< 04 (王都2日目 昼) 冒険者に絡まれた01 >
「おい、おまえ魔術師だろ。」
王都で昼食を食べ終え、家具屋に向けて歩いていたら、後ろから近付いて来た冒険者らしき男に、そう声を掛けられた。
近付いて来る男たちが居る事は、もちろん事前に【多重思考さん】に教えてもらっています。
「俺たちのパーティーに入れてやるから、ちょっと来いや。」
失礼な奴だね。何で上から目線なんだよ。
こちらは買い物の途中なんだけどな。
「私は、どこのパーティーにも所属するつもりはありません。」
めんどくさいからね。
俺は、のんびり過ごしたいから、誰かとパーティーを組んだりするつもりは無い。
「お引き取り下さい。」
俺はそう言って断った。歩きながらね。
「魔術師なんてお荷物なだけじゃねぇか! パーティーに入れてやるって言ってやってんだから、付いて来ればいいんだよ!」
男はそんなことを言うが、”お荷物”に断られているんだから、それでいいぢゃん。
何が不満なんだろう?
おかしな人ですねー。(苦笑)
「あなたの言う、その”お荷物”が、「不要です。」と言ってるのですから、構っていただく必要はありませんよ。」
正論で返してみた。歩きながら。
「お前ら魔術師は役立たずなんだから、パーティーへの誘いに感謝して、付いて来ればいいんだよ!」
会話にすらならないね。(呆れ)
「”役立たず”とか言っていますが、私にとっては、あなたたちの方が”役立たず”ですよ。」
「あなたたちとパーティーを組む理由が無いので、お引き取り下さい。」
男たちのレベルは、事前に【多重思考さん】に【鑑定】してもらっていたので、正論でぶん殴ってみました。(てへ)
頭の中で【多重思考さん】が、「揉め事を避けて、のんびり過ごすのではなかったのですか?」と、訊いてきますが、絡まれたんだから仕方が無いよね。
「ふざけやがって! 魔術師のクセに生意気だ!」
「ぶふっ!」
全力で笑わせに来ましたよっ!
やるな。王都の冒険者たち。
思わず立ち止まっちゃったよ。
君たちの実力を甘く見ていたね。
正直、すまんかった。(言葉と裏腹な笑顔)
これほどの実力を隠し持っていたなんて…。
君たちは冒険者ではなく、お笑いを目指してほしい。
心からそう思う。
俺が男たちの実力を心の中で称賛している内に、男たちは手を変な形にしていた。
【多重思考さん】の張った【侵入不可】の結界と、その結界に付与された【リフレクション】の効果だ。
俺に掴み掛かろうとしたり、殴り掛かろうとした結果、そうなった。
しばらくして、俺が飽きたので(←ヒデェ)、男たちを無視して家具屋に向けて歩き出した。
男たちが何やら怒鳴ったりしていたが、どうでもいい事です。
頭の中で【多重思考さん】が「揉め避けェ…。」と、何かを省略して言っています。
だけど、俺は悪くないと思ったので、気にせずに家具屋に向かいました。(てへ)
短かったので、明日もアップします。




