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06 1日目 公爵家サイド 執事さん視点


”勝負”をする事が決まった日の翌朝。


私は冒険者ギルドに向かいました。

ギルドマスターに依頼を受けてもらう為です。


ギルドマスターに依頼を受けてもらえました。

かなり不本意そうでしたが。

ギルドマスターと、いくつか相談してから屋敷に戻りました。

徹夜てつやつらく感じます。

もう、としですね。


情報網の再構築の状況について、報告を受けます。

末端まったん掌握しょうあくは順調にいっている様です。

引き続き掌握しょうあくつとめる様に指示を出します。


勝負のルールの詳細を決める話し合いをする為に、王宮に行きました。

大臣との話し合いは、割とすんなりとまとまったと思います。

「ナナシ氏にも参加してもらって最終確認をしたい。」とのことでしたので、ナナシ氏が来るのを待ちます。

ナナシ氏が来ました。

メイドが二人、彼と一緒に居ます。 ”スカートの長いほう”のメイドです。

王宮内にもかかわらず、スカートの長い方のメイドが二人も護衛に就いている事に驚きます。

かなり警戒されている様です。

ナナシ氏もまじえて、勝負のルールの最終確認をします。

”妨害行為の禁止”について、問題提起をされました。

私たちが妨害無しで勝つ事は難しい状況です。

ルールに抜け道を作る事を考えます。

しかし、私のそんな考えに反して、「確認する方法が無いのに禁止したら、後でめる事になる。」と主張されて、人の目のある”王宮内での妨害行為”のみが禁止になりました。

私たちにとっては、悪くないのではないでしょうか。

一応、文句もんくを言っておいてから、同意しました。


屋敷に戻ると、ギルドマスターがたずねて来ました。

冒険者たちに怪我人が多く、人数を集めるのが困難になっているとのことです。

治癒魔術師の移住とポーションの価格の上昇が影響しているのでしょう。

『冒険者が集まらない。』というのは、今の私たちにとって、かなり大きな問題です。

貴族たちに、所有しているポーションを譲ってもらえる様に、お願いするべきですね。

すぐには集められないと思いましたので、ハイポーションを購入する為の資金をお渡ししました。


”裏の仕事”をする組織に依頼をしに行った者たちから報告を受けます。

どの組織にも依頼を受けてもらえなかった様です。

やや予想外でした。

依頼を受けてもらえない組織も有るのではないかと思ってはいましたが、”すべて”だとは思っていませんでした。

相手側のほうが動きが早かったのでしょうか?

それとも、すで見限みかぎられてしまったのでしょうか?

勝負のルールで妨害が可能になったのに、妨害をする駒が十分に有りません。

さらに苦しい状況に追い込まれた感じがします。

依頼をしに行った者たちには、情報網の再構築の仕事を与えてがらせました。


自室にもり、私たちに出来る事を考えます。

しかし、動かせる優秀な駒が無い事にはどうにもなりません。

他の貴族たちから駒を借りるのはどうでしょうか?

無理ですね。

あの王妃様を敵に回す事になるのです。

リスクが大き過ぎます。

そんな馬鹿な真似まねをする者など居ないでしょう。

今は何もせず、このグラスプ公爵家が無くなった後のコトの為に、手持ちの駒を温存しておくのが上策じょうさくでしょうね。

私たちが出来る事の少なさに、目の前が暗くなる思いです。


私の元をおとずれる者が居ました。

かかえの呪術師じゅじゅつでした。

彼の様な優秀な者が、まだ逃げていなかった事に驚きます。

わかれの挨拶あいさつに来たのでしょう。

違いました。

「俺が何とかしてやろう。」

彼は、そう言いました。

「勝ち目は薄いですよ。」

私は、正直しょうじきに彼にげます。

「知ってる。だからだよ。逆に張る方が見返りが大きいだろ。(ニヤリ)」

彼は乗り気の様です。

今の私たちにとっては、がたいことです。

彼は、「王宮の魔術師団などたいしたことない。」、「人生の絶頂期には、思いがけない落とし穴が在るもんだ。」なんて言っています。

楽観らっかんしている様ですね。

楽観し過ぎなのは、どうかと思います。

「メイドたちには注意が必要だ。色々な魔道具を持っている。それに、ナナシ氏も優秀な魔術師だ。用心してくれ。」

彼をたしなめてから、作戦を話し合います。


夜遅くまで、彼と話し合いをしました。


(設定)

< ”スカートの長いほう”のメイドとは >

王宮で働いているメイドには、スカートの長いメイドと短いメイドが居ます。

スカートの長いメイドは、戦闘訓練を受けているメイドです。

その戦闘能力は高く、メイドたちの方が騎士団や魔術師団よりも強い事は、一部の者には知られています。


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