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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十二章 異世界生活編07 新・新生活編
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< 15 新・王宮での生活14 ナナシ、メイドさんたちの役に立つ魔道具を考える01 >


昼食後のお茶の時間を終えて、シルフィが部屋に戻って行く。

シルフィの後姿うしろすがたを見送りながら俺は、『今日のシルフィはどうしたのだろう?』と思った。


今日のシルフィは、部屋に戻る時の様子がいつもとは少し違っていた。

いつもは、残念そうな表情をして、迎えに来たメイドさんにドナドナされて行っていた。

だが、今日は「頑張ってお仕事して来ます。(キリッ)」と、俺に言ってから自分の部屋に向かった。

何かあったのだろうか?

今朝やった、シルフィに贈った魔道具の働きを確認する実験の所為せいなのかな?

『ナナシさんに大切にされるのに相応ふさわしい自分にならなくては!(フンス!)』とでも思う様になったのだろうか?

毎回毎回、シルフィがドナドナされて行くのを見送るのには気が滅入めいってしまっていた。その対策を『何か考えないといけないなぁ。』とか思っていながらも、何も思い付かないでいた。

今回のシルフィの様子がずっと続いてくれるのならそれで良いんだけど、多分たぶん、一時的なものだろうね。

ちゃんと対策を考えるか。

そんな事を考えていたら、頭の中で【多重思考さん(多重思考された人(?)たちのリーダー)】に言われた。

『今朝、姫様のステータスのMND(Mind)の値を上げた事で、落ち込みにくくなっているのだと思います。』

ああ。そう言われれば、そんな事もしたね。

なるほど。

MND(Mind)の値を上げた事が影響しているのか。ふむふむ。

と、なると、対策を考える必要って無くなったのかな?

『そうだと思います。』

そうだったらがたいね。

しばらくシルフィの様子を見ながら、何か対策が必要そうだったら、その時に改めて何か考る事にしよう。


ソファーでくつろぎながら、この後の予定を考える。

やらなければならなかった事って、もう終わったのかな?

昨日は、ダンジョンの在る街の冒険者ギルドに行って、魔物の素材の売却の話を、一先ひとまず終わらせた。

今朝は、王妃様に頼まれていた、シルフィに贈った魔道具の働きを確認する事も終わらせた。

霊薬れいやくも、とっくに王様に渡してあるし、ダンジョンマスターのことも伝えてある。

ハチミツもメイドさんたちに渡したし、やらなければならなかった事って、アレ以外はもう終わったよね。

うん。そうだよね。

よし。

次は”ゴマスリ”に取り掛かろう。

メイドさんたちの役に立つ魔道具を作ってプレゼントして、メイドさんたちにゴマを擦ろう。


さて。どんな魔道具を作ろうかな?

今までに考えておいた、メイドさんたちの役に立ちそうな物はこんな感じだ。

高所こうしょ作業用の魔道具』『洗濯物を乾燥させる魔道具』『ワゴンの軽量化』『髪を乾かすドライヤー』『足元を暖かくする魔道具』『目覚まし時計』『電話』

…『電話』はマズイかな?

”ゴマスリ”で済む話ぢゃなくなっちゃいそうだな。

『目覚まし時計』は、メイドさんたちには絶対に必要な物だと思うのだが、時計はすぐには作れないのかな?

時計を作ろうとすると、ず、正確な一日の長さが分からないといけないから、それを調べる為に正確な南の方角が分からないといけなさそうだ。

天体観測をする場所の選定とか、手間とか時間とがかなり掛かりそうな気がするから、すぐには無理っぽいよね。

それに、時計が無い今の生活でも何とかなっているから、急いで時計を作る必要も無い気がするしね。

”お茶の時間”が、いい区切りになっているみたいだし、今の時計の無い生活でも、不便に感じなくなってきているからね。

時計は、まだ無くてもいいよね。


その他の物の中で、最初に作る物は何が良いのかな?

メイドさんたちの安全に関わる、『高所作業用の魔道具』が良いかな?

メイドさんたちの安全に関わる物なのだから、作るのなら早く作った方が良いよね。

よし。

『高所作業用の魔道具』を作って、メイドさんたちにプレゼントしよう。


俺の考えている『高所作業用の魔道具』は、こんな感じの物だ。

・空中に【ブロック】を作って階段の様に登り、それを足場として高所作業をする。

まんいち、誤って転落してしまったさいには、【レビテーション】により、ゆっくりと床に降ろす。

・掃除の為に【クリーン】の魔法も使える様にする。

これで、高い場所の窓の掃除なんかが、安全で簡単になるだろう。

この王宮の建物は天井が高いから、高所作業がそれなりに有るからね。

メイドさんたちの安全の為に、こういった魔道具をプレゼントすれば喜ばれるよね。

それに、俺がメイドさんたちの安全を考えているとアピールする事が出来れば、メイドさんたちの俺への評価が上がるだろう。(←コレがとても重要)

よし。

早速さっそく、取り掛かろう。


【無限収納】から、魔晶石と小さいミスリルのかたまりを取り出して、指輪を作る。

実験に使うだけだからデザインとかは考えず、ただ指輪に魔晶石が取り付けられているだけの代物しろものだ。

次に、魔道具を使ってする動作を考えながら、魔晶石に書き込む魔法を頭の中で考える。

上げた足の下に、足が乗る程度の小さい【ブロック】を作り、空中に固定する。

その【ブロック】に人が登り、次の【ブロック】が作られ、そちらに人が移動したら、前の【ブロック】は消す。

足が離れなければ、そのままその場所に在り続けて足場となり、短時間足が離れただけの時もそのまま残しておいて足場として使う。

高い場所でバランスを崩して【ブロック】から転落してしまった場合には、【レビテーション】を発動させて、ゆっくりと床に降ろす。

安全対策として、【レビテーション】に使う分の魔力を常に残しておく様にして、魔力の残量が少なくなった場合には、新たな【ブロック】が作られないようにする。

こんな感じだろう。


魔晶石に【ブロック】と【レビテーション】と【クリーン】の魔法と、魔法を発動させる為の諸条件を記したプログラムを書き込む。

次に、魔力を充填じゅうてんする。

「うにゅにゅ。」

…魔晶石に魔力を充填する作業には、いまいち慣れなくて、また変な声が出た。

恥ずかしくて、メイドさんたちの様子をうかがう事が出来ません。(苦笑)

メイドさんたちの様子を気にする事はやめて、実験に集中します。

まぁ、割と普段から何かをしている時には、メイドさんたちの存在を忘れている事が多々(たた)ありますがっ。


出来上がった試作の魔道具の指輪を指にめて、ソファーから立ち上がる。

壁際かべぎわまで移動してから振り返って、気合いを入れる。

よし、やるぜ。

階段を登る様に片足を上げて、空中を足で踏み締める。

その動作により足の下に【ブロック】が作られ、その【ブロック】を踏み締めて、その上に片足で立てた。

同じ動作で、もう一段いちだん【ブロック】を登る。

さらにもう一段【ブロック】を登り、両足を揃えてその場に立った。

よし。ここまでは、上手うまくいったね。

さて。

階段を降りる動作でも同じ様に上手くいくのだろうか?

上手くいかなかった場合を考えるとちょっと怖いよね。そこそこの高さがあるからね。

降りる動作よりも先に【レビテーション】の動作確認をすることにしよう。

ビビってなんかないですよ。(←誰に言ってるんだろうね?)

気合いを入れて、自分が立っている【ブロック】から、ヒョイと飛び降りた。

最初は普通の落下速度だったのだが、急減速してゆっくりと床に降りられた。

ふう。

【レビテーション】も上手く働いた様だ。

安心したね。

ビビってなんかいませんでしたが。(←誰に言ってるんだろうね?)

さて。

ここまでは、満足できる出来だね。うむうむ。

次は、階段を降りる動作の確認をしよう。

二段にだんだけ【ブロック】を登り、この場所から階段を降りる様な動作をして、ちゃんと足を置きたい場所に【ブロック】が出来るのかを確認する。

登る時とは違い、降りるのはちょっと怖かったが、ちゃんと足を置きたい場所に【ブロック】が出来て、そこに立つ事が出来た。

ふう。ホッとしたね。

もう一段、少し下がった場所に降りて、さらにもう一段降りてから床に降りた。

よし。

思っていた以上に上手くいった。

『【ブロック】を作る場所の指定方法で苦労するかも。』とか、少しだけ思っていたんだけどね。

そもそも【ブロック】の魔法は、【ブロック】を作る事と、【ブロック】を作る場所を指定する事がセットになっている魔法だったから、そのお陰でこの様に上手くいったのだろう。

上手くいって良かったのだが、何の問題も無かった事に、少々拍子抜ひょうしぬけしてしまいました。(てへ)


【ブロック】も【レビテーション】も上手く働いたので、期待していた通りに役に立ちそうだ。

他に確認すべき事がないか考える。

あとは、魔力の消費量の確認かな?

安全に関わる物なのだから、魔力には余裕を持たせておかないといけないよね。

登ったはいいけど、降りられなくなってしまったら大問題だからね。

あまりにも多くの魔力が必要となってしまう様だと、大きい魔晶石が必要になってしまって、大きな魔道具になってしまう。

そうなると魔道具の形は、指輪では収まり切れなくなる可能性が有る。

高い場所での掃除とかを想定しているのだから、あまりにもゴツイ指輪になってしまう様なら、腕輪とかネックレスとかにしないといけなくなるよね。

魔力の消費量を調べる必要が有るね。


ソファーに座り、魔力の消費量を調べる方法を考える。

調べなければならないのは、【ブロック】を作るのに必要な魔力量と、【ブロック】を空中に維持するのに必要な魔力量。それと【レビテーション】に必要な魔力量だね。

それと、乗っている人の体重が増えた場合に、魔力の消費量が増えるのかも確認しておこう。

これは、【ブロック】の上でジャンプでもすれば確認できるだろう。

こんな感じかな?

ああ。あと、【クリーン】に必要な魔力量もだね。

ちょっとだけ忘れてました。(てへ)


魔道具に残っている魔力量って【魔道具鑑定】で分かるのかな? 分かるよね?

頭の中で【多重思考さん】に訊く。

『【多重思考さん】、その辺どうなのー?』

『【詳細魔道具鑑定】で残存魔力量は分かります。』

そうか。良かった。

【詳細魔道具鑑定】で残存魔力量が分かるのはがたいのだが、【ブロック】を作るたびに鑑定するのは面倒だな。

結果をアウトプットする良い方法って、何か有るのかな?

グラフの形でリアルタイムでアウトプット出来れば良さそうな気がするんだけど、そんな魔法なんて在るかな? 無さそうだよね。

そんな事を考えていたら、頭の中で【多重思考さん】に言われた。

『そういう魔道具を、この機会に作ってしまいましょう。』

ほう。

『魔道具の使用魔力量をはかりたいという状況は、これからも有ると思います。』

『実験結果を分かり易く出力する魔道具が在れば、実験がはかどるでしょう。ぜひ作りましょう。』

ふむ。

俺は、これからも色々な魔道具を作るだろうね。

その時に、魔道具の使用魔力量を測りたい状況がきっと有るだろう。

魔道具に必要な魔力量は、(イコール)”魔晶石の大きさ”だからね。

魔晶石の大きさが分からないと、魔道具の形も決められないしね。

よし。

『実験結果を分かり易く出力する魔道具』を作ろう。

『実験結果を分かり易く出力する』となると、グラフを書くのが良いのかな?

グラフを書くのは、闇魔法で出来るよね。普段から闇魔法で空中に文字を書いたりしているからね。

頭の中で【多重思考さん】と相談しながら検討して、『【詳細魔道具鑑定】で残存魔力量だけを調べる魔法』と『残存魔力量の変化を闇魔法で空中にグラフを書く魔法』を作り、ブレスレット型の魔道具として作り上げた。

これで、魔力の消費量をリアルタイムで折れ線グラフで空中に書き出すことが出来ます。

ブレスレット型になったのは、魔晶石を多めに取り付けたからだ。

魔力切れで実験が止まうのは嫌だったので。

さらに、さっき実験で使った指輪型の魔道具の方に、少し修正を加える。

魔法を発動させる時に使う魔力を、ブレスレット型の魔道具に取り付けられた魔晶石から使う様にね。

こうしておかないと、魔力の消費量を正確に測れないからね。

新しく作ったブレスレット型の魔道具の魔晶石に魔力を充填するのに、いつもより長めに『うにゅにゅ』ってしまいましたが、敢えて触れません。

サァ、ジッケンダー。


指輪とブレスレットを着けて、実験を始める。

ず、空中にグラフを表示させた。

ちなみにグラフは、縦軸が”消費した魔力量”、横軸が”時間”となっている折れ線グラフです。

グラフを見ながら【ブロック】を一段登る。

グラフは、線が縦に少し上がった後、その高さのまま横に伸びている。

【ブロック】を作る時に魔力を消費するが、空中に保持しておくのには魔力は消費していない事が、グラフから読み取れる。

うん。かりやすい。

グラフで表示させる様にして正解だったね。(ニッコリ)

引き続き、実験を続ける。

次は、【ブロック】の上でジャンプする。

ジャンプした時と着地した時に、グラフの線が少しだけ上がった。

【ブロック】に力が加わると、その場にとどまろうとする抵抗力が発生して、魔力を消費してしまうみたいだね。

体重の重い人の方が、より魔力を消費してしまうことになりそうだ。

さらに【ブロック】を登り、天井の近くまで登った。

次に、階段を降りる様にして【ブロック】を作りながら床まで降りた。

グラフをよく見ると、登る時よりも、降りる時の方が魔力の消費量が少し多いみたいだ。

降りる時は、【ブロック】に乗る時に勢いが加わってしまうからなのだろう。

次は、天井の近くまで登った後に、横に移動する。

横に移動する時の魔力の消費量は、登る時よりも少しだけ少ないみたいだ。

体重の加わり方が違うからなのだろう。

次は、【レビテーション】の実験だ。

この部屋の天井ほどの高さから安全に降りられれば、性能は十分だろう。

あまり過剰な性能を持たせると、メイドさんたちが変な使い方をしそうで心配になるからね。

メイドさんたちの能力の高さを考えると、心配にもなろうというものです。

ふと、俺の頭の中で、王宮の屋根からジャンプしたメイドさんが、空中に作った【ブロック】をたくみに使い、立体機動で巨人をほふる様子が展開された。

メイドさんたちが今以上に手を付けられない存在になる幻視げんしを、頭の中から振り払う。

立体機動をするメイドさんなど存在しないし、これからも存在しないのです。

…大丈夫だよね?(←何だか不安になってきた模様)


それはそれとして。

【レビテーション】の実験をするのに、今居る、天井近くの高さから飛び降りるのだが、その前に、部屋に居るメイドさんたちに一声ひとこえ掛けよう。

おどろかせてはいけないからね。

…今の状態でも、既に驚かせているかもしれませんが、今更いまさらそんな事は気にしません。(←もう少し気にしましょう)

「これから飛び降りるけど、魔法でゆっくり降りるから、何の心配も無いからね。」

「はい。分かりました。」

「はーい。」

ケイトの返事が雑だ。(苦笑)

初めから何の心配もしていなかったのだろう。

決して『どうでもいい』とか思われている訳ではないと思います。

気を取り直して、ヒョイと天井近くの【ブロック】から飛び降りる。

最初は落下速度が速くて、一瞬ビビりましたが、急減速してゆっくりとした落下速度になり、安全に床に降りられた。

ふう。

グラフを見ると、線がグッと上に上がった後、床に着くまで複雑な動きをしていた。

…【レビテーション】の魔力の消費量はそこそこ多いミタイデス。(←グラフの内容を理解するのを諦めた模様)


データが集まったから、『高所作業用の魔道具』に必要な魔力量を計算しよう。

ソファーに座り、『それぞれの魔法を使うのに必要となる魔力量を便箋びんせんに書き出そう。』と思ったのだが、便箋びんせんに書き出すのがめんどくさく感じたので、空中に闇魔法で書くことにしました。

…魔法は便利なんだけど、どんどんめんどくさがりになってしまっている気がしますが、私の気の所為せいだという事にしておきます。(←ガッツリと自覚が有る模様)

最初に、作ろうとしている『高所作業用の魔道具』でさせる動作を挙げて、それぞれに必要な魔力量を出して、出した魔力量を全部足せば、それで魔道具に必要な魔力量になるね。

ずは、魔道具でさせる動作から書き出していく。

【ブロック】を足の下に作り出しながら階段の様に登り、それを作業中の足場としても使用する。

登る高さは、天井ほどの高さまで。

廊下一本分くらいの距離を、高さを維持したまま【ブロック】で足場を作りながら移動できて。

誤って転落してしまった際には【レビテーション】でゆっくりと床まで降ろす。

【レビテーション】は、余裕を持って2回使える様にしておこう。

あと、【クリーン】の魔法も使える様にする。

こんな感じかな。

次に、それぞれに必要な魔力量を計算する。

登る高さは最高で4mくらいで、その高さまで【ブロック】を階段状に作ることになる。

段差が20cmとすると、【ブロック】を20個作る事になるね。

のぼりとくだりで、それぞれ【ブロック】を20個作る必要が有る。と。

横に移動する距離は、廊下一本分として40mくらいかな?

歩幅は50cmくらいかな?

作業をしながらだと、もっと歩幅は狭くなるのかな?

歩幅は40cmとしておくか。

40mの距離を40cmの歩幅で歩くと、その間に作らないといけなくなる【ブロック】の数は100個か。…意外と多いな。

そして、【レビテーション】を2回と、【クリーン】だね。

【クリーン】を使う回数って何回かな? 2mごとに1回くらいかな?

そうなると、廊下の長さを40mとしていたから、20回だね。


次に、必要な魔力量を書き出そう。

先ほど実験した時のグラフから、魔力の消費量を読み取る。

【ブロック】を登る時の魔力の消費量は”3”だった。

降る時は少し多くて”3.5”くらい。

横に移動する時は少し少なくて”2.5”くらいだった。

【レビテーション】1回分の魔力の消費量は”30”だった。

あ。【クリーン】を使うのに必要な魔力量を測定し忘れていたね。

慌てて、【クリーン】を1回使い、魔力の消費量が”2”だった事を確認した。


それぞれに必要な魔力量を計算する。

【ブロック】を作るのに必要な魔力量は、(3x20)+(3.5x20)+(2.5x100)=380。

【レビテーション】2回分の魔力量は、30x2=60。

【クリーン】に必要な魔力量は、2x20=40だね。

全部足して、『高所作業用の魔道具』に必要な魔力量は、合計で”480”か。

あれ? 意外と多くね?

………………。

魔力(MP)が”400”とか有る人って見たことが無い気がするよ。

それと、【ブロック】を作る方が、【レビテーション】よりも随分ずいぶんと多くの魔力を消費してしまうね。

【ブロック】を作る数が多過ぎる気がするね。

…何だか”企画きかくだおれ”な気がしてきましたが、魔晶石にたんまりと魔力を充填できればいいだけです。

多分たぶん、大丈夫デショウ。(←かなり不安になってきている)


よし。

気合いを入れ直して、次は、魔晶石に充填できる魔力量を調べよう。

【無限収納】から魔晶石を一つ取り出す。

直径1cmほどの、大きめの魔晶石だ。

頭の中で【多重思考さん】に確認する。

『これは不純物を取り除いた魔晶石?』

『そうです。』

それなら、普通の魔晶石より多くの魔力を充填できそうだね。

早速さっそく、魔力をいっぱいまで充填して、魔力量を鑑定しよう。

「うにゅにゅ。」

………。

くそう。また変な声が出ちまった。

でも、気にせずに作業を進める。

笑いの沸点の低いケイトの様子など、どうでもいいんです!


魔力をいっぱいまで充填した魔晶石を【詳細魔道具鑑定】する。

魔力量は”100”ほどだった。

意外と少ない…かな?

いや、そうでもないか。

普通の魔道具に使う分には、十分な魔力量なのだと思う。

さっき計算で出した、俺が作ろうとしている魔道具に必要な魔力量が多過ぎるのだろう。

この大きさの魔晶石だと、魔力がぜんぜん足りなくて、五つも必要になるのか…。

うーむ。

どうするのかは取り敢えず置いておいて、魔晶石の大きさによって、どのくらいの魔力を充填しておけるのかを調べておくか。

今後、他の魔道具を作ろうとした時にも必要になるだろうからね。

頭の中で【多重思考さん】にお願いする。

『【多重思考さん】、頼んだよー。(←丸投げです)』

『…丸投げはよいのですが、魔晶石の大きさを測る物が欲しいです。ノギスみたいな物を。』

ふむ。そうだね。

『ちなみに、魔晶石を扱っている部署では、どんな測定器を使っているのかな? ちょっと調べてみて。』

『分かりました。』

測定器の調査を【多重思考さん】にお願いした。


待っている間に、俺は『高所作業用の魔道具』の魔力の消費量を少なくする方法を考えることにしよう。

企画きかくだおれ”っぽい気がしてきたからね。(苦笑)

【ブロック】の大きさって、もっと小さく出来るのかな?

いや、【ブロック】を小さくしても、魔力の消費量を大きく減らせる事は出来なさそうだね。

現状でも2.5~3.5の間だしね。

むしろ、【ブロック】を作る数を減らした方が、魔力の消費量を大きく減らせるだろう。

いっそ、【フライ】でも使った方がいいのかな?

【フライ】で高い場所に移動して、【ブロック】で足場を作り作業をする。

横の移動も、床に降りるのも【フライ】を使う。

ふむ。

こっちの方が魔力の消費量が少なそうな気がするな。

実験して魔力の消費量を調べるか。


でも、そろそろおやつの時間だから、その後にしよう。

ほこりが舞ってしまいそうだからね。

…何となく、さっきの実験で埃が舞っていそうな気がしたので、この部屋の空気の中から埃を【分離】して、隠れ家のゴミ捨て場にポイッてしました。

今日も【分離】魔法さんは最高です。


さぁ、おやつだ。


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