62 外伝 ある騎士団員の話。コーラルとコーレル
(人名)
コーラルとコーレル
配属二年目の騎士団員。双子。子爵家の次男と三男。
ベラス
騎士団員。コーラルとコーレルの上官。
バディカーナ伯爵派だったが、『王妃様がクラソー侯爵の娘を王宮に招いている。』という情報を偶然得たことで、『王宮はクラソー侯爵を勝負に勝たせるつもりらしい。』と考え、上司と共にクラソー侯爵派に寝返ることにした。
バディカーナ伯爵の馬車を狙っている裏ギルドのアジトを摘発する部隊の一員として建物を封鎖する任務を与えられていたが、その部隊に合流せずに道を封鎖した。
封鎖した道は、『ここで裏ギルドがクラソー侯爵の馬車を襲撃する。』と騎士団が予想した場所の近くで、その道を封鎖することで、襲撃が予想されていた場所へクラソー侯爵の馬車を行かせない意図が有った。
< コーラル視点 >
「班長、これは指示されている任務とは違いませんか?」
僕は班長に訊いた。
「これでいいんだ。」
「しかし…。」
「上官の命令は絶対だっ。そうだろうがっ。」
「…はい。」
騎士団では上官の命令は絶対だ。
だから、僕は班長に問題点を指摘するのを止めて、班長の後ろに控えた。
双子の弟と一緒に。
今、僕たちは道の封鎖をしている。
乗って来た馬車二台を道に横向きに停めて。
だが、僕たちの班に与えられた任務は、とある商会の建物の封鎖だったはずだ。
どうして、こうなっているのだろう?
何故、道を封鎖しているのだろう?
訳が分からない。
だが、騎士団では上官の命令は絶対だ。
だから、僕たちは上官の命令に従うしかないのだ。
四人の女性たちがこちらに歩いて来るのが見えた。
その内の一人の顔には見覚えがある。
チラリと弟を見ると、自分と同じ顔をした弟の表情は、僕と同じ意見であることを告げていた。
その女性が班長に近付き話し掛ける。
「通ってもよろしいでしょうか?」
その”お澄まし”した声に思わず吹き出しそうになるが、頭の中を空っぽにする事で何とか耐えた。
吹き出したりしたら、後が怖いからな。
「ここは通行止めだ。」
ベラスさんがそう答えた。
「どうして通行止めなのでしょうか?」
「騎士団の仕事だ。従え。」
そう言われたその女性が不機嫌になった事が表情を見て分かった。
班長の後ろに控えている僕たちは、ハラハラしながらその様子を見守る。
その女性が班長に言う。キッとした表情で。
「29班班長ベラス様。あなたに与えられた任務は道の封鎖ではなく建物の封鎖でしょう。ここで何をしているのですか?」
「なっ?!」
「「えっ?」」
班長が驚いている。
僕たちも驚く。
どうして僕たちの任務の内容を知っているんだ?
「………………。」
班長は黙っている。何て答えようか考えているのだろう。
「こ、これは騎士団の仕事だ! 口出しするな!」
「通らせていただきますよ。私たちも”仕事”ですので。」
そう言って、その女性は班長にズイッと近付く。
「通すわけょ…。」
ドサ
班長はそこまで言って倒れた。顔を不自然に振った直後にガクンと腰を落とし、前のめりになって。
「なっ?!」
「おい!」
驚いてそう声を上げる同僚たちを弟と一緒に手で制する。
そして、地面に顔を付けて気を失っている班長の姿を視界に収めない様にしながら、その女性に訊く。
「ここで何をしているのですか? 姉さん。」
そう。その女性は僕たち兄弟の姉だった。
姉さんは王宮でメイドをしているはずだ。
それなのに、どうしてこんな場所に居るのだろうか?
メイド服ではないから非番なのかな?
でも、さっき『仕事』って言っていたよな?
それと、どうして僕たちの任務の内容を知っていたのだろう?
班長を沈めた理由も分からないしなっ。
色々と訊こうとしたのだが、それよりも先に姉さんが弟(コーレル)に言う。
「コーレル、縛っておきなさい。」
「………………。」
こちらが色々と疑問に思っていることを分かっているはずなのに、それに答えようという素振りをまったく見せないばかりか、自分がぶん殴って沈めた僕たちの上官を縛るように指示を出す、そんな僕たちの姉がそこには居た。
僕たちを共犯者にするつもりなのかな?
さすが姉さんダナー。
そんな姉さんに呆然としながら、弟が班長をロープで縛り始めたのをぼんやりと眺めた。
僕たちの同僚たちは、大人しくしている。
弟が言う事をきいているから口を出しにくいのだろう。彼らは平民だしな。
僕たちの上官を一撃で沈めて、それを弟に縛るように命じている姉さんにビビっているだけかもしれないが。
そんな同僚たちに指示を出す。姉さんが。
「あなたたちは、引き続きここを封鎖しておきなさい。こちらからも二人出します。」
ここは、このまま封鎖しておくみたいだ。
それと、姉さんと一緒に居た人の内の二人もここに残るみたいだ。
ここの封鎖は僕たちの任務じゃないんだけど、それを言い出せる様な状況ではないなぁ。
僕たちの同僚たちは、姉さんの言う事を姿勢を正して聞いている。
『騎士としてそれはどうなのかな?』とか思わなくもないが、逆らったところで犠牲者が増えるだけだ。
ロープで縛る手間が省けた事を喜ぼう。
うん。
弟が、ロープで縛った班長を目立たぬところに転がして戻って来た。
たまにおかしな事を仕出かす弟だが、あんなにグルグル巻きにする必要がどこにあったのだろうか?
『イイ仕事をやり遂げたぜ!』って感じのイイ表情をしている理由もよく分からないな。
そんな弟に呆れていたら、姉さんが僕たち二人に言う。
「コーラル、コーレル、付いて来なさい。」
そう僕たちに言った姉さんは、サッサと歩き始めてしまう。
僕は、弟と顔を見合わせる。
騎士にとって、上官の命令は絶対だ。
たとえ、任務の内容と違った命令であろうとも、上官の命令には従わなければならないのだ。
その上官は、姉に沈められ弟に”ミノムシ”にされて片付けられてしまっているのだが、それによって命令が無くなる訳ではない。
この場を離れて姉さんに付いて行く訳にはいかないだろう。
『誰が上官を沈めたのか?』とか『上官を”ミノムシ”にするのはいいのか?』とか『さっきから上官の様に振舞っているよね?』とか、それらの事は今は何処かに置いておいて。
姉さんにキッパリと言わないといけないだろう。『ここを離れる訳にはいかない。騎士団では上官の命令は絶対だから。』と。
僕がそう言おうとしたら、姉さんが振り返って僕たちに言った。
「姉の命令は?」
「「絶対!!」」
僕と弟の声が綺麗に重なった。
「付いて来なさい。」
「「はい!!」」
そう。たとえ騎士であろうとも、姉の命令には絶対に逆らえないのだ。
何故ならばっ。
それが『この世の理』だからだ。
姉さんの後ろを弟と並んで歩きながら、ふと、姉さんがメイドになる前の事を思い出した。
姉さんの事を思い出す時に、必ず思い出す光景がある。
騎士になるべく庭で剣の稽古をしていた僕たちが、姉さんに護身術でぶちのめされた光景だ。
あれは、お母様に頼まれて『剣の上達具合を見たいから。』とか言われて、姉さんと木剣で打ち合うことになったんだったな。
あの時は酷かったなぁ。(遠い目)
僕は、木剣を構えて姉さんと向かい合った。
お母様の『始め。』の合図で姉さんは一気に距離を詰め、あっさりと僕の剣の間合いの内側に入って来た。
僕が距離を取ろうと下がっても離れず、止むを得ず攻撃態勢に入ろうと瞬間、木剣を握ったままの拳でアゴを殴られて倒された。
『剣を使えよ!』とか『僕の知ってる護身術と違う!』とか色々と思ったものだ。
その後も、何度も姉さんと手合わせをした。
だが、いつも剣の間合いの内側に入られてぶちのめされた。
その度に、『だから剣を使えよ!』とか『ソレ、ぜったい護身術じゃないだろ!』とか思ったものだ。
姉さんとお母様は満足していた様子だったが、二人が何処を目指していたのか僕たち二人にはサッパリ分からなかった。
そんな姉さんが家を出た。
王宮のメイドになって寮に入ったからだ。
姉さんにぶちのめされることが無くなった事を、弟と一緒に喜んだものだ。
その後。のびのびと剣の稽古を積んだ僕たちは騎士団への入団を認められた。
騎士団の訓練は厳しかったが、僕たちは付いていけた。
その厳しい騎士団の訓練で気が付いた事が有った。
それは、姉さんの強さが異常だったという事だ。
騎士団には、姉さんの様に素早く動ける人も、的確に急所を突ける人も居なかったのだ。
騎士団で訓練に明け暮れている今だからこそハッキリと分かる。
姉さんの強さが異常だった事はともかく…。
アレを『ただの護身術よ。』と言い張っていた姉さんも、アレを姉さんに教えたお母様もおかしいだろ!!
心の中で”魂の叫び”を上げてから、意識を現実に引き戻した。
僕たちの前を歩く姉さんの頭頂部を見下ろしながら考える。
姉さんは王宮でメイドをしているはずだ。僕たちはそう聞いている。
なのに、どうしてこんなところに居るのだろう?
『仕事』とか言っていたが、それならメイド服を着用していないとおかしいのではないか?
それに、本当にこの”暴力姉”はメイドとしてやっていけているのだろうか?
惨状しか脳裏に思い浮かばないのだが、王宮でその様な凄惨な事件が起きたなんて話は聞かないしな。
ちょっと訊いてみる。
「姉さん。メイドの仕事はどう?」
「ちゃんとやってるよ。」
「ほんとに?」
怒られそうな言い方になってしまった事に焦って、咄嗟にみぞおちを手でガードしたが、振り向きざまにエグイヤツをぶち込まれる事はなくホッとした。
そんな僕の様子に気付いているのか気付いていないのか、前を向いたままの僕たちの姉は上機嫌そうな声で言った。
「私、掃除は得意なのよ。」
姉さんを先頭に歩く僕たち四人の視線の先に、ある商会の建物が見えてきた。
それは、僕たちが本来の任務で封鎖するはずだった建物だった。
角地に建つその建物の手前の道で、姉さんは一度立ち止まって手を振った。
ん? 道の向こうに知り合いでも居たのかな?
姉さんは、僕たちを振り返って言う。
「この建物に入るわよ。」
「「………………。」」
そう言われても、『はい、そうですか。』と言う訳にもいかない。
姉さんに言われるままここまで付いて来ちゃったけど、今の僕たちは騎士団の仕事中なのだ。
僕たちの元々の任務はこの建物の封鎖だったが、建物の中にまで入ってしまうのはマズイだろう。
既に、上官の命令を無視していたり、上官を”ミノムシ”にしちゃったりしているんだけど、それでもこの建物の中に入ってしまうのには躊躇してしまう。
そんな僕たちに姉さんが言う。
「姉の命令は?」
「「絶対!!」」
今度も、僕と弟の声が綺麗に重なった。
魂に刻み込まれているのだから当然だな。
そんな僕たちを姉さんの同僚が笑って見ているが、『この世の理』の前では大した問題では無いな。うん。
「付いて来なさい。」
「「はい!!」」
たとえ騎士であろうとも、姉の命令は絶対なのだ。
それが『この世の理』なのだから仕方がないのだ。うん。
何となく胃が痛くなったが、その原因がどれなのかを考えるのが面倒だったので、僕は頭の中を空っぽにして姉さんの後を付いて行った。
不自然に奥まった場所に在る、この建物の入り口に行く。
そこには男が一人立っていた。
その男に、姉さんが話し掛ける。
「こんにちは。中に用が有るの。案内をお願い。」
「ヘッ。今日は休みだ。出直しな。」
そう言った男は、姉さんに頭を下げた。
セリフと行動がまったく合っていないのだが、姉さんが何をしたのかが分かった僕たちは、心の中で『うわぁ…。』と声を上げた。
男は、体を折ってその場で蹲る。「うごぉ…。」とか呻き声を上げながら。
姉さんはエグイヤツをイイトコロにぶち込むのが得意だったが、それはメイドになった今でも変わっていなかった様だ。
以前よりも威力が増していた様に見えたのは、メイドの仕事で筋肉が付いたからなのだろうか?
姉さんに逆らわなくてよかった。本当に。
僕はそう安堵しながら、彼の冥福を祈った。(注:死んでません)
姉さんの指示で、男をロープで縛って目立たないところに転がしておいた。
改めて彼の冥福を祈っておこう。(注:死んでません)
建物の中に入って行く姉さんたちの後を、僕たちも追う。
一番奥の部屋に入った姉さんたちに続いて部屋に入ると、その部屋の中には下に降りる階段が在った。
隠してあるかの様なその階段の存在に、僕たちは驚く。
そんな僕たちを余所に、姉さんたちはサッサと階段を降りて行く。
ここでも姉さんたちに付いて行くか少し悩んだが、結局、僕たちも姉さんたちの後を追って階段を降りて行った。
階段を降りた先は、狭い廊下だった。
その廊下を歩いて行く姉さんたちの後を、僕たちも付いて行く。
僕たちの前を歩く姉さんたちは迷いなく進んで行く。
前にも仕事で来た事が有ったのかもしれないな。
王宮に勤めるメイドが来る場所にしては色々とおかしい気がするけど。
薄暗いし、薄汚ないしね。
前を歩く姉さんたち二人は、部屋の一つに入って行った。ノックもせずに。
その程度の事には既に驚かなくなっている自分に少し呆れながら、僕たちも姉さんたちに続いて部屋の中に入って行った。
「なんだぁ? お前らは。」
ソファーで寛いでいた五人の男たち。その内の一人がこちらを見て言った。
「お掃除に来ました。」
姉さんのそのセリフに男たちが一瞬驚いてから、言う。
「…そんなものは頼んでない。」
「ええ。」
姉さんはそう答えた。それが当然だとでも言いたげな態度で。
僕たちは無言だ。
この後、姉さんが言いそうなセリフが頭の中に思い浮かんでしまったので。
姉さんが言う。僕の頭の中に思い浮かんだ通りのセリフを。
「ゴミをお掃除させていただきますね。(ニッコリ)」
姉さんのその上機嫌な声を聞いた僕の頭の中には、今、姉さんが浮かべているであろう笑顔がハッキリと思い浮かんだのだった。
姉さんが言うところの『掃除』が終わったようだ。
『来た時よりも散らかっているよね?』とか、『”でっかいゴミ”が散乱しているこの状態を『掃除した。』って言っていいのかな?』とか、言いたい事がいくつか頭の中に浮かんだが、姉さんが『掃除』と言っていたのだからこれは『掃除』なのだろう。うん。
姉さんの指示で”でっかいゴミ”をロープで縛り、弟と二人で隣の部屋に運び込んだ。
何度も往復したのだが、何故か、なかなか運び終わらない。
『一体、どういうカラクリなのだろうか?』と不思議に思っていたら、姉さんたちがどこからか”でっかいゴミ”を運び込んでいた様だ。
僕たちがこの部屋に来た時、ここに居たのは五人だったのに、その三倍くらい運び込んで、ようやく運び終えた。
うん。おかしい。
何処からこんなに出て来たのかな? Gなのかな? Gなのかなっ?
この後もしばらくこの部屋に留まり、時々運ばれてくる”でっかいゴミ”をロープで縛って、弟と二人で隣の部屋に運び込んだ。
運んだ人数はもう分からないし、数える気にもならない。
「掃除が終わったから、私たちは帰るわね。」
未だにこれを『掃除』と言い張る姉さんに呆れてしまうが、それはもうどうでもいいや。
呆れている僕に、姉さんが続けて言う。
「騎士団には私たちがゴミ回収をお願いしておくわ。それまであなたたちはここでお留守番をしていなさい。」
さらに僕たちにいくつか指示をしてから、姉さんたちは帰って行った。
僕たち二人は、ボーっと突っ立って待つ。
ソファーが片付けられて広くなったこの部屋で、『早く騎士団の人たち来ないかなぁ?』と、ただそれだけを考えながら。
他の事なんて考えたくなかったからなっ。
しばらくボーっと突っ立ったまま過ごしていたら、廊下を歩いて来る人の気配を感じた。
その人たちがドアの向こうから姿を見せた。
その人たちは騎士団の人たちではなかった。
かと言って、商人の様にも見えず、その姿は、まるでチンピラの様に見えた。
「うおっ、なんだこりゃ?」
「何だぁ? お前らは。」
彼らは、僕たちを見てそんな事を言う。
そんな彼らに、僕は姉さんから言われた通りのセリフを言う。
「騎士団の者だ。ここでの君たちの仕事について話を聞かせてもらえないか?」
僕にそう言われてギョッとした男たちは、少しの間を置いてから殴り掛かってきた。
そんな男たちを、弟と二人でぶちのめした。
大して強くなかったのは、姉さんが言っていた通りだった。
でも、『強い奴は危険を察知してこの建物に近付かないだろうから、あなたたちだけで大丈夫よ。』なんて言っていた姉さんは、一体何者なのだろうか? 自分たちの姉でありながらよく分からないな。
ここでした『掃除』も、どう考えてもメイドの仕事には見えなかったしなっ。
一体、姉さんは何の仕事しているのだろうか?
本当にメイドの仕事をしているのか?
今度家に帰ったら、お母様に訊いてみよう。
ぼんやりとそんな事を考えながら、僕たちはぶちのめした男たちをロープで縛って、隣の部屋に運び込んだ。
その後。
来てくれた騎士団の人たちと一緒に、縛った男たちを馬車に乗せて留置場に運んだ。
留置場には沢山の馬車が停まっていて、引き渡しに時間が掛かった事にはイライラした。
職場に戻ったら報告書を書かなければならないのに!
やっと、職場に戻って来れた。
はぁ…。もう一仕事だ…。
今日の出来事を思い出しながら、書ける内容だけ報告書に書いて上司に提出した。
だが、上司からやたらと報告書の内容に注文を付けられた。
ですよねー。内容が色々とアレですしねー。(苦笑)
僕は、上司から言われた通りに報告書を書き直す。
まぁ、それ自体はいつもやっている事だから、別に腹を立てたりはしない。
今日の出来事は、特にアレだったし。
でも、僕に報告書を押し付けて、仕事をしているフリをして落書きをして遊んでいる弟には腹が立つけどなっ。
上司が気に入ってくれる様に報告書を書き上げて、やっと今日の仕事が終わった。
弟を連れて職場を後にする。足早に。
報告書を書き始めた時に、ベラスさんの事をすっかり忘れていたことを思い出してしまったのでっ。
ベラスさんの事はそのまま忘れたままにすることにして、僕たちは寮に帰ったのだった。
(設定)
(『王宮でその様な凄惨な事件が起きたなんて話は聞かないしな。』のセリフについて)
王宮で騎士や貴族のボンボンなんかがメイドさんにぶちのめされる事件は、以前から割と頻繁に起きています。
ですが、メイドさんにぶちのめされた本人はもちろん、ぶちのめしたメイドさんもわざわざそんな事を言い触らさないので、そういった話が広まることはほとんど無いのです。
ちなみに、メイドさん一人が一日でぶちのめした最高記録は39人(複数回ぶちのめされた人も”一人”としてカウント)で、メイドだった若い頃の王妃様が打ち立てました。王宮に配属になった初日に。更新される見込みが無さそうな大記録です。
(もともと、アジトを摘発するはずだった騎士団員たちは?)
裏ギルドのアジトを摘発するはずだった騎士団員たちは、来なかったベラス班の分の増員を上に要求しました。ですが、それには応じてもらえずに別の任務を与えられてその場を離れました。
その情報を得たメイドさんたちが、そのアジトを襲撃しました。
コーラルとコーレルを引き抜いて連れて行ったのは、彼らに手柄を立てさせる為です。
(突発的メイドさん紹介)
コーリー
近接格闘術を得意とする、最強格の一人。
素早く敵に接近し、相手が攻撃しにくい間合いで戦うことを得意とする。
極めて近い間合いからエグイヤツをイイトコロにぶち込む。相手は悶絶する。
狭い場所での一対多での戦闘で無類の強さを発揮する拠点強襲のスペシャリスト。
相手を悉く悶絶させるその戦い方から、『地獄からの使者』、『地獄を顕現せしめる者』、『むしろ彼女が地獄』などと呼ばれて、とても恐れられている。
二つ名はまだ付いていないが、その理由は『このままでは二つ名が『地獄』になってしまう!』と、本人が全力で拒絶しているからだという説が最有力である。
そろそろ『無駄な抵抗』と察することになりそうな気配がある。
子爵家の長子。弟が三人居る。弟たちの内の下二人は双子で騎士団に所属している。
母親が元王宮のメイドで、母親から格闘術を仕込まれた。
メイドになる前は、その格闘術を護身術と偽って弟たちの剣の稽古に混ざってボコっていた。(←ヒデェ)
木剣を握ったままの拳で弟たちをボコっている内に近接格闘術の才能を開花させた。開花させてしまった。
尊い犠牲となった弟たちに敬礼ッ。(注:死んでません)
コーリーの同僚
コーリーと共に、コーリーの双子の弟(コーラルとコーレル)と一緒に『掃除』に参加していた人。
「コーレルきゅん、きゃわわ。」、「ちょっとおかしなところがコーラル君よりイイ!」とコーレルに興味津々のご様子。
「今度デートに誘っていい?」とコーリーに訊いたところ、コーリーに笑顔で地獄を見せられた。(←ヒデェ)
でも、諦めてはいないご様子。冥福を祈る。(注:死んでません。…まだ。(←?))




