< 02 (王都2日目 朝) 拠点を快適にしよう02 便器製作 >
拠点を快適にして引き篭もろうと決めて、二日目の朝。
昨夜泊まった王都の宿で朝食を食べてから、今日の予定を考えた。
今日は、ベッドとかを買い揃えるのと、便器を作ろうと思った。
家具屋は、まだ開いていないと思うので、先に便器を作る事にしよう。
便器の材料は、既に【無限収納】に入っている。
よし、拠点に行くか。
宿を出て、【隠蔽】と【人除け】の結界を張ってから、【転移魔法】で拠点に転移した。
ちなみに昨日【転移魔法】を使う際に、【隠蔽】と【人除け】の結界を使ってみて、その効果を確かめたのだが、周囲の人たちに気付かれずに転移できた。
それとは別に、着ているローブにも【認識阻害】の魔法が掛かっていたね。ナチュラルに忘れていたよ。
【転移魔法】を使った事がバレ難くなる事が確認できたので、【転移魔法】が使い易くなったね。
やったー。
拠点に来た。
玄関には、昨日には無かったドアが付いている。両開きのドアだ。
両開きのドアを、手前に開く。
なるほど。玄関手前にスペースが在るのは、この為か。
”ドアがスムーズに開くか”、”ピッタリと閉まるか”などを確認した。
ゴーレムさんたちのしてくれたドアの取り付けの出来映えは、素晴らしかったです。
玄関から中に入り、どこで便器を作る作業をするか考える。
玄関は少し暗いから、隣の部屋かな?
隣の部屋に向かおうとして、そこドアが取り付けられていない事に気が付く。
ここは壁が二つ、短い間隔で在るから、奥側の壁にだけに扉を付ける事にした様だ。
ここにドアが無い方が、玄関から手洗い場とトイレにスムーズに行けるから、これでいいよね。
手洗いは【クリーン】の魔法で済む事に気が付いたが、その事実は心の奥に仕舞い込みました。
そもそも、今までそうしていたのに、気が付かなかったね。
魔法の無い時の生活の記憶から家を作ると、不要な物が出てくる事に、今更ながら気が付いた。
心のモヤモヤを無視して、奥側のドアを開けて、居間に入った。
この部屋は明るいから、ここで作業をしよう。
まだ、物が何も無いから、広いしね。
これから作るのは、洋式便器だ。
この世界のトイレは、所謂オマル的な物だったので、自分としては抵抗があった。
拠点を作ったら、絶対に洋式便器を設置するんだと、心に決めていた。
【無限収納】から便器を作る材料を出す。
材料は陶器の欠片だ。
目の前に、陶器の欠片で山が出来た。
これらの陶器の欠片は、これまでに行った街のゴミ捨て場から【多重思考さん】たちが【目玉(仮称。魔法で作られた目)】を使って回収してくれた物だ。
オマル的な物を見て、「その内に洋式便器を作ろう。」と、心に決めていたのでね。
さぁ、やるぞ。
陶器の欠片を【結合】の魔法で一つにする。
意外と魔力を使っている感じがする。
その事から、【結合】の魔法が、「”同じ素材の物をくっつける”為の魔法なのではなく、”割れた食器をくっつける”魔法なのでは?」と言う疑惑が、より深くなる。
陶器の欠片が一塊になったので、次は【変形】の魔法で変形させる。
かなり、変形させ難い。
頭の中でお皿を思い出し、「そもそも、変形させ難い素材だったね。」と、思った。
魔法を作る時ほどではないが、普段魔法を使っている時には感じられないほど、多くの魔力の使っている感じがする。
一度、作業を止める。
無駄な作業で魔力を無駄遣いすると、魔力が足りなくなりそうな気がしたからだ。
完成形をしっかりとイメージすることにしよう。
そもそも、”ブツ”の処理をどうするか決めてなかったね。
水で流す事を漠然と考えていたのだが、魔法で分解する方がいいかもしれない。
水を出すのにも魔法を使うんだしね。
うん、便器の形だけではなく、どう処理するのかも含めて、ちゃんと考えないとダメだよね。
作業を中断して、”ブツ”の処理方法を考えよう。
水で流した場合を考える。
流した後の”ブツ”は、どこかで処理しないと匂うよね?
ニオイ対策で魔法を使う?
流す為に水を出すのにも魔法を使うよね?
いっその事、魔法で全て処理した方がいいのかもしれないね。
魔法で処理する場合を考える。
”ブツ”を分解する?
それとも、どこかに転移させてポイッってする?
”転移でポイ捨て”はダメだよね。倫理的に。(常識人的見解)
森を散歩していて、踏んぢゃったりしたら嫌だし。(本音)
分解した場合のことを考える。
”ブツ”を分解すると、最後に炭素とか残るのかな?
炭素の他にも、窒素とかリンとかも残るのかな?
窒素は気体だが、リンって固体かな?
受け皿的な物が必要かな?
引き出し状の受け皿が在って、引き出して、ポイッってする感じかな?
捨てないと、溜まる一方になるよね。
うん。
”ブツ”を分解して、分解した物を捨てる為に、引き出し状の受け皿を設けて、出し入れ出来る形状にする。
そんな感じだね。
基本的な形状を決めたので、具体的な形状を頭の中でイメージする。
形は、普通の洋式便器の形で、便器下部の正面には、引き出し状の物が入るように、四角い空間を設ける。
その空間に向けて上から丸い筒状の物を伸ばす様にして、便器の内側には空洞を多くする。
うむうむ、うむうむ。
そうして、頭の中でイメージ出来上がった。
一塊になった陶器の塊から、”引き出し状の物”の分を【分離】させ、便器本体の製作に取り掛かる。
陶器の塊を、頭の中でイメージした形状に【変形】させる。
かなりの魔力を使っている感じがする。
変形させ難い物を、ぐいぐい変形させていく。
しばらく格闘し、頑張って形を作り上げた。
ふう。疲れた。
作り上げた洋式便器を見る。
うん。いい感じだ。
次に、”引き出し状の物”を作る。
単純な形状だが、やはり、多くの魔力を使っている感じがする。
単純な形状だったから、それほど時間が掛からずに出来上がったが、大きさの割に疲れた。
出来上がった引き出し状の物を便器に差し込む。
少し隙間が大きいかな?
上から覗いて、位置に問題無いことを確認して、縦と横の寸法を大きくして、隙間を減らす。
ハネたのが、飛び出しちゃうと嫌だからね。
微調整を終えて完成させた。
「やったー、完成だー。」と思ったが、座る部分も作らないとダメだったね。
座る部分はプラスチックで作られていたと思うが、ここにそんな物は無い。
木で作るか。
木を【風刃】で削って、作ればいいよね。
部屋の中では木くずが飛び散るので、外に出て作業をしよう。
外に出ると、既にゴーレムが四角い木の板を用意してくれていた。
【多重思考さん】が手配してくれていたんだね。ありがとう。
ゴーレムが持つ四角い木の板を、【風刃】でガシガシ削っていく。
便器に嵌る様な形にした台座と、U字型をした座る部分をそれぞれ作った。
これらを繋げられる様な形にして、穴を明け、木の棒を差し込んで、繋ぐ。
これで、U字型のヤツが上げ下げ出来る様になった。
居間に戻り、早速、便器に嵌めてみた。
ピッタリではなかったが、ちゃんと嵌った。
座ってみて、ガタつかないか確認した。
うん、いいね。
よし、便器の完成だ。
やったね。
さて、便器が出来上がったので、処理に使う魔法も考えておこう。
【分解】と【消臭】かな?
ああ、あと、【クリーン】か。
した後、【クリーン】を使って、体と便器を綺麗にして、【分解】と【消臭】だよね。
処理の様子を頭の中で確認する。
うん。これでいいね。
便器をトイレに運んで、置いた。
排水管とかと繋ぐ必要が無いから、ただ置くだけだ。
でも、便器を押すと動いてしまうね。
固定はしないといけない感じがするな。
固定方法の検討を【多重思考さん】にお願いして、後でゴーレムを使って、固定しておいてもらおう。
よし。 これで、トイレの完成です!
やったー。




