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魔界の勇者~魔界で勇者として幼馴染みと冒険します~  作者: ろくみっつ
第二章 試練のダンジョン
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三十一話 vs蛟

遅くなりました!今回は長めなので気を付けてください!

「さて、すまなかったな。再開しようか」

「そうね。早く終わらせましょう」


白縫(しらぬい)』の持つ力についての話を終え、今度こそ決着をつけるために互いに構えを取る。

 素早く、自己再生能力を上げる蜥蜴座(リザード)を手の甲に書き入れ、その効果が『白縫』にまで行くように魔力を大目に流す。

 これで『白縫』は"再形成"ではなく"回復妨害"という効果が付与されるだろう。


 あちらも既に先程と同じ量の水の龍と氷の鳥を形成し準備は万端といったところだ。

 さっきは蛟が攻めてくるのを待っていたが、今度はこちらが攻める番だろうと思い距離を詰めるために走り出す。


 狙うは龍やハヤブサといった魔法でできた獣を操る扇子。それを奪うか壊すかすれば蛟は何もできず、終わるだろう。

 だが、それを易々とさせてくれるわけもなく、蛟は扇子を振るう。


「いきなさい、『氷凖』」


 扇子をこちらに向けながら言う。

 蛟の周りを旋回していたハヤブサがバラバラに俺に向かって突撃してくる。

 一匹は一直線に、違う一匹は大きく旋回し死角に入るように、ある二匹は前後になり連続で。

 様々な動きをしながらこちらへと飛翔する。


 俺は、まず一番に接近してきたハヤブサを一突きで粉々にし、そのまま流れるように右にいたハヤブサ二体を切り捨てる。がら空きになった左の方から急速に距離を詰めようとする個体が来るが、それを裏拳で砕き、その破片を他のハヤブサにぶち当てて壊す。

 終わったと思うが、どこか違和感があり、それを感じた足元に視線を向けると、地面から体を出しこちらへと飛び掛かろうとする水の龍がいた。

 気を抜く自分が悪いか。と思いながら龍の頭をさっさと踏みつぶし、体を魚を開くように縦に斬る。

 水は元の形に戻ろうとするが、『白縫』の回復妨害が効いているのか、全く模れず、魔力が切れてただの水へと姿を変えた。


 全ての処理を終え、すぐにまた蛟へと掛ける。


 蛟は一番最初の時のように扇子を振るう。

 扇子からは水の刃が飛んでくる。それを時間差で何発も放ってくる。


 俺はそれら全てを『白縫』で斬りながら近づいていく。

 蛟は苦い顔をしながらも水の刃や龍、ハヤブサを繰り出してくる。


 俺は蛟へと接近しながらも考える。

 多分だが、蛟と俺は相性が良いのだろう。

 蛟の試験は≪黒≫の縁者の技量を見るためのものなはずだ。なぜなら、こちらの世界に来て直ぐ、メノスに戦闘の技術を授かっているため、全く苦になることがないからだ。

 ならば、一層目の『(クイーン)・ベヒモス』戦よりも、もっと簡単に終わらせることができるはずだ。


 考えながらも、斬り捨て、回避し、相殺しながら蛟へと接近する。

 もう1メートルもない程に迫ったとき、蛟が少し不満そうに口を開いた。


「やっぱり、強いわねぇ……。仕方ないわ。ちょっと本気を出さなきゃね」


 と、そう言った瞬間、蛟の中の魔力が膨らみ、その膨大なほどの魔力により、地面がめくれ、俺は吹き飛ばされる。

 蛟の体に具現化した魔力が纏われる。そして、ある形を模っていく。


『クルキュイィィィ!!!』


 その姿は、青く煌めき逆立った鱗を持った蛇であった。

 これが、蛟本来の姿のようだ。


『あのままやられるのは癪だから本当の姿で相手してあげる』


 蛟は俺に向かってその巨躯を使い体当たりを繰り出してくる。

 巨大な体躯を生かした攻撃だ、さすがに受け流しをすることはできない、大きく横へと飛ぶことにより体当たりを避ける。


 蛟のあの姿は魔力で出来ているはずだ、『白縫』への付与効果を魔力阻害にして核を攻撃できれば、なんとか切り崩していけるだろう。

 だが、それをする前に蛟の度重なる攻撃により、こちらが攻撃する機会を逃してしまう。

 体当たりから始まって噛みつきや蛇の体形を活かした巻き付き、土を操り疑似的な爪での攻撃、さらには水のブレスなど、様々な方法で攻撃してくる。


「くっそ、核がどこにあるかさえわかれば何とかなるんだが……」

『ふふふ、流石の貴様でもこれでは手を出しずらいか?

 だが、このままでは合格とは言えないぞ?』


 俺は蛟の魔力の一番濃い部分_核のある場所を探っていく。

 その間にも繰り出される蛟の猛攻を回避する。


 何度目かの水のブレスを回避したところで核の位置を特定することができた

 核は、俗に龍の逆鱗と呼ばれる、他の鱗とは違い逆さに生えている鱗に守られるように存在していた。


「寄りにもよってそんな場所にあるのかよ……。まぁ、いい見つかったからにはやるしかないんだ」


 そうつぶやいていると蛟の攻撃が飛んでくる。

 俺はそれを先程とは違いギリギリになるように必要最低限の動きでよける。

 そのまま蛟との距離を詰めるように猛攻を搔い潜りながら接近していく。


 既に『白縫』の付与効果を魔力阻害にするために、手の甲の『魔法陣(サイン)』を蜥蜴座(リザード)から海蛇(ヒュドラー)に描き換えている。準備は万端だった。


 蛟の攻撃は魔力を消費して繰り出されるものが多いため、魔力の動きを視ればほぼほぼ回避できる。だから、攻撃に当たることなく、蛟のその巨躯の至近距離まで移動できた。


『あぁ、もう!なんで当たらないのかしら!』

「さぁな、ッと」


 蛟のやけになった攻撃は驚くほどに単調な突進だった。

 それを避けることなく迫ってくる蛟の顎を刀で掬い上げるように打つ。

 そして、一瞬の硬直と無防備の逆鱗は絶好の的になる。


「これで終わりだ」


 少し勢いとつけ、跳躍する。

 そして、『白縫』に魔力を流しながら鱗と逆鱗の隙間を縫うように核を薙ぐ。


『キュルィィィイイイ』


 蛟は甲高い咆哮とともに倒れることとなる。

 そして、徐々に体を形成していた魔力が抜けていき、人の姿へと戻っていく。

 核の役割をしていた扇子は真っ二つに割れペタンと地面に座る蛟の前に転がっていた。


「……。全部、避けられた……。悔しい……。

 ていうか、お気に入りの扇子、壊れちゃった……」


 なんだろう、ものすごく落ち込んでいる、としか言いようがない。

 だが、勝ちは勝ちだ。これで次の層へと行くことができる。


「あー、合格でいいのか?」

「……。文句のつけようが無いわ。どの攻撃もかすりもしてないんだから……」

「そうか、じゃあもう行ってもいいのか」

「ええ、良いわよ。あっちのほうに魔法陣があるから」

「了解」


 蛟が指を差した方に向かって歩いていこうとした、そのとき、後ろから声を掛けられる。


「≪黒≫の縁者……。貴方の名前は?」

「言ってなかったか。黒鉄 遊兎だよ」

「そう……。黒鉄、次の試験で最後だけど、多分あなた一人だけでやろうとすれば負けるわよ」

「……。忠告感謝するよ」


 俺はそのまま蛟に背を向け、魔法陣へと歩いていく。

 一人でやろうとするな。という忠告を片隅に置いて、最後の試験の層へと向かうために。

如何だったでしょうか?

今回はいつもなら蛟の本来の姿で戻すとこで次話に回していたのですが一話でまとめさせてもらいました


なので少し長い感じになってしまいましたが……。

急ぎ足でダンジョン終わらせないとグダグダしてしまうと思いまして、このような処置をさせてもらいました。

次話は幼女&大男(規格外)が試験官ですので、乞うご期待を!

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