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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第九章 異世界生活編05 生活基盤を整えよう編
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< 11 (王都3日目 午後) 買い物03 キッチン用品 それと魔道具屋 >


冒険者ギルドを出て、キッチンで使う物を買いにお店に来た。

今日、拠点のキッチンで使う物を一気に買い揃えてしまうつもりだ。

早く拠点に引き篭もれる様にする為にね。


お店の中を、商品を見ながら歩く。

お茶を飲むのに使う物。食事に使う物。料理に使う物。

それぞれを使う状況を思い浮かべながら、必要な物を見繕みつくろっていく。

「ちょっと多めに買うんだけど。」と相談したら俺に付いてきてくれた店員さんに、商品を指し示しながら買う個数を伝えていく。

お金持ちの買い物っぽい今の状況に、少し浮かれる。(←単純)

箸と菜箸さいばしが無かったのは想定内だったので、サクッと頭の中で【多重思考さん】に作ってくれる様に頼んだ。

調味料入れは、そもそも調味料がどの様な形で売られているのかが分からなかったし、どんな調味料が在るのかも分からなかったので、今回は保留にした。

調味料と一緒に買えるかもしれないしね。

一通り、必要な物は揃えられたかなと思う。

さらに、実際に料理する状況を頭の中でもう一度思い描き、他に必要な物がないか考えた。

計量カップを追加して、買う品物を全て店員さんに伝え終えた。

配達先を訊かれたので、ここでも「持って帰ります。」と言った。

そしたら、ここでも驚かれた。

品物を集めるのにどのくらい掛かるのかを訊いて、お金を支払って、一旦お店を出た。


時間が中途半端にいたので、ちょうど良いと思い、俺は魔道具屋に行く事にした。

今、魔石を買い取ってもらう必要は無いのだが、長く付き合っていけそうな良い魔道具屋さんを見付ける為に、魔道具屋さんに行ってみる事にした。


この王都に在る魔道具屋さんのうちの一軒に来た。

お店の中に入ると、他の街で見た魔道具屋さんとは違い、広くて、そこそこの数の魔道具が展示されていた。

これらの魔道具を見て回るだけでも面白そうだ。

じっくり見る時間は無いので、一通りざっと見てから、店の奥に在るカウンターに行く。

カウンターに座るおばあさんに、魔石の買い取りをお願いした。

王都だから沢山買い取ってもらえるだろうと思い、ゴブリンの魔石60個をお願いした。

ゴブリンの魔石の買取価格はここでも同じで、銅貨3枚/1個だった。

ゴブリンの魔石60個を買い取ってもらい、銀貨18枚になった。

「ずいぶん沢山、魔石を持っていたんだね。」

そう、おばあさんに話し掛けられた。

「あまり売る機会が無かったもので。」

「冒険者ギルドに売らなくていいのかい?」

「ギルドには所属していないので、買い取ってもらえないんですよ。」

「ほう。」

そう言って俺を見るおばあさん。

「ギルドに所属していないなら、情報を得られなくて困ってるんじゃないのかい?」

「ここでは情報も売っているよ。お代は掛かるが、何でも答えてあげるよ。」

そう言われた。

情報か…。

俺は、ほとんど何も知らないからな。

この王都で困った事でも訊いてみるかな。

【マジックバック】から銀貨20枚を取り出して、カウンターに置いて言う。

「今日は、このくらいの情報を買ってみようと思う。」

「ほう。いいとも。何でも訊きな。」

カウンターに座るおばあさんは、笑顔でそう言った。

「この街を歩いていると、よくパーティーに勧誘されるんだけど、それは隣街となりまち所為せい?」

「そうだよ。」

「この後も、ずっとこの状態が続くのかな?」

「そうなるだろうねぇ。改善しそうな気配は無いねぇ。」

そーなのかー。

早く拠点を快適に暮らせる様にして、引き篭もらないとね。


もう一つ、この街で困った事に関して訊いてみる。

「【マジックバック】って貴重な物なの?」

「今、作れる人が何人居るのかも、何処に居るのかも、何も分かっていないね。」

「隠れるか、保護されるかしていないと危険だからね。高価な品物だから。」

サラッと困った情報が出てきた。顔が引き攣るのを感じる。

「時々ダンジョンから出るらしいね。でも、出回でまわる事は少ないね。自分たちで使うんだろうねぇ。」

あまり出回らないのか…。

「買おうとしたら、どのくらいの金額になる?」

「容量によるね。容量が2倍程度の物なら金貨20枚程度。2メメ立方りっぽうを越えると白金貨はくきんか1枚くらいかねぇ。滅多に出回らないからよく分からないけどね。」

「”メメ”って?」

「え? そこからかい?」

「えーっと、…はい。」

気恥ずかしくなる。

でも、何も知らないんだから仕方が無いよね。

何となく長さの単位っぽいのは分かったけど、どのくらいの長さなのかサッパリ分からない。

せっかくの機会だから聞いておこう。「何でも答えてあげるよ。」って、言っていたしね。

「1メメってのは、このくらいの長さだね。」

そう言って、両手を広げるおばあさん。

1メメは、大体だいたい60cmくらいだろうか。

2メメ立方りっぽうと言うことは、120cmx120cmx120cmだね。

その容量の【マジックバック】の価値が白金貨1枚と。


さっき言われた事の中で分からなかった、もう一つの事を訊く。

「”白金貨はくきんか”って?」

「金貨の上のヤツだね。白金貨1枚は、金貨だと1,000枚だね。」

金貨1,000枚は一億円くらいだったね。

今日冒険者ギルドで命の値段として自分で要求した金額だね。

容量が120cmx120cmx120cmの物でも金貨1,000枚で、一億円くらいかの価値か…。

すごい高値で取り引きされるんだな、【マジックバック】って。

割と簡単に作れちゃったんだけどね。

俺の持つ【マジックバック】の容量がどの程度なのか分からないが、かなりの容量が有る気がする。

ソファーが二つと椅子が四脚、あっさりと入ったしね。

俺の持つ【マジックバック】の価値が、想像できなくて困ります。(苦笑)

困る事はそれだけぢゃ無いんだけどね。

「白金貨を出して【マジックバック】を買える人って、どんな人たち?」

「国か貴族か大商人だね。」

うわーー。やらかしてたね。

そんな人たちに目を付けられてしまいかねない事を、街中まちなかでやらかしてしまっていたね。

「最近、【マジックバック】を持って、寝具や家具を買った若い男が居たらしいね。(ニヤニヤ)」

「今頃、何処で何をしているんだろうねぇ。(ニヤニヤ)」

ばれてーら。ばれてーら。ヴァレェテェールゥァァァ。

「ウチに容量の大きな【マジックバック】を持ち込まれてもサバけないから、どうでもいいんだけどね。(ニヤニヤ)」

俺が「何て答えようか?」と考えているうちに、おばあさんは一人で話を終わらせた。

「もう分かってるよ。(ニヤニヤ)」ってことだね。

愛想笑いをするのは、なんとなく負けた気がするので耐えたが、きっと”ぐぬぬ顔”になっていたことだろう。

ぐぬぬ。


気を取り直して別の事を訊く。

「魔石と魔晶石ましょうせきって何が違うの?」

魔石の他に”魔晶石”という物が在る事を、このお店で売られているのを見て知った。

だが、魔石と魔晶石が、どう違う物なのかが分からない。

いい機会だから、取り扱っている人に訊くことにした。

「性質と使い方が違うね。」

「魔石は魔力を利用する為に使う。ただ、魔石の持っている魔力を利用するだけ。」

「魔力を使い切った魔石は、砕いてポーションの材料に使われるね。」

「魔晶石は、魔法を書き込んで、溜めてある魔力を使って魔法が使えるね。」

「魔晶石は、魔道具に必要不可欠な物さ。」

おお、そうなのか。

「魔晶石の魔力が無くなったら?」

「魔力を充填するんだよ。」

魔晶石は、魔力を充填する事が出来るらしい。

「魔石には魔力を充填できないの?」

「魔石には出来ないね。だから安いのさ。」

ゴブリンの魔石は300円くらいだったね。

魔力が充填できて、魔道具に使えるのだったら、もっと高くなりそうだもんね。

「魔晶石って、どうやったら手に入るの?」

何かの魔物の魔石なのかと思い、そう訊いた。

「ここみたいな魔道具屋で売られているよ。」

俺が期待していたのとは違う答えが返って来た。

「魔晶石って、何かの魔石(てき)な物って訳ではないの?」

「魔晶石は、魔石を加工して作るのさ。」

「加工って、どういう加工?」

「そこまでは知らないねぇ。私は売り買いしかしないからねぇ。」

そう言って、「代金分の情報は、こんなところだね。」と、言われた。

十分な情報を得られたと思う。

そろそろ、お店に戻る時間だろう。

そう思い、礼を言ってカウンターを離れ、帰ろうとする。

「私から一つ助言だ。」

そう、おばあさんに言われて、足を止める。

「【マジックバック】は手放てばなしちまいな。持っていると危ないよ。」

「普通に買うよりも、闇ギルドにお金を払って手に入れる方が、より安くて確実だからね。」

「あんたはいいカモに見られちまうよ。もう動いている可能性だってある。」

「この王都一番の商会のトリス商会に売っちまうのが、一番安全だと思うよ。」

そんな事を言われた。

そして考える。

たしかに、ごとが向こうからやって来そうだよね。

でも、拠点に買った物を持ち帰るのに、【マジックバック】は必要だよね。

配達は頼めないし、いきなり【無限収納】に入れるのは、もっとマズイ気がするし。

でも、このまま使い続けるのは、確かに危険だとは思う。

どんな人たちに目を付けられるか分かったものではないし、安全の為には手放すのが正解な気がするな。

「うん。手放す方向で考えとく。ありがとう。」

礼を言って、助言の分の料金として銀貨5枚をカウンターに置いて、店を出る事にする。

「また、おいでよ。金払いのイイ客は歓迎するよ。(ニッコリ)」

正直者なおばあさんに手を振って、魔道具屋を出た。


キッチン用品を受け取りに、お店に戻って来た。

何だか偉そうな人たちが多い様に見えるのは、俺の気の所為せいだと信じています。

「お待たせしてしまい申し訳ございませんでした。品物のご用意は出来ております。」

先ほどお世話になった店員さんに、やたら丁寧ていねいな感じでそう言われ、まとめて置かれている複数の箱を示された。

さっさと受け取り、さっさと帰ろうと思い、それらを【マジックバック】に仕舞った。

偉そうな人たちに、じっとりと見られながら。

品物を受け取ったので、さっさと帰ろうとする。

だが、そう上手くはイカナイデスヨネー。

商会長夫妻とか紹介されても、対応に困るダケナンデスガネー。

お茶とかイリマセンシー。

オキヅカイナクー。

ハイ。ここでも「【マジックバック】を譲って下さいっ。」って、イワレマシタヨー。

メンドクサイデスネー。

マジ、メンドクサイデスネー。

【マジックバック】は、手放す方向で考える事に決めているが、具体的な事はまだ何も決めていない。

ここは”断る”一択いったくでいく事にする。

しばらく、商会長夫妻と無意味な攻防をする事になった。

商会長夫人が泣き落としを試み始めたので、使えるかもしれないと思っていたカードを切ってみる事にした。

「【マジックバック】はトリス商会に売るつもりでいます。そう助言してくれた方が居ましたので。」

俺がそう言ったら、商会長夫人の嘘泣きが止まった。

あれ?

思った以上に効果が出ているみたいで、言ったこちらの方が驚く。

しどろもどろになった商会長との話を強引に切り上げて、俺は店から出る事に成功した。

「ふぅ。やれやれだぜ。」

店から足早あしばやに離れながら、今後の事を考える。

【マジックバック】の事は、どの様にして手放すか、早く決めないとな。

今夜中に検討して決めてしまおう。


さっさと王都での用事を終わらせようと思い、冒険者ギルドの近くへ転移した。

冒険者ギルドで、再び副ギルドマスターに会い、お金を受け取った。

見送りに付いて来ようとする副ギルドマスターに、「目立ちたくない。」と、それらしい言い訳をして分かれ、ギルド内で【隠蔽】と【人除け】の結界を張って、俺は【転移魔法】で、さっさと拠点に帰った。


明日もアップします。次の話が短いので。

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