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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十一章 異世界生活編06 新生活編
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< 15 事件14 ナナシの自由時間 ダンジョンの話 >


『ダンジョンに行きましょう。』


頭の中で【多重思考さん(多重思考された人(?)たちのリーダー)】に、そう言われた。

朝食後に、またベッドに戻ってダラダラぬくぬくとしていた俺は、少しだけ意識をそちらに向けた。


昨日きのう一昨日おとといは、一日中、この隠れ家でダラダラしてごした。

最近すっかり忘れていた、『ごとけて、のんびりごす生活』です。

しばらく忙しかったので、休暇と思って、ひたすらダラダラしていた。

そう、休暇だ。

だから、ひたすらダラダラしてていいのだ。

うん。

当然の権利だね。

時々、【多重思考さん】が頭の中で『新魔法披露。(ボソッ)』と言ってくるのが、ちょっと鬱陶うっとうしかったですが。(苦笑)

そんな事があったからか、それとは違う【多重思考さん】のセリフに、少しだけ意識が向いた。


頭の中で考える。

『だんじょん? 』

『だんじょんに行くって、何をしに? (ダラダラぬくぬく)』

『んーーーー?(ダラダラぬくぬく)』

『ん…………。(ダラダラぬくぬく)』

意識が落ちそうになる。

J( 'ー`)し『たかし、気分転換にダンジョンにでも行って来たら?』

「たかしって名前ぢゃないって言ったぢゃんっ! それと気分転換にダンジョンに行く事をすすめるなよっ! 気分転換で行く様なところぢゃないだろっ!」

思わず声を上げて、眠気ねむけめた。

くそう。

仕方がない。話だけは聞いてやるか。

ベッドから出る気は無いがなっ。(ダラダラぬくぬく)


【多重思考さん】の話によると、ダンジョンを攻略した後、どうしたら良いのか分からない事案が発生したとのこと。

その話をしたいので、一度ダンジョンに行ってほしいとのことだった。

「俺がダンジョンに行く必要ってあるの?」

『会ってほしい人が居ます。』

ふーん。ダンジョンに行って、会ってほしい人か…。

「所要日数は? あまり日数を掛けられないよ?」

『すぐ行けて、すぐ帰って来られます。』

という事は、ダンジョンの中に行く訳ではないのだろう。

「ダンジョンの在る街に、その人が居るってこと?」

『その人はダンジョンの中に居ます。』

あれ? それぢゃあ、ダンジョンの浅い階層に居るのかな?

そんな風に思っていたら、驚く様な事を言われた。

『おそらく、ダンジョンマスターと呼ばれている人だと思います。』


色々と訊かないといけないね、【多重思考さん】に。

体を起こして、ちゃんと聞こう。

くるまった布団ふとんから出る気は無いけどなっ。(ぬくぬく)

「そのダンジョンマスターが居る場所って、何処どこ?」

『ダンジョン内の、ダンジョンマスターの居住区っぽい場所です。』

「そこって簡単に行けるの?」

『簡単に行けます。【転移魔法】で。』

ん?

ダンジョンの中に【転移魔法】で行けるの?

同じ階層内では【転移】出来るけど、階層をまたぐ【転移】は出来ないって言ってなかったっけ?

以前、そう聞いていた気がするので、頭の中に”?”が浮かぶ。

『”今の【目玉】”を使えば、出来ます。』

そうキッパリと【多重思考さん】に言われた。

そして、“今の【目玉】”を使った転移方法を教えてくれた。

”今の【目玉】”は、”空間魔法を使った結界魔法”の中に居る。

【魔力検知】で見付からない様に、その対策としてその様にした。

”空間魔法を使った結界魔法”の中に、別の”空間魔法を使った結界魔法”の中に居る【目玉】を【転移】させることが出来ることが分かり、その転移方法を使うと、ダンジョンの階層を跨ぐ【転移】も可能であることが分かったとのこと。

「その転移方法を使うと、ここからダンジョンの中にも【転移】して行けちゃったりするの?」

『行けます。』

すげぇ。

「その方法で最下層のボス部屋の前まで、直接行けちゃったりする?」

『行けます。』

やべぇ。ダンジョンの攻略がはかどるどころの話ぢゃないね。

『現在、すべてのボス部屋の前に【目玉】を配置していますので、そこへは簡単に行けます。』

『それどころか、ダンジョンマスターの居住区らしき場所にも【目玉】を配置していますので、そこにも簡単に行けます。』

『また霊薬が必要になった時は、直接ダンジョンマスターと交渉すれば良いでしょう。』

『ラスボスを秒殺されるよりは、大人おとなしく霊薬を渡した方が、ダンジョンマスターも助かるのではないでしょうか。』

「ラスボスは秒殺なんだ…。(あきれ)」

ラスボスが可哀想になるね。

あと、何気なにげに【多重思考さん】たちって、強過つよすぎなんぢゃないですかね?

とんでもない大魔法を、俺の知らない場所でぶっ放していそうで、心配になります。(苦笑)

ダンジョン壊してないよね?(←本気で心配している)

他人事ひとごとの様におっしゃっていますが、本体ほんたいさん(=俺のこと)の能力ですからね。』

そこにはあまり触れてほしくないんですがねっ。

それに、【多重思考さん】たちが俺に黙ってダンジョンを攻略しちゃってたぢゃん。

だから、他人事ひとごとあつかいしても、おかしいことぢゃないよね。うん。


そう言えば、ダンジョンを攻略した時の様子を聞いた事が無かったね。

この機会に聞いておくか。

【多重思考さん】から聞いた、ダンジョン攻略の様子はこんな感じだった。

先ず、【火魔法グループ】と【風魔法グループ】がダンジョンに行って、ヒャッハーした。

ヒャッハーしながら階層を進み、10階層ごとに在るボス部屋については、他の冒険者たちに便乗させてもらうことで通過した。

その際、タダ乗りにならない様に、ボスを倒すお手伝いをバレない範囲で行ったとのこと。

そんなことをしながら、40階層まで行ったそうだ。

だが、ここから先に進めなくなった。

40階層まで来る冒険者が居なかったから。

【目玉】だけでボス部屋に入っても、ボスモンスターは現れなかった。

実体の無い【目玉】だけでは、誰かがボス部屋に入ったとは認識されない様だった。

ゴーレムでもダメで、手近に居た魔物で試してみてもダメだったそうだ。

その為、ここで一旦、手詰まりとなった。

『冒険者を連れて来よう。』ということになり、【目玉】の半分ほどが上の階層に向かった。

上の階層に向かったグループは、31階層まで戻って、そこで魔物と戦っている冒険者パーティーを見付けた。

その戦闘の様子から、30階層のボスを倒したものの、その後の余力が無かった為に魔物相手に全滅させられかけてるみたいだった。

冒険者が残り一人となったところで戦闘に介入し、魔物を倒した。

重傷を負って倒れている冒険者を【ハイヒール】でなおし、取り敢えず気絶させておいて、その状態で運ぶ事にした。

気絶させたのは、『事情を説明するのが面倒だったから。』とのこと。(おいおい)

31階層から40階層まで戻らなければならないのだが、ここで、40階層に居る仲間たちの【目玉】の位置が分かることに気付いた。

『その【目玉】を目印に転移できないか?』と思って試したが、転移できなかった。

そこで、ふとした思い付きで、その【目玉】の張っている”空間魔法を使った結界魔法”の中に転移出来るか試してみた。

試してみたところ、転移することが出来た。

ダンジョンの階層を跨ぐ転移方法を発見した瞬間だった。

その方法で転移して、40階層に居る仲間たちと合流した。

仲間たちと合流後、早速さっそく、気絶させたままの冒険者を連れてボス部屋に挑戦する。

冒険者を結界を張って守りながら、サクッとボスを倒して、ドロップ品を回収して、先に進んだ。

そして、50階層のボス部屋の前まで到達した。

気合いを入れ、50階層のボス部屋に入る。(with 気絶させられた冒険者)

50階層のボスはドラゴンだった。

早速さっそく、【ファイヤーボール】をぶっぱなした。(ヒャッハー!)

が、すぐに消された。(ヒャッハァ↓)

このボス部屋は、魔法が無効化される部屋だった。

しかし、”空間魔法を使った結界魔法”は無効化されなかったので、【目玉】が消滅する様な事態は避けられた。

普通に魔法を撃つと無効化されてしまうので、【目玉】をドラゴンの体に重ねる様にして、ドラゴンの体の内側から【ファイヤーボール】を撃った。

これでダメージを与えられると思っていたが、この方法でも魔法が無効化されてしまった。

ダメージを受ける事も無いが、ダメージを与える事も出来ない、手詰まりの状態におちいった。

魔法でなければ無効化されないと思い、ダンジョンの外に居る仲間の【目玉】に応援を要請し、沢山の【ゲート(入口)】を使って太陽の光を集めてもらった。

【ゲート(出口)】を結界内に作り、そこから光を出し、その光を収束させて、ドラゴンの体にぶち当てて焼き殺した。

ドロップ品の霊薬(後日、俺の腕を治すことになるヤツ)を回収したら、別の部屋に転移させられた。

そこに人が居たので、取り敢えず気絶させた。(おいおい)

気絶させた理由(言い訳)は、『何をされるのか分からなかったので。』とのことだ。

その場所(ダンジョンマスターの居住区?)に【目玉】を一つ置いておき、残りの【目玉】はダンジョンの外に居る【目玉】の結界の中に転移して、ダンジョンの外に出た。

ダンジョン攻略を喜んだ後、『ボス部屋の前には【目玉】を置いておこう。』ということになり、一部の【目玉】が改めてダンジョンに入った。

現在、各ボス部屋の前に【目玉】を配置し終わっているとのこと。

気絶させたまま連れまわした冒険者は、ダンジョンの外で解放したとのこと。

『死なずに済んだので、別に報酬は要らないでしょう。』と、何も報酬は渡さなかったとのこと。

散々利用してポイッした様にも見えるのだが、【多重思考さん】の言い分もアリかなと思い、俺も気にしないことにした。(←気にしろよ)

後日、ダンジョンマスターっぽいほうの気絶させた人とは、空中に闇魔法で文字を書くことにより意思疎通を行い、『おそらくダンジョンマスターと呼ばれる人であろう。』との結論になったとのことだ。


【多重思考さん】から聞いた話を、頭の中で反芻はんすうする。

うーーん。すげぇな。

”いつの間にか”、”ダンジョンに行かないうちに”、”ダンジョンを攻略”していた。

何を言っているのか分からないと思いますが、俺も何を言ってるのか分かりません。(苦笑)

まぁ、いいや。諦めよう。(諦めんn…まぁいいか)


で、『ダンジョンに行きましょう。』って、【多重思考さん】に言われてたんだったね。

うーーん。

霊薬を手に入れるコネが有るのは、イザという時を考えれば助かるけど、良好な関係をきずける状況かね?

ラスボスのドラゴンを倒した事を怒ってたりしないかね?

よく分からない倒され方をしているよね。

その人自身も、いつの間にか気絶させられてるし。

無理っぽくね?

無理だよね?

『大丈夫です。その人は友好的でした。』

そう【多重思考さん】に言われた。

「うーん。でもなぁ。」

渋る俺に、これまでの筆談っぽいやり取りの様子を説明されたり、さらに、会った時に予想される反応や、その対策も【多重思考さん】に教えてもらったりした。

やたらめったら説得されて、仕方なく、俺はダンジョンに行くことにした。


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