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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十四章 異世界生活編09 魔術師の街の騒動 後編 <勝負>
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31 シルフィ、ナナシの凄さを理解する03end 魔法でドオオオォォォン


< ナナシ視点 >


今日は、昼食をシルフィと一緒に絶景を見ながら食べました。

今は、かくに帰って来てソファーでくつろいでいます。

シルフィにならって、ひざの上に乗せたネコをナデナデしながら。

今日はもう、このままダラダラして過ごそうと思います。

太陽の位置を動かす方法なんかの話を【多重思考さん】にされて、精神的に疲れてしまったので。


『魔法でドオオオォォォンとしましょう。』

『………………。』


何の脈絡みゃくらくも無く【多重思考さん】にそう言われた。

言われた内容も内容だったので、ガックリとした気分で【多重思考さん】に訊く。

『『魔法でドオオオォォォン』って何だよ…。』

【多重思考さん】らしくない語彙力ごいりょくの無さです。

いや、【多重思考さん】も”俺”だから、語彙力ごいりょくが無くても別におかしくはないか。

そうだね。何もおかしくはないね。

はははは。

泣いてなんかないですよ?(←誰に言ってるんだよ)


『太陽の位置を動かす事が出来るとかとんでもない事を思っている姫様の認識を、地に足が付いたレベルまで戻しましょう。魔法でドオオオォォォンとやって。』

やっぱり、【多重思考さん】が何を言っているのか分かりません。(苦笑)

頭の中で【多重思考さん】に言う。

『どういう話の流れで、『魔法でドオオオォォォン』っていう話になったのかな? なったのかなっ?』

『『とんでもない』レベルの『とんでもない』を、『凄い』レベルの『とんでもない』にしましょう。』

うん。やっぱり何を言っているのか分かりません。(苦笑)

『ドオオオォォォンとして地面を揺らしましょう。地面を揺すのは既にやったのですからやってもいいでしょう。それに、今回は別の大陸でやりますし。(ワクワク)』

ワクワクした様子で、さらに【多重思考さん】が続ける。

『あれを近くで見ると、かなりの迫力があります。地面を揺らして、『地に足が付いた』レベルの『とんでもない』で強い印象を与えて、『太陽の位置を動かす』なんていうとんでもない考えを吹き飛ばしてしましょう。』

『そんな事を言って、ただ単にドオオオォォォンってやりたいだけなんぢゃないの?』

『ソンナコトナイデスヨ。』

『あからさまに怪しいんだけどっ?!』

『言う通りにしないと、太陽の命はありませんよ。』

『普通に脅迫きょうはくしてきた?! 脅迫きょうはくの内容が全然”普通”ぢゃないけど!』

やべぇ。

太陽さん逃げてー、超逃げてー。

いや、太陽さんに逃げられちゃうと、それも困るな。

氷河期どころの騒ぎぢゃなくなるからな!

くっ。逃げ道なんて無いぢゃないか!

何て脅迫をしやがるんだ!

くそう。


仕方なく、『魔法でドオオオォォォン』をすることになりました。

太陽さんを人質ひとじちに取られてしまったので仕方が無いのです。苦渋くじゅうの決断です。

いや、ひとぢゃないから星質ほしじちって言うのかな?(←それはどうでもいい話です)



荒野に来ました。

昼食を食べた、あの大陸の。

空が赤いです。また。

適当な荒野が無くて、昼食を食べた場所よりもかなり西の、この場所になってしまったんだそうです。


ソファーごと俺と一緒に連れて来られたシルフィを見ます。

シルフィは、赤い空を見上げながら、ひざの上に乗せたネコをでています。

生気せいきの無い目をして。

『この場所にシルフィを連れて来たのは失敗だったんぢゃないの?』

思わず、【多重思考さん】にそう訊きます。

『さぁ、ドオオオォォォンってやりましょう。(ワクワク)』

聞いちゃいねぇ…。

ワクワクした様子の【多重思考さん】にイラッとします。

ですが、太陽を星質ほしじちに取られているので仕方が無いのです。

あきらめて、【多重思考さん】がドオオオォォォンってやるのを鑑賞シマス。(あきらめた目)



< シルフィ視点 >


ナナシさんに荒野に連れて来られました。

ソファーに座ったままです。

ネコをでながら、赤い空をボーっとながめます。

昼食の時よりもさらに空が赤く見えます。

それと、太陽の位置がさらに下がった様にも見えます。

おかしいですよね。

でも、そういうものなのでしょう。

ええ。

サスガ、ナナシサンデスネ。(色々と諦めた目)


隣に座ったナナシさんが話し掛けてきます。

「この前の地面を揺らした時の魔法を見せるね。」

そう言われて、先日の地面の揺れと、ナナシさんから聞かされた話を思い出します。

あの時の話は、西の端の街のさらに南西の場所で魔法の実験をして、王都はおろか、東の端のグシククまで揺れたという話でした。

それを思い出して、体が緊張します。

一体いったい、どれ程の事がこれから起こるのでしょうか?

「あっちを見て。」

ナナシさんが指差した先を見ます。

地平線と赤い空しか見えていなかったのですが、地平線の少し上に『→』と『←』の矢印が浮かび、『↓ このあたり』、『侵入不可』、『減音』という文字も見えました。

『↓ このあたり』の文字のあたりで何かが起こるのでしょう。

これから起こる”何か”に、さらに体が緊張します。

「いくよ。」

そう言われてジッと見詰めます。まなたきを忘れて。


視線の先で、濃い灰色の何かが下から上へ放射状に広がるのが見えました。

あれは何でしょうか?

何が起きたのか分からないまま、放射状に広がった何かが地面に落ちていく様子と、立上たちのぼる煙をながめます。

ゴゴゴゴゴという不気味な音がしたと思ったら地面が揺れ、ドオオオォォォンという音が体に響きます。

「きゃあ。」

怖くなった私は、ナナシさんにしがみ付きます。

ユッサユッサと地面が揺れています。

ゴゴゴゴゴという不気味な音もしています。

オォォォンと空気がふるえる音もしています。

一体いったい、何が起きているのでしょうか?

私は、目を閉じてナナシさんにしがみ付きます。


地面の揺れがおさまってきました。

ゴゴゴゴという不気味な音も聞こえなくなりました。

揺れが完全におさまるまで、長い時間ナナシさんにしがみ付いていました。


「それぢゃあ、現場を見に行こうか。」

そう言ったナナシさんが立ち上がり、私も立たされます。

そう言えば、ひざの上に居たネコちゃんが居ませんね。

あたりを見回みまわしますが、何処どこにも居ません。

「ネコはかくに送ったよ。」

ナナシさんにそう言われて安心しました。


ナナシさんは、私に【フライ】の魔法を掛け、転移魔法で現場の上空に連れて来ました。

「これがさっきの爆発でいた穴だよ。」

そう言われて、私はナナシさんに抱き着いた状態のまま、地面を見下ろします。

地面には大きな穴がいています。

大きな穴です。

その大きさは、王宮の敷地がスッポリと入ってしまいそうデス。

スゴイデスネ。(呆然)

こんなに大きな穴がいただけでなく、地面が凄く揺れました。

これだけの事をしたのに、ナナシさんはまだまだ魔力に余裕が有りそうです。

【フライ】も【転移】も使いましたし、この後も、【転移】で帰らないといけないはずなのに、疲れた素振そぶりなどまったく見せていません。

………ホントウニ、ナナシサンハスゴイデスネ。(呆然)



< ナナシ視点 >


地面にいた大きな穴を見下ろしているシルフィは、ビックリしている様です。

でも、少し目に生気せいきが戻って来た様に見えるので、一応、目論見もくろみ通りにはなったのかな?

その後も、もう少し、爆発の現場をシルフィに見せてから、かくに帰りました。


ちなみに、地面にいた大きな穴は残したままにしておきます。

あの場所なら、証拠隠滅をする必要も無いので。

決して、誰かを脅迫きょうはくする為に残したままにしておく訳ではありません。その予定も有りませんし。

…ほんとですよ?(←誰に言ってるんだよ)



かくに帰って来ました。

ソファーにシルフィと並んで座ると、シルフィのひざの上に、さっきのとは別のネコが置かれました。

【ネコグループ】がしていることです。

そして、シルフィは、早速さっそくネコをナデナデしています。

そのシルフィの目には、生気せいきが少し戻って来ている様に見えます。

多少は上手うまくいったのかな?

そうであってほしいよね。

そうでないと、【多重思考さん】たちを喜ばせただけで終わってしまうからなっ。

今日はもう、何もしないでこのままダラダラして過ごそうと思います。

色々あって疲れたので。

だから、【ネコグループ】さん。

先ほどの荒野でのドオオオォォォンに驚いたネコが、さっきからずっと居間の中を走り回っているので、何とかしてあげてください。お願いします。



夜。

ベッドに入ってしばらくして、頭の中で【多重思考さん】に言われた。

『太陽って、もしかして【無限収納】に入っちゃったりしませんかね?』

その話、まだ続いていたのかよ…。(呆れ)

そう思ったのだが、真面目まじめに考えてみる。気になっちゃったので。

そもそも、【無限収納】に大きさの制限って有るのかな?

名前が【無限収納】なのが気になるよね。それに、太陽は”もの”でもないしね。

………あれ?

もしかして、入っちゃったりするのかな?

『………………。』

『………………。』

『ちょっと、t『試すなよ。』』

『ほんのちょっ『試すなよ。』』

さきっぽd『試すなよ! それと、『さきっぽ』って何だよっ、『さきっぽ』って?!』』

たとえ一瞬でも、太陽が消えちゃったらヤバイよね。

ハンマー投げの様に惑星が吹っ飛んで行きそうな気がしちゃって、怖いよね!

『仕方が無いですね。それじゃあ、星で試してみます。』

『それもやめれ!』

そう言って、即座に【多重思考さん】をめる。

星も怖いからね。

夜空に見える星って、ほとんどが恒星だからね。それと、暗い星だと思ったら銀河だったりするからね。危険過ぎるよね。

『それじゃあ、月を。』

『それもやめれ。』

太陽や銀河よりは大きさ的にはかなりマシだけど、この星への影響が、目に見える形で出そうな気がするからなっ。

『アレもダメ、これもダメ。やれやれだぜ。(ふぅ)』

『当たり前だ! 何かマズイ事が起きちゃったら影響がデカ過ぎるんだよっ!』


この後、なおもブータレる【多重思考さん】を説得するのに、大分だいぶ疲れました。


(設定)

前回の『ドオオオォォォン』は、第十二章での『新魔法披露 四回目』での出来事でした。

【転移】で土を退かして地下に空間を作り、その空間を【クリエイトウォーター】で水で満たし、【転移】で超危険な旧『こたつの熱源』を送り込み、水蒸気爆発でドカンです。


(ひとりごと)

ナナシとシルフィの普通の『日常パート』のつもりが、内容が全然”普通”になってくれない件。(苦笑)

どうしてこうなった。orz

次回は、これよりも大分だいぶマシな『日常パート』になるはずです。…多分たぶん

お気楽な『日常パート』を書くのがプレッシャーになってしまうのは、何でなんですかね?(困惑)


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