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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十二章 異世界生活編07 新・新生活編
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< 41 新・王宮での生活37 ナナシ、ダンジョンマスターに会いに行く02end >


海沿いの街の近くに転移して来た。

離れたところに街をかこむ外壁が見える。

これからあの街に入って、ダーラムさんのところへ持って行くお土産みやげを買います。

しおかおりをぎながら街に向かって歩きます。


門で手続きをして、銀貨を1枚預けて街の中に入った。

身分証は有るけど使いません。

やたらと豪華過ぎて、何となく使いたくないので。

街の中を市場に向かって歩く。

頭の中で【多重思考さん(多重思考された人(?)たちのリーダー)】に言われた。

『次からはダーラムさんところへ手料理を作って持って行きましょう。』

『………『次から』も何も、まだ今回持って行く物も決めてないし、そもそもダーラムさんが食べ物を食べられるのかの確認すら出来ていないんですがねぇ。』

『せっかく市場に行くのですから。(サラリ)』

仮に、買った食材を使う事が無くなっても、【料理グループ(多重思考された人(?)たちのうちの、料理を担当しているグループ)】が料理に使うから無駄にはならないと考えているのかな?

最近は、隠れ家で食事をする機会が無いから【料理グループ】に料理をさせていない。だから、料理をしたがっているのだろう。

どうやら【多重思考さん】は【料理グループ】の肩を持つ様だ。

でも、【多重思考さん】たちに何を言われようが、俺が気にしなければどうってことないよね。(←少しは配慮してさしあげろ)

【多重思考さん】が、さらに言う。

『小麦粉を買ってください。ふっくらしたパンを焼く実験をするそうなので。』

ほう。

ふっくらしたパンは魅力的だね。

この世界のパンはかたいので。

それなら小麦粉は買おうかな。

そう思ったら、頭の中で歓声が上がった気がした。

【料理グループ】の人(?)たちだろう。

どんだけ料理をしたかったんだよ。(呆れ)


市場に来た。

市場に入ってすぐに、頭の中で『フライドポテト、フライドポテト、フライドポテト、フライドポテト…』と、呪文じゅもんかおきょうの様な声がした。

ふと、イモが目に入る。

………。

フライドポテトか…。

しばらく食べてないな。

………。

イモを少し買いました。

フライドポテトを食べたくなったので。

頭の中で歓声が上がった気がしましたが、別にどうでもいいです。

”揚げ物は正義”なので。(キッパリ)

小麦粉も買って、さらに市場を歩く。

途中で何度も頭の中で呪文じゅもんかおきょうの様な声がしましたが、スルーしました。

いちいち聞いていたらキリが無さそうだったのでっ。

露店ろてんで、肉の串焼きと”おやき”っぽい物を買った。

ダーラムさんへのお土産みやげにね。

肩掛けカバンに入れるふりをしながら【無限収納】に時間停止状態で仕舞う。

その後、おたかめのお酒も買い。念の為、コップも買った。

『他に買う物は無いよなぁ。』と思いながら市場を歩く。

市場を歩いている間中あいだじゅう、ずっと頭の中で呪文じゅもんかおきょうの様な声がし続けてましたが、思いっきりスルーしました!


買い物を終えて、市場を出た。

市場を出たら、途端とたんに静かになった気がします。

【料理グループ】の人(?)たちが、やたらとうるさかった所為せいだね。(苦笑)

門に向かって歩きながら、カバンを扱っているお店を探す。

ダーラムさんへのお土産みやげとして買った食べ物を【マジックバッグ】に時間停止状態で仕舞ったまま渡そうと思ったのでね。

見付けたお店で肩掛けカバンを4つ買った。

【マジックバッグ】が必要になる機会がまた有るかもしれないから、少し多めに買っておきます。

買ったカバンを肩掛けカバンに押し込んでおいて、頃合ころあいを見て【多重思考さん】に【無限収納】に移してもらって、【マジックバッグ】にしてもらいます。

よろしく。(←何か有れば、即、丸投げです)

よし。これで必要な物は全部買っただろう。

門まで行って、預けていた銀貨を返してもらおう。

門に向かって歩き出したら、頭の中で【多重思考さん】に言われた。

『また、食材を買いに来ることになるので、このまま転移魔法でダーラムさんのところへ行きましょう。』

『いやいや、また食材を買いに来ると決まっt『じゃあ、行きますね。』』

俺は【多重思考さん】に転移させられた。


ダンジョンマスターのダーラムさん居る場所に転移させられて来た。

多重思考さんェ…。

言いたい事はもちろん有るのだが、それは後回あとまわしにしておこう。

まわりを見ると、以前にも来たことが有る殺風景な食堂の様な場所だった。

ダーラムさんは、既に椅子に座って待っていた。

前もって、ここに常駐させている【目玉】を通して闇魔法で空中に文字を書いて、俺が来る事をしらせておいたからだね。【多重思考さん】が。

「………こんにちは。」

心の準備をする時間が無かったので、変ないてしまいます。(苦笑)

「こんにちは。ようこそ。(ニッコリ)」

笑顔で挨拶を返してくれるダーラムさん。

その様子に、少し気持ちが落ち着いた。

ふぅ。


ダーラムさんは笑顔だ。

ここを訪れる事が出来るのは俺しか居ないから、歓迎してくれているのだろうね。

ず、本をプレゼントするかね。

テーブルの上に【無限収納】からドッサリと本を出す。

「これ、お土産みやげです。ヒマつぶしにでもなれば。」

「おお。ありがとうございます。」

ダーラムさんは、本を手に取ってはタイトルを見ている。

「外の情報は、ダンジョン内でされている会話と先日いただいた本からしか得られませんでしたので、こうしてまた本をいただけて嬉しいです。(ニッコリ)」

喜んでくれている様だ。

ダーラムさんの良いヒマつぶしになってくれるだろう。


ダーラムさんに近況報告をする。

「ミスリルゴーレムの腕を冒険者ギルド主催のオークションに出しました。」

「その話が王都にまで伝わって来ていたので、それなりに多くの人たちに、このダンジョンにミスリルゴーレムが居る事と腕を切り落とせる事は知られていると思います。」

「きっと、ミスリルゴーレムを目当てにした冒険者が増えると思いますよ。」

「それは嬉しいです。ありがとうございます。」

ダーラムさんに喜んでもらえた。


ダンジョンに何か変化が有ったかをダーラムさんに訊いた。

「助言してもらった通りに【マジックバッグ】をドロップ品として多めに出す様にしてみました。そうしたらダンジョンに深くもぐる冒険者が多くなりました。それと、冒険者の数も増えてきた様に思います。」

おお。やはり【マジックバッグ】は良いエサになっている様だね。

【マジックバッグ】は高価だし、誰でも欲しがるし、いくつ有っても困らないからね。

この先も、ずっと冒険者を引き付けるエサとなってくれるだろうね。


ダーラムさんに、一層目にゴブリンを沢山たくさん出してもらえるようにお願いしてみた。

新米冒険者の問題を話したら、こころよく了承してもらえた。

やったね。

お願いするだけでは申し訳ないので、持っている魔石をダンジョンにポイッてする事も伝えた。

「そうしていただけると助かります。」

そう言ってもらえたのだが、ダーラムさんは他にも何か言いたそうな様子だ。

「…他にも何か必要な物が有りますか?」

「魔物の体の元になる物も有れば、もっと助かります。無理にとは言いませんが。」

ふむ。

【無限収納】の中に何か有るかな?

【無限収納】におさまっている物の一覧に目を通す。

「…木が沢山たくさん有りますけど、これって役に立ちますかね?」

「ウッドゴーレムが作れるので、助かります。」

なるほど。

魔石と木とダンジョンパワー(←いい加減な仮称)でウッドゴーレムを作るんだね。

ウッドゴーレムも新米冒険者の良い相手になってくれるだろう。

「ぢゃあ、後で魔石と木をダンジョンにいておきますね。」

「はい。助かります。よろしくお願いします。」

よし。

ここへ来た用件は、だいたい終わったね。

後は、お土産みやげに持って来た食べ物だね。

土産みやげを渡す順番が最後になるのはおかしいんだけど、これは考えての事です。

食べ物を食べられないと判明して落ち込まれてしまうと、”お願い”がしにくくなりかねないと思って、えて最後にしました。

私にだって、小細工こざいくろうする知恵は有るのですよ。(←誰に言ってるのかな?)

ダーラムさんに言う。

「食べ物を少し持って来たのですが、ダーラムさんって食べ物を食べられますか?」

「どうなんでしょう。自分でも分かりませんね。大分だいぶ前に、冒険者が持っていた物を試しに食べてみた事は有るのですが、美味しくなかったのでやめてしまいました。それ以降は、空腹にならなかった事もあって、試した事は有りませんでした。」

「無理に食べていただく必要はありませんが、食べられるようなら…。」

そう言って、皿に乗った肉の串焼きを【無限収納】から取り出してテーブルの上に置く。

時間停止状態で仕舞っておいたので、湯気ゆげが立っていて美味おいしそうです。

「おお、美味しそうです。」

ダーラムさんは喜んでくれている。

食べられればいいんだけど…。

「では、失礼して。」

そう言って、串焼きを持って一口ひとくち食べるダーラムさん。

その様子を、つい緊張しながら見詰みつめてしまう。

普通だったら食べにくい状況なのだが、ダーラムさんはこちらの様子に気が付いていない様だ。

もぐもぐして飲み込む。

「………………美味しいです。」

驚いた様な表情で、そう言うダーラムさん。

よほど美味しかったのか、ダーラムさんはパクパクと残りをたいらげた。

「ふぅ。美味しかったです。(ニッコリ)」

イイ笑顔です。

ダーラムさんに喜んでもらえて、俺も喜びます。

さらに、”おやき”とお酒とコップも【無限収納】から取り出してテーブルの上に置く。

「おお!」

お酒を見たダーラムさんは、そんな声を上げて喜んだ。

どうやらお酒が好きな様だ。

でも、ツマミになる様な物は何も持って来てなかったね。

『失敗したな』と思ったが、そもそも食べ物を食べられるのかすら分かっていなかったのだから仕方が無いよね。今回はツマミは諦めてもらおう。

早速さっそく封を開けているダーラムさんをながめていたら、頭の中で【多重思考さん】に言われた。

『フライドポテトが揚がりました。』

ほう。ちょうどいいね。

皿に盛られたフライドポテトを【無限収納】から取り出してテーブルの上に置く。

「ツマミになると思います。イモを油で揚げただけのものですが。」

舐める様に呑んでいたダーラムさんがイイ笑顔で礼を言いつつ、フライドポテトを口に運ぶ。

サクッサクッ

もぐもぐもぐ ごっくん

「おお。これも美味しいです。(ニッコリ)」

よし! フライドポテトも喜んでもらえたぞ。

やったね。


お酒を舐める様に呑んでご満悦まんえつなダーラムさんに言う。

「今日はあまり長く居られないので、そろそろ帰りますね。」

【無限収納】から【マジックバッグ】を出し、テーブルの上に置く。

「この中には先ほどのフライドポテトが時間停止状態で入っています。これもどうぞ。」

「ありがとうございます。貰ってばかりですみません。」

「いえいえ、今回は”お願い”をしに来たのですからお気になさらず。次回来る時も食べ物やお酒を持って来ますね。」

「いえいえ、お気になさらず。(ワクワク)」

ダーラムさんは、言葉とは裏腹うらはらに楽しみにしているご様子です。

「あ。帰りにダンジョンに魔石と木をいておきますね。ゴブリンやウッドゴーレムを出していただく為の栄養になるように。」

「助かります。よろしくお願いします。」

「では、今日はこれで失礼します。」

そう言って、ダーラムさんの前から転移した。


50階層のボス部屋の前に来た。

魔石と木をここにく為にね。

ここなのは、他の人に見られない様にする為です。

うっかり誰かに見られてしまうと、説明がめんどくさそうだし、パーティーに勧誘されたりでもしたらすっごく面倒だからね。

魔石と木をく前に、【無限収納】の中に有る魔石の数を確認してみる。

どのくらい魔石が有るのかを、まったく把握はあくしていなかったので。

一覧を見てみたら、ゴブリンの魔石が3万個以上有った。

………数がおかしくね? 何でそんなに有るの?

呆然としていたら、頭の中で【多重思考さん】が教えてくれた。

『王妃様から『毛穴の汚れを取り除く魔道具』の報酬として貰ったモノの一部です。』

ああ、あれか。

そう言えば、王妃様から報酬として貰った魔石は、魔道具を作る為に貰った素材と一緒に【マジックバッグ】に入れられて渡されて、俺もそのまま【多重思考さん】に渡していたから、貰った魔石の数をまったく把握していなかったね。

俺が想像していたよりもはるかに多くの魔石が【無限収納】に中に有って驚いた。

魔石が品薄しなうすになる訳だよねっ。

むしろ、『わたほうわたほうだよね!』って言いたくなる数だよね!

どうして誰も止めなかったんだよ!

王妃様が関わっていたから、誰も何も言えなかったのかな?

…有り得るな。

魔石が品薄しなうすになっているという話を聞かされた時、王妃様の目が泳いでいたからなっ!


沢山たくさん有り過ぎる魔石のうち、2万個は市場しじょうに戻そう。

俺が一人で持っているには多過ぎる数だからな!

これでさらに魔石の品薄しなうす状態が解消に向かうね。

ほとんど、俺が原因なんだけどな!!

ウガー!


グッタリしながら、魔石1万個と沢山たくさんの木をダンジョンにきました。

ふぅ。

…帰るか。

最後にドッと疲れた俺は、【多重思考さん】に教えてもらった【目玉】を目印に転移した。


【多重思考さん】に言われるまま転移した先は、王宮の部屋ではなかった。

「あれ?」

どうやら街の中に居るみたいです。

つい、キョロキョロしてしまいます。

しおの香りがする事に気が付いたら、頭の中で【多重思考さん】に言われた。

『食材を買いに行きましょう!! ダーラムさんのところに持っていく為の料理を作らなくてはなりませんからね!!』

………………。

これは、食材を買って、【料理グループ】が料理を作りまくる流れかな?

最近は、『王宮で食事を摂らないといけないから。』と言って、【料理グループ】に料理をさせていなかった。

でも、”ダーラムさんへの差し入れ”という名目めいもくが出来てしまったからね。

食材を買わないといけない流れっぽいね。

【転移】で逃げても、ここに【転移】で戻されるだけだろうしね。

ぐぬぬぬ。

仕方が無いか…。

市場いちばに食材を買いに行こう。

頭の中で上がる歓声がクソウザイですが!


ガッツリと食材を買わされた俺は、グッタリして王宮に帰りました。


(設定)

(『毛穴の汚れを取り除く魔道具』の報酬と魔石の数)

『毛穴の汚れを取り除く魔道具』一式(三個+魔力充填台)で金貨2枚。

それを100セットで、金貨200枚。

金貨2枚は約20万円で、4,000万円の報酬になった。

ゴブリンの魔石一つの売り値は500円(銅貨5枚)

(前に話の中に出たゴブリンの魔石の”買取り値”は300円(銅貨3枚)でした。)

報酬の半分(2000万円分)をゴブリンの魔石(500円)で貰った場合、その数は40,000個

ヤバイ数です!

その後、魔道具を作る為に魔晶石を作ったので、魔石の数は減りましたが、まだゴブリンの魔石が3万個以上残っていました。

ナナシの【無限収納】の中には、報酬の残りの分の、ゴブリンの魔石よりも大きな魔石が沢山残っています。

数えるのがめんどくさいので、数えませんがっ。

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