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姫様を助けたのは失敗だったが、割と好き勝手に生きています。  作者: 井田六
第九章 異世界生活編05 生活基盤を整えよう編
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< 06 (王都2日目 夕方) 拠点を快適にしよう03 初めての入浴 >


家具屋から帰って来た俺は、ソファーと一体化して疲れを癒した。


気が付いたら、もう日が暮れていた。

家具屋で時間を取られた所為せいだね。

さて、どうするかな?

そう思ったら、頭の中で【多重思考さん】に、「お風呂に入りましょう。」と、言われた。

お風呂を準備をする手間を頭の中で想像し、「ちょっと、面倒だなぁ。」と思ったら、「もう準備が出来ています。」と、言われた。

「おお。もう準備が出来てるのか。ぢゃあ入ろう。(喜)」

お風呂に入る事に決めて、必要な物を考える。

タオル、せっけん、替えの下着は、【無限収納】に入っている。

バスタオルと替えの靴下が無かったね。

あと、サンダルが欲しいね。

そう思って、サンダルをどうするか考えていたら、頭の中で【多重思考さん】に、「入浴中に下駄を作っておきます。」と、言われた。

「おお、それはありがたいね。それぢゃあお願い。」

下駄を作ってもらう事をお願いして、お風呂場に向かう。

さらに頭の中で【多重思考さん】に、「バスタオルやドライヤーは無くても、魔法でどうにかなります。」と、教えてもらった。

ああ、そうか。そうだったね。

どうしても、魔法の無い時の生活の記憶を元に行動や必要な物を考えるから、魔法でどうにかするという考えが後回しになるね。

魔法は便利だけど、使いこなせていないね。

まぁ、そのうちに使いこなせる様になるだろう。

意識をお風呂に向けて、ウキウキしながらお風呂場に向かう。

ちなみに私は、”お風呂は夕食前に入りたい”派です。

どうでもいい話ですが。


脱衣所で服を脱ぎ、いつの間にか用意されていたかごに服を入れて、お風呂場に入る。

浴槽にはお湯が張られている。

手を入れて温度を確認してみた。

ちょっと、熱かった。入れないくらいに。

【多重思考さん】らしくないミスだ。

そう思ったら、頭の中に【多重思考さん】から弁明が来た。

「温度の感覚が全く分かりませんので、仕方がありません。」

そうか。【多重思考さん】は、温度の感覚が分からないのか。

【目玉(仮称。魔法で作られた目)】には、触覚を付けてないから、分からないよね。

何か対策を考えようかね?

取り敢えず、今はお風呂だ。

全裸で考え事をする趣味なんて、俺は持っていないからね。

魔法で作り出した水でお湯の温度を下げて、体を洗って、湯船にかろう。


「ふわああぁぁぁぁーー。」

湯船に浸かると、そんな声が出た。

しばらく、心地良い感覚に身をゆだねる。

十分に堪能してから、【多重思考さん】に訊きたかった事を訊く。

「このお湯はどうやったの?」

「お湯を作り出す魔法を作りました。お風呂の他にも使えると思いましたので。」

「浴槽を【ヒート】で発熱させて、水をお湯にしようかと考えていましたが、浴槽が熱くなって、入るだけでダメージを受けることになってしまうので、お湯を作る魔法を作りました。」

お風呂に入るだけでダメージを受けるなんてヤダよね。

そんな殺伐としたお風呂は、お風呂ぢゃないしね。

お湯を入れた方が安全だから、お湯を作り出して、浴槽にめる方がいいよね。


次に、【多重思考さん】が、温度の感覚が分からない事について考える。

【多重思考】は俺自身とも言えるので、俺の体を通してお湯の温度を感じられると、ふと思ったのだが、どうなのだろうか?

そんな疑問を思い浮かべていたら、「それは可能です。」と、頭の中で返答が来た。

さらに、【多重思考さん】が続ける。

「ですが、それは控えています。やり過ぎると”本体”と”多重思考”の境界が曖昧あいまいになってしまう気がしましたので。」

ああ、そんな事を考えていたのか。

俺はそんな事を考えていなかったよ。俺よりも考えてるね。(苦笑)

俺の体で何が出来るのかを頭の中で【多重思考さん】に訊いたら、「全て出来ると思います。」との返答だった。

「俺の腕を動かすことも出来る?」と訊くと、「出来ます。」とのことだったので、やってみせてもらう。

腕が動いた。

【多重思考さん】の意思によって。

俺の意思とは関係なく。

「何これ、怖い。」

自分が想像していたよりも、ずっと怖かった。


次に、俺の触覚を使って【多重思考さん】に、お湯の温度を体感してもらう事にした。

頭の中で、「ふわああぁぁぁぁーー。」って、声がした。

「おまえは俺かっ。 俺だった。(笑)」

しばらく【多重思考さん】たちと交代しながら、一緒にお風呂を堪能した。


のぼせそうになったので、お風呂から上がった。

【多重思考さん】たちの数を甘く見ていました。(苦笑)

お風呂から上がった後、お風呂のお湯をどうするのか考えた。

そう言えば以前、「【クリーン】で綺麗にして【無限収納】に仕舞えばいいよね。」って、考えていたよね。

お湯に【クリーン】を掛けて綺麗にして、汚れを取り除くために【分離】を掛けてから、【無限収納】に時間停止状態で仕舞った。

浴槽からお湯が綺麗に消えた。濡れてもいない。

「すげぇ。」

【無限収納】の凄さを感じた。

【無限収納】のリストを確認してみると、”お風呂の湯(ナナシ風味):4905リットル 41度(時間停止)”と、表示されていた。

「”ナナシ風味”って何だよっ! 出汁だしかっ? 出汁だしが出てるのかっ?」

【無限収納】のリストさんも、おかしいみたいです。(苦笑)

温度が表示されていたのを見て、気付く。

「【多重思考さん】が【鑑定】を使えば、お湯の温度が分かったんぢゃないかな?」

頭の中で【多重思考さん】が「あっ。」と、思ったのを感じた。

「…そうですね。今、気付きました。」

【多重思考さん】も、魔法を使いこなしている訳ではありませんでした。

まぁ、俺だしね。(苦笑)


脱衣所に行き、考える。

「さて、体を乾かすのには、何の魔法を使おうか?」

【ドライ】を使えばいいと思ったが、あの魔法でも出来ると思った。

ちょっとだけ悩んだが、あの魔法を使うことにした。敬意を表してね。

「【分離】。」

俺の全身の表面から、水分が分離された。

今日も【分離】魔法さんが最高です。(笑顔)


服を着て、脱いだ服に【クリーン】の魔法を掛けてから【無限収納】に仕舞う。

そして、【多重思考さん】がゴーレムを使って作ってくれた下駄を履いて、居間に戻った。

ソファーに座ってくつろぐ。

いつの間にか、そこに置かれていたテーブルを眺めながら。


【多重思考さん】たちの創作意欲に火が着いた、その成果だそうです。


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