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魔界の勇者~魔界で勇者として幼馴染みと冒険します~  作者: ろくみっつ
第二章 試練のダンジョン
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三十七話 怒髪天を衝く、逆鱗に触れる。

すいません!本当はもう少し早く上げたかったのですが……。

F12キーって怖いですね……。

 扉の先に広がるのは、ドーム状の部屋だった。

 その部屋は天井から壁、床に至るまで様々な紋様が描かれていた。

 紋様はどこか統一性が見られ、ただ床は全く違う形式で書かれている。


 天井から壁にかけての紋様はいわゆる象形文字に近しいが、床に広がる紋様は、どこかで見たことのあるような構成をしていた。


『さて、僕が君たちに話したかったことは大体終わったからね。今度は君たちの用件を済ませるとしようと思ってね』


 そう言いながらウェルシュドは床の既視感を覚える紋様を指さし、こう言った。


『これでしょ?君たちが探してるモノは。

 異世界から人を、正確には異世界に行った《黒》と《白》を召喚する魔方陣。

 人間の呼び方だと、『召喚の儀陣』かな?』



 ――っ!

 先ほどまで感じていた既視感が何であるかをウェルシュドの言葉で理解し、そして驚く。

 それが俺をこの世界へと呼んだ『魔法陣』であり、そして、ウェルシュドが俺たちの目的を知っていることに。


「やっぱり知ってたのか。俺たちがここへ来た理由を」

『うーん、別に知っていたわけじゃないよ?ただ、多分これに用事があるんだろうなぁって、思っただけ。

 だから、君たちがなんでこれを求めてやってきたのかを教えてほしい。僕に答えられることがあれば答えてあげられるしね』


 ウェルシュドが言うには目的が何であるかを粗方察することができた程度らしい。

 それが本当の目的であるかの確証をもってはいないようだ。


「そうか、分かった。なら、お前に聞きたいことがある。

 一つ、これで呼べる人間は限られているのか二つ、この陣はここ以外の場所にもあるのか三つ、俺や白木をこの世界に召喚した『陣』はこの『陣』なのか。

 俺たちの聞きたいことはこれだけだ」


 ウェルシュドは他の二人の顔を見て、他の質問がないかを確認し、俺の質問に対し、


『まず、一つ目の『陣』で呼べる人間だけど、一つの条件に当てはまれば呼べるよ。

≪黒≫か≪白≫であることっていう条件だけどね』

「……。それを考えてもやっぱり白木は≪白≫だということになるのか」

『そうだね。三つ目の質問の答えでもあるけど、君たちを召喚するために使われた『魔法陣』はこれを模倣し構築されたものだからね。それだけのはずだから≪黒≫か≪白≫しか召喚されないはずだ』

「じゃあ、あと一つの、『陣』を記した場所については?」

『うーん……。『陣』として構成を残していたモノについては数百年前に全部僕や守護者、それにヘイロンが破壊していったから残っていないはずだよ』


 ということらしい。

 破壊とか少し物騒だな。と思ってしまうが。それでもそれをしてくれたおかげで、数百年の間は俺たちが召喚されるという事態が起こらなったんだろう。

 だが、少しだけ抜けている点があるとすれば……。


「それで破壊するときに、口伝や書物に対しては対処していたのか?」


 その一言で、ウェルシュドは少しだけ固まり、頭をかく。


『……。あはは、うん、それは全く持って失念してたな……

 本当に申し訳ない……』


 どこか人間臭い仕草をしながら謝るウェルシュド。

 俺は少し嘆息してしまうが、終わったことに対して責めるつもりは全くない。


「いや、いいよ。起こってしまったもんは仕方がない。

 それに、人間ってのは目的のためには手段を択ばないヤツが大抵いるからな。

 どうせ口伝や書物も消していたとしても、俺たちの召喚が数百年くらい遅れるだけだろうし」

『そうか……。じゃあ気にしないでおくよ。

 それで、ほかに聞きたいことはあるかい?別に『陣』についてだけじゃなくても答えられることに対しては答えるよ?』


 と、ウェルシュドは聞く。

 俺としては特に聞くことはないので、ティシスとフィリアに顔を向ける。

 すると、ティシスが前に出て、問いを投げかける。


「では、一つだけ。

 白木様は、クロガネ様と再会されたとき、召喚される以前の記憶を失っていらっしゃったらしいのですが。その原因にお心当たりはありますか?」


 そうだ、忘れていた。いや、忘れていたというかここで聞くつもりはなかったことだった。

 白木の記憶障害、それと俺の知っている白木とこちらであった白木の性格の祖語。

 これの原因も解明しなければだった。


『うーん。人為的なもので、尚且つ、魔法の使用を疑っているなら、精神操作系の魔法が怪しいかな?

 あれは術者には魔力以外の負担がないのに被術者への負担、負荷がかかりすぎる魔法だからね』


 精神操作系の魔法。

 思わず三人が三人とも顔を顰めてしまう。

 それはそうだろう。人の権利を奪うような行為だ。まだこの世界に人権の概念があるかはわからないが、縛られることを嫌う人としての本能が忌避しているのだ。


「精神操作か。ふざけた真似をしやがるヤツがいるんだな」

「……。法律的には禁止されているのですが、やはりですか……」


 これは早急に手を打たなければいけない。と心に刻んでおく。

 帰ったらメノスに要相談の案件であるはずだ。


「色々助かったよ、ウェルシュド。今のを聞いたらここでのんびりしてる暇がないことを再認した。

 悪いがダンジョンから出してもらってもいいか?」

『あぁ、そうだね。まさか僕も≪白≫にそんな手を使っていると把握していなかったよ。

 今から転移の陣を起動させるから――っと、その前に』

「ん?」


 転移の陣を起動させようと移動し始めたウェルシュドがおもむろに何もない空間に手を突っ込む。

 その中から黒い何かと白い二つの何かを俺たち三人に投げる。


『それ、僕からのプレゼントだよ。

 白いペンダントは僕の鱗から作ったもので、状態異常を治す効果と、それにこもった魔力が切れるまで敵から身を守ることができる代物だ。一国の要人とその護衛にはそういう効果のほうがいいだろう?』

「あ、ありがとうございます!このようなものをいただいて……!」

『いいよ、いいよ。≪黒≫にだけプレゼントする訳にはいかないからねぇ。

 っと、≪黒≫のほうの黒銀の鈴は『鈴黒(れいこく)』って鈴だ。

≪黒≫の武器兼発生器(ジェネレータ)たる物の代用品さ、一時的にだけど≪黒≫の持つ無限の力を使えるようになる』

「そうなのか、ありがとう。使い方は?」

『強く願う。それだけだよ。まぁそうはいっても代用品だからね、ちょっとやそっとじゃあ起動しないから気を付けてね』


 そう言いながら、先ほど向かおうとした部屋の一角へと進んでいく。

 そして、そこにある床の陣とは隔絶された転移の陣へと魔力を注ぎながらこちらへと声をかける。


『それじゃあ、この陣の上に乗ってくれるかな

 ダンジョンの入り口に送るからさ』

「あぁ、なにからなにまですまんな。今度色々なことが解決したらまた来るよ」

『おぉ、本当かい?それは楽しみだよ。

 っと、そうだ言い忘れていたけど、君たちがダンジョンにこもってまだ一日も立っていないけど、外に出たら二日くらいたっていることになってるはずだから、気を付けてね?』


 最後の最後に重要なことを言ってくるウェルシュド。

 さすがにそこまでは予想していなかったので、驚いてしまう。


「はぁ!?いや、それはダンジョンに入った時に忠告しろよ!」

『いやぁ、忘れてたよ。ごめんごめん』

「……。はぁ、まぁお前らみたいに長い間生きてるやつは一日も二日も一年もかわんねぇか……」


 そういって、少し呆れながらも陣の中へと足を踏み入れる。

 だが、そのとき――ドクン――。と俺の心臓が鼓動する。


「っあぁ!?」


 その一回の鼓動は、心臓を捻り潰すような収縮と内部で爆発でも起きたかのように緩むというよりも弾けるように弛緩する。

 そんな鼓動だったため、激痛が走り、思わず叫んでしまう。

 そして、それに合わせ、俺の無意識下から魔力と威圧が一瞬だけ飛び出す。


「どうした!クロガネ!!!!」

「クロガネ様!?」


 ティシスとフィリアが慌てて俺のもとへ駆け寄ってくる。

 一瞬の激痛しかなかったため、直ぐに呼吸を整えながらも返事を返す。


「あぁ、大丈夫だ。問題はないわけではないけど無事だ」

「なにがあったのですか!いきなり魔力も威圧も解放して……」


 その問いに対し、答えようとする。

 が、その前に近くから羽ばたく音と強風が迫る。

 ウェルシュドが龍の形態に戻り、上へと飛んでいたのだ。


『すまない。少し外の方を見てくる。

 ものすごく悪い予感がするんだ。

 すぐ戻るからここで待っていてくれ』


 そういったウェルシュドは天井めがけ飛んでいく。

 このままでは衝突してしまうと思ったが、そんなこともなく天井を通過していく。


「どういうことでしょうか……」

「さぁな、だが俺達はここで待っているしかないようだ。

 ウェルシュドに待っておけって言われたし、転移の陣も動かせそうにないからな」


 と言いいながら、ウェルシュドを待つ。

 その間に自分の身に何が起こったかを考える。


 だが、それは考える間もなくわかっていたことだった。

 以前もこういうことがあった。

 それはこっちの世界であったことではない。白木も俺も地球にいたころのことだ。


 それはいつもいつもアイツの身が危険にさらされていた時に起こっていた。

 多分今回もそうだろう。だから、俺はいったん落ち着き、そして心の片隅に沸々と怒りを溜めていく。

 人為的な悪意による危険にのみ、なぜか俺は反応する。

 それを起こした相手に対しての怒りと、白木をそんな悪意へとさらしてしまった自分に対しての怒り。

 沸々と湧いてく。


 数分もかからずにウェルシュドは戻ってくる。


 その体からは怒気が、俺以上の怒気が発せられていた。


『人間が……。よもやアレを解放するとはなぁ……。アレを封ずるために我らがどれだけの月日を掛け、命を懸けたと思っているのか……。今一度破滅への一歩を踏むかウジどもめ……!』

「ウェルシュド、何があった。口調が乱れまくってるぞ」

『……。すまない。流石に取り乱しすぎたよ。

 だが、僕がこれほどにも感情を露にしなければならないことが起こった、と感じてくれ』


 そこまでに怒っているようだ。

 何があったのだろうか?


『すまないね。君たちを送り出す前に一つだけ、頼み事だ』

「なんだ?」

『≪白≫の継承者、白木 咲にかかっている精神操作が、分かった、たった今ね。

 その名は『|赤い蛇と神の毒≪サマエル・サイン≫』僕やヘイロン、ほかの尊い様々な命を賭してまで封印した古龍種エンシェント・ドラゴンだ』


 精神操作の魔法、そしてもう一匹の古龍種。

 それが白木に中に巣くっているらしい。


「封印された、古龍種……?しかも魔法だと?」

『そう、サマエルは竜にして魔法なんだ。

 だからこそ、殺せない、消せない、倒せない。僕たちが封印するので手いっぱいだった……。

 その過程でも何人も何十人もの命が消えた。そんな忌々しいヤツを解き放ったウジがいるんだよ』

「白木のかかった精神操作は、その魔法なのか?」

『そうだよ。サマエルの効果は、洗脳、支配だ。

 一度入り込んだら最後、時間をかけて、洗脳し、支配し、最後には元の人格を完全に毒で侵し、殺し、自らのものとする。それがヤツだ』


 ――ブツン――。

 頭の中で何かが切れる。

 それは所謂堪忍袋、というやつなのか、俺の脳血管なのか、わからない。

 だが、白木を殺す。その言葉だけで、俺は我慢や自制を捨て去る。


「……。そうか、そうか。そこまでして人間は死にてぇわけだな。

 人格を殺すだぁ……?舐めすぎだよなぁ。

 ウェルシュド。さっさと陣起動してくれや。白木救って、さっさと元凶ぶっ殺してくるからさ」


 人間の事情だろうが、神の意志だろうが完全に無視だ。

 最低でもサマエルとかいう魔法を起動させたヤツの属する国一つは滅ぼさないと気が済まない。

 俺の中の怒りの矛先は、理不尽にも狙いを定める。




はい、怒り度MAXですね

もう少しこう、もっともらしく怒らせたかったんですけど……こうなりました……。


後日活動報告のほうでまとめますので……。

何分マッハで950字から4000前後まで駆け上ったので左の手首が悲鳴を上げております……。

では~、次回から新章です!楽しんでくださいな

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