表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/400

04 ナナシ、洋式便器を作る


今朝も、姫様とアントニオと一緒に、三人で朝食をっている。


「朝食後にちょっと外出してくる。」と二人に伝えた。

何をするのか訊かれたので、「かくに行って物作りをする。」と正直に言う。

そう言ったら、姫様が付いて来たがった。

でも、公務があるから駄目だよね。

姫様も分かっているのか、「ですよねー。」と言って、その話は終わった。


部屋に戻り、部屋付きのメイドさんに、今から外出する旨、話す。

「門まで案内させます。」とのことで、廊下にひかえているメイドさんに何やら指示をしている。

俺は、コートハンガーに掛けてあったローブを着て、「ぢゃあ、行ってきます。」と言って部屋を出た。


メイドさんに先導されて、王宮内を歩く。

その間に、王宮に入る時はどうすればいいのかを訊いておこう。

「お名前をお伝えいただければ済む様に手配しておきます。」とのこと。

それで済むなら、がたいね。


部屋から門までのルートはあらかじめ【目玉(仮称。魔法で作られた目。正式名称決めるのめんどくさい)】で確認していたのだが、一応、自分の目でも確認しつつ歩く。

景色の見え方が少し違うからね。

建物から出て庭を通り、門まで来た。

メイドさんに見送られて門から出る。

少し歩いたところで、【隠蔽いんぺい】と【人除ひとよけ】の結界を張って、まわりの人たちに注目されていない事を確認してから、森の奥に在るかくに【転移】した。


かくに来た。

ここに来るのは久しぶりな感じがする。

実際にはそんな事はないのだが、色々有ったからね。


今日、ここでするのは、王宮で使う便器の製作だ。

王宮のトイレはオマル(てき)な物なので、自分としては抵抗がある。

使い勝手とか、使ったあとの事とか。

ちなみに、”ブツ”は【分解】の魔法で処理して、その後【クリーン】の魔法で綺麗にしてます。

使った後は黒い砂が残っているだけなのだが、部屋付きのメイドさんはどう思っているのだろうか?

そういう生き物だと思われていたりして。(笑)

まぁ、いいか。(←いいのか?)

さぁ、便器の製作だ。


とは言っても、この隠れ家で使う為に、一度作った事がある。

午前中に終わらせられるだろう。

これから作る二つめの便器は、少し改良した物を作ろうと思っている。

やるのは、形状の改良と、魔法を使えない人でも使えるようにする事だ。

魔法を使えない人でも使えるようにするのは、王宮に設置したら、実物を見た人たちが欲しがると思ったからだ。


さぁ、やるぜ。

具体的な改良内容を考えながら、便器の形を頭の中で思い浮かべる。

形を決めたら、【無限収納】から、陶器とうき欠片かけらを大量に出す。

これは、昨日から今朝にかけて、街中まちじゅうのゴミ捨て場と街の外の埋め立て場から、【目玉(仮称)】を使って回収した物だ。

小さな山となった陶器の欠片を【結合】の魔法で一つにし、【変形】の魔法で洋式便器の形にしていく。

内部は空洞くうどうを多くし、筒状の物を下に伸ばす。

筒状部分の形状は、ね対策として、下に行くほど外に広げ、筒の内面はすべりが良い様にギザギザした形にした。

上から見ると、何かの花の様に見えなくもない。

便器下部の正面には、引き出し状の物が入る様に、四角い空間を作る。

うん、良さそう。

満足のいく物が出来た気がする。

でも、少し疲れた。

陶器とうき欠片かけらを【結合】させたり、【変形】させたりするのに、結構魔力を使うので。

きっと、変形させにくい物だからだろう。

少し休憩してから次の作業に移る。


次は、”ブツ”を受ける引き出し状の物を、同様に陶器とうき欠片かけらから作る。

内側に、液体を溜める部分とそこへ向かう傾斜けいしゃを作り、液体と固体を分離させる事で”ね”の軽減を目指す。

外側には、【クリーン】や【分解】の魔法を書き込む魔晶石ましょうせきを入れるくぼみや、使用する魔力をおぎなう為の魔石を入れるくぼみ。それと取っ手を付ける。

出来上がった引き出し状の物を便器に差し込み、隙間すきまを小さくする様に微調整。

さらに、上からのぞき込んで位置を確認しつつ、もう一度、形を微調整。

よし。良い感じに出来上がった。

あと一息ひといきだ。


次に、魔晶石を一つ【無限収納】から取り出し、【分解】、【クリーン】、【消臭】の各魔法と、それらの効果範囲などを設定する魔法、さらに魔石から魔力を吸い出す魔法と、大気中から魔力を集める魔法なども書き込む。

これで、「分解。」、「クリーン。」、「消臭。」と言えば、それぞれの魔法が、設定された範囲と設定された時間発動する。

魔晶石と魔石をくぼみにセットし、魔法が発動する事を確認。

陶器で作る本体は、これで完成。

やったね。


少し休憩してから、今度は、”座る部分”に取り掛かる。

便器の寸法を測ってそれに合わせて作ろうと思ったのだが、メジャーが無い事に気付いた。

王都に買いに行く事にしよう。

他に何か買う物有るかな?

うーん。無いな。

よし。メジャーを買いに王都に行こう。


その前に、新しいローブが少し重いので、【軽量化】の魔法を掛けておく事にしよう。

他にも何か魔法を掛けようかな?

考える。

【認識阻害】は、このローブには要らないな。顔に【認識阻害】の魔法を掛けたからね。

【軽量化】、【防汚ぼうお】、【破損防止】、【耐熱】の魔法を掛けた。

早速さっそく、ローブを羽織はおる。

軽くなった。満足だ。(ニッコリ)


メジャーを買いに転移魔法で王都に来た。

大きいお店へ行ってサクッと買い物を済ませ、息抜きに少しブラブラしてから、隠れ家に戻った。


気合いを入れ直し、残りを終わらせよう。

さぁ、やるぜ。

メジャーで便器の寸法を測り、綺麗な数字になる様に形を微調整する。

将来、俺の手を離れたところで作られる様になる事を見越みこしてね。

魔力をすごく使うので、自分ではあまり作りたくないからね。


便器本体の微調整が終わったので、”座る部分”に取り掛かる。

そう思ったら、頭の中で【多重思考さん(多重思考された人(?)たちのリーダー)】に『もう作り始めています。』と言われた。

おや?

訊くと、隠れ家の外で、ゴーレムに持たせた木の板を【風刃ふうじん】でガシガシ削っているんだそうだ。

そうか。便座は木で作るから、屋内で加工すると木屑きくずが散らばってしまう。

木の加工は屋外でやった方が良いよね。

そちらは、【多重思考さん】たちに任せよう。


他に、やる事は有ったかな?

考える。

便器を床に固定する方法を考えるか。

この隠れ家の便器は、木で作ったわくを床に釘で打ち付けて固定している。

でも、王宮の床に釘を打っちゃ駄目だよね。(苦笑)

石で、便器を固定するわくを作り、石のわくの重みで固定する事にしよう。

【クリエイトストーンプレート】で長方形の石の板を2枚作った。

この板の中ほどを半円形に削り、左右から便器を挟む形で取り付けよう。

石の板を作ったのはいいんだが、これも屋内で加工してしまうと破片が飛び散って後片付あとかたづけが面倒なことになるね。

これも【多重思考さん】たちに加工してもらおう。

一旦、【無限収納】に仕舞しまい、【無限収納】経由でゴーレムに渡す。

早速さっそく、隠れ家の外からガリガリという音が聞こえて来ます。

よろしくねー。


『座る部分が完成しました。』と、頭の中で【多重思考さん】に言われたので、【無限収納】経由でそれを受け取る。

便器の上にはまる台座部分に、U字型をした便座が取り付けられていて、便座部分が上げ下げ出来る作りになっている。

一度作った事が有るの物なので、いい感じに仕上がっています。

便器にめて、座り心地ごこちや座った位置などを確認する。

よしOK。

これと同じ物を、あと二つ作る様に【多重思考さん】にお願いする。

一つは、同じ物を木工加工所で作ってもらう為に。

もう一つは、U字部分に取り付ける袋状の物を毛糸で編んで作ってもらう為に。

俺の作った便器を見た人が同じ物を欲しがった時、本体部分はあまり作りたくないのでどうするかは分からないが、発注で済ませられる物は発注で済ませられる状態にしておきたい。

その為に、一度作ってもらっておこうと思う。

そうしておけば、次に作る時に俺の手間が少なくなるからね。


便器を固定する為の石のわくも出来上がった様だ。

これも【無限収納】経由で受け取って、便器に取り付けてみる。

狙い通り、動きにくくなった。

固定方法は、これで良さそうだ。

よし。これで便器一式の完成です。

やったね。


出来上がった、王宮で使うぶんの”便器一式”を【無限収納】に仕舞しまう。

それとは別に作ってもらった”座る部分”二つは、背負い袋に入れる。

食料の買い出し用に大きめの背負い袋を持っていたので、ギリギリ入った。

これで、今回、隠れ家でする作業は終わったね。

手早てばやく、後片付あとかたづけを済ませ、発注で済ませられる物を発注をする為に、俺は王都へ【転移】した。


木工加工所へ行き、見本として”座る部分”の実物を渡して、これと同じ物を10個作ってもらうように依頼した。

あの便器を見た人が欲しがるだろうから、少し多めに頼んでおく。


次に毛糸で服を作っている工房へ行き、同様に”座る部分”を渡して、U字部分に取り付ける袋状の物を毛糸で編んで作ってもらうように依頼した。

こちらは12個作ってもらう。王宮で使う為に作った分と、隠れ家の分も足してね。

これで便器本体以外は10個分が揃う。

便器本体を作るのはめんどくさいから、そちらは作るかどうかは未定だけど。

と、言うか、ハッキリ言って作りたくない。魔力をすごく使うから。

ぜひ、普通に焼き物として作ってもらいたい。


王都を少しブラブラ歩いてから、そのまま王宮に向かう。

また【転移】で結界を抜けて、迷惑を掛けてしまう訳にはいかないので。

魔術師団の副団長の死んだ目なんて、もう見たくはないのです。



部屋に戻って来た。

早速さっそく、トイレに便器を設置しよう。

トイレからオマル的な物を撤去し、片付けてくれる様にメイドさんにお願いする。

作って来た便器を【無限収納】から取り出して床に置き、石の枠をめて動かない事を確認して、設置完了。

そして、トイレのドアの上に隙間すきまがある事を確認する。

水を【分解】すると水素が発生しちゃうからね。

水素が溜まって、何かの拍子ひょうしに燃えてしまっては困るので、窓や隙間すきまは必要不可欠です。

よし。これでトイレのリニューアルは完了だ。

これでトイレが快適になるぜ。

やったね。


ふう。一仕事ひとしごと終ったぁ。

と、思ったのだが、コレって初めて見た人は使い方が分からないよね。

使い方を何かに書いて、目に付く場所に置いておいた方が良いだろう。

うっかり、悲劇が起きてしまわないようにね。(苦笑)


【無限収納】から、50cm四方(しほう)ほどの木の板を取り出す。

これに、このトイレの使い方を書いておくことにする。

極々(ごくごく)小さい【ファイヤー】の魔法を、文字の形に沢山たくさん並べて板をがし、文章を一気に書き込んだ。

この使い方を書いた板を、トイレ正面奥の目に付く場所に取り付けようと思ったのだが、釘で打ち付ける訳にはいかなかったね。

目に付く場所に設置する事は出来なさそうだ。せっかく作ったのに。(しおしお)

この板は、座った時に見える場所に置いておくことにしよう。

新たに、トイレ正面奥の壁に立て掛けられる様にした物を作り直そう。

【無限収納】から、今度は高さ1.8m、幅50cmほどの木の板を取り出し、先ほどと同様に【ファイヤー】の魔法で文章を書き込んだ。

そして、トイレ正面奥の壁に立て掛けた。

よし。良い感じだ。

「ふう。」

思いのほか、作業が多くなってしまったが、やっと完成した。


やれやれだぜ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ