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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十二章 異世界生活編07 新・新生活編
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< 10 新・王宮での生活09 ナナシ、杖を作る01 >


杖を作ろう。

俺専用の。

午前中は時間が有るからね。


さて。

杖を作るとしても、普通の杖を普通に作っても面白くないよね。(←いきなり、脱線だっせんの予感)

杖を持っていなかった事で低レベルの魔術師と思われて、バカな冒険者たちにパーティーへの加入を勧誘された。

まるで『俺たちのパーティーに入れてやるから感謝しろ。』とでも言いたげに。

杖を見て、高レベルの魔術師だと思われれば、勧誘されなくなって助かるだろう。

俺は余計な事にわずらわされる事が無くなり、バカは余計な怪我をする事が無くなる。

良い事だよね。うん。

バカはぶちのめしておいた方が、世の中の為には良い事の様な気もしますが。


どんな杖にするかなー。どんな杖にするかなー。(ワクワク)

考える。考える。

杖全体を魔晶石にするのは、魔晶石がもったいないよな。

魔石で杖を作って、魔晶石を沢山たくさん埋め込むか?

いや、そもそも杖に魔法を溜めておく必要って、俺には無いんぢゃないかな?


今更いまさらながら、魔術師の杖の必要性を考える。(←本当に今更いまさら

杖に魔法を溜めておいたとしても、その魔法を発動させる為には”ワード”が必要らしい。

【多重思考さん】たちに魔法を使ってもらえば、無詠唱だからこっちの方が速いし、複数の魔法を同時に撃てる。

杖に溜めておいた魔法を使おうとすると、手間と時間が余計に掛かってしまうね。

それと、『俺が魔力不足になって、杖に溜めておいた魔法を使わなければならない。』なんて事態も起こらないだろう。

魔力は沢山たくさん有るからね。

いつの間にか【多重思考さん】たちがダンジョンを攻略していても、魔力が減っている事に俺が気が付かないくらいに魔力が有るからね。(苦笑)

ダンジョンを何周か周回しないと、魔力不足になんてならなさそうだ。


そんな事を考えると、俺の場合は『杖に魔法を溜めて使う』っていう使い方はしないね。何のメリットも必要性も無いから。(キッパリ)

と、なると、魔法を溜めておく為に必要な魔晶石すら、俺の杖には必要が無いね。

単純に”バカけ”だけだね。俺が杖を持つ理由は。

見た目から、高レベルの魔術師だと思われれば、それでいいね。

普通ではない綺麗な素材で杖を作って、それを持っていれば、高レベルの魔術師だと思われるかな? 思われるよね。

普通の木材で素人しろうとが作った杖ではダメそうだね。

よし。

普通ではない綺麗な素材で杖を作ろう。


【無限収納】の中に、目的に合いそうな素材って有ったかな?

記憶を辿るが、ガラスか魔石くらいしか思い当たらない。

うーん。

ガラスでいいかな?

ガラスから不純物をのぞけば綺麗なガラスになるだろう。多分たぶん

その綺麗なガラスで杖を作れば、高レベルの魔術師っぽく見えるかな?

うーん。どうだろう?

いまいち、イメージが湧かないな。

作った杖を、俺の近くに浮かべておこうかな? 杖を持つのもめんどくさいし。(←さらなる、脱線だっせんの予感)

杖が俺の近くを浮いていたら、高レベルの魔術師だと思われるかな?

低レベルだとは思われないだろうね。

よし。

こんな感じで、俺の杖を作ってみよう。


作業を始める前に、【無限収納】から敷物しきものを取り出す。

床に広げようとして、ちょっと考える。

ガラスを扱うから、敷物に傷が付いてしまうかもしれないね。

結界を使えば傷が付かない様に出来るが、それなら、そもそも敷物も必要無い。

そうだよね。

一度出した敷物を【無限収納】に戻し、【ブロック】で透明な作業台を作った。

『透明だとニーナがぶつかったりして危ないかな?』と思ったら、薄く黒い色が付いた。

【闇魔法さん】、いつもありがとうございます。助かります。


作業台の上に【無限収納】からガラスを取り出す。

10本ほどの細長いガラスだ。

『杖を作る為に用意しておいてくれたのかな?』と思ったら、頭の中で【多重思考さん(多重思考された人(?)たちのリーダー)】が、『取り敢えず切り落としておいた、はしの部分です。』と教えてくれた。

ああ、なるほど。

買って来た大きなガラスは四隅よすみが少し丸くなっているから、四角く切り出すと、細長い”余り”が出てしまうからね。その部分なんだね。

『余らしておいても、その内に【結合】させたり【変形】させたりして何かに使うだろう。』とか思っていたが、最初に使う事になるとは思いませんでした。(苦笑)

まぁ、想定外の事が起こるのは、割といつもの事なので、気にしたりなどしませんがっ。(←どう見ても気にしている人の発言です。)


作業台の上に置かれた細長いガラスを、まとめて【結合】して【変形】させて、丸い断面の、細長い棒状にした。

透明感がややおとる気がするのは、【結合】や【変形】をさせた影響なのだろう。

『不純物を取り除けば、綺麗になるだろう。』と思い、【分離】魔法さんで不純物を取り除いた。

しかし、綺麗になるどころか、逆に白くにごってしまった。

あれれ? 何でだろう?

うーん。目論見もくろみはずれたね。

不純物を取り除いた事で、小さい空間が出来てしまったのかな?

そうかもしれないな。

そう、当たりを付けて、【均質化】の魔法を掛けてみた。

そうしたら、透明で綺麗なガラスになった。

「おお! こいつは綺麗だ。」

思いの外、綺麗になったので、思わず声が出た。

じっくりと見る。

綺麗な水晶玉の様な美しさだった。

その美しさに感動した。

つえ本体に使う素材は、これでいいだろう。

むしろ、『ぜひ、これを使いたいっ。』って思った。


次は魔晶石を用意しよう。

魔法を溜めておく目的では使わないのだが、俺の近くに浮かせておこうと思っているので、【フライ】の魔法とかを発動させたりする為に必要になる。

話に聞いていた『魔術師の杖』からはかなり離れてしまった感じがしますが、気にしません。(←自分の脱線っぷりに、やっと気が付いた模様)


綺麗なガラスの杖に合う、魔晶石の取り付け方を考える。

この杖の美しさをそこなわない取り付け方は、杖の頭に魔晶石を一つ取り付ける方法だろうね。

シンプルにするのが一番良いだろう。

素材の味を活かしてね。(←どこかの料理人かな?)

そうなると、杖に見合う大きさの魔晶石が必要だね。

【無限収納】から一番大きな魔晶石を取り出した。

直径1cmほどの魔晶石だ。

うーむ。あまり大きな魔晶石は【無限収納】の中には無いみたいだな。

そもそも、魔晶石は魔道具に使う物だからね。

大き過ぎると邪魔だから、あえて、大きなサイズでは作っていないのだろう。

大きくすること自体は簡単だ。【結合】すれば良いだけだから。

でも、たいした事に使う訳ではないから、魔晶石を無駄遣いしたくはないな。

どうしたものかな?

うーーむ。

この魔晶石のまわりを魔石でつつんで、大きい魔晶石っぽくするか。

うん。そうしよう。

【無限収納】から魔石をいくつか取り出す。

それらを【結合】して平たく【変形】させ、それで魔晶石を包み込む様に丸く【変形】させた。

出来上がったそれは、直径3cmくらいの魔石の様に見えた。

…魔晶石の様には見えないね。

でも、杖に取り付ければ魔晶石だと思われるかな?

作った『魔晶石入り魔石』をジッと見る。

…魔石だな。

そーだよねー、外側は魔石だもんねー。魔石に見えるよねー。

むしろ、何故、魔晶石に見えると思ったのか。orz

自分でも訳が分かりません。

どうしようかな?

つえ本体がとても綺麗なので、『魔晶石の代わりに魔石を付けている安物』なんて思われたくはないな。

ふと、『魔石から不純物を取り除いたらどうなるんだろう?』なんて事を考えた。


魔石は、赤く半透明だ。

一方いっぽうの魔晶石は、魔石よりも透明度が高い。一目ひとめで違いが分かるほどに。

先ほど、ガラスから不純物を取り除いたら、綺麗なガラスが出来上がった。

魔石から不純物を取り除いたら、透明度が上がって、魔晶石っぽい見た目にならないだろうか?

漠然ばくぜんとだが、いけそうな気がした。

現状よりは良くなりそうな気がするので、試す価値は有るだろう。

実験をする前に、頭の中で【多重思考さん】に訊いてみる。試した事が有るかもしれないと思ったので。

『魔石から不純物を取り除いてみた事は有りません。本体ほんたいさん(=俺のこと)が実験するだろうと思いましたので。』

【多重思考さん】は実験した事が無いとのことなので、早速さっそく実験してみよう。(ワクワク)


実験用に、【無限収納】から魔石を一つ取り出す。

が、これだと小さ過ぎて、実験結果が分からなさそうだ。

いくつか魔石を取り出して【結合】して【変形】させて、直径3cmほどの大きさの丸い魔石にした。

これを使って実験をしよう。

よし、やるぜ。

ガラスでやったのと同様に、【分離】魔法さんで不純物を取り除き、【均質化】の魔法を掛けた。

不純物を取り除いた魔石は、透明度が上がって綺麗になった。

おお。良い感じだ。

じっくりと見てみる。

魔晶石(ほど)ではないが、魔石だとは思われなさそうな(ほど)には、透明度が高くなっている。

良い感じだ。実験は成功だね。

よし、この不純物を取り除いた魔石で魔晶石を包んで、大きな魔晶石っぽく見える様にしよう。


先ほど作った、『魔晶石入り魔石』を手に持つ。

魔石部分を【変形】させて、中から魔晶石を取り出す。

残ったいびつな魔石は、取り敢えず、【無限収納】に仕舞っておく。

そのうち、何かに使うだろう。(←適当)

先ほど作った綺麗な魔石を、魔晶石を包み込む様に【変形】させて、丸く形を整えた。

出来上がった、改良版『魔晶石入り魔石』をながめる。

うむ。透明度が高くて綺麗だ。

これなら魔石には見えない。

これを杖の頭に取り付ければ、大きな魔晶石っぽく見えるだろう。

杖の頭を【変形】させて、作ったばかりの改良版『魔晶石入り魔石』を取り付けた。

よし。良い感じだ。

杖を持ち、全体を眺める。

うん。バッチリだね。(ニッコリ)

これで、杖の本体は完成だ。

やったね。(ニッコリ)


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