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短編集 冬花火

不動

作者: 春風 月葉

 私は今、仰向けになって地べたに寝転がっている。

 空は変わることのない澄んだ青を映し、風も泳ぐことをやめ、草木も歌うことなく静かに並ぶ。

 このまま時間だけが流れればいいのにと、そう思った。

 今、この瞬間、この空間は静かで安心ができる。

 かさかさと葉の擦れる音がした。

 今、この瞬間、この空間は静けさと安心が消えた。

 先までは自分の呼吸と心臓の鼓動しか聞こえなかったのに、今この場所はたくさんの音が聞こえる。

 あぁ、なんて恐ろしいのだろう。

 世界が私に牙をみせた。

 このまま寝転がっていたら、空から雷や酸の雨が降るかもしれないし、風が遠い土地の毒素を運んでくるかもしれないし、草陰の毒蜘蛛に噛まれて死んでしまうかもしれない。

 立ち上がって逃げたところで、安心できる場所がある保証もない。

 結局、私はこの場所に寝転がったまま動かなかった。

 そうすることを選んだ。

 私はいつまでもこの場所で未来の見えない恐怖に怯え続けるのだ。

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