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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十三章 異世界生活編08 魔術師の街の騒動 前編 <異変>
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< 00 序章 >


王都グラムの西隣にしどなりの街、グラアソ。

この街は、別名を『魔術師の街』と言った。

魔術師が多く住む街と知られて。


以前、この『魔術師の街』を訪れたナナシは、この街の魔術師たちの横柄おうへいな態度と、それに迷惑している住人たちの姿を見た。

魔術師を『至高の存在』とか『選ばれた者』とかのたまうこの街の魔術師たちを放置したら、他の街に居る魔術師たちの評判まで悪くなるかもしれない。

そうなってしまったら、他の街であっても魔術師は暮らしにくくなってしまうだろう。

そう考えたナナシは、自分自身の為に『この街の魔術師たちの事を何とかした方が良いのかな? 何か出来る事はないかな?』と考えるが、出来る事が在るとは思えなかった。

そんなナナシに、【多重思考さん】がアドバイスをした。

『魔術師が問題を起こすのが問題なら、魔術師でなくしてしまえばいいんですよ。(ニヤリ)』と。

【多重思考さん】のアドバイスは、『素行の悪い魔術師のMP(Magic Point)の値を”1/1”にしてしまえば、魔法が使えなくなって魔術師ではなくなりますよ。』というものだった。

ナナシは、この【多重思考さん】のアドバイスを実行する事に決めた。

自分自身が、ごとけて、のんびり過ごせる様に。

もちろん世の中の為にも。

自分がした事だとバレない様に、この街を離れた五日後から実行することに決めたナナシは、【目玉】を10個この街に置いて、この街をあとにしたのだった。


ナナシがこの街をあとにした当日。

この街の魔術師たちに大きな動きがあった。

この街には、魔術師たちが所属する二つの組織が在った。

副領主がこの街に魔術師を集めて作った『魔術局』と名付けられた役所と、『魔術局』から独立した者たちが立ち上げた『魔術研究会』だ。

この日、『魔術局』から大勢おおぜいの魔術師が引き抜かれ、『魔術研究会』に加わった。

そして、大きな組織となった『魔術研究会』は、この日、組織の名前を変えた。

これからの発展に期待して。

世の中の人たちに広く受け入れられる事に期待して。

『魔術研究会』から…。

『魔術師ギルド』と。


ナナシが『魔術師の街』をあとにしてから五日後。

ナナシがこの街に置いて行った10個の【目玉】(と、それを操作する【多重思考】たち10人(?))。

それと、途中で加わった1個の【目玉】(と、1人(?))は、この日から行動を開始した。

目を付けていた素行そこうの悪い魔術師たちのMP(Magic Point)の値を”1/1”にしていった。


この章のお話は、

【多重思考】たちにより魔術師でなくなった者たちと、彼らに振り回される者たちのお話である。


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