01 0日目 ナナシサイド どうしてこうなった? そして、準備
何故か、俺とグラスプ公爵家で”勝負”をする事になった。
どうしてこうなった?
報酬には何の魅力も無いのだが、勝負をする事になった以上、しっかりと勝ちにいこう。
少し残念な姫様の為にね。
玉座の間で、俺と公爵家で勝負をする事が決まった後、俺は森に向けて【目玉(仮称。魔法で作られた目。正式名称まぢどうしよう)】を放った。
先ずは、オークキングを探さないといけないからね。
探査系の魔法も考えておいた方がいいな。
【多重思考さん】たちに、探査系の魔法の検討をお願いした。
今、姫様と二人で夕食を摂っている。
アントニオは領地に帰った。謹慎するんだそうだ。
『アントニオが性別を偽っていた。』という話は、玉座の間では無かったので、大した処罰にはならないのかな?
婚約については姫様が主犯っぽいので、軽い処罰で済むのかもしれないね。
で、その姫様なんですが…。
何やら目がキラッキラしていらっしゃいます。
『私の為に勝負なんてっ。』って、盛り上がっていらっしゃるんですかねぇ。
めんどくさいから放置しますが。(←ヒデェ)
姫様との夕食後。
部屋に戻ると、メイドさんが沢山居た。
何事かと思ったら、俺の護衛とのこと。
三交代で護衛に就くんだそうだ。
「公爵家が何かしてくるということ?」
「その可能性が有ります。」
そーなのかー。
外出も止められた。「買い物が有れば、我々が。」とのこと。
イヤとか言っても聞いてくれないだろうなぁ。受け入れるしかないよね。
「分かった。よろしくね。」
「よろしくお願いいたします。」
綺麗な礼をして、部屋を出て行くメイドさんたち。
その内の二人が廊下に残ったのが、【目玉(仮称)】を通して見て分かった。
部屋の中にも、部屋付きのメイドさんの他に、二人のメイドさんが残った。
部屋に残ったメイドさんの一人が、俺に言う。
「グラスプ公爵家には、お抱えの呪術師が居るという噂が有ります。ご注意を。」
「呪術師と言うと…、”呪”いか。」
何だか、厄介な感じがするな。
メイドさんに訊く。
「この世界には、”呪い”って何が有るの?」
「この世界?」
首を傾げるメイドさん。
あ、しまった。
「えーっと、”呪い”って、どんなのが有る?」
メイドさんの疑問は無視だ。
「【石化】、【麻痺】、【暴走】、【混乱】、【行動阻害】、【沈黙】などでしょうか。」
「あー、それは厄介そうだな。」
【石化】はもちろんだが、【暴走】とか【混乱】もヤバそうだな。
【沈黙】は大丈夫。
魔法は無詠唱だし、【多重思考さん】たちが【目玉(仮称)】を通して魔法を使ってくれるからね。
「うん、ありがとう。何か対策を考えるわ。」
”呪い”への対策も【多重思考さん】たちに検討をお願いしておく。
メイドさんに用事を頼む。
何かして欲しい事が有る時は、部屋付きのメイドさんに言えばそれを実行する者に割り振るとのことなので、部屋付きのメイドさんを呼んで用事を頼む。
頼んだのは、大きな紙と肩掛けカバン。
大きな紙は、地図を作る為にね。
オークキングの居る場所と大きさを描いておこうと思ってね。
机いっぱいくらいの大きさのやつと、それよりも二回りくらい大きいやつを、それぞれ10枚ずつ。
どのくらいの大きさの紙が、どのくらいの枚数必要になるのか自分でも分からないので、この機会に多めに頼んでおくことにする。
余ったら地図でも作って、大臣にでもあげれば喜んでもらえるだろう。
地図を作るのは、高い所に移動させた【目玉(仮称)】を通して見た地上の様子を、【ファイヤー】を使って紙を焦がせばいいだけなので、簡単に作れるからね。
取り敢えず、明日の昼までに1枚ずつ用意してもらえる様にお願いした。
肩掛けカバンは、魔法を掛けて【マジックバッグ】にする為にね。
仕留めたオークキングを入れる為に必要になるだろうし、買い物を依頼する時の為にも、もう一つね。
発注している便器の部品とかの受け取りを、メイドさんに頼むことになりそうだからね。必要だよね。
むしろ、王宮のメイドさんに受け取りを頼めるのは都合が良い。
俺みたいな者が、すごく高価な【マジックバッグ】を持っていると目立ってしまうけど、王宮のメイドさんならば目立たないだろうからね。
肩掛けカバンも、明日の昼までにお願いする。
他にも必要な準備が有るか考えて、メモしておこう。
そう思ったのだが、【多重思考さん】たちに必要な準備を考えてもらえばいいよね。
【多重思考さん】たちに丸投げ(笑)して、この日は寝た。
2019.12.31 加筆修正しました。
”公爵家”に家名を付けました。”グラスプ公爵家”です。