表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第九章 異世界生活編05 生活基盤を整えよう編
128/400

< 23 (王都20日目 午前) 魔道具を作る >


魔晶石ましょうせきが出来ました。魔道具を作ってみましょう。』


朝食を済ませ、ソファーでくつろいでいたら、唐突に頭の中で【多重思考さん】にそう言われた。

今、『魔晶石が出来ました。』って言われたな。

『魔晶石の作り方って知らなかったよな? どうやったんだろう?』

そんな疑問を頭の中で思い浮かべたら、【多重思考さん】が説明してくれた。

なんでも、魔晶石を作っている工房を探し出して、実際に作っている作業を見て学んだそうだ。

その見た情報を元に試行錯誤しこうさくごを繰り返し、沢山たくさんの魔石を消費して、やっと一つ、満足できる物が出来上がったそうだ。

【無限収納】のリストを見ると、”魔晶石”が有った。

手の上に出してみる。

直径5mm程度の丸い赤い石だった。

色の濃いルビーみたいな感じだ。

魔道具屋のおばあさんに聞いた事を思い出す。

確か、魔法を書き込んで魔法を発動できるんだったよね。

そして、魔道具を作るのに必要な物だって言ってた気がする。

なるほど、だから【多重思考さん】は『魔道具を作ってみましょう。』って言うんだね。

ちょっと試しに魔道具を作ってみるか。


何の魔道具を作るか考える。

この隠れ家で使う物にしよう。

そうすると、どんな物があるだろうか?

明かり? 水を出す? 暖房? 冷房? 換気? 時計?

そもそも、自分で魔法を使えるので、俺が魔道具を使う状況って無いよね。

魔法を使えない人が魔法を使う状況を考えないとね。


改めて、魔法を使えない人が、この隠れ家で魔法を使いたい状況を考える。

”隠れ家”なのに他の人が来る状況を考えるのはおかしいのだが、”客間”が既に在るのだから今更だよね。(笑)

洗面所で顔を洗うのに、水を魔法で作り出さないといけないよね。

あと、明かりが何も無いね。

客間に明かりを作り出す魔道具が必要かな?

うん。せっかく客間が在るんだから、客間で使う明かりの魔道具を作ってみるか。

”客間の存在意義”は、取り敢えず置いておいて。(笑)


俺は試しに、明かりの魔道具を作ってみる事に決めた。

ず、どの様に使うかを考える。

客間は、ほとんど寝室だ。

だから、普段はサイドテーブルに置いておいて、夜に点灯させて、トイレに行く時には手に持って歩く。

そんな感じだろう。

次に、どの様な形にするか考える。

丸い板の真ん中に柱を立てて、その先端に魔晶石を取り付け、その先に光の球を作り出す感じかな?

「ライト。」と言うと【ライト】の魔法が発動して、柱の先端に付けた魔晶石の近くに光の球を作り出してまわりを照らす。

うん。こんな感じだな。

頭の中で形を思い描き、【多重思考さん】に製作をお願いした。

隠れ家の外でゴーレムが作業しているのだろうと思ったのだが、窓の外にゴーレムの姿は無かった。

『何処で作業しているの?』と、頭の中で【多重思考さん】に訊いたら、『別の場所に工房を建てました。そこで作業しています。』との返答だった。

「いつの間に工房を建ててたんだよっ。」

「どんだけ創作意欲にあふれてるんだよっ。」

【多重思考さん】たちの創作意欲がどこまで行くのか心配です。


少し待つと、頭の中で『出来ました。』と【多重思考さん】の声がした。

【無限収納】から、それを取り出す。

俺が思い描いた通りの物が出て来た。

まぁ、考えたのも作るのも”俺”なんだから、当然だよね。


次は魔晶石に魔法を書き込むんだったよね。

【付与魔法グループ】から頭の中に付与魔法の知識を貰う。

【ライト】と大気中から魔力を集める魔法を、魔晶石に書き込んだ。

次に、魔力を魔晶石に充填する。

魔晶石に指を触れながら、付与魔法の知識を頼りに魔力を充填する。

「うにゅにゅ。」

”魔力を充填する”という、イメージがにくい行為に、よく分からない声が出た。(笑)

すぐに魔力は一杯になった様だった。

魔晶石が小さかったからかな?

よし、完成だ。


早速、試しに使ってみる。

「ライト。」

思い描いた通りに、柱の先端の魔晶石の近くに光の球が現れた。

やったね。

柱の部分を手に持って動かす。

そうしたら、光の球はその場所に置き去りになった。

あれ? 失敗だ。

手に持って移動できる様にしたかったんだけど、上手くいかなかった。

やり直しだね。


他にも直す事がないか考える。

光が強すぎたね。光を弱くしないと。

いや、光量を変えられる様にするか。

あと、光の球が大き過ぎな気がする。もっと小さくてもいいだろう。

それと…、光の球を消すのは、どうやるんだろう?

これって、ずっときっぱなしなのかな?

…消す方法をまったく考えてなかったね。

………失敗だらけだった。orz

魔道具には、魔道具として成り立つ為に、色々な物が必要だったんだね。

気楽に始めた事を反省する。

反省して、頭の中の付与魔法の知識をガッツリと見る。

付与魔法の知識の中から【魔法消去】の魔法を見付け、魔晶石に書き込んだ魔法を消した。

宙に浮いていた光の球が消えた。

ふぅ。やれやれだね。

気合いを入れ直す。

さぁ、やり直しだ。


魔法の【設定】の仕方を学んで、初めからやり直した。

光の球の大きさや光の強さの調整に手間取り、何度かやり直す事になったが、どうにか満足できるものが出来上がった。


完成した明かりの魔道具を手に持って歩く。

ちゃんと柱の先端の魔晶石の近くで、光の球が光り続けている。

「明るく。」と言うと、少し明るくなる。

「暗く。」と言うと、少し暗くなる。

もう一度「暗く。」と言うと、さらに暗くなる。

「消灯。」と言うと、消えた。

うん。 完成だ!

やったー!


俺は、自分で初めて作った魔道具に感動した。

やったー!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ