二十九話 『白縫』の力?
遅くなりました
新年一本目、三が日辺りに出す予定でしたが。。。。
楽しんでいただければ幸いです
「じゃあ、始めるわよ?私に一撃を与えればあなたは次にいけるわ。ま、そんなに簡単ではないけどね?」
そう言われて始まった、第二の試験。
俺_黒鉄 遊兎は先程手に入れたばかりの神刀『白縫』を抜刀し、刀を立てて右手側に寄せ、左足を前に出して構える。
その構えは、八相の構えと呼ばれる、出来るだけ体力の消耗を抑え、尚且つ喉元や心臓を守りやすい構えだった。
それを見た蛟のほうも手に持った扇子を広げ、それと自身の体をユラユラとさながら、リズムでも取っているかのように揺らす。
そして、扇をゆっくりと横へスライドさせ、こう唱えた。
「『我が袂にその身を現せ。水龍栓、氷隼』」
すると、蛟の周りの地面に孔が開けられ、そこから出てくるのはまるで自我を持ったようにうねり、彼女の体へと巻き付く。それは、半径15cm程の体を持つ5体の水でできた蛇のような龍だった。
その次は、空中で氷が6つ形成され、ダチョウの卵よりも少し大きい程の大きさそれを割り、ハヤブサが出てきた。
計11体の水系統の魔法で形成されたモノを侍らせ、ユラユラと揺れる蛟。
俺は出方を伺い、蛟の一挙手一投足に注意を払う。
先に動いたのは当然のように蛟のほうだった。
彼女は右手に持った扇子を軽く、素早く動かし、龍の水でできた体を横へ薙ぐ。
それに合わせるように、扇子が当たった水が横へ薄く広がり、水の刃が出来上がる。
出来上がった水の刃は一気に加速し、俺の胴体目掛け一直線に進む。
「器用な真似をしやがるっっ!」
横と広がった刃を避けるためには大きく飛ぶか、剣で弾かなければならない。
俺の選択は、剣で弾くことだった。
水の刃と垂直になるように、『白縫』を下から斬り上げける。
刃は予想以上に強度がなく、簡単に真っ二つになった。が、そのあとに俺の予想していなかったことが起こる。
なぜか水の刃は『白縫』が真っ二つにし、水に戻った、次の瞬間に元の刃の形へと再形成され、俺のほうへと飛翔を続けたのだった。
「はぁ!?流石にそれは厳しいってのっっ!」
予想外すぎる性能に驚き、今度は大きく横、左側へと跳躍する。
少し、慌てたためか着地に失敗し、一回転してからようやく落ち着く。
「おいおい、蛟。流石に狡くないか、これ?」
「あら、心外ね。それを引き起こしたのは私ではなく貴方でしょう?いえ、正確には貴方の持っている『白縫』のせい、でしょうけど」
「『白縫』がさっきの水を再形成したっていうのか?」
「仮だとは言え自分の使っている武器にどんな能力があるのかすら知らないなんて……。貴方が≪黒≫の縁者だなんて、信じたくないわ……」
そう言って蛟は肩を落とし、ため息をつきながら首を振った。
そして、少し侮蔑的な視線を俺に向けながら、話を続ける。
「その刀、そもそも誰の持ち物だったかは知ってる?」
「いや、知らねぇ。ていうかさっき『Q・ベヒモス』から貰ったばかりのものだし、その時に一切の説明を受けてない」
「……。ベヒモスめ、適当すぎないかしら……?はぁ、まぁいいわ
その刀の本来の持ち主は≪白≫なのよ」
「≪白≫の持っていた刀……?」
「そうよ。そして、だからこそ、その刀にはある特殊な能力を発現する魔力晶石が埋め込まれているのよ」
「特殊な魔力晶石……。それがさっきの再形成の力っていうのか?」
「少し違うわね。再形成の力は副作用のようなものなの。
魔力晶石が本来宿している力は、≪反転≫よ。込められた魔力や現象に作用するようになっているから、貴方が回復系の魔力やポーションなんかを込めれば、治りにくい傷にしたり一生治らない傷にできたりするわ。
……本来なら自身の力のせいで他のモノを傷つけることのできない≪白≫が使っていたものなんだけどね……。」
「そうなのか。なら次からは魔力を込めて斬ればさっきみたいなことにはならないってことだな」
蛟が教えてくれたおかげで、なぜ起こったのかが解った。
最後のほうの呟きはうまく聞き取れなかったが、まぁ言う必要のないことだということなんだろう。
本当ならば、『Q・ベヒモス』がこのことを伝えなければならないような気がするが、そこは仕方ないということにしておこう。
「さて、すまなかったな。再開しようか」
「そうね。早く終わらせましょう」
そう言ってまた、俺と蛟は構えを取る。
次回はティシスとフィリアの場面です
遅くなるかもしれません。申し訳ないです




