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魔界の勇者~魔界で勇者として幼馴染みと冒険します~  作者: ろくみっつ
第一章 魔界召喚
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五話 勇者との邂逅?

「ふっ!はぁぁ!!」


 黒鉄の声が庭に響く。

 あれから一週間と少し。メノスから与えられた技術を少しでも定着させるべく、一日も欠かさずに剣を振るう黒鉄。

 最初は剣を扱うことに慣れるために補助魔法を使わずに鍛錬をしていたが、

「それだけでは魔法が上達しないのでは?」

 とメノスから専属でつけられたメイドから助言を受け、今では補助魔法を使いながら剣術の鍛錬をしていた。


 黒鉄の使う補助魔法の発動条件は体の一部に魔法陣の代わりとなる、星座の『魔法陣』サインを書き入れることである。

 書き入れる部分と動物の種類で上昇する能力が変わり、線だけではなく動物の『魔法陣』サインになると効力が増すという仕組みをしている。

 たとえば、利き腕でない腕の方、つまり左の肩に牡牛座タウロス『魔法陣』サインを入れると腕力が上がる。

 左右の脚に鷲座アルタイルの翼の『魔法陣』サインを書くと、速力が上がる。

 といったようになる。

それに加えて補助魔法をある方向へと転換させてちょっとした仕掛けをしているのだが、それはまだ言わなくてもいいだろう。


 今は体力を上げるため鳩尾とへその間に大熊座カリストー『魔法陣』サインを入れて剣を振っていた。

 『魔法陣』サインなしでは半日も剣を振れないほどだが、この『魔法陣』サインをしっかりと書き込むことで一日どころか三日は降り続けられるほどの体力が得られる。


 黒鉄は元の世界では剣を振るったことは疎か実物を見ることすらなかったのだが、メノスに与えられた技術のおかげで今では補助魔法なしで一流の剣士と互角の戦いを繰り広げられるほど上達していた。


 そんな黒鉄の元に急いだ様子のメノスが駆けつけてきた。

 いつもはもう少し悠々と歩いてくるのだが今回は切羽詰まった様子であった。


「クロガネ!今から街へ行くぞ!早く行かねばまた一つ街が壊滅してしまう!」


 相当焦っているようで詳しい説明もないままに俺を引っ張っていこうとする。

 俺は蹈鞴を踏みそうになるが詳細を聞かなければ頷くこともできないので踏み止まり冷静になるように言い聞かせる。


「一旦落ち着いてくれ。説明を聞かないとどこに行けばいいのかすらわからないから」

「落ち着いていられるか!奴が!勇者の奴が攻めて来よったんじゃ!はよ行かねば!」

「勇者?そうか、だが一回深呼吸をして俺に一から説明をしてくれ。

どうして勇者が攻めてきた?原因は?」

「深呼吸、すぅー、はぁー……。すまんの取り乱してしもうた」

「いや、いい。それよりも説明してくれ」

「おう、そうじゃな。

勇者が攻めてきた理由。それは……、貴様じゃ、クロガネよ」

「ん?ふどういうことだ?」

「わからん。お前を召喚したというのは私とメイド達だけじゃからな

どこから漏れたやら……メイドは絶対に外部に漏らしたりするはずはないのだが……」

「んー、どういうことだ……。と言いたいがそれどころではないんだろ?」

「そうじゃな、とりあえず貴様は勇者に会いにアパトという町まで行ってくれんか?

もちろん私もついていくつもりじゃが」

「わかった。どこで待っていれば?」

「そうじゃな、正面の門で待っていてくれ。馬を用意する」

「了解だ」


待ち合わせ場所を確認するとメノスは急ぎ足で城の中に戻っていく。

俺は正面の門に向かいそこでメノスを待つ間に体に『魔法陣』サインを入れることにした。

万が一のため防御を上げるため左の手の甲に蟹座キャンサー『魔法陣』サインを書き入れる。

そのあとは鷲座アルタイル牡牛座タウロスを脚と左肩に書き入れた。

そうこうしているとメノスが一頭の馬を連れてくる。


「クロガネは馬に乗れないと思ったのでな。私の後ろに乗ってくれ」


俺は事実なので不満を垂れることなくメノスの後ろに乗る。

女性の後ろに乗るというのは、少しばかり恥ずかしいがそんなことを言っている暇がないことはわかっていた。


「では、いくぞ。飛ばすからしっかりとつかまっておれよ」


そういって馬を走らせ始めた。



◇◇◇


一方、人間側の勇者である白木しらき さきは行動を始めていた。

彼女が向かっているのは、魔界の中で最もアーガルム王国に近い町、ラパト。

国王からの命令に従い勇者を探すために行動している。

手順は至極簡単で、ラパトへ行き、警備をしている者を叩き潰しその後勇者を出すように言う。

こなければ町を一つ消滅させると言えば絶対に連れてくる。という自信が彼女にはあった。


彼女は召喚されてから今まで小さな村から大都市まで合計で10程度を消滅させてきた。

勇者としての能力である『四属性の加護』と『精密操作』を使い様々な手段で町や都市を地図から消していた。

召喚されたて使命を聞かされたときは、「そんなことできない!」と言っていたが、魔人種を見た瞬間、何故今まで自分はそんなアホらしいことを言っていたのか?と感じることになる。

こんな人間とはかけ離れた存在に遠慮なんぞする必要ないと確信してから、ためらうこともなくなった。


だから今回も簡単に終わるだろうと思っていた。たとえ勇者だろうと私には敵わない、そんなことを自信に満ちていた。

いつものように彼女を召喚した魔法使いに支給された目を覆うくらいのサイズの仮面を着けて一人でラパトまで行く。


ラパトについて直ぐに行動を起こす。

近くにいた警備兵に風の魔法で斬りつける。

そこからは町の広場へとゆっくり移動しながら兵を相手にし、最後にこう告げる


「いますぐここに勇者を呼べ!私の名は白木しらき さき!人間の勇者だ!

呼ばなければこの町は私の魔法で塵となり地図から消えるぞ」


そう宣言して彼女は待つ。この魔界を守ろうとする愚か者(ゆうしゃ)を。


◇◇◇



俺が町に着いたとき、兵士は全員地に伏せ、住民は外に出ることすらままならないくらい錯乱し家の中に閉じこもっていた。

地に伏せていた中でも軽傷だった兵士から勇者の場所を聞き出し広場へ向かうと、そこにいたのは仮面をつけた女だった。

なぜだろう、会ったことはないはずだ、なのになぜか、既視感がある。


「あいつが勇者なのか?」


とりあえず近くにいたメノスに聞いてみると、仮面の女から返事が返ってきた。


「お前が愚かにも魔界を守ろうとする勇者か?

ふん、想像よりも遥かに弱そうだな」


「……こっちも人間側の勇者が女だったなんて予想外だよ」

「ふん、私をただの女だと思って見くびるなよ?」


女はメノスのほうを見ながらこういう


「お前のそばにいる魔王を名乗る女の左腕を切り飛ばしたの私だぞ?」


「……そうなのか」

「まぁな」

「そうか、それで?お前は俺に会ってどうするつもりだったんだ?」


女は薄く笑みを浮かべる。


「ふっ。簡単なことだ。貴様を殺しこの町を無に帰す。それだけだ」

「殺されるのも、町を無に帰されるのもご勘弁って感じだな。

止めたければおまえを倒せ、ってところか?」

「そうなる。がお前に私は倒せないだろう」


余裕だ。とでも言いたげな雰囲気で、しかし油断などせずに杖を構える。

俺は制御のできるようになっていた『勇者の威圧』を放ちながら剣を構える。


「こけおどし程度では私には敵わんよ、行かせてもらうぞ。

『風の加護よ、わが杖に宿り刃となれ』」

女の杖に風でできた刃を纏う。嵐のように荒れ狂っている風で斬りかかってくる。

俺は杖を剣で弾く。

風は俺の肌を薄く切り傷をつけるが防御力が補助魔法により上がっているため俺にはほとんど効いていない。

俺はそれを意にも関せず前に踏み込もうとして

「『地の加護よ、沼となれ』」

女の魔法で足を取られる。

急いで抜こうとせずにそのまま斬り掛かる。

女はそれを躱し「『火の加護よ、敵の腹を穿て』」と唱え燃え盛る火の矢を撃ってくる。

剣で払い落としたときにはすでに別の魔法が発動していた。

サッカーボール大の水の玉が俺の頭に躱しきれないほどの高速でぶつかってくる。

咄嗟のことでよけることもできずに数m程吹き飛ばされる。

脚は沼から抜けたが、それ以前に予想外だったことでダメージが大きかった。


「痛ぇな。その自信は本物ってところかよ」

「ふん、貴様も存外耐え抜くのだな。並みのものは私の火の矢を払い落としたりできないのだが。

まぁいい、次で仕留めよう」

「それは勘弁願いたいよ。さすがに死にたくはないしもう少し頑張ろうか。

『我が背に宿りしは、88の天体。

星の力をわがものとせん

制限解除リミッターオフ』」


補助魔法の仕掛け、それは、補助魔法を負荷掛ける方向へと転換しすべての実力をある程度まで引き下げる。

というものである。

元々与えられた技術に追いつくためにかけていたのだが、このタイミングではまるで実力を隠しているようにも見えてしまうが、負けるよりは数段ましである。

そして、何より、女に負けられる負けられる訳がない。



「さぁて、ここからが本番だ。

ここで死ぬわけにはいかないからな。

頑張らせてもらうよ」


ここからが勇者vs勇者の本当の闘いの始まりである。

すいません。途中でおわってしまいました。

ほんとすいません

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