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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十二章 異世界生活編07 新・新生活編
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< 36 新・王宮での生活33 ナナシ、こたつの熱源を改めて考える それと… >


こたつの熱源ねつげんを、改めて考えることにした。


前回、大失敗した”こたつの熱源”。

昨日、アレを【多重思考さん】たちが危ない事に使ったので、ちゃんと使える”こたつの熱源”を考えることにした。

『こたつの熱源 正式版』を作り上げて運用を始めれば、今”こたつの熱源”と呼ばれているアレを変な事に使わないだろう。

言葉の意味を上書きするだけの意味しかないので、抑止力にはならないと思うけどね。

それでも、何かしなければいけない気がしたので!


前回、大失敗したのは、【リフレクション(熱)】の魔法を使う際に倍率を10倍に設定してしまった事が原因だった。

今回は、別の魔法を使おうと思う。良さげな魔法を思い付いたので。

俺が使おうと思い付いた魔法は【ライト】だ。

『赤外線を出せば、あたたかくなるのではないか?』と、考えたからだ。

【ライト】なら、魔力の消費量も少なそうだしね。

この国は、冬が無くてごしやすい気候だから、それほど高温を出す必要は無い。

だから、こたつで使う程度なら【ライト】でちょうどいい気がしている。


こたつの熱源の具体的な検討を始める。

ず、【ライト】の魔法が、どのくらいの赤外線を出しているのかを調べてみようか。

早速さっそく、【ライト】で光球を生み出して【遮光】結界を張り、結界の”光をさえぎる波長”を変えて調べてみた。

だが、赤外線は出ていなかった。

どうやら【ライト】の魔法は、可視光線しか出していないみたいだ。

うーーん。

『さすが、初級魔法。』とでも言えばいいのかなぁ。

それとも、『無駄の無い素晴らしい魔法だ。』とたたえるべきなのかな?


さて。

どうするかね?

【ライト】がここまで使えない魔法だとは思わなかった。(←使用目的に合っていなかっただけです)

新しい魔法を作るか?

赤外線だけを出す【ライト】の魔法を。

【ライト】の光の波長をズラすだけだから、簡単に出来そうな気がするね。

それと、どうせ新しい魔法を作るのなら、魔法陣を使った魔法を作りたいね。

魔法陣を使えば、魔晶石が必要無くなるからね。

【ライト】ならそれほど魔力を使わないから、きっと魔法陣で十分だろう。

決して、魔法陣の存在を知ったから、魔法陣を使った魔法を作ってみたくなった訳ではアリマセンヨー。(←ダウト)


新しい魔法を作る前に、どの程度の波長の赤外線がこたつの熱源に適しているのかを、実験して調べよう。

【遮光】結界を使って、太陽光から特定の波長の光だけを通す状態にして実験すれば、よりあたたかい赤外線の波長が分かるだろう。


【ゲート】を使って太陽光を部屋の中に持って来て、それを【遮光】結界で特定の波長の光だけを通す様にして、手であたたかさを調べる。

一時間くらいそんな実験をして、良さげな波長に当たりを付けた。

そんな、他人が見たら何をしているのか分からない実験を部屋の中でした訳ですが、メイドさんたちの反応は特に気にしません。

こういう(変な)事は、割といつもやっている事だしね。

メイドさんたちも、ペンギン型ゴーレムとたわむれていて、気にしている様子も無いしね。

決して、”関わっちゃいけない変な人”とか思われている訳ではないと思います。

そろそろ、あきらめられているはずなのでっ。(←それはそれでどうなんでしょう?)


ぢゃあ、魔法を作るか。

そう思ったが、一呼吸ひとこきゅう入れる。

魔法陣を使った魔法を作るのは、初めてなので。

そう思ったら、頭の中で【多重思考さん】に言われた。

『我々は以前作った事が有るので、その情報をお渡ししますね。』

あれ? 【多重思考さん】たちは、魔法陣を使った魔法を作った事が有ったんだ。

本体ほんたいさん(=俺のこと)の顔に掛けた認識を阻害する魔法は、魔法陣を使った魔法です。』

………そう言えば、そんな魔法も在ったね。

俺はあまり気にしていなかったから、軽くその魔法の存在を忘れていたね。

………って言うか、その魔法が有ったから、結婚式の後に肖像画を描くことになった時に、『(顔を描けないから)俺は居なくてもいいよね。』とか思っちゃたりして、あの事件が起きて、メイドさんたちの機嫌を取らないと死ぬ状況になって、魔道具を作って、それが原因で魔石が品薄になったり、ペンギン型ゴーレムを量産する事になったりと、色々な事が起こったんだったね!!

「うがーー!」

色々な事が頭の中をよぎって、思わず吠えちゃったよ!!

ちょっと気持ちを落ち着けよう。

うん。

ちょっと気持ちを落ち着けよう。

うん。

「ああいう危ない人とは目を合わせてはいけませんよ。」

…そんな声が聞こえた。

声のした方を見ると、抱きかかえているペンギン型ゴーレムに向かって話し掛けているニーナの姿がそこに在った。

「………。」

別にニーナには何も言いませんよー。

『それって、注意をうながしているていよそおって、俺を罵倒ばとうしているだけだよね?』とか思いましたがね!

ニーナに何か言っても、反撃されて傷口を広げる結果にしかならない気がしたので!

くそう!


ソファーに体を沈めて、体の力を抜く。

だが、気持ちが落ち着かない。

むむむむん。

何か、気持ちを落ち着ける物がないか考えたら、【無限収納】の中にペンギン型ゴーレムの骨格がいくつか有るのを思い出した。

それらを取り出して床を歩かせて眺めることにしよう。

ペンギン型ゴーレムの骨格を歩かせた。

カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ

カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ

カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ

「アー、オチツクー。」(←まったく落ち着いていません)


何となく落ち着いた気がした。(←気の所為せいです(キッパリ))

よし。何も考えずに魔法を作ろう。

そう。

心を無にして。

うむ。

そう思ったら、頭の中で【多重思考さん】に言われた。

『何だか無理っぽい感じがしたので、私たちで魔法を作っておきました。』

「………………。」

心を無です。

うん。

心を無です。

心は無なんですが、溜息ためいきくらいは出るよね。

「はぁぁぁぁぁ。」

魂が抜けそうな溜息ためいきが出ました。

そのまましばらく、ソファーに体を沈めて目を閉じて、カシャカシャいう音を聞いていました。



お茶の時間を終えて、部屋に帰って行く上機嫌なシルフィを見送った。

お茶の時間の間に、シルフィをなでなでなでなでなでなでなでなでして、俺もちょっと元気が出た。

さぁ、”こたつの熱源”の検討を再開しよう。


えーっと、どこまでやったんだったけ?

『付与魔法が完成したところまでです。』

…ソーデシタネー。

ぢゃあ、実際に試作品を作って確認するか。

【多重思考さん】にうながされるまま、【無限収納】から木の板を取り出す。

”大きめのトレー”って感じに見える木の板だ。

これに、サクッと作った魔法を付与した。

何の変化も見せない木の板をながめると、顔があたたかくなった。

おお。ちゃんと赤外線が出ている効果を実感できるね。

こたつの熱源として、これなら使えそうだ。

うむうむ。

満足していたら、すぐそばまでやって来ていたニーナに訊かれた。

「それは新しいトレーですか? どんな攻撃魔法が出るんですか? 私の希望は、結界でおおって、誰にも気付かれずにクズをちりすら残さずに始末する、そんなトレーです。ふふふふふふふふふ。(ドス黒い笑顔)」

何なの? そのトレー!? 暗殺道具かよ?!

怖すぎるんですが!!

何日かぶりに降臨された”ブラックニーナサン”にビビります。(ビクビク)

「そんな物騒ぶっそう代物しろものぢゃないよっ。こたつの熱源に使う、ほんのりとあたたかくなるだけの物だよっ。」

俺がそう言うと、”ブラックニーナサン”は完全に興味を無くしたご様子で、無言で壁際かべぎわまで戻って行きました。

これも、結構イイ物ですよー。

ひとをとりこにしますよー。

ペンギン型ゴーレムとたわむれているニーナサンには、俺の心の声はまったく届いていなさそうです。

でも、いいや。

ニーナサンも、やがてこたつの魅力にかれる事は、すでに確定している未来なのだからね。(ニヤリ)


『こたつの熱源 正式版』は完成した。

やったね。

それはそれとして、試作品として作ったこの板に何か使つかみちはないかな?

足元をあたためるのに使えそうだよね。当然だけど。

壊れる部分が無いから、この上に直接乗っても大丈夫そうだ。

そう考えると、意外と使い勝手の良い物になっている気がするね。

ケイトを呼んで、意見を訊くか。

「ケイト。」

「なーにー?」

ペンギン型ゴーレムを抱きかかえてご機嫌のケイトがそばまで来た。

「この板はね、ほんのりとあたたかくなる板。」

「ふーん。」

興味が無さそうなケイトの足元に板を置く。

「この板の上に立つと、足がほんのりとあたたかくなるはず。ちょっと試してみてくれるかな?」

「ふーん。」

ケイトは、もう一度興味無さそうに言ってから、板の上に立った。

しばらく待つ。

「あー、ホントだ。あたたかいね。」

笑顔でそう言うケイト。

「ちょっと私にも試させてください。」

いつの間にかそばまで来ていたニーナが、ケイトに代わってもらう。

板の上に立ったニーナは、しばらくした後で、「これはあたたかいですね。」と言う。

「これは立ち番の者に喜ばれると思いますよ。」

ニーナに良い評価を貰えた様です。

「ちょっとメイド長のところに行ってきますね。」

そう言って、ニーナは板を持って行ってしまった。

もちろん、ペンギン型ゴーレムを片腕に抱きかかえたままね。

部屋を出て行ったニーナを見送ってから考える。

あれ?

もしかして、これって、また魔道具を作る流れですか?

せっかく、ごとけて、のんびりごす生活になったのに?

………。

あれれー?



俺はソファーに体を沈めて考える。

『こたつの熱源 正式版』は完成した。

『これからはこたつでのんびりするぜ!』ってなる前に、また魔道具を作る依頼が来てしまいそうですがっ。

ちょっと予想外な事になってしまいましたが、それは今は置いておきます。

こたつを完成させる為には、まだ足りない物が有る事を思い出したので。

足りない物は、こたつ布団ぶとん座布団ざぶとんだ。

発注しに行かないといけないよね、こたつ布団と座布団を。

だが、外出するとなると、着替きがえが必要だ。

と、なると、また部屋に大勢おおぜいのメイドさんたちがやって来て、その大勢おおぜいのメイドさんたちに囲まれながらえをされることになるね。

げんなりするよね。

でも、買い物に行かないと、こたつが完成しないからなー。

せめて、買い物を一回で終わらせるくらいしか、俺に出来る事は無いかな?

それしか出来る事は無いよね。

「はぁぁぁぁ。」

長い溜息ためいきが出た。



しばらくソファーでダラーーっとしていたら、部屋にメイドさんが二人やって来た。

一人は見た事が有るメイドさんだ。

この王宮に初めて来た時に、服を作る為に採寸さいすんをしてくれたメイドさんだ。

初代”あててんのよ”さんと一緒に採寸をしてくれたよね。

思わず、”あててんのよ”のあの感触が頭をよぎってしまいます。

あれはイイモノだった…。

もう一人のメイドさんは初めて見るメイドさんだ。

金髪で肌が白くて背が低くて、お人形さんの様に可愛かわいいメイドさんです。

思わず頭をなでたくなる可愛かわいらしさです。(笑顔)


「ケイト、メイド長がお呼びです。(キリッ)」

以前、採寸をしてくれたメイドさんがケイトに言った。

「はーい。」

いつも通りのお気楽な返事をして、ドアに向かうケイト。

ドアに向かう途中で、抱きかかえていたペンギン型ゴーレムをテーブルの上に置いた。

メイド長のところに行くのに、ペンギン型ゴーレムを抱きかかえたままでは行けないよね。普通はね。

ニーナは、抱きかかえたまま行きましたがっ。

置いて行くのが普通だと、俺はそう思うのですよ。


ケイトは、メイドさんたちとすれ違う…フリをして、お人形さんの様に可愛かわいいメイドさんの頭をなでようとする。

そうだよねー。なでたくなるよねー。

ほんわかとした気分で見る。

パシッ

だが、お人形さんの様に可愛かわいいメイドさんは、ケイトの手をはらけた。ムッとした顔で。

一方のケイトは、その動きを予測していたのか、もう片方の手で頭をなでにいく。

パシッ

だが、またはらけられた。

パシッ パシッ パシッ パシッ パシッ パシッ

なでようとしては払い除けられる事を数回繰り返した。

そして…。

パシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッ

パシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッ

パシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッ

すごい速さの攻防が起きた。

驚きつつも、思わず見入みいってしまう。

こんな動きをするケイトは初めて見た。

『護衛役としてどうなの?』っていう言動が多かったケイトだが、相応そうおうの実力は持っていたみたいだね。

今まで一度も俺の前で見せた事は有りませんでしたがっ。

パシッパシッパシッパシッパシッパシッなでパシッパシッ

パシッパシッなでパシッパシッパシッむにパシッパシッなでパシッ

ケイトの攻撃(?)が少し当たり出した。

頭をなでたり、ほほを”むにっ”てしたりしてます。

俺もなでたい。

ムキになって手数てかずを増やす、お人形さんメイド(仮称)。

だが、受け手(がわ)がムキになってしまっては駄目だろう。

空回からまわりして、ケイトの攻撃(?)がさらに当たるようになった。

なでなでされたり、むにむにされたりしてます。

俺もなでなでしたい。

めなさい。(キリッ)」

採寸メイドさん(仮称)がめる。

二人は距離を取った。

涼しい顔をしているケイトと、息を荒くしているお人形さんメイド(仮称)。

うーーん。

こんなのを見せられてしまうと、ケイトの評価が変わってしまうね。

俺の想像以上に実力が有ったみたいだ。

普段の言動はちょっとアレでしたがっ。


「ケイト、メイド長がお呼びです。(キリッ)」

採寸メイドさん(仮称)が、さっき言った事をもう一度言った。

「はーい。」

ケイトもさっきと同じ返事をした後で、テーブルの上からペンギン型ゴーレムを拾い上げて抱きかかえ、「じゃあ、行ってくるねー。」と俺に言ってドアに向かう。

持って行くんかい! ペンギン型ゴーレム。

メイド長のところに行くのに大丈夫なのか?

没収されても知らんぞ。

お人形さんメイド(仮称)は、ケイトを見ながら「フーッ!」って言っています。

ネコかな?


ケイトが部屋を出て行くのをなんとなく全員で見送った後、残った二人のメイドさんが俺の前に来た。

そして、採寸メイドさん(仮称)が言う。

「今日からナナシ様付き(●●●●●●)のメイドになりました、ケイティです。(キリッ)」

「え?!」


頭が真っ白になって、そこから先は何を言っていたのか分かりませんでした。



評価をしていただけれると嬉しいです。

ポイントが増えると嬉しいので!!

気が向いた方だけで結構ですので、『評価』と『ブックマークに登録』をよろしくお願いいたします。


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