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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十四章 異世界生活編09 魔術師の街の騒動 後編 <勝負>
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01 『魔術師の街』を狙う者たち01


< ソーンブル侯爵視点 >


”あの街”は、上手うまいことやっている。


魔術師を国中くにじゅうからあつめて、ポーションを作らせる。

ただそれだけの事で、ポーションの価格決定権を容易よういにぎられてしまった。

あの街が魔術師への優遇措置ゆうぐうそちった程度で、こんな事になるなんて思ってもいなかった。

魔術師ごときの事に、注意を向けてなどいなかったからな。


あの街がポーションの価格決定権をにぎった後。

ポーションの供給量を減らして品薄しなうすにし、価格を高騰こうとうさせて大儲おおもうけしている。

他の街も、それに追従ついじゅうして、ポーションの価格を引き上げている。

あと、魔石の価格も高騰こうとうしているとか言っていたな。

きっと、他の街でポーションを作られない様にする為に、材料の一つである魔石をあさっているのだろう。大儲おおもうけした金を使って。

本当に上手うまいことやっている。あの街は。


だが、まぁいい。

あの街がいくらもうけようともかまうものか。


あの街ごと、すべてを手に入れてしまえばいいだけなのだからな。



前例は有る。

王女様の結婚相手にとなえた義兄ぎけいのグラスプ公爵が、王女様の結婚相手を再考さいこうさせる為に”勝負”をいどんだ。

グラスプ公爵がその勝負に負けて爵位と領地を失ってしまったのは、予想外だったが。

そして、その公爵の爵位と領地を得たのが、その勝負に勝った男だった。


我々も、あの街の領主に”勝負”をいどみ、勝ってあの街ごとすべてを手に入れるのだ。



仲間を集めて、コッソリとポーションをあさらせた。

品薄しなうすにして、さらに価格が高騰こうとうする様に。

そして、陛下に窮状きゅうじょうを訴えた。

『ポーションの価格が高騰こうとうして、領民が買えない価格になってしまい困っています。』と。

国はすぐに動いた。

あの街の領主に、ポーションの早急そうきゅうな増産とすみやかな出荷を命令したのだ。


だが、それでポーションの価格が下がって、問題が解決されてしまっては困る。

引き続き、あさるように指示を出した。

だが、あさる以前に、そのポーションが売られておらず、ポーションの価格は高止たかどまりしたままだ。

これはどういう事なのだ?

あの街の領主は、国からの命令を無視したのか?

国がこの問題を放置するなどと思ったのなら、とんだ考え違いだ。

あの街の領主は、そんなにもバカだったのだろうか?

それとも…。

我々以外にもポーションをあさっている者が居るのか?

るな。

きっと、その者たちも、我々と同じ事を考えているに違いない。


我々の他にも同じ事を考えている者が居るのであれば、早く”勝負”を仕掛けた方が良いのかもしれん。

けをさせない為に。

それと、国がさらに命令を出して、問題が解決してしまう前にな。


ワシは、我々の代表にまつげた者に、あの街に”勝負”を仕掛ける事を大臣に打診だしんさせることにした。



きっと、国はこの勝負を了承するだろう。

国の命令にしたがわぬ者を国に代わって成敗せいばいして、問題を解決してやろうというのだからな。

建前たてまえだけだが。


そして国は、勝負に負けたあの街の領主から爵位を没収するのだろう。

グラスプ公爵から爵位を没収した様に。

国王周辺の者たちは、貴族を減らしたいと思っている様だからな。

むやみに爵位を没収する事など出来ないが、勝負に負けた結果としてなら没収しても言い訳が立つのだ。『前例が有る。』と言ってな。

国王周辺の者たちは我々貴族たちのことを、『金を浪費し、自分勝手に振舞ふるまう者たち』とでも思っているふしがある。

こちらにはこちらのぶんが有るのだが、それは今はどうでもいい。

『今なら、あの街への”勝負”が認めてもらえる可能性が高い。』という事が重要なのだ。

それに貴族が減れば、そのぶん、意思統一がしやすくなる。

そうなれば…。


そうなれば、ワシがこの国の王になる””も出てくるというものだ。


(設定)

(ソーンブル侯爵)

領地を持つ貴族の一人。(領地は全部で10領在ります)

妻がグラスプ元公爵の妹で、グラスプ元公爵の義理の弟にあたる。

グラスプ元公爵の一行は、ソーンブル侯爵の領地に在る別邸に身を寄せています。

グラスプ元公爵の一行は、ソーンブル侯爵に使いこなせる様な人たちではないので、今回のお話の中に出てくる予定はありません。


ソーンブル侯爵のポーションに関する認識は、事実とは違っています。

魔術師の街は大儲おおもうけなどしていないのですが、彼は誤解してしまった様です。

また、他にポーションを買い漁っている者も居ません。生産量が落ちているだけです。


(街と領主の関係)

各領地には街は一つしか在りません。その為、領主=領地のトップ=街のトップとなっています。

街を作るさいは国が作ります。領主では資金的に厳しいので。

ですが、領地の中に複数の街が在ると、将来領地を分割されてしまう恐れが出てきてしまうので、国が新たに街を作ろうとしても領主たちに反対されます。

新たに街を作る事は、領地を持っていない貴族たちからは大歓迎されるのですが、領主たちに資金の話をされるとそれで黙ります。街を作る為の資金の負担など誰もしたくないので。

現在、新たに街が作られる予定は有りません。

ナナシなら楽に作れるので、何かの拍子にうっかり作ってしまうかもしれません。

街なんて、うっかり作る様なモノではないのですが。


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