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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第十一章 異世界生活編06 新生活編
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< 02 事件01 >


結婚式が終わってから6日()った。

結婚式が終わった後も、色々な人たちと会ったり、パーティーに出席したりしなければならなかった。

疲れた。

すごく疲れた。

だから俺は、結婚式が終わってからも、しょっちゅう【多重思考さん(多重思考された人(?)たちのリーダー)】に体の操作のすべてを任せて、こっそりと眠っていた。


ベッドで目を覚ました。

外はもう明るくなっている様だ。

一緒に眠るシルフィ(我が妻)は、今朝も残念だった。(笑)

久しぶりに、スッキリとした目覚めの様な気がするな。

そのままダラダラしながら今日の予定を考える。

『そろそろ外出したいな…。』

公爵家との勝負の時から、ずっと外出できていなかったからね。

勝負の間は身の安全の為に。それ以降はお勉強の為に、ずっと外出できていなかった。

うん。久しぶりに外出したいな。

買いたい物も有るし。

今日、外出する事を決めたら、シルフィが目を覚ました。

シルフィは俺に抱き着いて、「むふー。」とか「でへへ。」とか「うふふふふ。」とか言っている。

起きているのか、寝惚ねぼけているのか、さっぱり判断がつきません。(苦笑)

シルフィ(我が妻)は、今朝も残念だった。(さっきぶり2回目)


シルフィと一緒に朝食をっている。

「やっと起きたわね。」

シルフィにそう言われた。

しかし俺には「やっと起きたわね。」と言われた理由が分からない。

さっき、「むふー。」とか「でへへ。」とか「うふふふふ。」とか言って、残念っぷりを発揮していたシルフィ(我が妻)に言われても、首をかしげるだけだよね。(苦笑)

そう思ったのだが、一つ身に覚えの在る事があった。

【多重思考さん】に体の操作のすべてを任せて、こっそりと眠っていた事が、かなりあった。

その中には、もちろん食事の時間も含まれていた。

食事中に何かあったのだろうか?

俺はシルフィに「何度も一緒に食事をしたよね?」と、さぐる様に訊いてみた。

「あれを起きてるとは言いません。人形が食事をしているみたいだったわよ。」

「それはすまなかった。」

「あれは一体いったい、なんだったの?」

そう訊かれたのだが、どう答えたものかな?

少し悩んでから正直に「寝てた。」と答えた。

呆れた様な顔をするシルフィ(我が妻)

その後、『寝ながら食事が出来る訳ないでしょ。 でも、この人ならやりそうよね。』みたいな事を考えていそうな表情をしていた。

そんな微妙な表情をするシルフィ(我が妻)に、俺はどう対応したらいいのか分からなかったので、なんとも微妙な空気が漂う食事になってしまった。(苦笑)


朝食後、部屋に戻りシルフィとお茶をする。

”部屋付きのメイドさん”改め、”俺付きのメイドさん”に、今日の予定を訊いた。

すると、「肖像画をく予定が有ります。」とのこと。

「肖像画か…。」

でも、俺の顔を描くのは不可能だよな。

顔に【認識阻害】の魔法が掛けてあるからね。

どうしようもないよな?

うん。どうしようもないな。

体はマネキンに服を着せて描いてもらって、顔は適当にやってもらおう。

よし、俺が居なくてもいいな。

久しぶりの外出だね。やったね。(ニッコリ)

「肖像画を描くのに、俺は居なくてもいいよね。」

そう言ったら、シルフィに呆れられた。

「何を言ってるんですか、居ないと描けませんよ。」

さらに続けるシルフィ。

「結婚式の時はじっくりと見れませんでした。じっくりと見たいです。楽しみです。」

「今日は外出したいから駄目。」

「意地悪です。」

「肖像画はマネキンで済ませて、俺が着ているのを見せるのは後日ってことで。」

「えーー、楽しみにしてましたのにぃーーー。」

にぎやかなシルフィの頭をなでなでしながら、お茶を楽しんだ。


シルフィが自室に帰った後、ソファーでのんびりしながら今日の予定を考える。

用事の一つ目は、アクセサリー屋に行って買い物をすることだ。

シルフィの為に、身を守る為の魔道具を作っている。

【製作グループ(多重思考された人(?)たちのうちの、物品製作をしているグループ)】がね。

ネックレスにする予定なのだが、それを完成させる為にはネックレスチェーンが要る。

それを購入する為に外出したい。

用事の二つ目は、食材の買い出しと料理だ。

【無限収納】の中に、料理を沢山たくさん作って入れておいた。

しかし今は、何も残っていない。

公爵家との勝負の最中さいちゅうらえた呪術師じゅじゅつしたちへの食事として、振る舞ってしまったからだ。

揚げ物を食べたくなった時にすぐ食べられるように、作っておきたいよね。

今日は食材を買いに行って料理もする。隠れ家へ行ってね。

隠れ家に行くのも久しぶりだね。

久しぶりにお風呂にも入りたいね。

うん。いいね。

隠れ家に行ったらお風呂にも入って、のんびりしよう。

俺は今日の予定を考えながら”にまにま”した。


『アクセサリー屋が開くまで時間があるよなぁ。』と思い、部屋でダラダラしていた。

しかし、先に市場に行って食材の買い出しをすればいい事に気が付いたので、外出の用意を始めた。

その時、ドアがノックされて、部屋にメイドさんたちが入って来た。

部屋に入って来たメイドさんは6人。

4人は衣装っぽい物を持っている様だ。

「…肖像画の件かな?」

「はい。姫様が大変期待していらっしゃいます。」

「………………。」

『外出したいから駄目。』ってシルフィに言ったのになぁ。

どうすっかなー。

うーーーーーん。

逃げるか。

そう思ったら、メイドさんに両腕をガシッとつかまれた。

しまった。逃げ遅れた。

これだと【転移魔法】が使えない。腕を掴んでいるメイドさんごと転移しちゃうからね。

どう見てもシルフィのがねです。本当にありがとうございました。

ぐぬぬ。

さて、どうするか…。

困っていたら、頭の中で【多重思考さん(多重思考された人(?)たちのリーダー)】からアドバイスが。

『私にまかせてもらえれば、自由になる時間をガッツリ確保して御覧ごらんれます。』とのこと。

うーん。どうしよう…。

少し考えて、俺は【多重思考さん】に任せる事にした。

やたらと自信満々だったので。

状況が既に詰んぢゃっていたしね。

頭の中で【多重思考さん】に言われるまま、体の操作のすべてを【多重思考さん】に任せた。

俺は、闇の中でソファーに座ってのんびりするかの様にリラックスした。



どのくらいの時間そうしていたのか分からない。

頭の中で【多重思考さん】にうながされて目を開けると、隠れ家のソファーに座っていた。

あたりを見回みまわす。

うん。隠れ家だ。

久しぶりだね。ここに来るのは。

ふと、腕に違和感を感じたので見てみると、両腕ともシャツのそでが無くなっていて、腕がむき出しになっていた。

肩の辺りを見てみると、袖を刃物で切り取ったかの様に見えなくもない。

何があったのだろうか?

頭の中で【多重思考さん】が話し掛けてくる。

『これで、しばらくは自由な時間を満喫まんきつできますよ。』

『”ダンジョンに行く”と書き置きをしておきましたので、30日くらいは大丈夫だと思います。』

うん。まったく話が見えてこない。


【多重思考さん】が何をしたのかを聞いた俺は、思わず「うわああぁぁ!!」と叫んだ。


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