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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十五章 異世界生活編10 魔術師の街の騒動 終編 <勝負の後>
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04 外伝 とある場所にて 裏ギルド『黒い塔』


裏ギルド『黒い塔』

グラム王国で上位に位置する裏ギルドの一つ。

ギルドマスターと参謀のコンビは国内最強とも言われ、その知略は他の裏ギルドからも警戒されている。

今回、バディカーナ伯爵(がわ)の貴族から『クラソー侯爵からオークキングを奪って持って来い。』と依頼を受けていた。


   ◇      ◇



「多くのギルドが、壊滅したか壊滅的な被害を受けた様ですね。」


参謀からそう報告を受けて、俺は自分の判断が正しかった事に安堵あんどした。

やはり、王都から離れて正解だった様だ。


今回の勝負に先立さきだって作られたルールで、王都内での妨害行為が禁止されていなかった。

俺は、ソコが気になった。


『コトを起こさせて騎士団に手柄を立てさせる為でしょう。』

『騎士団に顔がく貴族たちが、身内に手柄を立てさせるために仕組んだのでしょう。』

『騎士団を動かせる者が勝負の結果に介入できる様に、王都内での妨害行為が禁止されていないのでは?』


そんな事を言う部下が多かった。

だが、そんな事を王宮が認めるだろうか?

騎士団の上層部が腐っていることなど、分かりきっているはずなのだ。


『騎士団に手柄を立てさせる為』なんかである訳が無い。


そう思ったからこそ、俺は警戒して王都から離れる決断をしたのだ。

結果は…。

やはりわなだった様だ。


その事は、俺の読み通りだった。

その事”まで”は。

王宮が仕掛けたわなだと読んだところまでは正解だったのだが、まさか、クラソー侯爵が勝負に勝つとは…。

その事は、本当に予想外だった。


バディカーナ伯爵が勝負に勝つと思っていたからこそ、バディカーナ伯爵(がわ)の貴族から受けた依頼を放棄ほうきして王都を離れたのだ。

『依頼を放棄ほうきしても勝負に勝ちさえすれば、たいした問題にならないはずだ。』と考えて。

今回は多くの裏ギルドに同じ依頼が出されていて、その為、その依頼を成功させられるのはその内のたった一つのギルドになるはずだった。

ほとんどのギルドが依頼に失敗することになるのだから、『依頼を放棄ほうきして王都を離れてもたいして問題になるはずがない。』と思っていた。

それなのに、バディカーナ伯爵が勝負に負けてしまった。

王妃がクラソー侯爵に味方をした所為せいで。


そのおかげで俺たちは、依頼を放棄ほうきして王都を離れた事を多くの同業者たちから激しく非難されている。

今回の依頼で壊滅的な被害を受けた同業者が多かったこともあり、非難の声が収まる気配はまったく無い。

まさか、こんな事態におちいってしまうとは…。


王宮に居る奴らが、俺様よりも上手うわてだったという事なのだろうか?

だが、グラアソの魔術師たちがポーションの価格を高騰させた問題をクラソー侯爵が解決できず、そこから勝負にまで発展したこの状況で、どうして、王宮がクラソー侯爵の味方をする?

そんな事を見抜ける者など居るものか!

クソッ!!


誰がこんなシナリオ書いたのかは知らないが、やってくれる。

王宮には、とんでもなく頭がキレる奴が居る様だ。

いや、違うな。『頭がおかしい奴』だな。

俺様が、”ただ頭がいい”程度の奴に、してやられる訳など無いんだ。

だから、今回のわなを考えた奴の頭がおかしいんだ。

そうとも。

そうに決まっている。


「他の国に行かれますか?」

参謀にそう訊かれた。

…それも手かもしれん。

今回のわなを仕掛けた奴が居るこの国で、このままこの仕事を続けるのは危険だろう。

他の国に移って仕事をする方が、よっぽど安全だ。


だが、逃げる事など出来るはずがない。

そんな事をすれば、この国のギルドにも、移った先のギルドにも舐められてしまう。

既に、今回、依頼を放棄ほうきして王都を離れた事を、激しく非難されているのだ。

それなのに、このまま国を出る?

そんな事、出来る訳がない。

くそう。

一体いったい、どうしたらいいんだ…。


この国で仕事をするのは魅力的だ。

貴族の力が強く、クズな貴族も多い。

この国ならば、この仕事が無くなるなんて事は無いのだからな。

しかし、現状では、このままこの国でこの仕事を続けるのは難しいだろう。

くそう。


最善は、今回のわな仕掛けた奴に一泡ひとあわ吹かせて、”かくちがい”ってやつを見せ付けてからこの国を出る事だ。

『この国でやる事はすべてやってやった!』と言ってな。

だが、その程度の事は相手だって考えているだろう。

きっと、わなを仕掛けられる。

ヤバイ橋をわたらせられる事になるだろう。

だが、それが分かっていても引く訳にはいかないし、引ける状況でもない。

くそう。

本当に、どうしたらいいんだ…。



そうか!!

なにも、敵を『今回のわなを仕掛けた奴』にしなくてもいいのか!

同業者をすべてたたつぶして、それからこの国を出て行けばいいんだ。

そうすれば、誰にも舐められず、『この国でやる事はすべてやってやった!』と言って、堂々とこの国から出て行けるだろう。

そうだ。

それなら王宮に居る『頭がおかしい奴』を敵に回すことにはならないし、それどころか味方をしてくれるかもしれない。いや、きっと味方をしてくれるだろう。

そうだ。

そうしよう。


そう決めた俺は、ハッと気付く。

…なるほど。

これか…。

これこそが、奴の”真の狙い”か!!



奴は、一体いったい、いつからコレを仕組んでいた?!

ルールを作った時からか?

王都内での妨害行為が禁止されていなかったこともそうだが、『協力者』なんてルールを作り、大勢おおぜいの貴族たちが裏ギルドに同じ依頼をする様に仕向けたのも、奴が仕組んだのだろう。

魔石の買い占めも、ポーションの価格高騰の対策に国に積極的に動かなかったのも、きっとそうなのだろう。

そもそも、グラアソの街が魔術師を集めるのをめさせなかった事もそうなのか?

くそう。疑い出すとキリが無い。


考えるのをめて、天井を見上げる。

王宮に居る『頭がおかしい奴』の手の平の上で、いいように踊らされている。

その事にムカつく。

だが、奴の思惑に乗らざるを得ない。

俺が出来る事の中で、それが最善だろう。


俺がこの国から出る判断は、間違っていない。

俺たちの仕事は、命懸けの仕事なんだ。

わざわざやりにくい場所で、この仕事を続けるべきではないんだ。

この国から出る判断は間違っていない。絶対に正しい。

俺様がこの国から出るのは絶対に正しいし、移った先でもこの仕事をやり続ける為には、舐められたままこの国から出て行く訳にはいかないのだ。


やってやる。


すべての裏ギルドをたたつぶして、この国を出てやる。

踊らされている気がしてくやしいが、俺様になら出来る。

いや。

俺様にしか出来ないのだ!


そうとも。

すべての裏ギルドをたたつぶして、『この国でやる事はすべてやってやった!』と言いはなち、俺はこの国から出て行くのだ!


堂々とな!!


(設定)

(王宮に居る『頭がおかしい奴』の計画ってなんだったの?)

そんな人は居ませんし、計画だって有りませんでしたよー。

この人が勝手にそう思ってしまっただけですよー。

ええ。

それと、『書いている人が考えていた以上に状況に引っ掻きまわされてしまった人が居た。』という訳でもアリマセン。

ええ。

すべて『ケイカクドオリ。』ナノデス。(り顔 & ふるえ声)

ホ、ホントダヨ?(←ダウト!!)


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