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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十五章 異世界生活編10 魔術師の街の騒動 終編 <勝負の後>
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09 エイラ襲来02end それと、クーリ、カワイイよ、クーリ


エイラさんが部屋に来た。

今日はケイトと一緒に。


『ケイトが居るからクーリをめなくてもいいかなぁー。』とかちょっとだけ思っちゃったけど、クーリは待機させておきました。

クーリがケイトにもてあそばれてしまいそうな気がしたので。


エイラさんは、ケイトを前に押し出しながら俺に向かって言う。笑顔で。

「どうだ! イイ出来だろう!」

俺は、ケイトの服装を見て、言う。

「イイね。(笑顔)」

「うむうむ。そうだろう。そうだろう。」

エイラさんは笑顔です。とても満足げです。

俺も笑顔です。

ケイトの、ペンギンっぽい服装に。

うむうむ。


メイド服と同じ生地きじ、同じ色合いろあいで作られた、フード付きのペンギンっぽい服を着るケイトの姿をながめる。

白と黒の二色で作られたその服は、『少し変わった形のメイド服』に見えなくもない。

元々、長いスカートを履いていたから、遠くから見ただけではあまり違いが分からなさそうだ。

…このまま、『少し変わった形のメイド服』として受け入れられちゃったりはしないよね?

思い付きでエイラさんに言った”ペンギンっぽい服装”だったけど、このままエイラさんの望んでいた『ペンギンで王宮をいっぱいにする。』に一直線に突き進んでしまいそうです。

…やべぇ。

いちけたー。(←おい!)


ケイトは、いちけした俺の前から離れ、クーリところへ行って見せびらかします。

そんなケイトをほうっておいて、俺は自分に責任がおよばない方法を考えます。(←おい)


「ひゃっ。」

そんな声を聞いてそちらを見ると、ケイトがクーリを肩にかつげていた。

肩にかつげられたクーリがあわてて手足をバタつかせるが、ケイトが手を、エイラさんが足をつかんでクーリの動きを封じた。

「ちょっと借りていくねー。」

ケイトが、そうお気楽きらくに言って、二人でクーリを持ち去って行ってしまった。

廊下から「フガーーッ!」って声が聞こえたが、まぁいいだろう。(←いいのかよっ!)

どうせ、あの二人のことだ。クーリを着替えさせるだけだろうしね。

たいした問題ぢゃないよね。…多分たぶん


「………いいんですか?」

呆気あっけにとられていたケイティさんが俺に訊く。

…いや、『いいんですか?』ぢゃなくて、めてくれても良かったんですよ?

まぁ、俺も見ていただけでめなかったから、他人ひとのことは言えないんだけどね。

だから、まるで何も問題が無いかの様に「うん。いいよ。」って答えておきました。(←おい)

目の前で起きた出来事は、普通に”拉致らち事件”っぽかったけど、きっと大丈夫だろう。うん。

俺は、連れ去られたクーリに思いをせながら、ペンギンっぽくなったクーリの姿を脳裏に思い浮かべました。



クーリが帰って来た。

フード付きのペンギンっぽい服装で。

「うはーーー!(歓喜)」

やっぱり、クーリはカワイイね! クーリ、カワイイよ、クーリ!

「うんうん。カワイイよ。クーリ。」

そうクーリに言ってあげた。

「フガーーッ。」

フガられた。

ただ『カワイイよ。』って言っただけなのにね。おかしいね。(拉致らちられて行くのをそのまま見送った件は、すでに忘れ去った模様)


フガったクーリだったが、満更まんざらでもないご様子だ。

恥ずかしがっていながらも、口元くちもとがニヨニヨしているからね。

そんなクーリの表情をながめて俺もニヨニヨしていたら顔を隠された。クーリが手に持っていたモフモフした物で。

クーリは、顔を隠したままソファーに座る俺の後ろを通って、窓際まどぎわひかえた。

どうして、俺の視界に入らないところにひかえるのかな?

クーリペンギンを鑑賞できないのはちょっと残念だけど、まぁいいか。


『どうやって拉致らちしたクーリに着替えさせたのかな?』と、少し疑問に思ったのだが、多分たぶん賄賂わいろが効いたのだろう。

クーリはペンギン型ゴーレムを持っているからね。


後ろを振り返って、クーリを見る。

が、すぐに胸元に抱いていたペンギン型ゴーレムで顔を隠されてしまった。

ジロジロ見ると、またフガられてしまうので、あきらめて正面に向き直った。


そう言えば、この部屋にペンギン型ゴーレムが居るのは久しぶりだね。

最初、部屋の中を歩かせて、それをながめてやされようと思って作ったのに、ニーナとケイトが抱きかかえてしまって歩く姿をまったく見る機会が無くなっちゃって、結局、そのままあきらめちゃったんだったよね。

今も、相変わらず部屋の中を歩いてはいない。

『せめてクーリペンギンが歩き回ってくれれば。』と思わなくもないが、ジッと控えているのがクーリの仕事だしね。

ペンギン関係は、どうして、いつもそうなるんだろうね?

不思議だね。

もう、これはそういうものだとあきらめた方が良いのだろう。

現実をあるがままに受け入れよう。

うむ。



翌日の朝。

クーリの服装は元に戻っていた。

ちぇーー。


被服部ひふくぶの部長にめられちゃったのかな?

きっと、そうなのだろう。

ほうっておいたら、エイラさんがメイドさん全員を着せ替えさせていただろうしね。

仕方が無いね。

ちょっと残念だけど。


でも、エイラさんがこのまま引き下がるとは思えないなぁ。

メイド服は無理でも、パジャマとかで商品化するかもしれないね。

でも、被服部ひふくぶとしてそれはどうなんだろうか?

本来の仕事からは外れているよね。

…ペンギン型ゴーレムを販売しているんだから、今更いまさらか。


それとも、”俺”案件だから何とかなっちゃっていたりするのかな?

………。

あれ? その可能性が一番高いんぢゃね?

ペンギンっぽい服の話をエイラさんにしたのは、俺だしなっ。

やべぇ。

俺に責任がおよばない方法を本気で考えておいた方がいいなっ。


そう思い、俺は本気で自分に責任がおよばない方法を考え始めました。


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