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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十二章 異世界生活編07 新・新生活編
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< 01 新・王宮での生活01 ナナシ、色々する >

シルフィと結婚して、『新しい生活の始まりだ。』、『ごとけて、のんびりごそう。』とか思っていたのに、変なことをやらかしてしまった所為せいで、めんどくさいことになってしまった。

でも、その騒動も終わって、これからはのんびりした日常が始まるはずだ。

その為にしなければならない事が有るけど、しなければならない事をしっかりとやって、俺はこの王宮でのんびり過ごします。

…のんびり過ごせるよね?

…結婚直後にも、同じ事を思った様な気がしますが、大丈夫だと信じています。


久しぶりに王宮に帰って来た。

シルフィと一緒にね。

帰って来た早々に、ちょっとした変なトラブルが起きたけど、それも落ち着いた。

この王宮でのんびり過ごす為に、しなければならない事をしっかりとしよう。


ソファーでくつろぐ。

シルフィは俺の隣に座って、べったりと張り付いています。

「でへへー。」とか言いながら。

『自分の部屋に戻らなくていいのかなー?』とか少しだけ思ったが、そんな事を言って悲しそうな顔をされるのも嫌なので、シルフィの好きにさせておく。

俺の心の声が聞こえた訳ではないだろうが、シルフィが「ちょっと部屋の様子を見て来ますね。」と言って、自分の部屋に向かった。

ぬくもりが無くなって、ちょっと残念な気がしたが、これからの予定を考える事にしよう。

しなければならない事が、色々と有るからね。


ず、ダンジョン関連を済ませないといけないね。

ダンジョンで会ったダンジョンマスターの事を、王様か大臣に伝えて、預かっている霊薬れいやくを王様に渡さないといけないからね。

霊薬の存在は隠しておいた方が良いだろう。

おかしな事を考える人が現れない様にね。(不思議と心に刺さるのはナゼダロー)

だから、霊薬の事を伝える時は、十分に気を付けないといけないね。


次は、メイドさんたちへのゴマスリだね。

森で採取したハチミツを渡すのと、何か仕事の役に立つ魔道具でも作ってプレゼントすることにしよう。


他には、何か有ったっけかなー?

考えていたら、シルフィが戻って来た。

「仕事は無さそうですっ。ナナシさんとベタベタできますね!」

そう言って、シルフィは俺の膝の上に横向きに座って抱き着いてきた。

「むふふー。」とか言って、べったりしまくっています。

まぁ、シルフィの好きにさせておこう。

引き剥がすのもめんどくさいし。

シルフィは好きにさせておいて、俺は、俺がしなければならない事を済まそう。


頭の中で、ダンジョンであった出来事を色々と思い出す。

大臣に報告しておくべき事が、色々と有った気がするからね。

報告するのは、王様宛ての霊薬を預かっている事はもちろんだが、ダンジョンで会ったダンジョンマスターの事も伝えておかないといけないよね。

この国の建国時の関係者らしいし、初代国王が亡くなられた時の状況も知っているみたいだしね。

それと、ダンジョンの50階層のボス部屋が、魔法が無効化される部屋だという事も伝えておこう。

いつか霊薬が必要になった時に、この事を知らずに攻略しに行ったら、高い確率で全滅してしまいそうだからね。

知らせておいた方がいいよね。

あと、次にダンジョンマスターに会いに行く時には、お土産みやげとして本を持って行ってあげたいから、その本の準備もお願いしておこう。

俺が準備するのはめんどくさいからね。(←言い切った)

あと、お勉強する為にもれっていた本一式(いっしき)をあげてしまったので、またもらえる様にお願いしておこう。

丸暗記する気がなかったので、たいして憶えていないのでね。

もう一度貰って、【無限収納】に仕舞っておきたいね。調べ物をしなければならなくなった時の為に。

読む気はあんまり無いけど。(おい)


大臣に報告しておくべきダンジョンの事は、こんなところかな?

さて、霊薬を渡す段取りはどうしようかな?

いきなり、『はい、霊薬。』とか言って渡されても、扱いに困るだろうからね。

大臣に報告して、霊薬を王様に渡す段取りを大臣に考えてもらうのが良いだろうね。

霊薬の存在を秘密にしたり、霊薬の存在を知らせる範囲をどこまでにするのかを考えたり、霊薬を何処どこにどうやって保管しておくのかとか、色々と考えないといけない事が有りそうだからね。

ただ渡せばいいって話ぢゃないよね。

この国の事をほとんど何も知らない俺が、口とか手とかを出すべき事でもないだろう。

大臣にお願いしないといけないよね。うん。

決して、『めんどくさいから大臣に丸投げしよう。』とか思っている訳ではアリマセンヨー。


よし。

大臣に報告する内容は、こんなものだろう。

さて。

膝の上にシルフィが座っているこの状態で、大臣への報告書をどうやって書けばいいのかな?

それに、報告する内容は、シルフィに知られていい内容なのだろうか?

霊薬の事は知っている人が少ない方が良いだろうし、シルフィが知っておくべきかどうかの判断は、大臣に任せるべきだという気がするからね。

うん。報告書は、シルフィに見られない様に書こう。

で、この状態でどうやれば、シルフィに見られない様に書けるのかな?

【不可視】の結界の中で、火魔法を使って便箋びんせんに書けばいいのかな?

そうだね、これでいけそうだね。

そうしよう。

便箋びんせんは、机の引き出しの中に有る。封筒もね。

この状態だと取りに行けないから、【目玉】を使って、一度【無限収納】に仕舞ってから、手元に出して…とか段取りを考えてたら、めんどくさくなったので、【多重思考さん(多重思考された人(?)たちのリーダー)】に丸投げしましたっ。(おい)

魔法で出来る事は、俺がやらなくても【多重思考さん】たちでも出来るからね。

らくちんだね。

頼んだよー。

よし。

やる事が一つ終わったぜ。(←まだ終わってません)


次は、メイドさんたちへのゴマスリだ。

持って来たハチミツをプレゼントしよう。

そう思ったら、頭の中で『王妃様とメイド長が来ます。』と【多重思考さん】に言われた。

…やべぇ。

怒られるのかな?

怒られるよね。

すっかり忘れてたね。

メイドさんたちへのゴマスリは考えていたのにね。

どうしよう。

オロオロドキドキする。

何も良い考えが浮かばないまま、ドアがノックされて、二人がとおされる。

「お邪魔するわね。」と言って部屋に入って来た王妃様と、メイド長。

「………。」

俺は、何を言っていいのか分からなくて、声が出なかった。

俺は動けない。

シルフィが俺の膝の上に座っているからね。

物理的に動けないよね。

王妃様は、俺たちを見て微笑ほほえみながら、「本当にお邪魔だったわねー。」とか、おっしゃられています。

『いえいえ、そんなことは無いですから。』とか思ったのだが、何と言って良いのか分からなくて、「どうも。」なんて言ってしまった。

コミュ障かよっ、俺っ!

メイド長の表情は読めなかった。

どういう表情をしていいのか戸惑っているだけならいいなー。(もう、どうにでもなーれー)


「今回の件は、こちらに非が有ります。すみませんでした。」

王妃様がそう言って、メイド長と一緒に頭を下げた。

想像の外にある様な事を言われたので、俺は驚いた。

「いえいえ、俺が変な事をしたのが悪いんです。こちらこそすみませんでした。」

そう言って、俺も頭を下げた。

シルフィが抱き着いているから、あんまり頭を下げられなかったけど。

「あまりお邪魔しちゃ悪いからもう行きますね。ナナシさん、シルフィのことをよろしくお願いいたしますね。(ニッコリ)」

王妃様はそう言って、メイド長と共に部屋を出て行った。

「ふぅ。」

驚いたし、緊張した。

やれやれ。


しかし、シルフィは、いつまで俺に抱き着いているのかな?

抱き着いているところを見られて、恥ずかしくなって動けなくなっちゃたのだろうか?

頭の中で『それはない。』って言葉が聞こえた気がするけどねー。

でも、お陰で、王妃様たちが早々に帰ってくれることになったので助かった。

シルフィに感謝だな。

意図的にしていた訳では無いだろうけどな。

「でへへー。」とか言ってるし。

ちょっと呆れてしまう。

さすがシルフィです。(苦笑)


さて。

しなければならない事を、さっさと済まそう。

次は、メイドさんたちへのゴマスリだ。

先日の俺の起こした騒動で、メイドさんたちは腹を立てているはずだ。

シルフィを泣かしちゃったからね。

メイドさんたちのご機嫌を取らないと、俺が死ぬ。(断言)

だから、メイドさんたちのご機嫌取りは最重要です。

シルフィと仲の良い様子を見せて、『シルフィと仲が良いですよ』アピールをしているが、ゴマスリも必要だろう。

ゴマスリに使えると思って持って来ているハチミツを、メイドさんたちにプレゼントしよう。

今、【無限収納】の中にハチミツが入っているのだが、ものが無くてボウルに入れたままだ。

ビンに移して渡そうとすると、ビンを買いに行かなければならない。

ちょっと面倒だね。

どうしようかな?

うーーん。

ボウルのまま渡しちゃおうかな。

その方がインパクトが有る様な気がするからね。

きっと、ビンは沢山たくさん有るだろうしね。

決して、ビンを買いに行くのが面倒な訳ではナイデスヨー。

『早く渡してゴマをすらないと、俺の命が危ない。』という意識は有りますがっ。

でも、ボウルのまま持ち運んでもらうのには、ちょっと抵抗が有るな。

『転んだら大変』だとか、『ゴミが入りそう』だとかね。

【マジックバック】に入れて運んでもらえばいいかな? この部屋に有るし。

そうしよう。

俺付きのメイドさんの、ニーナを呼ぶ。

「ニーナ、【マジックバック】を持って来てくれるかな。」

「はい。」

ニーナに、コートハンガーに掛けられた【マジックバック】を持って来てもらう。

ニーナから【マジックバック】を受け取り、「渡す物が有るから、ちょっと待っててね。」と言って、待っててもらう。

【無限収納】から、ハチミツの入ったボウルを取り出す。

「これ、ハチミツね。メイドさんたちへのプレゼント。おやつを作る時にでも使ってほしい。」

ニーナに、一度ハチミツを見せてから【マジックバック】に仕舞い、【マジックバック】ごとニーナに渡した。

「ありがとうございます。皆、喜びます。(ニッコリ)」

ニーナは、一度部屋の外に出て、部屋の外に居た護衛のメイドさんに渡して戻って来た。

よし、これでハチミツの件も終わったね。


頭の中で、『報告書の用意が出来ました。』と声がした。

【多重思考さん】たちに頼んでいた、大臣に渡すヤツだね。

【無限収納】から封筒を取り出す。

手に持った封筒を見ると、封蝋ふうろうがしてあったので、軽く驚く。

初めて見るからね。封蝋ふうろうなんて。

その封蝋ふうろうには、何かハンコの様なモノを押したっぽい跡が付いていた。

紋章の様にも見えるが、これは何だろう?

『グラストリィ公爵家の紋章です。』

へぇー。

初めて見る紋章だ。

それと、『グラストリィ公爵家』とやらも、初めて聞いた気がする。

この紋章って、俺が貰った公爵家の紋章なのかな?

そうなんだろうね。俺が出す封筒に使われてるんだもんね。

『そうです。姫様が決めました。』

頭の中で【多重思考さん】が、そう教えてくれた。

ああ、なるほど。

公爵家との勝負の後、俺は忙しかったからね。

シルフィと結婚する為に、沢山たくさん勉強させられてね。

その時に、俺に代わってシルフィが決めてくれたのだろう。

仮に暇だったとしても、俺に『家名と紋章を決めてくれ。』とか言われても困惑しただろうから、シルフィが決めておいてくれていたのならがたいね。

この封筒は、ニーナに頼んで渡してもらおう。

もう一度、ニーナを呼んでお願いする。

「これを大臣に直接渡してきて。」

「はい。『直接』と言うことは、重要なお手紙なのですね。」

「そう、重要。あと、大臣には、人払ひとばらいをして、一人で読む様に言ってね。」

「かしこまりました。」

部屋を出ていくニーナを見送った。

ふう。

しなければならない事が、一先ひとまず片付いたね。

ニーナが戻って来たらお茶を淹れてもらおう。

そう思って、俺は、ソファーでまったりとした。

シルフィは、ずっと「でへへー。」とか「ぐへへー。」とか言っていました。

俺に抱き着いたまま。

一体いったい、シルフィは、いつまで俺に抱き着いているのかなー。(苦笑)

まぁ、どうでもいいかー。(なげやりー)


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