52 王宮での出来事09 ナナシ、二度寝の危険性を知る。それと、お風呂場の改築を考える
「今日は来客があるので、昼食やお茶の時間をご一緒できません。(しおしお)」
朝食の席で、シルフィにそんな事を言われた。
ふむ。そうなのか。
まぁ、王女様なのだから、そんな事も有るよね。
むしろ、今までそういう事が無さ過ぎた感じがするね。
まぁ、シルフィだからなー。(←失礼です)
さて。
シルフィが昼食やお茶の時間に居ないとなると、その時間に俺が王宮に居る必要って無いな。
隠れ家に行ってダラダラしていようかな?
朝食を済ませたら、隠れ家に行って二度寝をしてしまうのもいいかもしれないね。(ニマニマ)
「…何だか嬉しそうですね?(ジットリ)」
シルフィにそう言われてしまった。ジットリとした目で。
俺は、慌ててシルフィの誤解を解く。
「いやいや、そんな事はないよっ。うん。ただ、『隠れ家に行って二度寝をしようかな。』って思ってただけだからねっ。(ビクビク)」
「二度寝…。うん。いいですよね。二度寝。(ニッコリ)」
おや? 笑顔だ。
どうやら、隠れ家に居た間に、シルフィに二度寝の良さを教えてしまっていた様です。
『二度寝が気持ち良い』ってだけで俺は何も悪くないんだけど、何だか悪いことをしてしまった様な気持ちになってしまうのは何故なんだぜ?
朝食を終え、部屋に戻って食後のお茶を楽しみます。
シルフィの背後に控えているクリスティーナさんのお陰で、まったく『楽しむ』って感じぢゃあありませんがっ。
黒いオーラの圧に負けて、いつもより大分早く食後のお茶を飲み終えると、クリスティーナさんはシルフィを小脇に抱えられて持ち去って行きます。
すっかり見慣れた光景とシルフィのお尻です。
見慣れてよい光景ではないと思いますが、もうどうでもいいやー。(諦めた目)
よし。
隠れ家に行って、ダラダラすることにしよう。(ニマニマ)
ケイティさんに、おやつの時間まで戻って来ない事を告げて、ササッと隠れ家に転移します。
おやつはちゃんと食べますよ? 王宮のおやつは美味しいので。
隠れ家に来た。
よし。二度寝だ。(ニマニマ)
いそいそと寝室に行き、寝巻に着替えてベッドに入ります。
おやすみなさい。
ぐぅ。
起きた。
「んーーー。」と体を伸ばす。
やっぱり二度寝は最高だぜ!
引き続き、そのままベッドでゴロゴロダラダラします。(←すっかりダメな人です。よい子はマネしてはいけません)
ゴロゴロダラダラする事と天井のシミの数を数える事に飽きたので、他に何かやる事がないか考える。(←天井のシミの数を数え始める前に考えましょう)
『食材を買いに行きましょう。』
「………………。」
頭の中で【多重思考さん】にそう言われて、何だか力が抜けた。
ゴロゴロダラダラしていただけのなのに、抜ける力が有るなんて不思議だね。
それはそれとして。
どうして【多重思考さん】は、そうやたらと食材を買わせようとするのかなぁ。
『ダーラムさんを餌付けするのに必要です。』
「『餌付け』言うなや。失礼だろ。」
『食材が無ければ料理を作れないのは当然のことです。ふぅ、やれやれだぜ。』
「『ふぅ、やれやれだぜ。』とか言うなや!」
【多重思考さん】が失礼です。
うーん。どうしようかなぁ。
先日、食材の買い出しをしたばかりだからまだ余裕は有るはずだけど、今日みたいに時間が有ることってあまりないからなぁ。
そんな事を考えていたら、【多重思考さん】に体を勝手に操作されて着替えを始めていました。
「おい。」
『お気になさらず。買い出しなんて、【目玉】を使って森の木の数を数えている間に終わらせてしまいますから。』
「そんな無駄な事しねぇよっ! 一体どれだけ買い物する気なんだよっ! それに、体を勝手に操作されて買い出しになんて行かれたら、のんびりと森の木の数なんて数えていられねぇよ!」
全力のツッコミです。まったく、【多重思考さん】はっ。
ふと、気になった事があったので、【多重思考さん】に訊く。
「今まで、俺が寝ている間に勝手に体を操作して勝手な事をしていたことなんて無いよね? 結婚式の前後と”あの事件”以降は。」
『………………。』
「おい! 返事しろや!」
『やっていません。やっていませんからご安心ください。ええ。…まだ。(ボソッ)』
「今、『まだ。』って言ったろ?! 今、『まだ。』って言ったろ!」
『二度寝をしている間に食材の買い出しが終わっているなんて、最高じゃないですかー。』
「何を仕出かすか分からないから怖いんだよっ!」
思いの外、二度寝が危険だった! 斜め上な方向でなっ!
買い出しを終えて隠れ家に帰って来た。
なんだか疲れた。
【多重思考さん】に勝手に体を操作されそうで、常に緊張していたからね。
いっその事、買い物専用ゴーレムでも…。いや、ダメか。あんまり目立つ事をしてゴーレム関係の仕事の依頼とか来てしまったら面倒だからね。
それに、そんなゴーレムを作ってしまったら、どれだけ食材を買い込むか分かったものではないからなっ。
【料理グループ】が作ってくれた昼食を済ませ、ソファーでダラー-っとします。
「ダラーー。」(←思わず口に出してしまう変な奴がここに居ます)
『この後、何をしようかなぁ?』と考えて、ふと、お風呂場の改築を思い付いた。
今、お風呂場には浴槽が一つしかない。それを改築して男湯と女湯を作ろう。
一昨日、クリスティーナさんにお尻を叩かれて虚無の目をしていたシルフィを、夜、ここのお風呂に連れて来た。
シルフィには喜んでもらえたのだが、浴槽が一つしかなかったから、シルフィがお風呂に入っている間、俺はやる事が無くて暇だった。
覗きなんてしていませんよ?(←誰に言ってるんだよ)
そんな訳で、お風呂場の改築をしよう。
ワクワクした気持ちでお風呂場に向かいます。
お風呂場に来た。
ここは、短い廊下を歩いてお風呂場の建物に入って、さらに少し歩いてから階段を降り、直角に曲がった階段を降り切った場所が脱衣所になっている。
男湯と女湯を分ける為には、脱衣所の手前で分けなければならないのだが、どうしたらいいのかな?
階段の上で分けないと駄目だよな。それと、下の脱衣所が見えてしまわない様に壁を作らないといけないな。
階段の上に壁を作り、ドアを二つ作って男湯と女湯に分かれる。そして、お風呂場の建物をもう一つ作る。そんな感じかな。
うむ。
それで男湯と女湯に分けられるんだけど、お風呂から上がった後に寛ぐスペースも欲しいかな?
今は、居間まで戻って寛いでいるが、一人ならそれでいいけど、出来れば脱衣所を広くして、そこで寛げる様にした方が良い気がするな。
何だか、シルフィから話を聞いた王妃様が来る様な気がするからねっ。
お風呂上がりに、異性の目を気にせずに涼める場所が在った方が良いよね。
実際に改築しようとすると結構めんどくさいね。
いっその事、新しく建物を建ててしまった方が早い気がしてきた。
銭湯みたいな建物を新たに作ってしまおうかな?
その方が良い気がして来たな。
でも、新たに建物を建てるとして、建てられる場所は在るのかな?
玄関の横のスペースなら作れるかな?
【目玉】を使って、上空から眺めてみる。
少し狭いが、今のお風呂場の建物を解体すれば、新たに建物を建てるスペースを作れそうだ。
うん。そうしよう。
でも、今のお風呂場を解体しなければならないとなると、今夜シルフィに『お風呂に入りたい。』と言われたら困ってしまうな。
別の場所に建物を建てて、転移魔法で移すか?
建物を一つ、転移魔法で移そうとすると、魔力が足りるか不安になるな。
どうしたものかな?
悩んでいたら、頭の中で【多重思考さん】に言われた。
『資材が揃えば、一日も掛からず作れますよ。』
あれ? そんな短期間で出来るの?
でも、仕切る壁が少ないし、作る物も浴槽と脱衣所の棚くらいだから、そんなものなのかもしれないね。
『ええ。それに、この隠れ家を作った時よりも【多重思考】の数が大分増えましたし。』
「………………。」
【多重思考】の数についてはあまり触れたくないなぁ。
どのくらいの数が居るのかは、もう怖くて聞きたくありません。(遠い目)
記憶の中にある『銭湯』をベースに、頭の中で新築するお風呂場の構想を練る。
大勢の人を招く予定なんて無いから、小さい建物でいいね。浴槽が大きくなるとお湯を入れるのも大変だし。
でも、念の為、浴槽は二つずつ作っておくか。人が少なくても多くても対応できるようにね。
王妃様が来ることになれば、メイドさんが一緒に付いて来るだろうし、余裕を持たせておいた方がいいだろう。
そんな感じで、『小さい銭湯』という感じの構想を練り上げた。
よし。
後は【製作グループ】にお任せだ。
『よろしく。』(←相変わらず丸投げが雑です)
『お任せください。明日の夜までに仕上げます。』
うむ。
これで、お風呂場の件は片付いたね。(←丸投げが済んだだけです)
ぢゃあ、俺はお昼寝をするかなー。
昼食を食べてお腹が膨れたし、頭を使って疲れたからね。(←ダメな人の言い訳にしか聞こえません)
いそいそと寝室に行き、寝巻に着替えてベッドに入ります。
おやすみなさい。(本日二回目)
ぐぅ。
隠れ家でのんびりぐっすりして、王宮に帰って来た。
おやつを食べにね。
王宮のおやつは美味しいぜー。ヒャッハー。
おやつを食べ終えて、ソファーでダラー-っとします。
今日は、いつになくのんびり出来ているね。
俺の望んでいた『揉め事を避けて、のんびり過ごす生活』って感じがします。
うんうん。
そんな事を思い、満足感に浸ってダラー-っとしていたら、王様と大臣が部屋にやって来た。
おや?
ダーラムさんのところに手紙を届けた件の報告書に、何か不備でも有ったのだろうか?
そんな事を考えていた俺に、向かいのソファーに座った王様が笑顔で言う。
「素晴らしい魔道具を作っていただいた。どうもありがとう。」
そう言って王様は、首から下げたネックレスを俺に見せる。
ああ。あのネックレスは王様のところへ行ったのか。
「こちらは報酬です。タダでいただける様な品物ではございませんので。どうぞお受け取りください。」
そう言って大臣がテーブルの上にお金が入っているらしき革袋を置くと、改めて礼を言ってから二人は部屋を出て行った。
うーむ。すごく喜んでくれたみたいだね。
喜んでもらえて、俺も嬉しくなります。
でも、意外だったね。
あのネックレスは王妃様のところへ行くと思っていたのにね。力関係的に。
別に、王様のところに行った事に驚いてなんかいませんよ?(←ダウト)
2020.09.12 修正
脱字を修正しました。
すっかりマイペースなナナシパートです。
勝負が行われている最中なのですが、無関係な事には無関心で、のんびりマイペースなナナシでした。
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