。【風刃ふうじん】で。

ズバババババババーーーッ

広い範囲に土埃つちぼこりが舞う。

ズバババババババーーーッ

たがやしている場所を奥へと移動させ、さらに横にも移動させる。

それにともない、土埃つちぼこりが舞う場所も移動して行く。


土をたがやし終え、舞った土埃つちぼこりを【ウィンド】で吹き飛ばす。

土埃つちぼこりを吹き飛ばすと、目の前にはたがやされて色の変わった地面が広がっていた。

背後で「すごい!」と言う声がいくつか上がる。

その声に満足感をおぼえながら後ろを振り返ると、ギャラリーのほとんどは『ポカーーン』としていました。

あれ?

ギャラリーの反応は、俺が期待していたのとは少し違っていました。

何か失敗したかな?

でも、だからと言ってやり直す訳にもいかない。

…どうしよう?

なおも「すごい!」とか声を上げてくれる人が何人か居るんだけど、何だか”サクラ”っぽい様に感じるね。

誰かが気を回して手配してくれていたのかな? 王妃様も、悪くなっている魔術師の評判を改善しようとしてくれているみたいだったしね。

でも、そのサクラっぽい人たちも徐々に無口になってしまっていった。

何か…、その…。ごめんなさい。


静まり返る”微妙な空気”の中。

その静けさに耐えきれなくなった俺は、作業が終わった事を告げて、逃げる様に王宮の部屋に【転移】で帰りました。


とほほーい。



翌日。

俺はもう一度、畑を作った場所に来ています。

今日は井戸を掘ります。

畑で作物さくもつを育てるのには水が必要不可欠だからね。

別に、昨日のあの”微妙な空気”の所為せいで、井戸を掘るのを忘れて逃げ帰ってしまった訳ではありません。計画通りです。

畑を作るのが予定よりも早く終わっただけで、計画通りなのです。ええ。


今日はギャラリーは居ない。役人が二人いるだけだ。

穴掘りなんて、見ていて面白いものでもないからね。

別に、昨日の出来事がトラウマになっている訳ではありませんよー。ホントダヨ?(ビクビク)


同行してくれている役人の一人に井戸を掘る場所を指示してもらい、早速さっそく、土を【転移】で退かして地下水脈まで穴を掘る。

掘った穴の側面を【結合】で固め、掘った穴のふちに腰の高さまで土をって、これも【結合】で固める。

これで井戸の完成だ。


次に、出来上がった井戸に”手押しポンプ”を設置する。

ポンプ一式いっしきは、あらかじめ【製作グループ】にお願いして作っておいてもらった。

王妃様からの依頼にはポンプは含まれていなかったんだけど、作ってみたかったので。


ず、井戸の底まで届く長い石で作られたパイプを中に入れる。このパイプの中を通して水をげることになる。

次に、井戸にフタをする様に板を渡して、そのフタの上に手押しポンプを設置する。

手押しポンプは、ハンドルを上下させることでパイプの中に差し込まれた板が上下に動き、それによって水をげる仕組みになっている。

パイプの中で上下に動く板には穴がけられていて、その穴をふさぐように板が蝶番ちょうつがいで取り付けられている。

蝶番ちょうつがいで取り付けられた板がパカパカ動くようになっている為、板にけられた穴を通った水は下に戻ることなくパイプの中にまり続け、ポンプのハンドルを何度も上げ下げしている内に水がダバァと出てくるという簡単な構造だ。


みずを入れてハンドルを上下にカシャカシャする。

何度かカシャカシャすると、水がダバァと出た。

やったね。

たいして時間も掛からずに、”手押しポンプ付きの井戸”が一つ完成した。

役人たちはポカーーンとしていましたが、昨日の一件でもう慣れたので、どうでもいいのです。(でも、半泣き)



この後もサクサクといくつも井戸を掘り、手押しポンプを設置した。

役人たちの”ポカーーン”度がさらに増して、今日も”微妙な空気”になりました。

フ、フシギダネー。(やっぱり、半泣き)


そんな”微妙な空気”の中。

俺は作業が終わった事を告げて、逃げる様に王宮の部屋に【転移】で帰りました。


とほほーい。(昨日ぶり二回目)



王宮の部屋に戻って、ソファーでグッタリしています。

おかしい。

魔術師の評判を良くする為にやっているのに、その手応てごたえがまるで無い。

みんなポカーーンとしてしまっていたしなっ。


でも、隣街でやった事は、実際、たいした事をしているので、きっと後から評価が付いて来るのだろう。

付いて来るよね?


大丈夫だと信じたいと思います。


(ひとこと)

下の 【 ☆☆☆☆☆ 】で『評価』をしていただけれると嬉しいです。

それと、『ブックマークに追加』も。

ポイントが増えると嬉しいので!

気が向いた方だけで結構ですので、よろしくお願いいたします。


2020.09.28に、総合評価が600を越えました。

たいした数字ではないかもしれませんが嬉しいです。

『評価』をして下さった方や『ブックマークに追加』をしてくださった方、ありがとうございました。

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