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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十二章 異世界生活編07 新・新生活編
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< 33 新・王宮での生活30 ナナシ、量産型ペンギン型ゴーレムを作る05end >


午後。

被服部ひふくぶかたたちが部屋にやって来ました。

販売担当のミリィさんに手を引かれてやって来たエイラさんは、ペンギン型ゴーレムに顔をうずめて、「スーハースーハー」していらっしゃいます。

キマっちまってんな!

この人が一番ダメになっちゃってるよ! この部屋の二人よりも!

ダメになっちゃてる人が多過ぎだろ!

何でこんな事になっちゃってんだよ! たかだかゴーレムで!


「エイラー、仕事だよー。」

ソファーに座らされたエイラさんにケイトが言う。いつもの調子で。

キマっちまっている事については、スルーするつもりの様だ。

これまでにも、こういったことが有ったりしたのかな? そんなこと無いよね?

「スーハースーハー」

「………。」

「スーハースーハー」

「………。」

ケイトが静かになっちゃっいました。

ケイトが想像していた以上にキマっちまってたのかな?

ケイトの顔がっているしな。


この人はここに連れて来てよかったのか?

別の場所に連れて行った方がいいんぢゃないの?

目にそういう感情を込めて、ミリィさんを見る。

が。目をらされてしまった。

おい! 連れて来た人っ!

さて。

どうしたものかね?


俺がどうしたものか悩んでいたら、ケイトがエイラさんの耳元みみもとで言う。

「たったの一体だけで満足してちゃダメだよー。」

ピク

「この王宮をペンギン型ゴーレムでいっぱいにしたら、素敵だと思わないかいー。」

ピクピク

「エイラがやらなくて、誰がやるんだいー。」

「…ぐふふ。」

ペンギン型ゴーレム越しに、エイラさんのくぐもった声が聞こえた。

「うふふふ。いっぱいのペンギン。うふふふ。」

エイラさんが帰って来たようだ。

「一日中、スーハースーハーしまくり! うふふふ。スーハースーハーしまくり!」

エイラさんのテンションがおかしい。

「やるわ! 王宮をペンギンでいっぱいにするわ! 私が!」

本当にキマっちまってんな!!

王宮をペンギン型ゴーレムでいっぱいにしちゃダメだろ! どんな王宮だよ!

俺はそんな大量にペンギン型ゴーレムを作る気なんて無いですよ!

そろそろ帰って来てください! エイラさん!

お願いします!

マジで!


エイラさんは、目的はアレだが、やる気にはなっている様なので、量産型ペンギン型ゴーレム二号機の骨格を渡した。

毛皮をかぶせたりしているうちに正気に戻ってくれる事に期待して。

エイラさんは、素早く骨格を綿わたくるんで毛皮をかぶせて縫い合わせていく。

今朝と同様の素晴らしい手際てぎわれします。

すぐにその作業は終わった。

そして言う。

「次っ!」

「…今日はそれだけですよ。」

「なに? そんな事じゃ、いつまでっても王宮をペンギンでいっぱいに出来ないじゃない!」

「しないでください。(キッパリ)」

その後もエイラさんになんだかんだと言われたのだが、彼女の精神状態が心配だったので、サクッと気絶させてソファーに寝かせて、顔の上に彼女のペンギン型ゴーレムを乗せておいてあげた。

「ふぅ。」

ぢゃあ、量産型ペンギン型ゴーレム二号機も完成しているし、【防汚ぼうお】とかを付与して、ミリィさんと所有者登録作業の確認をしますかね。

「よし。ペンギン型ゴーレムの所有者登録作業の確認をしよう。」

「「えぇ…。」」

何故なぜかドン引かれたのだが、俺の所為せいぢゃないよね?

せぬ。


さて。

初号機の購入者はエイラさんだったけど、二号機の購入者は何処どこに居るのかな?

その人のところに行って、所有者登録作業をするのかな?

この時間だと仕事中だよね?

今更いまさらながら、そんな事に気が付いた。

どうしたらいいのかな?

販売担当のミリィさんに訊く。

「二号機の購入者って、今、何処どこに居るのかな? 仕事中だろうから所有者登録作業なんて出来ないよね?」

「あ。その子の購入者は私です。(ニッコリ)」

君かよ!

エイラに続いて、関係者がご購入です。

それでいいの?!

購入希望者から苦情が来るんぢゃないの?

「所有者登録作業を始めましょう。新しい説明書をください。(ワクワク)」

俺の心配をよそに、ミリィさんは所有者登録作業を始めようとしていらっしゃいます。ノリノリで。

販売担当の彼女が、自分が購入者だと言うのなら、俺に止める事なんて出来ないか…。

新しい説明書を渡して、所有者登録をしてもらおう。


ミリィさんが説明書を読みながら所有者登録をするのを見守る

そうは言っても、起動させれば『所有者登録モード』になっているはずなので、その状態で顔を見ながら「所有者登録。」と言えば、所有者として登録されるはずだ。

そして、所有者登録がされたら自動的に『歩行モード』に切り替わり、『所有者追尾』により所有者を追って歩いてくれるので、それによって所有者が登録されている事を確認する。と。

ここまでは上手うまくいっている様だ。

ミリィさんは、テーブルのまわりをウロウロしながら、それに合わせてペンギン型ゴーレムがテーブルの上でウロウロする様子を見て、めっちゃイイ笑顔になっていらっしゃいます。

「うはーー。」(ウロウロウロウロ)

「………………。」

そろそろ、次の作業に移りませんか?


次は、名前登録だ。

これは初号機でもやっているから大丈夫だろう。

サクッと終わりました。

ちなみに彼女が付けた名前は「バーニー」です。

これも男の子っぽい名前だね。

ペンギン型ゴーレムをオスだと思っているのか、女性だから男の子の名前を付けたがる傾向が有るのかは分かりませんが。

ペンギン型ゴーレムがオスなのかメスなのかについては、深入ふかいりする気はありません。

性別をめぐって対立が起きない事を祈ります。

二大勢力による対立は、悲劇しか生まないと知っていますので。


所有者の登録などについて、今回は何も問題は起きなかったね。

これで、量産型ペンギン型ゴーレムは完成だね。

やったね。

バンザイ。


完成した事は嬉しいんだけど…。

これからは、毎日二体作らないといけないんだよねー。

めんどくさいよね。

でも、大丈夫かー。

どうせ、丸投げするから。(←こいつ最低だ。)

【製作グループ】を頼りにしています。

よろしく頼む。



(その後)

量産型ペンギン型ゴーレムを作り始めて、三日()った。

何の問題も無く作られ、購入希望者の元に渡って喜ばれている。

ソファーでダラーーっとしながら、ふと、これまでの事を振り返る。

メイドさんたちへの”ゴマスリ”として、メイドさんたちの役に立つ魔道具を作った。

メイドさんたちに喜んでもらえている様なので、ちゃんと”ゴマスリ”になっていると思う。

だけど、ついつい色々な物を作り過ぎてしまったね。

思わぬ大量注文が王妃様から入って、魔石が品薄になっちゃったりもしたし…。

”ゴマスリ”は、もう十分かな?

十分だよね。

”ゴマスリ”の為の魔道具作りは、もういいだろう。

うん。

何か要請があった時はやるけど、”ゴマスリ”の為の魔道具作りは、もういいよね。

魔石が品薄になってしまっているし、その意味でも、魔道具作りを控えた方が良さそうだからね。


よし。

これからは、もっとのんびりしよう。

そもそも、のんびりと過ごす為のメイドさんたちへの”ゴマスリ”だったんだからね。

うん。

そうしよう。


ソファーでダラーーっとしながら、『魔道具作りを頑張ったなー。』なんて思っていたら、ふと、『やしがほしい。』なんて思った。

だけど、やされたくて作った『やし系ゴーレム』は、その後、量産型ペンギン型ゴーレムとなって、それを毎日二体作る事になっちゃったんだよなー。(苦笑)

作るのは【製作グループ】に丸投げしているが、【製作グループ】には花畑の世話とかも有るし、あまり負担を掛けるのは控えた方がいいよね。

やしを求めた結果、それが結果として負担になってしまうとかね。(苦笑)

どうしてそんな事になったんだろうねー。

「はぁ。」

溜息ためいきが出た。


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