< 12 事件11 ナナシの自由時間 魔道具鑑定 >
朝食を食べながら考える。
うーーん。今日は何をしようかなぁ?
『新魔ほ「魔道具を調べよう! うん。そうしよう!」』
【多重思考さん(多重思考された人(?)たちのリーダー)】が何か言おうとしていた気がしますが、気が付きませんでしたっ!
『………………。』
公爵家との勝負の最中に捕らえた呪術師たち。
彼らが持っていた色々な魔道具を回収したが、これらは【無限収納】に仕舞いっぱなしになっている。
呪術師二人は、結婚式が終わった後に引き渡しのだが、持っていた魔道具は引き渡さなかった。調べてみたかったから。
これらの魔道具のことを、いつまでも放っておく訳にはいかない。
王宮に侵入を許した理由を明らかにして、対策を考えないといけないからね。警備担当の人たちが。
現状は【目玉】たちで警戒をしているから問題は無いんだけども、警備担当の人たちは侵入を許してしまった理由を知りたがっているだろう。
呪術師たちが持っていた魔道具が、どの様な働きをする物なのかを調べて教えてあげないと、魔道具の引き渡しを要求されるだろうからね。
のんびりしていては、いけないモノだよね。
そんな訳で、今日は呪術師たちが持っていた魔道具を調べることにしよう。
ちなみに、呪術師二人を結婚式が終わるまで俺が拘束していたのは、引き渡した後で白衣のおじさんが何かをしでかすのを恐れたからです。
結婚式で忙しい時に変なことが起きたら、その対応に手が回らなくなりそうに思ったからね。
呪術師たちのお世話は【多重思考さん】たちに丸投げしていたので、手間は掛からなかった。
【無限収納】に入れていた料理が、すっかり無くなりましたが。
朝食を食べ終えた。
食器類は【料理グループ(多重思考された人(?)たちの内の、料理を担当しているグループ)】が片付けてくれた。
いつの間にか新たなグループが出来ていたが、大抵いつの間にか出来ているので、気にしない事にします。(苦笑)
また【多重思考】も数が増えている気がしますが、総数がいくつになったのかを聞かされるのがそろそろ怖いので、これも気にしません。(苦笑)
食器が片付けられたテーブルの上に、【無限収納】から魔道具を出す。
回収した魔道具の数は全部で15個。種類は、見た目で区別が出来るのは10種類だ。
それぞれが、どの様な魔道具なのかを調べたいのだが、【鑑定】で分かるのだろうか?
そんなに万能な魔法だとは思っていないが、先ずは【鑑定】をしてみよう。
ブレスレット型の魔道具を一つ手に取り【鑑定】する。
『ブレスレット。魔道具。重さ182g。』と出た。
魔道具であることまでしか分からなかった。
やっぱり、【鑑定】ではダメだったか。
さて、どうしようか?
【多重思考さん】に訊いてみよう。
そう思ったら、すぐに頭の中に返答が来た。
『魔道具を調べる魔法は在りません。』
無いのかー。在ると便利だと思うんだけどなー。
『魔道具を簡単に調べる魔法が無いのは、調べられては困るから誰も作らなかったのではないでしょうか?』
ああ、そうか。
使える魔法を知られるのは、手の内を知られるって事だからね。
知られたくないから、知られてしまう様な魔法を作らなかったというのは理解できるね。
『在る魔法の中では【分析】と【魔法読み取り】が役に立ちそうな気がします。』
ほうほう。
【多重思考さん】がそう教えてくれたので、試してみよう。
先ず、【魔法読み取り】とやらを試してみよう。
先ほどのブレスレット型の魔道具を一つ手に取り、見ながら魔法を掛ける。
「【魔法読み取り】。」
頭の中に文字がズラズラズラーっと出て来た。
「うわぁ! ストップ! ストップ!」
頭の中で流れる文字が止まった。
「ふぅ。」
これはあれだ。コンピュータープログラムのリストを表示させた時と一緒だ。
このリストを全部見るのはダメだ。
無理。めんどい。イヤ。
さて、どうしようか?
うーん。
今の【魔法読み取り】で読み取ったモノを【分析】するのかな?
それもめんどくさい気がするな。
魔法を作るか?
【魔法読み取り】と【分析】と【鑑定】を一緒にした様なモノを。
【魔法読み取り】で読み取ったモノを【分析】して、【鑑定】した様な表示方法でアウトプットする。
良い感じのモノが出来上がる気がするな。
やってみよう。
その前に自分のMP(Magic Point)の値を確認しておこう。
魔法を作る時は魔力を多く消費するからね。
ステータスを確認すると、MPは9,000以上あった。
十分にあるけど、何だかいつもより多い気がするな。
『【火魔法グループ】と【風魔法グループ】がヒャッハー!していませんので。』
疑問を頭に浮かべるのとほぼ同時に、【多重思考さん】がその理由を教えてくれた。
『ダンジョンを攻略して満足した様です。』
あーそーですかー。
【火魔法グループ】と【風魔法グループ】には、そのまま大人しくしていてほしい。
荒野が今以上に荒れない様にね。
まぁ、その時はまたダンジョンに放り込むか。(悪い笑顔)
何だか、ダンジョンの魔物たちが可哀想に思うが、仕方が無い事だと諦めよう。(諦めんなよ)
…何の話だったっけ?
新しく魔法を作るんだったね。
そうそう、憶えてマスヨー。(←かなり怪しい)
よし。頭の中で作りたい魔法のイメージを思い描こう。
『【魔法読み取り】で読み取ったモノを【分析】して【鑑定】の様にアウトプットする。』
『【魔法読み取り】で読み取ったモノを【分析】して【鑑定】の様にアウトプットする。』
うん。イメージ出来てる。
そして、魔法を作る。
魔力がグッと減る感覚がある。
ぐぬぬ。
そして、魔法が出来上がった。
ふぅ。
早速、新しい魔法を使ってみよう。
さっきのブレスレットを手に取り、魔法を掛ける。
「【魔道具鑑定】。」
そう言った後で、一瞬、身構えてしまう。
また頭の中に文字がズラズラーっと出て来たらビックリするので。(苦笑)
ビビっていたのだが、頭の中には、その一文だけが浮かんだ。
『魔道具のブレスレット。【人除け】の魔法が付与されている。重さ82g。製作者クロウル。』
「おお。」
ちゃんと鑑定できたー。やったー。
そして、最後に製作者の名前が在るね。
これはあれかな? 『プログラムを書いた人が名前を入れておく』的なことでもされていたのかな?
でも、このクロウルという人は、魔道具を作った人かな? それとも付与する魔法を作った人かな?
まぁ、この魔道具を引き渡せば、誰かが調べるだろう。(←この丸投げ感よ)
よし、他の魔道具も調べよう。
魔道具を調べて得られた結果は以下の通りだった。
【人除け】x2個、【スリーブ】x2個、【沈黙】、【混乱】x2個、、【不可視化】、【不可視化(上級)】、【スロー】、【遮音】x2個、【ファイヤーボール】、【バインド】x2個。
この中で、製作者の名前が出て来たのは【人除け】と【遮音】だけだった。
犯罪に使う事を想定して作られた物は、製作者の名前が分からない様にしているのだろう。
製作者の趣味とか、名前を売る為に名前を入れておいたとかいう可能性も有るか。
あと、ダンジョンで出た物の場合は、製作者の名前が表示されない気がするな。
それはそれとして。
【鑑定】した結果を見た感じ、侵入用と逃走用の魔道具って感じがするね。
そして、一つ物騒な物が有るね。
ヘタをすると、【ファイヤーボール】がぶっぱなされていた恐れもあったんだね。
やばかったね。
それと、通信系の魔道具は持っていなかったね。
持っていなかった理由は何だろう?
そういう魔道具が存在しないのかな?
それとも単純に持っていなかっただけかな?
一番怖いのは、『鉄砲玉的な役割だったから。』という理由だが。
自爆テロの可能性もあったりしたのかな?
まぁその辺は、呪術師たちを取り調べてもらえば分かるだろう。(←やっぱり丸投げ)
さて。
この中に【ファイヤーボール】よりも気になる物が有るね。
【不可視化(上級)】だ。
コレ、怪しいよね。
王宮に侵入できた理由は、コイツの様な気がするな。
コイツをもっと調べたいのだが、どうすれば調べられるかな?
そう思ったら、頭の中で【多重思考さん】が答えてくれた。
『【詳細魔道具鑑定】で調べておきます。』
おや? 知らない名前の魔法だな。
「調べてくれるのは有り難いんだけど、【詳細魔道具鑑定】って何?」
『先ほど魔法を作った時、【魔道具鑑定】と【詳細魔道具鑑定】の二つの魔法が出来ました。』
「へ? そうなの?」
『これは、魔法を作る時に『表示を【鑑定】の様に簡単に。』と思っていた為に、本来の機能を持つ魔法の他に、簡易版の魔法も一緒に作られたのだと思います。』
ふーん。そういうこともあるのか。
気を付けないといけない事なのかな? それとも便利な事なのかな?
その分余計に魔力を奪われそうだから、魔力が少ない時は気を付けないといけないね。
それはそれとして、【不可視化(上級)】のことは【多重思考さん】に調べておいてもらおう。
「ぢゃあ、詳細な調査をお願いね。」
『お任せください。』
【不可視化(上級)】を調べるのは【多重思考さん】に任せる事にした。
『時間が掛かると思います。』とのことなので、俺は俺で、他に何かすることにしよう。




