表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十四章 異世界生活編09 魔術師の街の騒動 後編 <勝負>
230/400

02 大臣、勝負のルール案を考える01


やはり、”勝負”をおこなおうとする者が出てきましたね。

打診して来たのが、バディカーナ伯爵家の者だった事は意外でしたが。


彼らの目的は、『魔術師の街』を自称するグラアソです。

あの街は、魔術師を国中くにじゅうからあつめた後、ポーションの供給量を意図いと的に減らして価格を高騰こうとうさせて大儲おおもうけをしている様に見えます。

その割にはお金の動きが少ない様に、私には見えるのですが。

ですが、状況を詳しく知らない者たちから見れば、大儲おおもうけをしている様に見えているのでしょう。

あの街がポーションや魔道具の一大生産地となった事で、価格決定権を握っているのですからね。

ポーションの価格を高騰こうとうさせて大儲おおもうけをしていたとしても、おかしな事ではないのです。

現在のこの様な状況を見せ付けられれば、『あの街を手に入れたい。』と考える貴族が出てきてしまうのも、当然の事でしょう。

”手に入れる手段”が存在するのですから。


前回、ただの平民が勝負に勝って、公爵の爵位と領地を得ました。

貴族たちにとっては衝撃的な出来事だったでしょう。

貴族たちがコレを利用しようと考えるのは、当然の事です。

ナナシ殿が”ただの平民”かどうかはともかく、あの勝負の結果に衝撃を受けた貴族たちが何を考えるのかなんて明らかなのですから。


こうなる事を見越して、既にルール案作りはほとんど終わっています。

勝負が行われる事が決まった時点で貴族が減る様なルールを。

前回の勝負で負けたグラスプ公爵から爵位と領地を取り上げる事が出来たのは良かったです。

勝負で爵位や領地を取り上げても『前例が有る。』と言って、反論を封じる事が出来るのですから。

現状、貴族が多過ぎますし、貴族を減らす良い機会なのですから、しっかりと利用させてもらおうと思います。

国としては、貴族を減らして余計な出費を減らしたいのですから。


後は、きそう獲物と期間を決めるだけです。

きそう獲物は、またオークキングになってしまうでしょうね。

若い冒険者たちにオークによる被害が続出しているという報告を受けていますし、まだオークの集落が6つも在るのですから。

この機会を利用して減らしておきたいです。

ですが、きそう獲物の予測が付いてしまうのはよくありません。

勝負を仕掛ける側が、あらかじめ獲物を狩っておいたり、冒険者たちを大勢おおぜい雇っておく事が出来てしまうのですから。

勝負を仕掛ける側が、かなり有利になってしまいます。


勝負の期間を長く取れば、勝負を仕掛けられた側の不利を多少は挽回ばんかいできる様になるのでしょうか?

でも、もう少し何とかしたいですね。

期間を長くするだけでは、『何の配慮もされていない!』とか言われてしまいそうです。

それで勝負を拒絶されてしまっては、せっかくの貴族を減らす機会を利用できなくなってしまいます。

勝負を仕掛けられた側も満足してくれる様なルールにしておかなければなりません。

冒険者を雇う場合の契約期間を限定させましょうか?

そうすれば、事前に冒険者を雇っておく事が出来なくなって、不公平な状態を減らせる事が出来そうです。

そうしたとしても不公平を完全には無くせないでしょうが、それは仕方が無いですね。

貴族たちがかかえている私兵しへいたちの行動を規制できない以上、不公平を完全に無くせないのは仕方が無いのです。

冒険者はそれでいいですが、魔術師も同様に契約期間を限定させればいいのでしょうか?

それとも、私兵と同じ扱いでしょうか?

勝負を仕掛ける側は、あの街の魔術師たちを私兵と同じと見做みなしていそうですね。

勝負に勝って得られる物の中に、あの街の魔術師たちも含めて考えているでしょうから。

あの街の魔術師たちは、取り敢えず私兵(あつか)いにしておいて、ルールを決める時に異論が出たら考えましょう。


勝負の期間は、何日間にしましょうか?

前回の勝負の期間は10日間でしたが、これは参考にはなりません。

前回は、王女様の結婚式に間に合わせる必要がありましたので。

改めて考えます。

獲物を狩る主力は冒険者たちになるでしょう。

ですが、大勢おおぜいの冒険者たちを長い期間拘束(こうそく)してしまっては、冒険者たちに護衛を依頼している商人たちに迷惑を掛けてしまうことになるでしょう。

商人たちに迷惑を掛けた結果、商人たちが専属の護衛を雇う様になってしまったら、冒険者ギルドから苦情が来てしまいますね。

冒険者ギルドとも相談して、勝負の期間を検討する必要がありますね。

使いの者を出して、明日にでもギルドマスターに王宮に来てもらいましょう。



使いの者を送り出したところで、王妃様に呼ばれました。

きっと、勝負の件ですね。

すぐに王妃様の執務室に向かいます。


今回の勝負について王妃様と話し合いました。

王妃様は、今回の勝負は『”引き分け”か”魔術師の街の負け”が良い。』と、お考えでした。

そして、魔術師の街(がわ)の妨害の為にメイドたちを派遣するとのことでした。

魔術師の街に勝たれると、ポーションが品薄しなうすになっている問題が解決しないのですから、王妃様のお考えは妥当だとうなものです。

それと、王妃様は『バディカーナ伯爵をそそのかして影から勝負に協力する者が居るはず。』と、お考えでした。

ルールで協力者を明らかにする様にするのかと思いましたが、その様なルールにしなくても良いとのことでした。

意外に思いましたが、『爵位の高い者は目立たない様にコッソリと協力するはずよ。そうなれば、勝負で目立った働きをした者との間で報酬でめて仲違なかたがいをするわ。その後で、誰かをそそのかして勝負を仕掛けさせて、双方に痛い目に遭ってもらいましょう。』との事でした。

やはり、王妃様は敵には回したくないですね。



王妃様との話し合いを終えて、自分の執務室に戻って来ました。

私は、もう一度、ルール案に目を通します。

今回の勝負は、”引き分け”か”魔術師の街の負け”となる様にすることに決まりました。

ですので、仕掛けた側が有利になってしまうルールのままでもかまわないのですが、これから先も使用可能なルール案にしておきたいですからね。

仕掛けた側が有利になってしまう、この不公平な状況を解決する良い方法がないか、改めて考えます。


問題なのは、勝負できそう獲物の予測が付いてしまう場合が有ることです。

また、予測が付かなくとも、きそう獲物になりそうなものに見当を付けて狩っておく事も可能です。

その為、事前に獲物を狩っておいてから勝負を仕掛ける事も可能になってしまうので、勝負を仕掛ける側が有利になり過ぎてしまいます。

この不公平な状況を解決する良い方法がないか考えます。考えます。

考えますが、勝負を仕掛ける側が事前に動く事を確実にめさせる方法なんて思い付きません。

やはり難問です。

さらに考えましたが、やはり良い方法なんて思い付きません。


良い方法が思い付かなかったので、逆に、勝負を仕掛けられた側が有利になる方法を考えてみることにします。

その方法を考えていて、ふと、気付きます。

勝負に負けても命を失う訳ではないので、攻守こうしゅを入れ替えての再戦の機会が有りますね。

爵位や領地などを失っていると金銭的な問題で再戦する事が難しくなってしまいそうですが、協力者が居れば何とかなるかもしれません。

それに、勝負が行われるたびに貴族が減るルールにする予定なので、再戦はこちらにとっても大歓迎です。

再戦しやすいルールを考えます。

しかし、再戦しやすいルールを考えようにも、金銭的な問題のデメリットが大き過ぎて、ルール程度ではどうにもならない気がします。

と、なると、勝負を仕掛けられた側に協力する者に対して何らかのメリットを与える様なルールでしょうか?

その方向で考えてみましょう。

勝負を仕掛けられた側へは、二年()たないと再び勝負を仕掛けられないルールを考えています。

繰り返し勝負を仕掛けられたら、疲弊ひへいしてしまっていずれ勝負に負けてしまいますからね。それを防ぐ為のルールです。

そのルールを、協力者にも適用しましょうか?

『勝負を二年間仕掛けられる事が無い。』というのはメリットになりそうな気がします。

そのメリットを目当てに協力者が増えれば、勝負に使える人数が増えますし、そのぶん相手の妨害に使える人数も増えます。

対策のしようの無い”時間の不利”を、”戦力の数”で挽回ばんかいできる様になるかもしれません。

前回と同様に妨害が可能なルールにする予定ですので、妨害に使える人数が増える事は決して軽視できないほどの影響が有るでしょう。

相手側の獲物が入っている【マジックバッグ】を奪えれば、それで逆転が可能なのですからね。

これが一番効果が高い気がします。

そして、これなら勝負を仕掛けられた側も納得してくれそうです。

そうですね。

ルール案は、これで行きましょう。


後は、勝負の期間を冒険者ギルドのギルドマスターと相談して決めれば、ルール案は完成ですね。


(設定)

(残っているオークの集落の数)

前回の勝負の時、9個のオークの集落が在りました。

公爵家が雇った冒険者たちが殲滅を目指した集落は、メイドさんたちが殲滅

もう一つを、メイドさんたちが帰り道についでに殲滅。

ナナシが、冒険者たちへオークをぶつけるのに利用した集落は、オークが散り散りになって消滅。

(この散り散りになったオークたちが、森の中で新米冒険者たちと遭遇して犠牲者を出してます。)

ナナシが狩った一番大きいオークキングが居た集落は、オークキングとオークジェネラルが居なくなってしまいましたが、集落自体は存続しています。

で、現在残っているオークの集落は6個です。

オーク多くね?(←作者が何気なにげに一番気に入っているセリフです)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ