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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第九章 異世界生活編05 生活基盤を整えよう編
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< 09 (王都3日目 午後) 冒険者に絡まれた04 ギルドマスターに会おう >


王都で朝食を食べ、冒険者っぽい男たちに絡まれ、それに対処してから拠点に帰って来た。

居間のソファーに座り、冒険者たちに絡まれない様にする方法を考えたり、キッチンで使う物は何が必要か考えたりして、昼までダラダラと過ごした。


再び王都へ行き、昼食を食べてから、俺は冒険者ギルドに向かった。

今朝の件で、ギルドマスターに会って話をしようと思ったからだ。


街の治安維持の為に、冒険者ギルドが冒険者を雇って見回りをしている事に気付いた【多重思考さん】は、こう考えた。

冒険者が一般人に迷惑を掛ける事を、冒険者ギルドは嫌っている様だ。

冒険者ギルドの客に、一般人が多く居るのではないか?

或いは、冒険者が一般人に迷惑を掛けると、街の偉い人に叱られるのではないか?


【多重思考さん】に、そんな事を教えてもらい、俺はギルドマスターに会って話をしようと思ったのだった。

お金の匂いがしたからとかぢゃないデスヨー。

冒険者が一般人に迷惑を掛けない様に、釘を刺す為デスヨー。

善良な一般人が、善良な一般人の為に、ギルドに釘を刺しに行くダケデスヨー。

【多重思考さん】からツッコミが有りませんが、決して呆れられている訳では無いと、信じたいと思います。


冒険者ギルドに入り、受付の人に言う。

「今朝の模擬訓練場でのことなんだが…。」

「俺は一般人なのに、冒険者にかつげられて、ここの模擬訓練場に運び込まれ、剣を持った冒険者に襲われたんだが、その事でギルドマスターに文句を言いたい。会わせてもらえるか?」

受付の人はビックリしている様だ。

「しょ、少々お待ちくださいっ。」

そう言って、慌てて、奥に走って行った。

更に上の階にもバタバタと走り、戻って来て、「どうぞこちらに。」と言って、俺を上の階に案内してくれた。


扉が立派な部屋に通された。

部屋の中も立派だった。ギルドマスターの部屋なのかな?

部屋に居た人が挨拶してくれたが、彼は副ギルドマスターだった。

「ギルドマスターは王宮へ行っていて、今日は帰って来ない。」

「ギルドマスターでなくて申し訳ないが、何があったのか教えて欲しい。」

そう言われた。

まぁ、副ギルドマスターでもいいよね。

今回と同じ事が起こらない様に、ギルドがキチンと対応をしてくれるのなら、それでいい。

俺がごとに巻き込まれない為にね。


副ギルドマスターに、何があったのか説明した。

食堂の前で捕まって、担ぎ上げられて、模擬訓練場に運び込まれたこと。

その場にギルド職員が居たこと。

模擬訓練場のことを知らなかったので、ギルド職員に教えてもらったこと。

ギルド職員に「怪我を気にせずに、頑張って下さいね。」と応援されたこと。

俺が冒険者ではなく、一般人であること。

冒険者が死んだと話題になっているが、普通であれば、一般人の方が死んでいたこと。

それらを、副ギルドマスターに話した。

副ギルドマスターは全てを聞き終えた後、無言で青い顔をしていた。

言葉が出ない様子だ。

「冒険者のしでかした事で、一般人が死ぬところだった。大問題ですよね? その場にギルド職員も居たましたし。」

「…あぁ、問題だ。」

ですよねー。客商売ですもんねー。(悪い顔)

「彼らがどの様な処罰を受け、同じ事が起きない様にギルドがどの様な対策をして、ギルドがどの様に私に謝罪してくれるのかお聞きしたい。」


副ギルドマスターは、うつむき加減で、声を絞り出すように言った。

「関わった冒険者たちは、除名と罰金。」

「あの死んだ冒険者については、除名と財産没収。」

「対策は…。模擬訓練場の使用時にギルドカードの確認を必須とする。」

「ギルドからの謝罪については…。」

副ギルドマスターは、ちらりと俺を見た。

そして続ける。

「金貨500枚を支払う。」

金貨500枚か…。

金貨1枚の価値は、大体だいたい十万円くらいだったけかな。

そうなると、五千万円くらいだね。

”命の値段”だと考えると、少々物足りなく感じるかな。

”命の値段”だったら、”億”は行かないとね。

この世界の”命の値段”がどのくらいなのか、まったく分からないけど。

物の価値が分からないと、価格交渉って難かしいよね。

でも、「金貨500枚」というのは、きっと低めに言っているんだろうね。

だって、副ギルドマスターだし。

上司に文句を言われる立場なんだから、傷口はなるべく小さくしたいよね。

もっと多く要求してみよう。(悪い笑顔)

「金貨1,000枚だ。」

俺は、そう要求した。

「………。」

副ギルドマスターは無言で考えている。

「…金貨700枚。」

値切ってきた。

「交渉に乗ってきてくれた。」と思って、喜んでおこう。(悪い笑顔)

「金貨1,000枚だ。止めるべきギルド職員が現場に居ましたし。」

「ぐ…。」

「冒険者に拉致されましたし。」

「………。」

「死なないはずの施設で、人死ひとじにが出ましたし。」

「………。」

「普通であれば、一般人のほうが死んでいた状況でしたし。」

「………。」

俺は、そう畳み掛けてみた。

「………。」

副ギルドマスターは無言だ。

副ギルドマスターは悩んでいるのかもね。

この問題を、上に上げるべきか、ここで終わりにすべきかを。

「ギルドマスターは、明日いらっしゃいますか?」

俺は、そう訊いてみた。

「ぐ…。」

副ギルドマスターはそう呻いた後、「…金貨800枚。」と言った。

副ギルドマスターは、ここで終わらすべきと判断した様だ。

まだ、しぼれるね。(悪い笑顔)

「金貨1,000枚。」

俺はもう一度、そう要求した。

「ぐ…。」

うめく副ギルドマスター。

「…金貨900枚。」

おお、さらに金額が上がったきた。

副ギルドマスターが涙目ですが。

俺は、ちょっと考える。

金貨900枚でも、まぁいいかなと思って。

九千万円だしね。

魔石を売って、稼ぐアテもあるし。

のんびり暮らす資金としては十分な気がするし。

「では、金貨900枚で。」

俺が折れてあげた。十分っぽい気がしたので。

そして、訊く。

「いつ、受け取れますか?」

「…少々お待ち願いたい。…書類を作らなければならない。」

待ち時間の間に、買い物でもしますかね。

「では、夕方にまた来ます。」

俺は、ぐったりしている副ギルドマスターを残して、さっさと部屋を出た。

そして、冒険者ギルドも出て、キッチンで使う物を買いに、お店に向かうことにした。


街中まちなかを歩きながら、頭の中で【多重思考さん】に、この街の冒険者たちの事情を教えてもらった。

あまりにも勧誘してくる冒険者たちが多かったから、【多重思考さん】たちにその理由を調べてもらっていたので。

それによると、隣街が多くの魔術師を集めた為、王都も含めた他の街では魔術師不足が起きているとのことだった。

あぁ、”魔術師の街”とかうたっていた、あの街ね。

あの街はあの街で問題だったが、他の街では魔術師不足の問題が起きているのか。

しかし、この街の冒険者たちも、何であんなに偉そうだったんだろうね?

魔術師たちが逃げ出してもしょうがないんぢゃないかな。

隣街が魔術師を優遇してくれると言うなら、多くの魔術師が隣街に行くかもね。

そんなことを考えながら、俺は買い物をする為にお店へ向かって歩いて行った。


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