< 29 新・王宮での生活26 ナナシ、量産型ペンギン型ゴーレムを作る01 >
ペンギン型ゴーレムを沢山作ることになった。
何でも、ペンギン型ゴーレムを欲しがるメイドさんが大勢居たんだそうです。
早速、作り始めようと思って考える。
沢山作るのなら、サイズを統一したいよね。
ペンギン型ゴーレムを覆う毛皮を切り出すのに、毎回毎回寸法を測らないといけないのは大変だろうからね。
その為には、今の、鳥の骨を使って骨格を作るやり方では駄目だよね。
大さを揃えられる気がしないからね。
と、なると。
木で作る事になるね。ペンギン型ゴーレムの骨格を。
沢山のパーツを、木を削り出して作らないといけなくなるなぁ。
相当な手間が掛かるよね。
「はぁ。」
溜息が出た。
あと、顔の形状も考えないといけないかな?
これまで作った物は、ニワトリの頭蓋骨にクチバシを結合させた”間に合わせ”の物だった。
だけど、これから作る分は、一から形状を決められるのだから、もっとペンギンっぽい顔にしよう。
うん。顔の形状も考えよう。
色々とやる事が有ったね。
相当、大変ぢゃね?
あれれー?
メイドさんたちへの”ゴマスリ”になるので、喜んで依頼に応じたんだけど、想像以上に手間が掛かりそうだった。
うーーん。
でも、仕方が無いね。
『大変だー。』とか言っていないで、試作品を作ろう。
始めないと、何も進まないからね。
『よろしく。』(←なんだかんだ文句を言ってても、結局、いつもの丸投げです)
プログラムの方は、何か見直す必要があるかな?
壁際に控えるニーナが抱きかかえているペンギン型ゴーレムを見る。
相変わらずニーナの腕の中でジタバタしている。
あれは駄目だよね。(苦笑)
『障害物を避けるプログラム』を修正しよう。
さて。
どう、修正しようかね?
その前に、どういうペンギン型ゴーレムが求められているのかを考えないといけないのかな?
『見て楽しむ』派と『抱いて楽しむ』派が存在しているよね。今のところ。
サンプル数が三人しか居ないけど。(苦笑)
両立させる為には、『障害物を避けるプログラム』をON/OFF出来る様にしておけばいいのかな?
”ワード”でON/OFF出来る様にしておくか。
『障害物を避けるプログラム』をOFFにするとどうなるのかな?
…あまり変わらないのかな? それだけだと。
今在る二体は、部屋の中を歩かせておく様にプログラムしていたよね。
ヨタヨタと歩いている様子を眺めて癒やされたくて作ったんだからね。
『障害物を避けるプログラム』をOFFにしても『歩くプログラム』は生きているから、抱きかかえられたら足はバタバタ動くよね。
あまり変わらなかったね。(苦笑)
と、なると…。
『歩行モード(仮称)』と『ぬいぐるみモード(仮称)』を切り替える感じかな?
そうだね。こんな感じだね。
ぢゃあ、『骨格の試作品』と『顔の試作品』と『プログラムの試作品』が出来たら、エイラさん(被服部の人)と相談するかね。
試作品が出来上がった。
エイラさんと相談しようと思うのだが…。
こちらから行くと邪魔になるかな?
被服部ってどんな感じなのかな?
被服部って言葉から想像すると、服を作る作業場っぽいイメージが湧くなぁ。
知っていそうなケイトに訊いてみたら、「じゃあ、呼んでくるねー。」って言って、さっさと部屋を出て行ってしまった。
…だから、君は俺の護衛だと…。
まぁ、いいや。ケイトだし。
「ふぅ。」
溜息が出た。
エイラさんに来てもらって相談した。
『歩行モード』と『ぬいぐるみモード』の切り替えは歓迎された。
特にニーナに。
ニーナが言うには、毎朝ベッドから抜け出してしまうので、部屋の中を探して捕まえる必要があるそうで、『歩行モード』と『ぬいぐるみモード』の切り替えはすごく助かるんだそうだ。
「私の寝相が悪くてベッドから蹴落としている訳じゃないですからね。抜け出してるんです。」とかニーナに言われたけど、それは別にどうでもいいです。
それはそれとして。
ニーナは、ペンギン型ゴーレムを毎日持ち帰っていたんだね。
初めて知ったぜ。
だから、ペンギン型ゴーレムの事を知っているメイドさんが大勢居たんだね。
納得だね。
ニーナが持ち帰っている事には納得していないがなっ。
でも、ニーナに持ち帰らない様に言っても、「や。(キッパリ)」と言われて拒否されるだけだろうね。
その事にも納得できませんがっ。
俺付きメイドェ…。
『歩行モード』と『ぬいぐるみモード』の切り替えの他に、『所有者登録』、『所有者追尾』、『可愛く鳴く』、『呼び掛けると返事してくれる』、『朝、優しく起こしてくれる』なんて機能を求められた。
特にニーナに。
『所有者登録』と『所有者追尾』は大丈夫だろう。
【魔力検知】と、ゴーレムの目での目視で、所有者を識別できるだろうからね。
『鳴く』は出来るみたいだ。ゴーレムには音を出す機能が有るみたいなので。
ただ、『可愛く鳴く』となると、どうなんだろうね?
『ゴーレムを可愛く鳴かそう』なんて、普通の人は考える事すらしなさそうだからね。(苦笑)
確認が必要だね。
『呼び掛けると返事してくれる』も問題無さそうだ。ゴーレムには耳に相当する器官も有るみたいなので。
『朝、優しく起こしてくれる』は、どうなのだろう?
”朝”は、どうやったら判断できるのかな?
徐々に明るくなっていく様子を検知して、”朝”だと判断するのかな?
天気によっては判断できない状況も起こりそうだし、カーテンの有無にも影響されそうだ。
それに抱いて寝ていたりしたら、尚更明るさの変化なんて分からないよね。
無理だよね。
うん。”朝”を判断するのは出来る気がしないわ。
『骨格の試作品』は、高く評価してもらえた。
サイズの統一はもちろん喜ばれたのだが、【製作グループ】が、綿を固定する為に糸を通す穴をいくつも明けていた事もすごく喜ばれた。
頭の中に浮かぶ【製作グループ】の誰かの”ドヤ顔”がウザイです。(苦笑)
『顔の試作品』は、三つ作った物を三人に見比べてもらった。
俺の記憶にある『ペンギンの顔』と、現状の物に近い『ニワトリの顔にクチバシを付けた感じの物』と、『その中間みたいな物』の三つだ。
『ペンギンの顔』が思いの外不人気で、結果、現状の物に近い物になった。
見慣れた物がしっくりきたんだろうね。
よし。話し合いはこれで終了だ。
まだ少し確認しないといけない事が有るけど、明日から製作に取り掛かれるだろう。
『骨格の試作品』の頭を付け替えて、エイラさんに渡す。
毛皮を切り出す為の型紙を作るのに必要だろうからね。
やる気を出しているエイラさんが骨格を胸元に抱いて帰って行くを見送った。
メイドさんがペンギンの骨格を胸元に抱いているのはちょっと微妙な絵面だったけど、そういう事は、最近割とよく有るのでスルーしました。(苦笑)
さぁ、俺はゴーレムを可愛く鳴かせることが出来るのか、実験をしよう。
字面に違和感を感じましたが、それはスルーしました。(苦笑)




